「峰不二子の謎」(不二子フェチ倶楽部・祥伝社)の感想

 こんにちは。夏休みということでアニマックスの新ルパン再放送もイレギュラーな形となり、放送時間帯が右往左往したせいで、よりにもよって次元さんの過去話、第84話「復讐はルパンにまかせろ」を録画し損なってしまい、さめざめと泣き崩れそうになったところ、自分がDVDコレクションを買っていることを思い出した、とりこ。です。暑いと何もかもがあいまいに……。

 今日のルパン関連本の感想はちょっと変わり種。「峰不二子の謎」(不二子フェチ倶楽部・祥伝社)です。

 ルパン関連本を探していた時に見つけた一冊です。あまりにもな題名と筆名に、キワモノか安っぽい謎本では……と思っていたのですが、amazonのレビューが意外と高評価。なおかつモンキー・パンチ先生のインタビューも掲載というところに惹かれて入手したのですが、これがなかなかの読み応えでした。

 内容や語り口は、ちょっと昭和のオッサン的な軽いものなんですが(失礼)、とにかく丸ごと一冊、不二子ちゃん。それもTVシリーズや映画、TVSPまで網羅してのデータ前提で語っているところが面白い。不二子というキャラクターの解釈そのものは、ファンそれぞれの自由に任せられるものだとわたしは思うのでアレなんですが、この本では、不二子にまつわるエピソードやゲストキャラクターの莫大なデータをもとに、それを真面目に考察しているのが面白かったです。

 そして、ジゲフジ者としては外せない、次元との関係にまでちゃんと触れているのがポイントです。そうこなくっちゃ!しかも章の題名が「次元大介は、どうして不二子を毛嫌いしているのか?」ですよ。ほんとう、どうしてですかね(ニヤニヤ)(アリスのチェシャ猫の笑みで)。そこではこれまでの次元と不二子のやりとりや、次元の「女嫌いは本当か」と過去の女がらみのエピソードまで引用しての考察ぶり。まあ、結論としては次元の好みは「控えめに見えて芯が強い大人の女」なので、お世辞にも控えめとは言えない不二子はまったく好みじゃないだろう、というところに達するんですけど(チッ)。
 それでもこのふたりの意外な共通点として「口が悪い」を挙げているあたりは、なんというか「わかってらっしゃる」感があります。わたしも公式で、このふたりのバカっぽい罵りあいを見たいです……。

 もちろん、次元だけではなく、五ェ門やルパン、銭形警部や、不二子と関わったゲストキャラクターにいたるまで紹介と考察が行われています。そういうデータ面では、不二子がこれまでに手に入れたお宝の資産合計や、変装してきた職業、下着の色(がいちばん多いらしいですよ!)までが収集されているのが地味に面白いですね。

 あと、モンキー・パンチ先生のインタビューも長くて読み応えありました。不二子のモデルや原作ルパンの成立からアニメ版にいたるまでのいきさつは楽しく興味深い。また、裏話はちょっと生々しいほどです。

 あくまで公式の本ではなく(図版はいっさい使われていません)、正直言ってかさましのように感じられる冗長な部分や悪ふざけなところもありますが(不二子ちゃんの玉門占いまであるんですよ。懐かしいわ、こんなもん)、「峰不二子」という単体のキャラクターにここまで迫った一般書籍は珍しいと思うので、あくまで気楽にデータ本の一つとして読む分には、面白い一冊ではないでしょうか。