ルパン三世PART5第1話「地下塔の少女」感想

 ルパン三世PART5「EPISODE1/地下塔の少女」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL)。(わたしはHuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。

 というわけで、いよいよ始まりました、第五期です。事前にネットで公開されたクレジット無しのOPとED、キャラデザイン等はこちらの期待をいやがおうもなく駆り立てるものでございましたが、はてさて1話目はどうなることか。わたしの住んでいる地方では地上波放送はありませんので、Huluにて視聴しました。配信後すぐに見るのはさすがに無理だと思ってたら、翌朝、異常に早く目が覚めてしまった(笑)。超、ドキドキものでした。

 まずは冒頭。ルパンのデータをながめている男。そこに開かれた関係図に映っているのはPART4の登場人物たち。次元さんにリービアまでつながってて驚いたよ。「データを見るかぎり、実在する人物かどうかもあやしいな」と言う言葉とともに流れた映像を見て悲鳴です。複製人間!カリ城!パースリ!新ル!旧ル!PART4!マジかマジか!もうこれだけのくすぐりで、わたしは大喜び。しかもぜんぶ描き下ろしじゃん……。「世界中の警察にマークされる有名人でありながら、世界一謎に包まれた男。そういう人間をなんていうか知ってるか?」「さあ……幽霊とか?」「いいや、ヒーローだよ」ってこの会話。スーパーヒーロー!と思った瞬間に始まるOP。完璧か。

 舞台は一変して、フランスの平和そうな田舎町に移ります。アパルトメントの一室で、ガレット焼いている三世さんと、サッカー中継をながめている次元さん。アジトのこの薄暗い感じが雰囲気あっていいなあ。テーブルの上はあいかわらずごちゃごちゃしてますが、ジタンとマルボロが置かれているあたり、このご時世でもこのふたりから煙草は手離さないぜ!というスタッフのみなさまの心意気を感じます。ここの三世さんのエプロン姿の尊さよ。新ルではエプロンつけてお料理というと次元さんが浮かびますけど、ルパンもけっこうやるのよね。そしてわたしはルパンの軽やかな台詞運びがいいなあと思うのです。クリカンさんがちゃんとテレビ用のルパンの声にしてると思った。もちろんコバキヨさんの笑い声も楽しい。

 賭けサッカーをめぐって和気あいあいとしている二人のところに届けられた謎の包み。そのなかにあるのはなんと麻薬。それをさっとスキャンして品質チェックするルパン。そういう描写で今回のルパンはそういうデジタルガジェット(秘密兵器じゃないんだよね)を使いこなすんだなと伝わりますね。まあどう考えてもそのガジェットもルパンが作ったんだろうけど。ルパンと麻薬?と一瞬、違和感を覚えましたが、調べてしまえばさっさとゴミ箱行き。そういうとこ好き。ガレット焦がしちゃうところも(笑)。

 ふたりは一階がカフェのアパルトメントに住んでいるらしいですね。老人メイクで別人を装いつつも、ウェイトレスの美人さんにはさりげなく手を握るルパンさんがらしくて好き。ルパンが麻薬を仕入れたのは、深いネットの底にある「マルコポーロ」という通販サイト。客がレビューもつけられるあたり、裏amazonというところですかね。そして今回のルパンの狙いはその裏サイトのデジタル通貨というわけです。「形のないものを盗むっておれはどうもピンとこねえな」って次元さんぽいよねえ。そんなこと関係ないルパンも、ルパンぽい。お金なんて、そもそもそういうものだしね。

 さて、いつものルパンの青ジャケット姿でご出陣です。アパルトメントでは老人に変装していたのに、ここでは堂々素の顔なのだな。でもそういうものなんだろうな。人間の目よりも機械認証が信用される世界なのだ。そして出た、モノクル!「泥棒は影にあり、世はすべてことも無し」ってやっぱりブラウニングのあれですかね。わたしは「小鳥の巣」を思い出してしまった。

