ルパン三世PART6第6話「帝都は泥棒の夢を見る(後篇)」感想

 ルパン三世PART6第6話「帝都は泥棒の夢を見る(後篇)」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 閉店後のデパートで、瑠璃子に声をかけたルパンの前に現れたのは、なんと五エ門。この世界では、五エ門は瑠璃子に雇われた用心棒なのです。自分に対して剣を振るう五エ門から必死に逃げ回るルパン。それを置いてからくり時計の展示室に向かう瑠璃子。そして、黒蜥蜴が、ルパンと五エ門の様子をながめています。やはり、黒蜥蜴は五エ門に覚えがない様子ですね。

 マネキンを使って逃げ回るルパンが可愛くも楽しい場面です。五エ門に向かっては銃を抜かないあたりも冷静だな。巧みに逃げ回ったルパンは、とうとう五エ門の剣を折ります。ここでの「五エ門を名乗るくせに斬鉄剣は持ってねえのか?」って台詞、意味深ですよね。なぜなら、この世界では、ルパン自身は黄金仮面、不二子は黒蜥蜴、次元は少佐、と本来の自分たち以外の人格で存在している(ルパンは瞬間で自分を取り戻していますが)。なのに五エ門だけが五エ門なんですから。そして、この言葉にはっとする五エ門。アバンはここまで。

 本編。厳しい表情でからくり時計の前でたたずむサラントヤの前に現れたのは、大道寺大佐と少佐でした。大佐はサラントヤの鍵を狙っていたのです。その様子を陰からうかがう黒蜥蜴もいます。大佐はサラントヤを殴り、鍵を奪いますが、駆け付けていた瑠璃子にすぐに取り返されてしまいます。激高した大佐が瑠璃子に向けられた銃を蹴り上げたのは、ルパン。少佐も瑠璃子に向けて発砲しますが、その銃弾は五エ門によって阻止されます。一方、「わたし、女の敵とは仕事しないの……よ」と大佐をさらに蹴り上げるのは、黒蜥蜴。さらに鳴り響く非常ベルにかけつけたのは波越警部です。

 役者が揃った感がある場面ですが、まあみなさまご想像の通り、黒蜥蜴ちゃんと少佐が同じ場所にいるのでわたしの情緒が忙しかった。でも、少佐が女性に向かって発砲したのは違和感ありました。足止めのための威嚇射撃かなあ。黒蜥蜴ちゃんの大佐へのお仕置きは可愛かったです。

 五エ門にうながされ、いち早くその場から逃げ出す瑠璃子たち。その様子を見て舌打ちする大佐に少佐がなにやら耳打ちしています。「観念するんだな」とルパンに迫る波越警部ですが、このとき前髪を直す仕草がいいです。また、あきれた感じでそれを見るルパンの顔面が可愛くて倒れました。グレーの瞳、ヤバくないですか……。

 迫る危機、ですが、目と目で通じ合った黒蜥蜴とルパンは見事窓から脱出。といっても、黒蜥蜴はパラシュート持参で、「じゃあね~」とルパンとお別れ。残されたルパンはそのまま地上に落ち、縛り上げられた男と対面するのです。男の服にあったマーク、それは重富コンツェルンのマークでした。

 五エ門は、瑠璃子とサラントヤを重富コンツェルンのマークの入ったお抱えの車まで送り、「それがしは少し確かめたいことがあるゆえ」とその場を去ります。車に乗って一息ついた瑠璃子は、運転手にホテルまで行くよう命じます。瑠璃子を危険に晒してしまったと落ち込むサラントヤですが、瑠璃子は「スリル満点やったし」と気にする様子はありません。

 ここで、瑠璃子は、車の中で運転手に対し「行きしと道が違うんとちゃう?」と厳しい顔をしておいてから、あわてるサラントヤを見て「冗談やがな」と笑う余裕をみせます。「いっぺん言うてみたかったの。ほら、探偵小説でおなじみの〝おい、道が違うんじゃないか?〟いうセリフ」と笑う瑠璃子に、サラントヤも笑顔を見せますが、運転手は無言でふたりに銃を向け、その台詞がたわむれにならなかったことが分かるのです。おびえる二人。しかしその車の上にはルパンがしがみついて様子をうかがっているのでした。

