ルパン三世PART5第9話「“ルパン”を棄てた男」感想

 ルパン三世PART5第9話「“ルパン”を棄てた男」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL)。(わたしはHuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。どうぞ!

 今回のアバンも、前回のラストの場面から。己の仕掛けた罠はすべてアルベールに見抜かれ、銃で撃たれてしまったルパン。起死回生の仕掛けもアルベールにはお見通しで、とうとうなすすべもなく、血だまりの中に倒れます。それを見届け、あの黒い手帳を奪い、その場を立ち去ろうとするアルベール。しかしその足を止めたのは、自分たちのいる橋の下を流れる川をさかのぼってくるモーターボートの音でした。次元と五ェ門が駆けつけたのです。すかさず銃を抜くアルベールでしたが、次元の弾の前に阻まれ(カッコいい!)、車の陰に隠れます。

 そしてモーターボートから飛び出し、ルパンのもとに到着したのは五ェ門でした。倒れたルパンのそばに行くも、自分たちに銃口を向けるアルベールと視線が合います。目を閉じて血の中に横たわるルパン、その身体に、しっかりと守るかのように手を置いている五ェ門。その姿を見たとたん、アルベールは戦意を喪失し、それを認めた五ェ門は、ルパンを抱えて、次元の待つモーターボートに飛び乗るのです。両者のあいだに会話はありません。去っていくその姿を確認したアルベールはようやく、ため息をついて身体の力を抜くのでした。

 ここ、ほんの数秒の場面ですが、たまらなかった……。次元ならいざ知らず、五ェ門がこういう風にルパンを助けるのもいい感じだし、なにより、この場面でのアルベールとの一瞬の邂逅が、いくらでも解釈できて、深い。ルパンにこれ以上なにかしようもんなら斬鉄剣の餌食だぞと言わずとも知れるあの五ェ門の目。その姿に戦意を失うアルベール。それにすぐ気づいて、素早くその場を去る五ェ門。だって、いまはなによりもルパンの命が大事だから。そしてそのことは、アルベールにも十分に伝わっているのですよね……。アルベールはルパンを殺すまでの気持ちはなかったんでしょうね。そしてこの無茶な離れ業を納得させる五ェ門の脅威の身体能力にも感心した(笑)。五ェ門すごい。

 そして、一息ついたアルベールですが、刺客の気配に顔色を変えます。いきなり現れたのは、肘と膝に尖った金属を埋め込み、口元のピアスが印象的な女(クロ)でした。アルベールの銃弾もものともせず、クロはアルベールに襲いかかり、黒い手帳を持ったその手に手刀を叩き込みます。そして、結果として宙に舞った黒い手帳は橋のたもとに。それを手に入れようと走るクロでしたが、アルベールも待ってはいません。しかし、手帳に伸ばしたアルベールの手もむなしく、手帳は返しのついた鋭い分銅により、奪われます。それを操作していたのは、眼帯をした少年(アラニエ)でした。アルベールはカフスボタンの仕掛けでクロを退け、そのまま川に飛び込み逃亡します。この仕掛けと素早さが、アルベールはやはりルパンと同業だったひとだなあと思わせますね。それを追おうとするクロを止めたのは、あのガストンの故郷でルパンたちを追いつめた刺客に命令していた男、ジョゼでした。黒い手帳はこの男のものになったのです。ここでアバンが終了。

 いやー、3分足らずのアバンでしたが、濃かった……。スピーディで無駄なく話が進んで、次の展開へ、というのがよく分かる内容です。

 OP明け。画面の色彩の雰囲気から過去の場面だと分かります。銀行を襲って大金を手に入れてご満悦の若きルパン。札束にほおずりしたものの、すぐにその中身にあのアルベールの顔が印刷されていることに気づきます。結果、若きガストンに大笑いされ、露骨にむくれている姿が可愛いったらありゃしません。スタジャンにデニムにスニーカー、若っ!という感じのファッションもいいなあ。そして自分の獲物を横取りされただけでなく、さらに自分より一枚上手だったことをガストンに示唆されるルパン。怒りのあまりに声を……。

