ルパン三世PART5第4話「銭形の誇りと砂漠の埃」感想

ルパン三世PART5第4話「銭形の誇りと砂漠の埃」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL)。(わたしはHuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。どうぞ!

 今回のアバンは、ルパンの死亡日を対象にしたトトカルチョ「HappyDeathDay」の解説場面から始まります。正解者には5000万ビットマネーが分配されるんですね。実質、いくらくらいなんだろうな。そして前回のラスト、ルパンに銃口を向ける不二子の場面に切り替わり、OP。

 ドローンによる中継をネット民が見守るなか、ルパンに銃を向け続ける不二子。しかしこの不二子ちゃんはすさまじく美しいな。ルパンに向けて「無駄よ。カツラの中のものを使おうとしても」と、その手口を見抜いていることを知らせます。そこでアミがちらっと不二子を見るのが、なるほどって感じですね。ふたりはそれくらいにツーカーの仲だってことがこの短い言葉で分かるわけです。

 そしてとうとう、カウントダウンを始める不二子、動けないルパン。両者の緊張を破ったのは、いきなり車で突っ込んできた銭形警部でした。その言葉に従い、車に乗りこむアミとルパン。不二子は銃をルパンに向けますが、ルパンはカツラの一部(?)をむしり取り、爆弾として使ってその場を逃れます。もちろん、いまルパンたちがいるブワンダでは銭形にルパンの逮捕権はないのですが、銭形の狙いは、国境を越えて隣の国でルパンを逮捕することなのでした。

 で、ここでわたしがちょっと気になったのは、この駆けつけた銭形の車に乗りこむかどうかの刹那のとき、ルパンと不二子は一瞬、目配せしあってるんだよね。これが、後述する今回のラストの展開につながったのかなーなんて再見したときに思いました。
 
 その車を見送って「銭形のやつ、よけいなことしてくれるわ……」と笑う不二子ちゃんの耳に届く、撃鉄の音。キター!(わたしの悲鳴)自分に向けて銃を構えている次元さんをちらっと見て「お久しぶりね、次元」と笑う不二子ちゃん。その頭に銃口を向けつつ「まさかおまえさんまでルパンを殺しに来るとはな」と答える次元。「いけない?」という不二子の言葉に「怖いな、女ってのは」と言いつつ、その目のマジなことマジなこと。それに対し、おとなしく両手を上げつつも「あら、女より怖いものがあるわよ」と不二子が嘯くと、「聞いてやる」って言う次元。そして、「……ともだち思いの男の子」と不二子がささやいた瞬間に、目に殺意を抱いた五ェ門が登場!やだもうカッコいい!

 ……あの、すいません、わたし、こんなサイトやってるし、あんな小説書いてるから、ここでいちいち説明する必要はまったく無いかと思いますが(むしろうるさい)、わたしの一押しCPがここで初のお目見えなので、すごく興奮しました。次元と不二子、このふたりは基本、業務連絡とちょっとした悪口の応酬以外で会話してればそれだけでお宝なので、この短いながらも濃いやりとりに、PART5ありがとうの気持ちでいっぱいになったジゲフジスキーがわたしです。どう考えてもルパフジのPART5にこの話でも、わたしはまったくそれどころじゃないので合格です。だって、次元が不二子に銃を向けてるんですよ……。濃厚ですよね……。このふたり絶対になにかありますよね……(うっとり)。

 一方、車に乗って逃亡中のルパンはルパンで、「痴話ゲンカか?」と銭形にからかわれ「関係ないよ。不二子とはもうなにもないんだよ」と車の窓から外を見てつぶやいていて。「ふーじこちゃんとか言って鼻の下伸ばしてただろうが」と言われても「昔の話さ。いまじゃただのやっかいな同業者だよ」と答えるのみ。あれ?という表情になる銭形がらしいですね。でも、ということはルパンと不二子が別れた(?)ってことは、銭形さんも知らない情報なのか。

 そしてそこにも新たな追っ手が。こんどはブワンダ国の軍隊ヘリが相手ということで、ICPOの名前も役に立ちません。「金に目がくらむとは、同じ公僕として情けないぞ!」という短いセリフで、とっつあんのキャラが立ちます。車はやられ、ルパンたち三人は砂漠のブッシュの中に逃げ込むことに。その後姿を純朴そうな山羊使いの少年がスマホに収めてるあたりが、とても2018年らしいリアリティだと思いました。