 ここの瑠璃子の台詞、初見の時は分からなかった(なんか悠長なセリフだなあと思った)けれど、あとでその意味が分かった気がします。理由は後程。

 そして、再び場面はからくり時計の展示室に。不気味な笑みを浮かべてその場を去る大佐を見送る波越警部のもとに、こんどは明智小五郎が現れます。そこに駆け付けた警官により、重富コンツェルンの運転手がなにものかに襲われたことが明らかに。瑠璃子たちがさらわれたと察した波越警部(顔が真っ赤になるだけで表現するの、うまいですね)ですが、明智は余裕の表情で彼女たちが連れ去られたであろう場所の候補を警部に渡します。これ、明智はすでに大道寺大佐のよからぬ企みに気づいていて、かれらが潜伏先に選ぶであろう場所を渡したということなんでしょうね。

 場面は変わり、ひとり夜道を歩いている少佐。それを待ちうけていたのは、五エ門。油断ない雰囲気で「おぬしに三つ聞きたいことがある」と少佐に話しかけます。「ひとつは、おぬしは、大道寺とかいう奸物の配下か?」上司を奸物と表現されても、「まあ、そんなものかな」と気のない様子で応える少佐。それをきき「そうか……」と次元に向かい、剣を抜く五エ門。つまり、大佐の配下であるからには瑠璃子の敵と判断したわけですね。剣と銃で対峙するふたり。

ふたつめは……、重富瑠璃子嬢とお付きのサラントヤはどこにいる?」と重ねて問う五エ門ですが、少佐の返事は、「そりゃ、答えられんな」というもの。ふたたび「そうか」とつぶやき、覚悟を決めたらしい五エ門は、少佐と闘うことに。五エ門の刃は、少佐の腹をかすめ、少佐の弾は五エ門に当たった(?)ようです。口から血を流し、消耗して座り込みながらも、「どうした? 三つ目の質問があるんだろう」と問う少佐。しかし五エ門は、「うむ、三つ目の質問は……」と言いかけ「いや、聞くまでもなかった」と、額から血を流したまま橋の欄干から川に落ちていくのです。

 五エ門、いきなり死んでないですか大丈夫ですかと思ったものの、まあ五エ門だから大丈夫だろうなと思い直しました(いやだって五エ門だし……)。額の傷は、弾がかすめたのかなあ。それにしてもこの場面、帽子のつばが切られて少佐の目が露になるあたりで、死にそうになりました(素敵すぎて)。五エ門の質問の意味も、初見ではピンとこなかったのですが、最後まで見たらなんとなく分かった気がします。これものちほど。

 で、ちょっとここで個人的な感想というか妄想というか夢というか(ジゲフジ萌え以外の人は読まなくても大丈夫です)。

 ここが物語上必要な場面であり、五エ門と次元の関係性からも大事でカッコいいところだということは百も承知で、ここで少佐を待ってたのが黒蜥蜴ちゃんだったらなあと思わずにはいられなかったわたしをそっとしておいてください。あ、それか、五エ門に腹を斬られてはあはあ言ってる(それどころじゃないかもしれない)少佐のもとに、黒蜥蜴がやってくるVerとかでもいいですよ! 自分を無視したつれない男だけど、怪我してるとあっては放ってはおけない黒蜥蜴ちゃんと、その手を邪険に振り払いかけるものの、背に腹は変えられず、その胸に倒れこむ少佐とかどうですか駄目ですか……。最後まで見たら駄目でした……。

 一方、囚われの身となった瑠璃子とサラントヤ。監禁された部屋でも、瑠璃子は落ち込んだ様子をみせません。迷惑をかけてしまったと落ち込むサラントヤに「こんなとこさっさと逃げ出す算段をしよやないの。どうせろくなもん食べさせへんに決まってるわ」とあっけらかんというほど。関西人!(笑)しかし、そこに現れた人の良さそうな老人が運んできたのは、おいしそうなおにぎりとお茶。それを見た瞬間に歓声を上げ「ありがとう!」と頬張る瑠璃子の現金さがまた関西人ぽい。

 しかし、そこに唐突に現れたのは大道寺大佐。老人を邪険に押しのけ、瑠璃子にからくり時計と鍵を渡せと迫ります。もちろん瑠璃子が飲むわけはありません。ここ、まず「ほっちっち」って答えるのがイイですね(古い関西弁で、ほっといて、くらいの意味)。激高して瑠璃子に襲い掛かる大佐を、おにぎりを運んできた老人が止めます。

 さらにそこに現れたのは明智小五郎。老人の正体をルパンだと指摘し、あのからくり時計はとある王国の王座の象徴で、内蒙古に傀儡政権をでっちあげようとしている大佐にとってどうしても手に入れたいものだ、というところまで推理してみせます。そして、からくり時計とそのカギの所有者であるサラントヤこそが、王国の主であることも。