 つづいて、屋上から下の海に飛び込むべく準備するふたりですが、おおきく旋回するスクリューを見て「おれは刃物は髭にしか使わねえって決めてるんだ」とおびえる次元さんくそ可愛い。「回転が止まってる時間は?」「15秒」「上等」ってこのやりとり!モモンガのごとく飛翔するふたりを見て、ルパンはともかく次元さんはガンマンなのに、ほんとうにいつも大変だなあと思ってしまいました。こういうアクションというか冒険っぷりが、じつにルパンぽくてわくわくする。なんかいろいろ大変だったけど(ルパンの服から流れてきたと思しきさまざまな小道具の楽しいこと!)、無事のルパンを見たときの次元さんの笑顔がいいな。

 金髪のいかにもフランスムッシュに変装したルパンが迎えに来たのは、赤毛の少女でした。ろくに陽も浴びていないような白さと細さ、ふらふら感ながら、ルパンに向かっていきなり銃をぶっ放すのいいですね(しかしここのアミちゃんのぱんつはその、深夜だからって感じですかね……)。驚いてる次元さんのぱちくりお目目も久しぶりに見られて嬉しいです。外科手術でデバイスを埋め込まれたアミの指令によって警備員たちが突入してきますが、「銃身がハネてた、あれは素人だな。近づかなきゃ当たる心配はない」って冷静な次元さんの台詞がいい。アミちゃんの銃はベビーブローニングっていうのか。

 それにしても、ここのルパンとアミちゃんのやりとり、いいですね!ルパンがほんとうにルパン。アミちゃんの弱々しいこどもぽさのなかにちゃんとある、光る眼を分かってる。相手を舐めてない。でもルパンらしさを失わず、からかうようなセリフで遊びつつも、相手の器量を図っている。「……盗めないものはない」「女の涙以外は」分かってるけど!こんなのルパン様の通常運転だけど、ときめくに決まってるじゃないですか!(わたしは三世さんファンです)そしてふたりのあいだに合意が成立したところで、待ってましたの五ェ門登場です。帽子のつばにしっかり穴が開いてるのに指を通しながら「もうちょっと早くても良かったんじゃねえか、五ェ門」ってぼやく次元さんとか最高オブ最高ですね。

 アミちゃんの支援を得て、そこからはじまるルパンの快進撃。あっというまにマルコポーロの資金を盗んでいくさまとその表現がとても現代的です。ここで慌てている三人が、マルコポーロの幹部?当面の敵になるのかな。そして久しぶりに外に出たアミちゃんの感想が「臭い」だったのを聞いて豪快に笑う次元さんですが、あなたのそのくわえている煙草に火がついていたら確実にそれのせいだとわたしは思ったよ。

 ここで前半終了。アイキャッチが可愛くて可愛くて。

 湖畔の別荘のアジトにアミを連れてきたルパン。食べることもおぼつかないアミに「ばかだろおまえさん」とあきれつつもかまっているのが不自然じゃないんだよね。「やれやれ大きな赤ん坊だな」と言いつつもそれをなんとなく眺めている次元も。しかしそこにあらわれた銭形警部ひきいるフランス警察(?)銭形警部の新しい部下、八咫烏くんも初登場です。短い出番ながら、オスカー君とは違った意味で(たぶん)銭形警部の良い部下ぶりが伝わりますね。そしてここのとっつあん、カッコ良すぎないですか。結局ルパンには逃げられているのに、まるでいまのとこはルパンの腕試しをしているかのような落ち着きぶり。OPのあの可愛さからすれば驚くほどの渋さです。

 そこからうまく逃げ出したルパンたち。しかしそこにもべつの追っ手が。「スピード違反はしてねえぜ」というルパンに笑って「これからするんだろ」と言う次元。「あったりー」って言うルパン、というこのやりとり素晴らしい。尊い。ルパンさまの「あったりー」は山田康雄さんも最高でしたが、クリカンさんも最高だな!ここからのカーチェイス、三世さんの悪い顔、ヤンチャ顔が楽しめて大好きです。そして木はぶった切って追っ手を止めたものの、つぎに飛んできたヘリを見て五ェ門が「あれは届かん」って、今回の五ェ門、良くないですか。五ェ門はいつも良いというクラスタのみなさんには、さらにまた良くないですかというところでお願いします。

