ルパン三世PART6第7話「語られざる事件」感想

 ルパン三世PART6第7話「語られざる事件」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 冒頭に映るのは、海の上に浮かぶ小島とゴシック様式の建物、モン・サン=ミッシェルです。つまりここはフランス、というわけで、情報屋と会話している、アルベールの姿が映ります。情報屋の話から、復活したホームズがここ数年の未解決事件を次々と解決していることと、そのホームズを殺そうと狙っている男がいることが分かります。しかし、その場で情報屋は射殺され、アルベールも危ういところを逃げることに。どうやら、その男が銃弾を放ったよう……。アバンはここまで。

 さて、舞台はロンドン、テムズ川に移ります。川を上るボートを運転しているのは次元、変装姿で、釣り糸を垂らしているのはルパンという組み合わせ。五エ門はホームズに負けたのがショックで、どこかに行ってるとのこと。次元はある男が映っている写真を見て「ふん、……なるほど、相手にとって不足はねえ」とやる気ですが、ルパンは「そいつの相手はおれがする、おまえは背後関係を探ってくれねえか」と次元に頼みます。次元は、いつもと役割が逆では、と難を示すものの、傭兵界隈の話は次元の方が詳しいだろうといわれ、仕方なくルパンの頼みを承諾します。

 ほら、五エ門はぜったいバリツ覚えて帰ってくるよ。ホームズ投げ飛ばそうとして、ついうっかりやたくんあたりを投げ飛ばしてもらいたものです。ここの、パイプをくわえて老人に扮したルパンと、ボーダーシャツにコート姿の次元は、旧ル「七番目の橋が落ちるとき」のオマージュかな? 次元さんは変装も兼ねてか、まばらな口ひげが珍しいですね。そして、この写真の男が冒頭に出た、ホームズを狙ってる男というわけなのでしょう。

 学校を出るリリーをハドソンさんに代わって迎えに来たレストレード警部に場面は移ります。リリーにホームズのことを聞きますが、リリーは、いまや難事件を次から次へと解決するようになったホームズが、これまでは自分のためにつまらない金稼ぎの仕事をしていたと悟っていて落ち込んでいます。それを慰める警部でしたが、リリーは不意に頭痛の発作に襲われます。幸い、たいしたことはなかったようですが、それを見守る警部の顔は複雑なもの。

 ホームズが、再び難事件を解決するようになったという流れはともかく、ホームズの手を借りなくてはならないような難事件を解決したほうがお金は十分稼げるのではと思ったのはわたしだけでしょうか。まあ、むしろ、そういう事件だとリリーの身にも危険が及びかねず、それなら行方不明のペットを探すような事件を扱っている方が安全だったということなんでしょうね。

 リリーの言葉通り、難事件を推理し解決に導いているホームズの姿が映ったあと、パブで食事をしているレストレード警部のところに「緊張と緩和、公僕にも息抜きは必要だ」とやってきた銭形警部と八咫烏くんという場面になります。「おやじ、生ビールふたつ!」という銭形さんの注文方法が日本の新橋にいるのと変わらない感じがして楽しい。

 すいません、ここ、レストレードさんのテーブルに飾られていた赤い薔薇が映った瞬間に、この展開が読めて喜びました。やたくんを飾ったお花だわ! 

 一方、リリーはホームズの部屋に入り、伏せられた写真立てを起こします。そこに映っている恰幅のいい眼鏡の男性こそは、リリーの父親、ワトソンなのでしょう。さらにロンドンの夜は更けて、すっかりご機嫌になったレストレードさんと銭形警部、やたくんは、パブで愚痴を言いあい親睦を深めているご様子です。銭形さんは酔いつつも「おれとルパンは長い付き合いなんだ。あいつのことならなんでもわかる……今夜あたり、会えそうな気がするぜ」とつぶやくのです。

 ここ、テーブルに顎を乗せている銭形さんの可愛さが無限大で笑いました。それ、柴犬とかがやってSNSでプチバズるやつだ。レストレードさんと銭形さんは気が合うと思ったんですよ。相手が敵と味方のちがいはあれど、ふたりとも、天才肌にひたすら振り回されている可哀想な公僕なので……。