 「ちきしょう!」と叫んだルパンが目を覚ましたのは、パリの地下水道の隠れたアジトの寝床でした。「怪我人なんだから、もうちょっと静かに目を覚ましたらどうかな」と声をかけて、再びルパンを横にしてあげる次元さんが、やさしく微笑むのがたまらないです。きっと安心したんだね。自分が二三日眠っていたと知り「すまねえな」というルパン。「はっ、よせやい。改まって礼なんか言われた日には蕁麻疹が出らあ」と背中で語る次元さん。なんて尊いやりとり……。なんだか煮炊きをしているようだし、シチュエーション的にはほとんど「おとっつあん、それは言わない約束でしょう」なんですけど。

しかし、物音がした瞬間に視線が鋭くなってマグナムに手が行く次元さんはカッコいい。やってきたのは、魚籠と釣り竿を持った五ェ門でした。五ェ門にも「悪いな、面倒かけちまったみてえで」というルパン。それに顔を赤くして(!)「よせ。おぬしに礼など言われると、蕁麻疹が出る」と背を向ける五ェ門。さきほどの次元さんの台詞と重なり、ちょっと意外そうなルパンと、笑っちゃう次元の対比がいいなあと思ったところで、五ェ門が今日の釣果を。あの、もしかしなくても買い物とかせずに狩猟とか釣りでゴハンを手に入れていたのですか。

 次元さんがのぞき込んだ先には、なにやら長くうごめくものが。「お、ウナギか。こいつは精がつきそうだ」と喜んだのもつかの間。「いや、ウナギより精がつくものだ」と五ェ門がつかんだその正体は、蛇でした。「げっ!」と驚く次元さんの可愛さは天下一品というか、こういう場面では繊細なとこ見せる大介がほんとうに可愛い。そして五ェ門はこういうときはとっても大胆なのです(単に無頓着ともいう)(山で修行してるときとかなんでも食べるんだろうな)。しかし、パリの蛇(というかヨーロッパの蛇?)って食べられるんですか……。疑問に思ったけど、ググる勇気がないよ……。

 一方、場面は変わり、ジョゼのアジトらしき古城へ。さきほどの暗殺者たちがくつろぐなか、テレビは現在行われているパリの大統領選挙の話題を伝えています。そこで、右派のカルヴェスが排外主義的な発言のせいで苦境に立たされている、という情報がもたらされます。もっとも、クロはニュースを気に留めた様子もなく、尖った歯で林檎をおいしそうにかじり、アラニエはあの分銅でオレンジを仕留めています。そこにやってきたのは、あのガストンの故郷でルパンたちを襲った仮面の男(ルブラン)でした。瀕死の様子でもどってきたかれに、それでもジョゼは目的を達しなかったと制裁を加えます。それだけ冷徹な男だということですね。それを無感動に見つめるアラニエと気にした様子もないクロが描写されることで、かれらのクールさが際立ちます。

 そして場面はふたたび地下水道のアジトへ。かば焼き的なものをほおばっているルパンたちですが、あの、やっぱり、それはさっきのにょろにょろですよね……。ルパンのがっつく様子を見て「そんなにがっつくと、傷口から飯粒がこぼれるぞ」って、次元さんの台詞がすごくらしいんだけど、それ以上に楽しそうで、見てるこっちが恥ずかしい。ぱくぱく食べるルパンを見られて、きっととても嬉しいんですよ。だから、五ェ門が「よほど気にかかっているのだな、アルベールという男のこと」とど直球でたずねて、ルパンの箸が止まると、思わず五ェ門を止めちゃう。

 でも、ここで疑問に思ったことを素直に聞いちゃう、裏も表もない感じがすごく五ェ門だと思うんですよ。次元はそういうアプローチはしない(より正確にはできなかったわけです、前回に踏み込めないまま、結局ルパンを一人で行かせちゃったでしょ)。アルベールがルパンにとって珍しく、なんらかのひっかかりがある人物だと分かっているから、そういう部分には踏み込まない、たしなみのようなものが次元にはある。でも、まっすぐで純粋に不器用な五ェ門には、そういうためらいがない。短いやり取りだけど、ふたりの違いがよく出ててすごく良い場面だと思います。