 その様子を見て、いくら逃げても暗殺サイトの賭け金はルパンが死ぬまで消えない、殺し屋が途切れることは無いと笑う「マルコ・ポーロ」の幹部たち。新しい殺し屋は入国してきているし、国境を越えたらブタ箱行きだし、どっちにしてもルパンは終わり、なのです。

 道なきブッシュを歩く三人。ブッシュの中に入ってしまえば、ドローンも追いかけられません。しかし、道がない、とつぶやくアミちゃんに、銭形は太陽から方角を割り出す方法を意気揚々と語るものの、アミちゃんはさらっとAIマップ頼りに歩き出しちゃう。「ちなみに水を探す方法はだな!」とあきらめないあたりも銭形さんっぽい。かわいい。

 しかしこの三人の逃避行はしっかり記録されていて、ICPO上層部で問題になるのでした。上司の厳しい言葉に、く……っとこぶしを握り締めるヤタくんが可愛い。銭形警部は良い部下を持った。オスカーくんはともかくとして、銭形警部にこういうかたちで、レギュラーの部下が存在したことはかつてないので、そのぶん、銭形警部の動きにも幅が広がって良いと思います。とっつあんもルパンと互角に渡り合えるライバルじゃないと面白くないもんね。

 アミちゃんのネット検索で見つけたイモを食べつつ、アミちゃんの身の上話(たぶんそこまで細かいことは言ってないと思うけど)を聞く銭形警部。外の世界は不便、通信速度は遅いし、命の危険はあるし……とサソリを焼きつつ(すげえな)言うアミちゃんに「お嬢さん、あなたは学校へ行くべきだ」って銭形さんほんとうにまっとうなおひとだわ。銭形さんってこういうひとだわ。アミちゃんに向かってはあくまで無垢な民間人相手の姿勢で、でも子ども扱いはしていない。そしてそれが空回りしてしまうあたりも含めて。

 そして、友人もすべてネットで事足りる、とするアミちゃんに対し「お嬢さんは間違っとる。愛とか友情はそんな理屈じゃないんだ」と言い放つその姿もカッコよかったのですが。ルパンを助けに来たことを友情かとアミに言われ、真っ向から否定するも「ああ、そっちね」と納得されちゃうあたりから、その、風向きが。あの。なんだか怪しい感じに。

 「心配しないで、わたしは愛の形には多様性があっていいと思うから」ってアミちゃん。わたし、知ってるー。こういう子いるー。ネットの世界にたしかにやまほどいるー。「敵と味方に分かれた恋人同士なんて、物語みたい」アミちゃん笑ってるー。こういう笑いかたするネットのお友達、わたしにもたくさんいるー。しかし、そこで怒鳴らずまともに受け止めるから、なに言っていいか分からなくなっちゃうんですよ、幸一さん!頬が赤いの勘弁してくださいよ。

 それにしてもシリーズ始まって4話目で、恋人扱いが、次元に不二子に銭形さん、ってルパンさまはさすがのルパンさまだな……(五ェ門も時間の問題な気がしてきた)。そして、そのなかで唯一、真面目に否定した相手が不二子ちゃんで、次元が相手だと笑って「おれたち恋人同士らしいぞ」とふざけて、銭形と恋人と言われたら、睫毛伸ばして(この無駄に細かい仕事よ……)「ごめんなー。とっつあんの気持ちに気づけなくってー」と身をくねらせてふざけるあたり、ルパンさんほんとうにバリバリのノンケだな……(すいませんちょっとニュアンス分かりづらいかもしれませんが言わずにいられなかった)。でも「向けるなら腰にぶら下がってる方にしてー」は、ルパンさん、そこに正座とこの三世さん贔屓のわたしでも言いたくなった。面白すぎるでしょうが。
 でもそうやってふざけるルパンと真面目に怒る銭形さんを見て、「楽しそう……」というアミちゃんは、そこでネットではない生身の人間たちの友情を垣間見たのかなと思います。真面目に。まあル銭派なのかもしれんけどな。

