「ルパン三世B犯罪帝国の野望」(馬場民雄)感想

こんにちは。先日、ホビーショップに出かけたところ、モデルガン(ガスガン?)のコーナーで、写真付きの「あのルパン三世の頼れる相棒、次元大介さんご愛用の品です!」と書かれたPOPつきで、スミス&ウェッソン M19が売られており、ついふらふらと手に取ってしまったとりこ。です。絵描きなら必需品かもしれないけれど、字書きがこれを購入する意味はあるのだろうか(それなりの金額だし)、と理性が(珍しく)働きましたが、欲しかった…。

 以前、現在は、Webに移行しているルパン三世officialマガジンについて書きましたが、紙媒体で出ていた頃の既刊を、ぼちぼちと買い集めております。掲載されているマンガ作品自体は単行本化されているものが多いのですが、ちまちました特集記事がお目当て。で、このあいだ、そうやって買い集めていたうちの一冊を読んでいたら、倒れました。神作品あったよ。

 すでにご存じのかたからしたら、とりこ。さんなにをいまさらと言われるの覚悟ですが、とりあえずわたしはいま知ったから! ’13年冬号に掲載の、馬場民雄先生の「次元と不二子2人でお留守番」です。単行本「ルパン三世B」に収録されています。この単行本、現在はKindleオンリーということもあって、チェックしてなかったんですよね。わたしのバカバカバカ。

  だって、題名からしてすごいでしょ?わたし、自分がいつ書いたかこんな題名とすら思いましたよ。しかもしかも聞いてください、内容も素晴らしいの!お仕事に出かけるルパンと五ェ門を、「いってらっしゃ~い」と笑顔で送り出すふたりってなんだこのこなれた夫婦感、と冒頭からしてわたし倒れそう。それだけでもあれなのに、40Pのこの作品、ルパンたちが登場するのは最初と最後のみ。あとは、敵に襲われた次元と不二子の逃避行と息詰まるアクション。ふたりきりのアクション。ふたりきりの(強調)。

 しかもこの作品、キャラ設定がブレなくてすごく楽しい。次元はあくまで面倒なことが嫌な腕ききガンマンで、不二子のことを迷惑がって皮肉を言うし、不二子ちゃんはいつもの通りのお宝に目が無い強欲さとずうずうしさで、次元を腐らせちゃう。でも、ちゃんと腕も立つ!二人の名物の口げんかのシーンもあるし、そこから逆転の見事な連係プレーで敵を出し抜く展開まで、ふたりのらしさを生かした内容で、ああもうこれPARTⅤで放送してくださいトムスエンタテイメントさん。DVDブルーレイで買います。

 あまりにこれが良かったので、単行本を入手したら、馬場先生のルパン、すごくわたし好みでした。なにより絵がいい。描線が洗練された新ルパンという感じの、懐かしいけれど古くない、うるさくないすっきりした線でいい。単行本を読めば分かりますが、この二人以外を主役にした話も、五ェ門回も銭形回も良いのです。単行本は「犯罪帝國の野望」というひとつの話を、各キャラクターの視点から再構成している内容なのですが、もう次のTVSPこれでお願いしたいですよ。それくらいまとまっている。

 2年前の単行本にいまさらと言われそうですが、いろんな作家さんが書いているルパンコミカライズのなかでも、個人的にかなりのお気に入り度となりました。未読のかた、おすすめです。