 ここ、「え、そんなことを親切に大道寺に教えていいの、明智先生!」と思いませんでしたか、わたしは思いました。

 鍵をかけた部屋に大道寺を残し、サラントヤたちと部屋を出る明智。しかし、そこで待っていたのは、もうひとりの明智でした。瑠璃子たちと一緒にわたしも驚いたところで、Aパート終了。うまいなあ。

 Bパート。じつは、最初に現れた明智こそがルパンでした。老人の方じゃなかったんですよ。単純なわたしはこのミスリードにみごと引っかかったので「貴様がルパン?」と大道寺大佐みたいな顔になってしまった。だってああいうのはルパン世界のお約束じゃん……と思いつつ、さらにそのうえを行く流れが楽しかった。ここで「さようであります、大佐殿」というルパンの顔がいいです。にしてもあの老人はなんであんなに芝居がかってなおかつ大佐を止めてくれたのかな。すげえいいひとだな。

 閉じ込められたまま、明智に助けを求める大佐ですが、明智は「民間探偵には民間探偵の職業倫理がありましてね」と、大道寺大佐を残し、ルパンたちとともにその場を去るのです。なぜなら、明智が重富氏に依頼されたのは〝宝と娘を守ってやってくれ〟ということだから。カッコいい! そして、ここで残された大道寺大佐が少佐を呼んで「本郷、本郷はおらんか!」と叫んだおかげで少佐の苗字が正式にお披露目されました。関係ありませんが、本編を見てる間、わたしもずっとそんな感じで少佐を呼んでました。

 閉じ込められていた屋敷から逃げ出すルパンたち。外に出たところで、待ち受けていたのはオートジャイロに乗った黒蜥蜴ちゃん。しかし、そこに謎の鏡面が現れ、ルパンたちはそこに閉じ込められることとなります。「まるで鏡のマジックが生んだ虚像だね」という明智の言葉でわたしが連想したのが、乱歩の「鏡地獄」でした。あっちは球体だけどな。そして、「異質で実体がないようで……でも確かに我々の行く手を阻んでいる」という明智の言葉から、なにかに気づくルパン。

 やがて、瑠璃子が閉じ込められた空間にある機械の存在に気づきます。ルパンはそれを操作し、壁を動かしますが、そこに待ち受けていたのはあのからくり時計でした。五人はいつの間にか、展示会場にいたのです。そしてそこに、人間大砲かなにかでいきなり打ち上げられた勢いで現れたのが、五エ門。

 「貴様を……斬る!」とルパンに向かう五エ門でしたがが、そこで「よう、十三代目」と声をかけられ、「やはりおぬしだけは本物だったんだな」と動きを止めます。やっぱり五エ門は五エ門だった! ルパンは「斬鉄剣」の名前を出したときの反応で、それを見抜いていたのでした。「いったいここはどういう世界なんだ?」とルパンに問う五エ門。

 しかし、ルパンがその問いにまともに答えるよりもさきにやってきたのはあの大道寺大佐でした。そこで銃を抜く大佐にサラントヤが飛びかかり、大佐を動けなくさせます(ちょっと前からうすうす思ってたんですが、大道寺大佐、もしかして弱くありませんか)。「おまえたちにはなにひとつ渡さぬ、からくり時計も、鍵も、わたし自身も、そしてなにより、我が王国を!」と力強く叫ぶサラントヤの姿を見て、瑠璃子は気づきます。「サラントヤ、あなた、まさか……男の子やったの?」と。そして明智により、あらためて、サラントヤこそがアルタンホト王国、黄金の城の王子であることが明かされます。

 ここの頬を赤らめた瑠璃子お嬢様の可愛さは天下一品ながら、あの、本当にすみません、ちょっと、がっかりした……。いや、それはつまらないとかそうではなく、主にこっちの趣味嗜好の問題で……。ごめんなさい……。

 そしてここで、大佐の手から落ちた十四年式を取り上げるのは、本郷少佐。いつのまに!(笑)「やれ、やってしまえ!」と命ぜられるも、あっさりと拳銃を投げ捨ててしまいます。「たとえ誰の目からも同じ穴のムジナに見えたとしても、あんたとおれは違うのだ」と帽子のつばから厳しい視線を大佐に向け「この、本郷義昭はな!」と啖呵を切ります。

