ルパン三世PART6第4話「殺し屋たちのダイナー」感想

 ルパン三世PART6第4話「殺し屋たちのダイナー」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 えー、最初にお断りしておきます。今回のこの話は、アーネスト・ヘミングウェイの「殺し屋(The Killers)」という短編、およびそれが収録された短編集「男だけの世界(Men Without Women)」がモチーフになっているお話です。「殺し屋」のストーリーがほとんどそのまま使われています。いやほんとまるごとです。

 そして、それだけでなく、今回の話の台詞や小道具には「男だけの世界」に収録されている「殺し屋」以外の短編のタイトルがすべてちりばめられています(分かったものは「」で紹介しておきます)。また、他にも元ネタがあるんだろうなーという部分がたくさん。押井守ってここまでぺダンティックだったっけ……そうだったな……。わたしに分かる範囲では拾っていきたいですが、とてもじゃないけど追いつかない分野ばかりなので、抜けや勘違いなんかもあるかと思います。ご容赦ください。なにか気になることありましたら、フォームや拍手からご教示頂けたら幸いです。

 ちなみに、ヘミングウェイの「男だけの世界」に関しましては、手持ちのこちらのテキストを参考にしています。ヘミングウェイは短編が好きだったので持ってた。良かった。

 アバンは無し。冒頭に映る「WhiteElephant(白い象)」というダイナーが今回の舞台のようですね(「白い象のような山並み」より)。バセットハウンドじゃなかったけど、事前の予想通り、犬が出たので嬉しかった。監督の菅沼さんによればブルマスティフらしいですね(URL)

 店番をしながら本を読んでいるウェイトレスの少女。そこにスーツを着込んだ二人連れの男が現れます。店内にいる他の客は、いずれもコワモテ、ひとくせあるの男ばかり。ふたりはカウンターに座り、ウェイトレスに話しかけます。「おれたちを入れて8人か」「ネエちゃんをいれても10人のインディアンにはひとり足らねえな」「ネエちゃんは人数外だ。なにしろ男だけの世界、だからな」(「男だけの世界」「10人のインディアン」より)と笑うふたり。

 そばかす顔のウェイトレスは不愛想なようでいて、最後にくすっと笑うところが可愛い。男はメニューを見て「アップルソースのテンダーロイン、マッシュポテトがついたやつ」をくれ、と言いますが、それはディナーのメニューなのでまだできない、と言うウェイトレス。まだ時間は5時。壁の時計は20分進んでいるのです。

 サンドイッチならできるというウェイトレスに、もうひとりは「グリーンピースとマッシュポテト添えのチキンコロッケ」を頼みますが、やはりそれはディナーのメニュー。サンドイッチなら、と繰り返すウェイトレスに、今度は男たちが飲み物のメニューをたずねます。「シルヴァー・ビールにビーヴォにジンジャーエール」といずれもノンアルコールのものばかりを言われて腐るふたり。ひとりは、「簡単な質問だろ?」(「簡単な質問」より)と街の名を問い、この街の人間は、夜みんなここでディナーを盛大に食うんだぜと茶化しますが、ウェイトレスに「当たりです」と言われ、大笑いします。

 ここまでの流れは、そのまんま「殺し屋」です。台詞もほぼそのまま同じ。このふたりは誰の変装なのかなーと思って見てたんですが、それぞれルパンと次元だということが、展開が進むにつれて分かっていく感じでしたね。

 ここで、ウェイトレスを「キレ者」とする男は、自分たちが店に入って来たときに彼女が読んでいた本の名前を問います。彼女が差し出したのはヘミングウェイの「男だけの世界」。そのまんまやがな。「ヘミングウェイの短編集だ。やっぱりキレ者だぜ」と喜ぶ男は、こんどはウェイトレスに映画を見るか問います。「アキ・カウリマスキとかラース・フォン・トリアーとか」という彼女の返事に大喜びする男。どちらもヨーロッパのシネフィル好みの芸術映画の監督ですね(わたしは未見)。

 「聞いたか、カウリマスキにトリアーだと!」と隣の男の肩を抱きますが、相手は「アクションスターか?」とつれない返事。なかの人が次元さんなら納得の対応だな……(ルパンは奥様劇場も芸術映画も分け隔てせず自分が面白いと思えばそれでいいタイプだと思う)。ここでウェイトレスがつけくわえたズラウスキーはさすがに分からなかった。ポーランドの映画監督みたいですね。