 そしてその五ェ門の疑問に「……あいつは、“ルパン”を棄てた男さ」と過去を振り返るルパン。場面はあのテレヌブ橋(だよね)に。ここで過去、ルパンは泥棒を辞めるアルベールを見送ったのです。「三世の名前はおれが頂いちまうぞ」という台詞と、最初の回想からしても、どうもこのふたりは相棒ではなく、純粋なライバルとして“ルパン三世”の名前を争ってたみたいですね。「チンケな盗みはもう飽きた。おれはこれからもっとデカいものを盗みに行く」というアルベールに「デカいもの?お月さまでも盗もうってのか?」と笑うルパンに振り返り「フランスさ」と答えるアルベール。で、Aパートが終了です。濃かった……。

 仕事の場でギョームの動向を探るアルベール。あの黒い手帳はギョームの手のものであるジョゼによって奪われたからですが、ギョームには動きがありません。もちろん、ジョゼの居所もつかめないまま、焦りの色を濃くしていくアルベール。黒い手帳の価値を知ったジョゼは、ギョームを裏切り、大統領候補のカルヴェスと手を組むことにしたのです。そして、パリ市内でテロが続発することに。テロリストの動きをつかんでいるはずの治安総局が、ジョゼに脅され、テロリストの活動を見逃しているのです。

 パリ市内のアパルトマンのアジトで、モノクルを使ってテロの様子をながめて「なんか物騒なことになってんなあ」というルパン。どうやら体はかなり回復した様子です。そして、わずかな雰囲気でなにかを察する三人。ここの三者それぞれの緊迫感ある目つきがカッコいい!「ここも物騒なことになりそうだな」といい、いきなりのドアをけ破っての敵襲に、お得意の斬鉄剣による銃弾カッティングを見せる五ェ門がいいですね。もちろん、一撃必殺で敵を倒しちゃう次元とルパンも。こういう風にフツーに強いふたりにはほんとうにときめいちゃうな……。

 そして、一足先に窓を破って外へ飛び出した五ェ門を追い、自分たちも外に飛ぶふたりの後姿が最高オブ最高にカッコいいんですけど!なんか、とってもこのふたりだ。ルパンは背中を次元に預け、次元はルパンの行先を疑っていない。そして後先考えず、そのままどこかへ飛び出して行く、最高の相棒ですよ!(あと、お約束だけど、わたしはこういうときに帽子を押さえる次元の仕草がすごく好き……)。

 そして、そこでいったん息をつき、「内側からなんだからよう、ぶち破って出るこたあねえよなあ」とルパンが笑い、「五ェ門の美学ってやつじゃねえの」と次元が受ける。ここ!ここ素敵!だって、そのやりとりで、この最高の相棒のふたりの道のりには、ちゃんと五ェ門という仲間がいることが分かるんですよ。すごく痺れた。次元とルパンと五ェ門の三人。ほかでもない三人が、最高の仲間だって分かる。ここヤバいですよ。ルパン一味の絆センター試験で出ますよ!(なにそれ)

 しかしそんな余裕をかましつつも、銃弾の雨の前には目を丸くして逃げまどっちゃうふたりもまたくそ可愛い。壁にユニークな姿勢で隠れつつ「あの部屋、日当たりが良くて気に入ってたんだけどもなあ……」とルパンがぼやくと、「風通しはいまいちだったけどなあ」と次元が答える。すると「これで良くなんでしょ」と手りゅう弾を取り出し、キスして投げるルパン。この一連の動作の時のルパンが可愛くて可愛くて、もひとつオマケに可愛くて。ほんとうになんだろうこのキュートなおサルさん……世界でいちばん可愛いと思うのはわたしだけですか……?そしてその爆発を背に、さきほどと同じく宙に飛ぶふたりの姿を、こんどは正面から写す画面。もう、思わずわたしは拝みましたね。尊さのあまりに。