 しかし、そんな楽しいやり取りの翌日には、40度の砂漠を直線距離で50キロ歩くという道のりが三人を待っていたのでした。最初のうちこそ、AIが機械学習でまとめてくれた砂漠の著作データを84冊読んだから、とか言っていたアミちゃんですが、リアルな砂漠を歩くうちにどんどん消耗していきます。しかし、砂漠の過酷な環境はアミに、生身の人間としてのいら立ちや生き生きとした感情を与えていたのでした。そして、とうとうアミは体力の限界に……というところでアイキャッチ。

 歩けなくなったアミをおぶって歩きながら「おれに万が一のことがあった場合、この子、頼めるか」というルパン。それに対し「おまえの万が一など信じん。だが、引き受けた」と銭形は答え、「ありがとうよ、とっつあん」とルパンは返します。ここ、ルパンと銭形の関係性からいって、すごくらしいやりとりで、わたしは大好きです。単純なライバルでも友人でもなれ合いでもないんだよなあ。まさにこのふたりならでは、という感じ。そしてこのやりとりが後半のあの展開にもつながった気がします。

 そしてそのころ「ルパンゲーム」(そろそろこのゲームの内容を忘れかけていたのはわたしだけか)ランキング1位のドローンファイターも、砂漠にいるルパンたちを見失っていて、つまりネット中継が途絶えています。盛り上がらないんだよ、といらだつ「マルコ・ポーロ」の幹部の様子が差し込まれますが、ここ、伏線でしたね。

 とぼとぼと砂漠を歩く三人(銭形さんがアミをおぶってた。ちゃんと交代してたんだな)のもとにも、やがて夕暮れが訪れます。ラクダ、褐色の肌のカワイコちゃん、とそれぞれ自分の求めるものを幻視する男ふたりをしり目に、意識を取り戻したアミは、地下水をくみ上げる風車と井戸を見つけて走り出します。水を求め走り、ようやく得られたそのリアルな冷たさと心地良さに我を忘れるその表情は、お約束ではありますが、可愛かったな。夕陽に照らされた風車の風景も、すごく良かった。

 夜も更けて、銭形のコートを枕に眠るアミ。その一方でおとなふたりはなにやら手を動かしつつこの先の話をします。銭形は、「刑務所の中までは殺し屋どももそう追ってこれん!」とルパンに自分に捕まるように言いますが、ルパンは笑って、ありがとうよ、と言いつつもそれを拒みます。「それじゃあ、おれはルパンじゃなくなっちまう」という理由で。

 わたし、ここで、ほうと思ったんです。このルパンは自分がルパンであることに意識的なルパンなんですね(ややこしいな)。「ルパン三世」であること、ルパンらしくあることに自覚したこだわりを持つひとなんだなと思うと、今後の展開がまた面白くなる気がします。なんせ、あのルパンによく似たダンドレジーはいまだその姿をPart5本編にはっきりと現してはいませんし、あんがいルパンのそんなこだわりが、不二子ちゃんとの恋人同士という関係を壊しちゃったのかもしれないしね。そこらへんはまだよくわからない話ですけど。

 そしてかのドローンファイターがそんなふたりを見守っていて、ネット中継も再開されたのでした。早速、ルパンたちに迫る追っ手のヘリ。こんどはルパンの命を狙うべく、ミサイルまで装備です。そのミサイルから逃げ惑うルパンたち。銭形とルパンがミサイルから逃げ惑うと、マモーを連想しちゃいますね。そして、そのヘリはアミも標的にします。しかしそこで走るアミ。あらかじめ仕掛けた罠で、ヘリを文字通り一網打尽にすることに成功するのでした。そこで初めて、少女らしい笑い声をあげるアミ。その様子を見て微笑むルパン。なんとなく、この仕事、あまりにも放っておけない存在だったアミを守るというルパンの役割も、終結に近づいた感のある笑いでした。

 やがて、国境まであとわずかの場所までたどり着いた三人。そのうえにはもちろんあのドローンファイターもついてきています。しかし、そこにはヤタくんも待ち構えていました(できる子!)。一安心と笑うルパンと銭形でしたが、そこに銃弾が。狙撃手がいるのです。とっさに藪に隠れた三人ですが、ルパンはアミを銭形に託します。「お嬢さんが逃げないと、ルパンは逃げない」という銭形の台詞がいいですね。そしてそれに思わず、バカじゃないのと言ったアミちゃんに対し「知らんのか。おれの国ではルパンと書いてバカと読む」と笑う銭形さん。ヤバい。わたし、過去最大級に銭形さんにときめいたかもしれません。