 逆上した大佐は少佐に襲いかかりますが、軽く投げ飛ばされて終わり。ここの「アジア解放のためにはどんなことでもやる……と同時に、貴様のような私利私欲の塊を捕らえるのもおれの仕事なのさ」という少佐のカッコ良さはまさにマックス。そう、かれこそはかの有名な「日東の剣侠児こと不死身の軍事探偵、本郷義昭」だったのです。少佐は大佐を捕縛し、そのまま退場となりました。

 すごく驚きました。マジで本郷義昭だった! 先週の放送後、少佐の苗字が本郷だと教えて頂き、同時期の探偵で同じ名前がいたよねとググって名前を確かめたんですよね(さすがに山中峰太郎の原作は未読です)。そこからの名前かな? とか感想に書いたんだけど、まさかの本人登場だった。驚愕。まあ、黒蜥蜴も黒蜥蜴本人だったし、不思議はないんですが……。

 ここ、少佐を見て「あれが……」と息をのむ黒蜥蜴ちゃんがいましたが、後編でのふたりの接触(?)はここだけでしたね……。軍事探偵にとって女盗賊は管轄外だと思うので、接触しなかったのかな……お仕事抜きで接触してくれても良かったのにな……。

 そして物語はいよいよ大詰め。ルパンがさきほど打ち込んだのは、非常用のダミーのパスワード。どうやらそれを解除しないと、ルパンのアジトやお宝、そしてそれを狙ったと思しき集団の本部にまでミサイルが打ち込まれるらしいのです。なんのパスワード? 誰に話しかけてるの? というあたりの説明はまだないまま、別れの時間が近づきます。戸惑う瑠璃子たちを見て「この世界がおれの知ってる世界とつながっているなら、あの軍人どもの野望は潰え、この国が抱いた夢は無に帰る」と語るルパンの表情が良かった。

 しかしそこに駆け付けてきたのは、波越警部と警官隊。「申し訳ないが、ぼくにはかれを止める理由がないのでね」と悪びれずに言う明智に笑った。一戦まじえるか、と身構えるルパンと五エ門に「いいえ、これでもう終わりよ」と語りかけるのは、瑠璃子。ただし、その声は老いています。「わたしの夢につきあってくださって、ありがとう」と瑠璃子がほほ笑むと、からくり時計が光を放ち、動き出します。そして消えていく、帝都東京……。

 やがて、五エ門とともになにやら怪しげな機械の並ぶ場所に戻ってきたルパンによる解説が始まります。ルパンと五エ門はとある巨大施設を探りに来たのですが、そこにあったのは、秘密裡に開発され、世間に公表されないままのバーチャルマシン。そして、ルパンのアジトに侵入するためのパスワードを手にいれようとたくらんだ組織によって、ふたりはその世界に放り込まれたのでした。

 それを思い出したルパンは、さきほどのように、非常用のダミーパスワードを打ち込んで組織を脅し、元の世界に戻ってきたわけです。ダミーを解除するためのパスワードを書いた紙をルパンが投げると、自然に紙飛行機になるのがらしい。

 そしてその架空世界で、ルパンは怪盗、五エ門はご先祖様の役割を与えられたわけです。そこが、かつての帝都東京と同じだった理由は、そのマシンが、少女時代の大冒険を唯一のよすがとして一生を事業にささげ、戦中戦後を生き抜いた女性の思い出のためのものだったから。

だけど、すべてが作り物とは限らない。あんがい、おれやおまえに当たる人間が織りなす似たような出来事があったのかもしれないぜ」という言葉を残し、五エ門とともにその場を去るルパン。そして、さきほどルパンが投げた紙飛行機が、マシンに飾られている老いた瑠璃子のレリーフに当たって落ち、さらには現代の東京、工事中のがれきのなかに、ルパンが残したあの書き込みが映って、幕。

 次回予告。「眠り続けるレイブンの財宝。おれさまはホームズがいるロンドンへと舞い戻った」というわけで、単発話はいったん終了、またホームズ対ルパンの本筋に戻るようです。今回は銭形警部がフューチャリングかな? 次回、第7話のタイトルは「語られざる事件」です! すべてのホームズの事件はワトソンによって語られてきた。しかし、ルパンとホームズの事件に関してはそうではないってことですかね。、やはり。

 というわけで、第6話でした。前後編にふさわしい濃い内容で、ひとつひとつの要素を拾っていくのが面白いお話だった印象です。できればTVSPでじっくり見たかった、そんな話でした。

 最初は、ルパンが見ている「夢」なのかなあと思ってたんですよ。でも、違った。これは瑠璃子が開発(?)したと思しきバーチャルマシンの世界なのだから、正確には瑠璃子がルパンを夢見ている。だから「泥棒は帝都の夢を見る」ではなく「帝都は泥棒の夢を見る」なんだな、と思いました。