 続き、サイドカー付きのバイクにふたり乗りして狭い路地を走るルパンと次元の場面に移ります。え、サイドカー?と思った瞬間に、空からヘルメット持参で五ェ門が下りてきてサイドカーに収まるとか、ほんとう、この脚本書いた人、ルパン一味好きすぎだろう!と爆笑しました。いやもうすごい。ヘルメット持参のとこがほんとうにたまらない。「用意がいいな」ってルパンが言うってことは、これ、ルパンが渡したんじゃないのね。五ェ門、もしかして自分で買ったの……?ルパンが逃亡用サイドカーを用意してるの見て、ほう、これならば運転はルパン。するとさしずめ後ろにしがみつくのは次元。ならばそれがしがさいどかーに座るはず。これは自分用のヘルメットを買わねば……とか思ったの?さっきのやりとりこみで、ほんとうにこの三人なんだなあというのがよく分かる図です。笑うけど。

 けれど、そんな素敵場面は一瞬でした。とつじょ現れたのは、あの仮面の男、ルブラン。五ェ門はサイドカーを切り離し、ルパンたちを行かせて、ルブランに対峙します。この五ェ門がカッコいいのだ……。そして、次元とルパンはバイクに乗って、川を超える勢いで飛びます。いやもう、なんかすごい。今回のルパンたちは、前回が後手にまわってたせいか、ほんとうに攻める。飛ぶ。動く。この軽やかさがじつにらしくて最高なのです。泥棒は空を飛ぶことだってできるんだよ!

 しかし、そのバイクに絡まったのは、あのアラニエの投げた分銅付きワイヤーでした。そのままバイクを引っ張られ、地に落ちるルパンと次元。このひとたちはほんとうに不死身だ。地に落ちた瞬間のシンプル極まりない描線のルパンに笑った。次元ちゃんはお尻が痛そうでした。そして目の前にあったのは、工事中のビル。そこに逃げ込む次元とルパン。ルパンはお腹を押さえてて、まだ本調子ではなさそうです。その様子を見守り、微笑むアラニエ。どうやらかれの狙いは、ルパンたちをここに追いこむことだった……?

 次元と離れ、ひとりビルの中を歩くルパン。そこにあのクロが現れ、ルパンに襲いかかります。とっさにそばにあった鉄パイプで応戦するルパン。前回でもそうだったんですが、ルパンはここでもわりとまっとうにやりあうんですよね。アルベールはカフスボタンに仕込んだ仕掛けを使ったけど、一方のルパンはそういう手段を使わない。しかし、ここのクロはひたすら不気味でかつどこか美しさもあって、いいキャラクターです。鉄パイプもかじり取るその強さでルパンを追いつめたものの、それを邪魔したのは、やはり次元の放った銃弾でした。この瞬間、わたしの脳内でトルネードが流れましたね。

 なんとか逃げ延びて、ふたたびあの地下水道のアジトに集結した三人。黒い手帳はもうこっちにはないものの、それを使ってデカい悪さをしたいやつらはその秘密を知っているこちらをどこまでも追ってくるだろう……という結論に達した三人。

 「じゃ、やることはひとつだな」と煙草をふかして言う次元に「ああ、攻撃は最大の防御なりってお釈迦さまも言ってたからなあ」と応じるルパン。「そいつは孔子さまじゃなかったかな」と笑って立ち上がる次元。自分も立ち上がりつつ「孫子だと思う」という五ェ門に、思わず顔を見合わせるルパンたちですが、その様子に「……違ったかもしれんな」と赤面する五ェ門が。これがまあ、五ェ門にはわりと穏やかな愛着を感じているレベルのわたしでも息が止まりそうな愛らしさ。ちなみに五ェ門が正解です(ググった)。

 でもね、これね、面白いなと思いました。ルパンはいつものようにテキトーにお釈迦さまって言っただけで、次元もそれに乗って、なんとなく正解っぽい孔子の名前を出して調子を合わせたら、思いのほかマジに五ェ門が乗ってきたもんだから、ふたりは驚いちゃったんでしょうね。でも、その驚きの理由が五ェ門には分からないから、あ、もしかしてそれがし間違えた……?と恥ずかしくなっちゃったのかな。なんだこの仲良しトリオ。三人そろって仲良しめ!