 車も失った4人は空港へ。さりげない「ようこそ大野さま」というボードのお遊びがいいですね。そしてそこで「世紀の大泥棒ルパン三世をハントせよ」という「ルパンゲーム」が始まったことが分かるわけです。一千万人がルパンを追う、というこのゲーム。そしてここで、靴のお買いものを楽しんでいると思しき不二子ちゃんが登場です。の(強調)パンツがお似合いですね。髪も短くなっているけど、相変わらずの美しさ。ネット上にどんどん上がるルパンの姿。どんどん追い詰められていくルパンが汗を浮かべながらも不敵に笑うカットで、一話は終了です。

 そして予告。1カット1カットにわくわくしますね。もつ鍋!(そこか)いつもの次元さんの怒りっぷり(というか呆れっぷり)もあるし、変装もしてるみたいだし。エンドカードは、PART5の情報がフランスで解禁されたときのティーザーですね。これ好きだったから嬉しい!

 というわけで、一話の感想でした。長い。いやもうそれはわたしの仕様なのでお許しください。まずはひとこと「面白かった!」です。というか、こういう露骨な続き物でルパンを見るのは初めてなので、これからどうなっちゃうの?という引きが新鮮。キャラの言動の端々に現れる「らしさ」も文句ないレベルだし、ここまで積極的にデジタル世界(というか現代)に関わることは珍しいルパンだけに、これからの展開が楽しみです。以前にもちらっと書いたけど、わたしはインターネットの存在する世界ではルパン三世のリアリティを保つことが難しいとずっと思ってきたのですね。だから、まさにそこを突いてきたこの新シーズンは、ある意味ですごいツボ。

 そして何より、あの過去作品の映像が流れる冒頭ですよ。あー、そうか、つながってる世界観なんだ。年齢その他を考えるとややこしいことになるけど、このPART5は、これまでのルパンが、「あったこと」になっている世界観なんだ……ということに気づいて、わたしは喜びつつも、なんかすごいことやるなあと驚いてしまいました。PART4と続いているだけならまだしも、その前も、となるとこれはすごい話ですよ。

 その昔、新ルのスタッフさんが「各エピソードや設定はその話かぎりのもの」というスタンスで制作されていたということをなにかの記事で読んだことがありますが、それはルパンのような長寿シリーズではあたりまえのこと。だからこそのあのフリーダムさでもあったわけで、そこをこのPART5では、ちょっと揺らすんだ、と思うと、ドキドキします。過去に縛られるんじゃなくて、過去の魅力的なエッセンスをもういちど味わえるということなら言うことないし、なんでもありがルパンの魅力だもんねえ。だからこそのバラエティ感を楽しめたらと思います。

 そして、あの、ジゲフジ派のわたしとしての感想も、PART5の感想にはつけ加えていくつもりだったんですが、今回は当然ながらなにもありません。不二子ちゃんのシャツがラベンダー色、パンツが紫だったくらいかな。でもあのEDは、なんというか、いろんな意味でドキドキします。今回のヒロインはアミちゃんなんだろうけど、ルパンとアミちゃんは当然ながら保護者役以外のものになりようもなく、どっちかというと、わたしは次元さんとアミちゃん、五ェ門とアミちゃんの関わりとを見たいくらいです。楽しそうじゃないですか。過去のキャラが登場ということで、レベッカとルパンが再会したらまた一波乱かなー。まさかのリービアと次元さんが再会したところでなにも起きないだろうしな……。

 そんな風にいろいろと考えてはしまいますが、まあまだ1話。DVDは5枚リリースされるので全24話ですね。どう考えても短い!ので、一話一話を舐めるように濃く楽しんでいこうと思います。こんな感じで毎週、感想を更新できたらいいなと思うので、お気が向かれましたら、また読んで頂けたらと思います。どうぞよろしくお願いします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です