 ここで客の男が一人立ち上がり、トイレの方へ。口をつぐむふたり。カナリアが映ります(「贈り物のカナリア」より)。

 やがてウェイトレスが、サンドイッチの皿を運んできます。「どちらがどちらでしたっけ」と問う彼女。「覚えてないのか?」とからかう男に「あたしが奥に言っている間に入れ替わったかも」と応えます。「くだらねえ」と吐き捨てるもうひとりですが、彼女の置いた皿は正解。「やっぱりキレ者だぜ」とはしゃぐ男に、もう一人は「本気で言ってんのか」とあきれます。もうここらへんになると、すっかり次元とルパンって感じですね。ルパンは分かって遊んでる。次元はそれがめんどくさい、そんな感じ。

 そして、ここ、サンドイッチの注文を確認して、正しいのを置いて「キレ者」と言われる流れも「殺し屋」です(小説では、ウェイトレスでなく、ウェイター)。

 そこで、さきほど席を立った男が戻ってきますが、紳士然とした姿から、小太りの男に変わっています。それを横目で見て、サンドイッチにぱくつく二人。店の中の男たちの視線はゆるぎなく、二人に向けられているようでもあります。

(殺し屋たち、わたしはゴルゴ以外ぜんぜん分からなかったので、詳しい知人に教えてもらったかぎりでは、高倉健(あるいは渡哲也)、「エル・マリアッチ」(ロバート・ロドリゲス)、「ジャッカル」(1997年版)、「パルプ・フィクション」などでは……とのことでした)

 サンドイッチを食べながら、ウェイトレスに「なにを見てやがんだ。ネエちゃん」と問う男。「なにも見ていません」とすげなく返すものの、もう一人の男の「このネエちゃんはな、おまえを見てたんじゃねえ。おまえの食いっぷりが面白くてながめてたんだ、そうだな」という言葉に、微笑みます。それに「おまえが笑うことはねえんだ、イイか」とウェイトレスを指さし「おまえが笑うところじゃねえんだ」とくぎを刺す男。しかしウェイトレスは「そうですね」と答え、男は「そうですね、と来たぜ」と驚いて「洒落た台詞を吐きやがる」と相棒に言います。そこで「だから言ったろ、このネエちゃんは頭が切れるんだ」と応じる男。ここも「殺し屋」にそのままある場面です。

 やがて男の視線は壁に飾られた絵に。「あれはなんて書いてあるんだ?」と問う男に、ウェイトレスは「アルプスの牧歌( An Alpine Idyll)ですけど」と応えますが「その隣だ」と言われ「ケ・ティ・ディーチェ・ラ・パートリア(Che Ti Dice la Patria)?」と続けます。意味は、「祖国は汝に何を訴えるか」。(「アルプスの牧歌」「ケ・ティ・ディーチェ・ラ・パートリア」より)

 そして、ウェイトレスにサンドイッチの味を問われ「くそまずかったよ」と答える男。ベーコンは焼きすぎて靴底みたいだし、卵は生焼けで黄身がべちょべちょ、と言われ、ウェイトレスの眉が上がりますが、男は「奥の厨房にいるのは誰だ?」と問います。「いくらメニューがすくなくとも、レストランにはコックとウェイトレスがいるもんだ。おれたちのまえにいるのはどうやらウェイトレスらしいが、コックがいるかどうかを聞いている」と。もうひとりも「そのコックに、こっちにこいと言いな」と続けます。コックにこっちにこいと言え、というのは「殺し屋」にもあるくだりですが、原作ではサンドイッチの味には文句がつけられていません。

 緊張が高まる店内。そこに店の入り口が開き、訪問者が現れます。色めく客たちですが、それは東郷十三(!)宛の荷物を持った配送の人間でした。荷物を抱えてトイレに消える東郷。それを見送り、ウェイトレスは男たちに尋ねます。「あんたたち、いったいなんなの?