 一方、大統領選挙を控えたフランス。これまでは右寄りの姿勢が敬遠されていたカルヴェスが、相次ぐテロ事件により世論の支持を得て、大統領の座も狙える位置に追い上げてきました。そのニュースを見て、なにかを察するアルベール。黒い手帳を得た人間の最終的な狙いは、連発するテロで世論を排外主義寄りにすることで、大統領選挙を、右派候補であるカルヴェスに有利に運ぶことでした。「黒い手帳を握られている限り、組織としては手も足も出せないということか……」とイラつくアルベール。その脳裏には、過去の出来事が浮かびます。

 アルベールは思い出すのです。内戦のさなかのアフリカで、街も王宮も兵隊であふれかえっている状況でもお宝を求めて「行くしかねえだろ」とあっけらかんと言ったルパンとのやりとりを。「正気か、死ににいくようなものだぞ!」というアルベールに「いいじゃねえか、スリルがあって」とルパンは笑い「それによ、狙っているお宝が横からかっさわれかけてるんだぜ。それを黙って見てられるってんなら、おめえ、泥棒に向いてねえぜ」と言うのです。こういうとこ!ルパンのこういうとこ!(ときめき)
 
 そしてベッドから跳ね起きるアルベール。夢だったということで、ここ、ルパンと同じですね。ルパンはルパンでアルベールにかなわないところを認めて、ムカついていたけれど、おそらくルパンはまったく意識していないところで、アルベールはルパンにかなわないと思ってたんだろうな……ということがなんとなくわかったところで、アルベールが行動に出ます。ジャケットを脱ぎ、眼鏡を外し、黒い(泥棒時代の?)服を身にまとい、銃を手に取ります。ここで銃弾を見て、一瞬ためらうのは伏線なのかしら。

 「フランスはおれの獲物だ。好きにさせてたまるか……」と車を走らせる横顔は、これまでのあの冷静なアルベールとはまったく違った表情です。意を決してアルベールが向かったのは、あのギョームの居場所でした。しかし、そこにいるギョームはすでに哀れな姿で縛り上げられています。驚くアルベール。そう、そこにはすでにルパンが先回りしていたのでした。「獲物を横取りされそうになったんで、いてもたってもいられなくなったのか。おめえも泥棒根性が抜けてねえなあ」というルパンのこの不敵な表情よ。いったんは銃を向け合うふたりですが、狙いが同じと分かって、どうやら一時的に共闘する流れになり、ギョームに向かい「質問するのはおれだ」とすごむアルベールのアップで、幕。

 予告。担当はルパン!アクションに次ぐアクション、という場面が続くなか、フツーにルパンとアルベールが共闘していて笑いました。やっぱりあんたら仲良しか。次元も五ェ門も見せ場がかなりある感じです。そしてなにより痺れるのは「さあ、行こうぜアルベール、泥棒の戦い方ってやつをやつらに教えてやろうじゃないか!おめえが棄てたルパンの本気、特等席で見せてやるよ」という三世さんの言葉でした。これはあかん。そんな第10話の題名は「泥棒と泥棒」でした。

 いやあもうなんというか。展開がスピーディで退屈しないし、まさに2018年のルパン三世というストーリーも面白いし、キャラ描写もカッコ良くて可愛くて楽しくて申し分ない一話でした。PART5、どこまでわたしを楽しませてくれるの……?見どころいっぱいで最高なんですけど……。