 ルパンを狙っているのはギリースーツ(迷彩服)を着た二人組。このふたりこそがドローンファイターらしく、映像を通じて、逃げ回るルパンを的確に追います。一方、無事にヤタくんと合流した銭形警部は生木を燃やして煙を起こし、ルパンの姿をドローンから隠そうとはかり、さらには、藪に戻り、ルパンを助けようと銃を取り出します。それを見て、くわえ煙草を捨てる狙撃手(!)そして駆けつけた銭形警部の前で、狙撃手の弾丸はルパンの頭を撃ち抜きます。そしてルパンの死ぬ日を賭けていた「HappyDeathDay」は、当日に賭けていた、たった一人がすべての賞金を得て、そのゲームは幕を下ろすのでした。というところで本編は終了!です。

 次回予告は銭形警部。ルパンは死に、サイトは閉じられ、銭形警部は専属捜査官の任を解かれ、転任になったものの、そんなふざけた話があるか―!とお怒りです。五ェ門、次元、アミちゃん、そして不二子ちゃんも何らかの動きをしていることが明らかなカットが続いた後、予告を締めるのは立ち上がるルパンの後姿。というわけで、次回の題名は「悪党の覚悟」でした。

 いやー、面白かった!というか次回が待ちきれないよ!というのがいちばんの感想の回でした。これってやっぱりあれですよね。ドローンファイターはやっぱり不二子ちゃんで、次元と五ェ門を引き込んで狙撃手に仕立て上げ、ルパンは死んだということにして世間の追及を終わらせることが狙いだった。とうぜん、サイトの賭け金はすべて不二子ちゃんのものでしょう。そして、ルパンたちはこれからルパンは死んだと思い込んでいる「マルコポーロ」に反撃するという流れですよね!うわあ、ぜったいカッコいいに決まってる。見たい見たい。

 しかし、その流れだとするとですね。あの。不二子ちゃんと次元と五ェ門は協力関係にあったわけですよね。その、こういうことは五ェ門は不得意だと思うので、当然、次元と不二子がやり取りしてこの一連の流れを決めて、なんらかのかたちでルパンに知らせたんじゃないかな、とか思っちゃいけないですかね?もちろん、最初から阿吽の呼吸で不二子ちゃんの狙いをルパンは見抜いていたかもしれないけど、それでも、ほら細かい実際的なやりとり(「ギリースーツどこで借りてくる?」「ルパンの頭を狙う弾丸ってどんな仕掛けにする?」とか)は、次元さんと不二子ちゃんで相談したんじゃないかな!そういうことにしたいな!

 しかしそう思うと、冒頭のやりとりといい、このPART5の不二子とルパンの関係はカリ城に近いのかなーという感じもします。「ときには味方、ときには敵。恋人同士だったこともあったかな」ってやつです。カリ城に比べて、このルパンはまだ脂が抜けきってない感がありますけど。わたしはルパフジと言えば、新ルとかの「ふーじこちゃん」「ルパーン」な関係が好きなんですが、ああいう不二子をあのまま魅力的に描くのはこの2018年には難しいのも分かるので、最終的にどういうかたちにたどりつくのかが楽しみです。ふたりの仲がどうしてああなったかも、じょじょに語られたりちらつかされたりするとは思いますが、とりあえずルパンが「不二子とはもうそんなんじゃねえよ」的なことを言うたびに、わたしの頭がよけいなことを考え始めるので、なんかこう、そこらへんの燃料もよろしくお願いします(だれに)。

 というわけで、4話でした。たぶん、次の5話でこの「ルパンゲーム」のお話は終わると思うのですが、こういうテンポと世界観でやるルパン、あと20話も見られるなんて嬉しい!という気持ちと、あと20話しかないの?という気持ちの両方でいっぱいです。今回はいわば第1エピソードとして、PART5のルパン三世はこういうキャラ把握ですよーという紹介編でもあると思うので、これからさらに内容が広がるであろう、今後の1話完結の個人エピソードとか、次の連続物とか、すごく楽しみです。いやあもう、わたし、PART5大好きだ!

これからもこの調子で感想を書けたらいいなあと思います。ジゲフジ面にときに偏り、色んな意味でルパン三世大好きなオタクな語り口で申し訳ありませんが、また読んで下さったら嬉しいです。拍手はとても励みになってます。これからもよろしくお願いします、ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です