 ここからのくだりは「殺し屋」にもありますが、オリジナルの台詞とみごとに混ぜこまれているので、区別がつけにくいです。それに、ここで台詞を再現してもこの緊張感と面白さが伝わらない。ここでこれまでの周辺を探るようなやりとりから、他の客をウェイトレスが「映画とか劇画に出てくる殺し屋みたい」と評し、ふたりの正体をたずねることで、この奇妙な場への疑問が一気に(観客に)露になるのです。この流れはさすがと思いました。うまく言えないんだけど、演出の延急のリズムがすごいんだよ。

 で、そのなかで、「みんなで盛大にディナーを食うために繰り出してきたのさ!」と笑ってルパン(もうこう書いていいと思う)が緊張を抜くのもいいし、それをたしなめる次元(以下同文)というやりとりがあるのもポイント高い。めっちゃ背中叩かれて、うんざりなの分かる。そして、ウェイトレスに曜日をたずね「今日は金曜日」という答え(「今日は金曜日」より)を得たあと「週末にはローマ兵だってツケで飲みに来るんだぜ」っていうのがまたいいな……。

 そして眼光鋭く「これからなにがおっぱじまるんだと思う?」と男が問うたところで、むき出しのマシンガンを抱えて、東郷が戻ってきます。それを潮に、自らの武器をあらわにする男たち。男はウェイトレスに、自分たちが、このダイナーに夕食を食べにくるアンドレ・アンダーソンという男を殺しに来たこと、さらにその男の持ち逃げしたお宝こそが目当てだということを口にします。

 このくだりも、「殺し屋」の流れにオリジナルの台詞が織り込まれています。「殺し屋」でも、ダイナーに夕食を食べにくる男が殺し屋たちの標的でしたが、名前はオーリー・アンダーソンでした。そちらはお宝を持ち逃げしたという話はなく、命を狙われる具体的な理由は描写されてはいません。

 どうやら他の客たちも、狙いは同じようです。「仲良く分けりゃ、ひとり頭5万ドルにはなるが」と言って(「5万ドル」より)それぞれとやりとりし、歩み寄れないと分かったところで、「ここから先は追い抜きレースだ、一二の三でおっぱじめるぞ」と決めた男(「追い抜きレース」より)は、ウェイトレスに決戦のカウントダウンを依頼します。「機会は均等であるべきだろう? 実はおれ、民主主義なんだ」という台詞がすごく良い。

 求められるがまま、カウントダウンを始めるウェイトレス。そこで男は振り返り、誰もが思っていたであろう疑問を口にします。「ところでネエちゃん、あんた、何者なんだ?」しかし、カウントダウンが終わると同時に彼女の姿は消え、店内の明りは消されるのです。カッコいい。

 店内で始まった銃撃戦は、機関砲まで出てくる派手なもので、店内はあっという間にがれきの山となります。そのなかから、姿を現したのは、あの男たち。顔をはがして姿を見せたのは、まず、次元! オールバック!(喜)そしてもちろん、ルパン。あのそばかすのネエちゃんから、男の居所を聞き出すさ、という次元の台詞と、無事に逃げ出したカナリアが映ったところで、Aパート終了。

 Bパート。ぼろぼろになった厨房に向かった次元とルパン。しかしそこには縛られたウェイトレスとコックが。「店のものを押さえて変装し、待ち構えていたところへ招かれざる客がぞろぞろ現れたってところだ。やつのいどころも聞き出したはずだ」というルパンの台詞に「……ってことは、あの女」とすぐに思い当たる次元さん。そう、あの女です!

 バイクに乗って走るウェイトレス。しかしすぐに変装を解いて、峰不二子の姿に。向かった先は、アンドレ・アンダーソンの部屋でした。ベッドに横たわり、壁を眺めているアンダーソンに、殺し屋が現れて、あなたを殺すつもりだったらしいということを告げる不二子。しかし、アンダーソンは、すでに逃げる気力も失っている様子。「なんとか見逃してもらうことはできないの?」という不二子の台詞にも動こうとしません。

 このくだりはそのまま「殺し屋」です。原作では、ダイナーに現れた殺し屋がコックを縛ってアンダーソンを待ち構えますが、アンダーソンが現れないまま時が過ぎたので、かれらは店を去ります。そのあと、店で働いていた主人公がアンダーソンに事情を告げにいくのですが、アンダーソンは動かないまま。主人公も、それ以上はなにもできないまま、その場を去り、ただ、自分はどこかよその町に行こうと思う。そんなお話でした。