 すでに書きましたが、とにかくルパン一味の関係性を、こんなに軽やかにさりげなく、でもはっきりと伝わるかたちで楽しく描いてくれたのが、すごく嬉しいです。ルパンと次元、次元と五ェ門、だけじゃない、ルパンと五ェ門と次元、三人の関係がすごくいいんですよ。アルベールに撃たれたあと、ルパンが目を覚まして、ふたりにらしくない感謝をするあたりが、過去のルパンにはなかったものがいまここにあるということを示してる。ときめいた。そしてそれがウェットじゃないのがなによりもいい。かといって、ことさらクールな雰囲気にもせず、冗談めかした軽口の中で、それが確かめられるのが最高です。

 そしてアルベール。ずっと相棒だったのを裏切ったと予想していたので、フツーにライバルだったと分かって驚きました。しかし個人的には、今回の後半でアルベールが余裕をなくし始めたあたりで、「アルベールがデレた!」と笑っちゃった。あんなに余裕たっぷりだったくせに!いざとなるとルパンの言葉が浮かぶんだもんな。でもきっと、自分でも言ってたけど、アルベールは泥棒をやめたんじゃなくて、盗む対象がルパンとは違うもの、「ルパン三世」の名にふさわしい獲物を求めるのを辞めただけってことですよね。

 そして、追いつめられると余裕をなくすのがアルベールで、追いつめられると余裕が出ちゃうのがルパン。このふたりは一見では水と油だけど、真逆なところが似ている気がするのです。だからこそ単純なライバルにとどまらない、こんな因果な感じの関係になったんじゃないかな、と思います。はっきりとは語られなかったけど、「三世」の名前をめぐって争っていたのは確かなんだから、やっぱり親戚筋じゃないですか。

 それにしても「行こうぜ、アルベール!」は駄目だよね……。ルパンはそういうこと言っちゃうひとなんだよね……。わたしがアルベールなら、泣きながら「おまえのそういうところがほんとうに気に食わなかった!」って銃で撃つよ。でもそういうこと言っちゃうのが、ルパン三世。この次回予告、すみずみまでルパンで、ほんとうにルパンで、わたしはときめいて死にそう。ああ、早く次の話が見たい。

 そして、このエピソード2もおそらくはあと2話で終了だと思うのですが、どう考えても不二子ちゃんや銭形が話に大きくからむことはなさそうです。でも、もうそれでもいいかなとか思っちゃうくらい、話がまとまってる。これでジョゼを倒して黒い手帳を手に入れたら、アルベールはPART5のラスボスとかじゃなくて、ルパンの遠く離れた友人くらいの位置に収まるような気がしてきました。そしていったん退場した後も、このPART5の最後で見せ場があったりとか、期待しちゃいますね。

 というわけで、第9話の感想でした。いやあもうなんというか、こんなに自分好みのルパンを見させて頂いてほんとうにいいのだろうか、円盤を予約する以外にわたしにできることはありますか、テレコムに菓子折りとか送ればいいですか(やめれ)とか言いたくなるくらいに、わたしはPART5が大好きです。ときに深読みもいいとこ、考え過ぎな感想にはなっていると思いますが(ええ、自覚はあります)それでもPART5をお好きなかたに読んで、すこしでも楽しんで頂ければと思います。拍手、ほんとうに嬉しいです。メッセージもいつでも歓迎です。どうぞこれからもよろしくお願いします、ありがとうございました!

2件のコメント

  1. 毎週楽しみにしている感想ですが、今回私にトドメを刺したのは、とりこ。さんがふいに放り投げた”大介”でした(笑)
    いえ、もちろん他のいろんなところを、「そこそこ!ですよねー、ですよねー!」と、共感しながら読んでたんですが、”大介”のとこで、「ヒッ!」てなりました(笑)
    あのヘビに噛まれた感じですw

    1. >RYUさま
      コメントありがとうございます。感想を読んで下さって嬉しいです!
      “大介”つい呼んでしまいました(笑)ときどき、そう呼ばないと表現できない可愛さを
      見せるのが次元さんです。このPART5でもカッコいいのはもちろんながら、同時に、とっても可愛いんですよね……♡またそのうちうっかりそう呼んでしまうかもしれませんが、笑ってやってくださいませ。これからもどうぞよろしくお願いします!

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