 そして、いつのまにかお花を頭に差してまわらなくなってる口でぼやくやたくんは、PART6からわたしへのの接待と受け取りました。銭形さんに怒鳴られて、困り眉になるとことかヤバい。可愛い。これ、あれだな。やたくん酔っぱらったら、女装とかもウキウキしてやっちゃうひとに違いない。それも最低のクオリティで。見たい。

 さて、ベイカー街に戻ってきたホームズですが、ふたたびリリーが頭痛を起こしたと聞いて、落ち着かない表情を見せます。眠るリリーを確かめ、写真立てのワトソンの写真を見るホームズはなにかに勘づいた様子になり、ハドソンさんに頼みごとをします。その様子を別の建物から見守っているのは、ルパン。

 そして、そこに現れたのは、ついいままでパブで飲んだくれていたはずの銭形警部でした。「おまえにひとつ聞きたいことがある……ジョン・ワトソンはおまえが殺したのか?」という問いに、「ノーコメント」と答えるルパン。ふたりの間で緊張が高まりますが、それを破ったのはタンクらしきものを背負った男の存在。男は、窓辺のホームズの影に向けて銃を構えます。

 見過ごせずに飛び出した銭形警部に向けて弾丸を放ったあと、男は逃走します。それを追いかける銭形とルパンは、やがて墓地のなかに。墓石を背中に男の弾から身を守るふたり。男の正体は、特殊な弾丸を空気銃で撃つ傭兵上がりの殺し屋、セバスチャン・モラン大佐なのです。

 モラン大佐の元ネタというか、原典は、シャーロック・ホ―ムズ「空き家の冒険」(「シャーロック・ホームズの帰還」収録)の、セバスチャン・モラン大佐です。名前と空気銃を使うこと、元軍人という設定もそのままです。この原作自体が、一度は死んだはずのホームズが、ライヘンンバッハの滝でじつは死んでいなかったと戻ってきたときの話なので、このPART6でのホームズ復活にかぶせたということなんでしょうね。

 ルパンがホームズを見張っていた理由も、このモラン大佐でした。なんらかのかたちでモランがロンドンに入ったことを知ったんでしょうが、やっぱりアルベールに教えてもらったのかな。「いまのロンドンでモランほどの男が狙うのは、女王陛下かホームズくらいだからな」というわけです。いまホームズに死なれちゃ困る……というルパンにも容赦なく銃弾が向けられ、それを見た銭形は「標的を変えたんじゃないか? ホームズからおまえに」と皮肉に笑います。なにこの銭形さんカッコいい。

 しかし、そこに次元からの着信が。モランとレイブンのつながりはみえず、モランを雇ったのは新興の犯罪組織だとルパンに自分の調べを告げる次元。街の明かりを背後にスマホを持つ次元さんのカッコ良さ無限大。「教授と名乗る犯罪コンサルタントだとか……」と言いつつ、勘良く、すでにルパンがモランとやりあっていることに気づく次元。駆け付けようとしますが、ルパンは「すんごく頼りになるやつと一緒なのよ」と、電話を切ってしまいます。「頼りになるやつ……?」と舌打ちする次元の足元には、何人もの男たちが倒れているのでした。Aパートはここまで。

 ここ、ルパンさんの顔面が良くてわたしが撃たれそう。ご自慢の空気銃で……とか言ってるあたりの可愛くてカッコ良い感じが素晴らしい。そしてもちろん、次元さんもカッコいいのです。その足元で、何人も倒れているってことは、この情報を得るためにそれだけの敵を倒したというわけ。なのに、このおれよりも頼りになるやつってだれだよ? という不満げな感じがじつに可愛い。ちょっと旧ルのルパン大好きな次元ちゃんの匂いがする。

 そしてここで、教授と名乗る犯罪コンサルタント、がでてきたからには、つまりはそれ、モリアーティですよね。原典で登場する、ホームズの永遠の宿敵です。レイブン以外に第3の勢力が出てきて、しかもホームズの宿敵なのだから、ここはルパンとホームズが手を組む流れになるのかなーと思いました。