 しかし、不二子はそうはせず、モーゼルをアンダーソンに向けます。なぜなら「わたしも、あなたを待っていたひとりなんだもの」と。

 やがて、ルパンと次元のもとに不二子がやってきます。「会えたのか? アンドレ・アンダーソンに」と問うルパン。「ええ、ベッドに横になったまま、出ていこうともしないの」と不二子が答えると「聞きたかないな、そんな話は」と返します。このくだりも「殺し屋」にありますが、それ以後はもちろん、オリジナルの展開です。

 そして、ここからいきなり作画が良くなる感じがするのですが気のせいでしょうか。ルパンさま、超良くないですか。不二子ちゃん、アンダーソンのとこからここに着くまでに化粧直ししましたか(失礼)。

 ここ、次元が「おれたちに連中を始末させといて」ルパンが「そのあいだにひとり占めってのはいかんなあ」と引き継ぎ、不二子は「あーら、手を貸してあげたつもりだけど」とうすく笑っているの、最高ですね。その手には、一冊の薄い本が。「それが例のコードブックか」と確認する次元。「そうは見えないけど」ってふたりのやりとりが自然で嬉しい。

 それは、本のページや行数を使い、単語を指定して文章を送り合う「オッテンドルフの暗号」が使用されている本でした。1926年にマドリッドのホテルに滞在していたヘミングウェイが一日で書き上げた小説「The Killers(殺し屋たち)」。のちに短編集「Men Without Women(男だけの世界)」に収録されますが、それはラストが加筆されたVerで、実際には、もっと短い草稿が存在していたのです。それをごく少部数出版したのが、パリ時代にヘミングウェイを支援していたシェイクスピア書店だった……というこの話、草稿があったまでは知ってたし、シェイクスピア書店も実在した書店ですが、この短編集はホントの話なのかな、調べたいな。

 にしても、「誰でも知っているが、ごく稀にしか存在しない。コードブックにはまさにうってつけってわけだ」のルパンさま、カッコ良くないですか。さらっとエズラ・パウンドやジェイムズ・ジョイスの名前を出しちゃうとこといい、博学なルパンもいいな! そして、次に名前が出てくるアレン・ダレスも実在の人物。この虚実ないまぜ感、すごく好きで面白いです。そのダレスを評した不二子ちゃんの「まさに〝敗れざるもの〟ね」という台詞もいい(「敗れざる者」より)。

 コードブックとして使用された稀覯本を回収する作戦は成功したものの、事情を知らないまま、一冊を持ち逃げしたのがアンダーソンだったというわけです。「本当の値打ちも知らないまま、小遣い稼ぎしようとするから、追いかけ回される羽目になるんだ。まさに陳腐な物語だが……」というルパンの台詞(「陳腐な物語」より)。そこに割り込んで、名作を再現したのがルパンと次元だったというわけ。

 そこに、アンダーソンが逃げたと思しきバイクの音が。不二子はかれを殺さなかったのでした。「原作でも、死を覚悟して身を横たえていた男の消息は書かれていない。名作は忠実に再現すべき、でしょ」と不二子。(「身を横たえて」より)。「やつにとっちゃ、あらゆる場所が、アナザーカントリーだからな」と応じるルパン(「異国にて(In Another Country)」より)。

 「で、このお宝をどうやって分けるか、CIAがどんな値をつけるか、お楽しみだ」というルパンに、「飯でも食いながら相談するか?」という次元。顔が不二子をうかがってるような気がするのは気のせいですか。でも、不二子ちゃんが「あら、いいわね」って手を打って喜んでるから、そうじゃないかなあ(妄想)。

 しかしそこで、「ベーコンエッグサンド以外でな」「ハムエッグサンドもな」と声を合わせちゃう意地悪なふたり。「わたしの料理がそんなに気に入らなかったわけ?」と銃を抜く不二子ちゃん。あ、ほんとに作ってて、ほんとに駄目だったんだ……(可愛い)。そこで銃を同時に抜いて向かい合い、笑う三人で、幕。

 次回予告。「突如、目の前に広がった帝都東京大パノラマ……」というルパンの台詞に、妖艶な不二子ちゃんが。黒蜥蜴? 黒蜥蜴なの? と動揺したところに、軍服姿の次元さんが出てきて、気を失うかと思いました。帝国軍人! 待て待てPART6、オールバック次元さんの軍服姿ってどんなサービスしてくれてるの。「しかも出会うやつらは偽物ばかり」って黄金仮面なルパンが出たので吹きました。えー、なにこれなにこれ、と思ってたら、次回は芦辺拓先生!「帝都は泥棒の夢を見る(前篇)」って! 前後編なの? しかも芦辺拓先生で乱歩なの? と悲鳴でした。嬉しい! でも、ホームズの話、忘れそうだな!