 でも、気になるのはあの世界がバーチャルマシンが作り上げたものならば、あそこで起きたのはどこまで本当でどこまでウソかということかな。おそらく、生身の瑠璃子はもうこの世にはいない。あそこにあるのは瑠璃子が残した思い出の世界で、そのなかでバーチャルな存在(瑠璃子の思考を残したAIとか?)として永遠に生き続けることを瑠璃子が望んだのかな、と思います。

 だから、もしかしたら黄金仮面も、黒蜥蜴も、明智小五郎も、本郷義昭も、瑠璃子の生きた現実の世界にはいなかったかもしれない。それはみなあの当時の瑠璃子が少女時代に愛読した(かもしれない)探偵小説の登場人物たちで、瑠璃子はその世界に居たかったのかなと思ったのです。それは、車の中でサラントヤに対し、探偵小説に出てくる台詞を言ってみたかったと言ったり、スリル満点とかはしゃいでるあたりからの連想です。そしてその世界に他者がお邪魔する、そういう仕組みなのかもしれない。

 もちろん、この架空世界において、そんな瑠璃子の自意識はどんなからくりになっているのか、というあたりにいたっては、さすがにわたしの手に余ります……。毎回、初めてに戻るのかな。発掘調査からサラントヤとともに戻ってきた、おそらくは瑠璃子にとっていちばん幸せな時間に。もしかしたら、サラントヤとの仲も、現実ではあそこまで親密になることはないまま、激動する歴史の波にのまれて離れ離れになった……とか、かも。それは分からないです。

 まあ、そもそもあの世界が瑠璃子の夢なら、どうして黒蜥蜴をはじめとしたキャラまでもがルパンたちの慣れ親しんだ人物に相似しているのかという問題は、あのバーチャルマシンがそういう仕組みになってるから、なんでしょうね。世界そのものは瑠璃子の思い出、そのなかに入り込んだ人間に合わせて人物の造形は変化するのかなあと想像します。

 だから、少佐に向かい合った五エ門の三つ目の質問は「おぬしは次元大介か?」に決まってますよね。でも、少佐と戦った五エ門には、すぐにそうではないことが分かったんだろうな、と思います。五エ門が寂しそうだったから……。

 だって、本郷少佐はやっぱり次元大介じゃないんですよ……。しぬほどカッコいいルックスで、外見は最高に完璧な次元大介なんですけど、次元じゃないんですよ……。そう思ったのは、大佐に声をかけられたときに、あっさりと十四年式を放り投げたこと(次元ちゃんはマグナムをあんな風に放り投げたりしないよね! したことあるかな?)と、大佐を投げ飛ばしてのあの決め台詞ですね。すごくカッコいい台詞だけど、次元さん、ぜったいあんな熱量であんなこと言わないじゃん!(笑) 

 なので、前編であれだけときめいた黒蜥蜴ちゃんと少佐に発展がなかったのも、まあ、しょうがないかなと納得しています。次元さんじゃなくて本郷少佐じゃ仕方がない。これはまったく個人的なジゲフジ萌えの人間の感慨ですが、これが単に次元さん似の軍人というだけなら(あるいは五エ門のように次元さんのご先祖とかいうなら)、おおはしゃぎで黒蜥蜴ちゃんと少佐のロマンスを妄想するところですが、黒蜥蜴ちゃんはともかく、本郷少佐は本郷少佐という自我がある存在で、やっぱり次元さんじゃないので、そこはあきらめるしかなかったです……。わたしは次元と不二子のふたりがいいので。

 でも、本郷少佐もとても素敵で、ほんとうに完璧な外見の次元さんだったので、実にいいものを見せていただいたと感謝しております。これからも次元さんのお着替えを期待しております。

 来週からは、ようやく舞台がロンドンに戻ります。ちょっと記憶が遠くなりかけていたけど、現代のルパンにまた会える、ということで展開が気になるところ。単発話とはまた違ったテイストで楽しませてくれるのではと期待しています! そしてやたくんの活躍も楽しみ。活躍してね!(笑)

 さて、いつも感想を読んで、拍手を押してくださったり、お言葉をくださるみなさまのおかげで、今週も楽しく感想を書くことができました。本編を楽しく見るだけでは飽き足らず、あれこれ突っ込んだり考えたりしたくなってしまうオタクの長文感想ですが、少しでも楽しんで下さったなら嬉しいです。これからも休まず書いていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします、ありがとうございました!

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