 というわけで、第4話でした。なんか、かつてないほど書くのが疲れた……のは、本と照らし合わせながらの感想だったから。わたしはオタクなのでそういう答え合わせに走りがちなのですが、それ抜きでも、面白いルパンだったと思います。みんなあれこれ構えてたと思うけど、ホントに良い押井守のお仕事でした。こういう仕事も上手なかただった、と思い出しました。

 個人的な意見ですが、あの何十年も前にやるとかやらないとか言ってた押井守のルパンは、いまやったらすごく陳腐でダサいものになりかねなかったと思うのですね。それ以前に何十年も前にとん挫したものを、いまごろやってもしょうがないわけで、そこはプロのお仕事を見せて頂いた思いです。もっとも、前半のじりじりした、いつルパンが出てくるのか、もしかしたら出ないんじゃないかというような焦らしっぷりと、宝石とかじゃないお宝のギミックや散りばめられたぺダンティックな知識、原作「殺し屋」を生かしてルパンワールドに置き換えた流れはたしかに押井守ぽいといえばそうかも。

 置いてけぼりな部分はいくつもあって。そもそも、ルパンたちと不二子はどこまで話を通してあったのか、とか、なぜ二人は「殺し屋」を台詞まで完全に忠実に再現しなくてはならなかったのか、あの「WhiteElephant」はさながらヘミングウェイのコンセプトダイナーのようですが、どうしてそんな店が存在出来たのか、そしてもし本当にそんな店があったなら、いちばんに避けるであろうアンダーソン(なんといってもかれはそのヘミングウェイの稀覯本を盗んだせいで追われているのです)がなぜその店に通っていたのか、アンダーソンを待っているはずの殺し屋たちが、かれが現れないのに店内で一文にもならない殺し合いをするのはなぜか、などなど。

 いちばん気になるのは原作「殺し屋」には存在しなかったり違いがある箇所かな。ウェイトレスの映画趣味とか、街の名前とか(これはロンドンの地名に変えたとか?)。でもきっと正解はない。観る側があれこれ勝手に考えるの。そんな謎要素も尽きないあたりがさらに押井でそこがまた良いです。わたし、あの、あまりはっきり言ってませんが、押井監督の作品、大好きなので……。実写映画以外は……。でも、同時にこれ、立派な「ルパン三世」だと思います。ルパン三世の世界観のなかには、こういう話があってもまったく問題ないと思うんだよなー。

 ジゲフジ的には、なにもなかったといえばなにもないながら、ルパンと組んで不二子をからかったり、定番の「あの女」呼ばわりもあったりで、楽しかった。あと、前半のたがいに変装してのやりとりも、次元と不二子がやってると思うと、なかなか趣深いものがあります。五エ門がいないのはちょっと残念でしたが、不二子ちゃんがこうやってルパン一味とつかず離れずな立ち位置なの、嬉しいな。みんなでわいわいやってるの大好きなんだ……。

 そして、続く第5話も、芦辺拓先生の乱歩ネタって、鐘と太鼓を鳴らして大歓迎なうえに、前後編って嬉しすぎます。こんなに単発話を続けてやっちゃうと、メインの話はどうなっちゃうのかなと思わないでもないですが、まあそれはそれで今後の楽しみに。しかし、わたし、声優さんがたがインタビューで「なにがなんだかわからなかった」「五エ門がかつてない長台詞を話す回があった」とか触れてたのが押井回だと思ってたので、そこはちょっと意外。まだまだ楽しみな話、ありそうですね!

 そして、いつも感想に拍手を押してくださったり、その他でもお言葉をくださる方々、本当に励みになります、嬉しいです。自分一人で画面に向かってぶつぶつ言ってるようなことを、こうやってかたちにすることで、共感して下さったり面白がって下さったり、もしかしてあきれたり(笑)してくださるひとがいらっしゃるのかなーと思うと、やはり書いて良かったと思います。この調子で書いていこうと思いますので、これからもよろしくお願いします、ありがとうございました!

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