 さて、Bパート。10年前の出来事のいきさつを、銭形に向けて語り始めるルパン。ルパンはそれより以前から、レイブンのお宝について調べをすすめていたのです。レイブンの活動のピークは60年代から70年代にかけて(フォークランド戦争、アイルランド紛争、サッチャーの活躍、ダイアナ妃の結婚などのイメージですね)、80年代以降はその存在を知るものもほとんどいなくなった謎の組織というわけで、関わり合いになりたくはなかったルパンは手を引こうとしましたが、状況が変わりました。ホームズの登場です。

 当時、ホームズは、煙草会社社長、ジョン・ビンセント・ハードンへの脅迫事件を解決しました。しかしその犯人のひとり、ホレイショ・クローバーが、自分がレイブンという組織の人間であり、犯罪歴を帳消しにすることと引き換えにレイブンの情報を渡すと持ちかけてきたのです。スコットランドヤードはその取引に乗りましたが、とうぜん命を狙われることとなったホレイショは身柄をフランスに移されることに。しかし、ホレイショは保護されたホテルから逃げ出してしまうのです。

 ここの「煙草会社社長、ジョン・ビンセント・ハードンへの脅迫事件」も、原典「孤独な自転車乗り」(「シャーロック・ホームズの帰還」収録)のなかで、触れられている事件の名前です。ホレイショの身柄をフランスに移すはずだった……ってとこで、アルベールとのつながりも出てくるのかな。

 逃げ出したホレイショを追ったルパンは、そのまま地下通路に。そこでホレイショが頭巾をかぶった男に殺されるところと、そこに駆け付けたワトソンもまた男に撃たれてしまうところを目撃します。なすすべもなかったルパンは、倒れたワトソンに近寄りますが、そこにやって来たのは、幼いリリー。倒れた父親と銃を持ったルパンの姿を目撃したリリーは、悲鳴を上げてその場で倒れてしまいます。そこにやってきたのが、ホームズ。リリーに二度と近づかない、という条件でルパンはその場を立ち去ったのでした。

 えー、ちょっとここで話が感想からずれるのですが、どなたかシャベルをお持ちじゃないでしょうか。なにに使うって、それはもちろん、1話と2話の感想で、裏切り者のホレイショは、ホレイショ=Hだから、ジョン・H・ワトソン、つまりワトソンが裏切り者のホレイショなのかな? とか書いていたわたしが自分を埋めるための穴を掘るのに使います。恥ずかしい! いまから感想の該当部分を削除したい……。でも、まあ、それがリアルタイム視聴のだいご味ですよね。思えば、読むのは好きだけど、ミステリの謎解きに成功したことはない人生でした。ちくしょう。

 そこで、ホームズがルパンをリリーから遠ざけたのは、リリーの身を案じての判断だったこと、リリーはホレイショとワトソンを殺した人間の顔を見ている可能性があり、それを犯人に知られたらリリーの身も危ういとホームズは考えたのだとルパンは銭形に説明します。

……あれから10年、彼女ももう14歳だ。そろそろあの世の出来事を乗り越える時期なんじゃないのかな」というルパン。「だからわざとリリーの前に」とルパンの真意を察する銭形に「どっかの探偵みたいに守ってばっかりじゃ前に進めないだろ?……本当のことはすぐに分かるさ。真実ってのは強いんだぜ」と笑います。銭形もまた「いい話を聞かせてもらった」と笑いますが、「おれには一般市民を守る義務がある、とモランに向かおうとします。それに「ちょっとカッコよすぎねえか?」とあきれるルパンも結果として同行、ふたりは共闘することになります。

 ここ、一気に謎解きというか、ルパンのこれまでの行動原理が明らかにされて、すっきりはしたんだけど、なんでとっつあん相手にここまで分かりやすく語るのかなあとちょい疑問でしたね。そもそも、銭形がどこまでホームズとかリリーとかそこらへんの事情を知っているかも未知数なはずなのに、なんでこんなに話が通じるのか。で、わたしとしては「援護を頼む」のあたりで、違和感マックス。銭形とルパンは結果として手を組むことはありますが、そこにいたるまでは紆余曲折あるのがあたりまえ。それがこんなにすんなりいくわけもないし、ルパンがそれに疑問を持たないのもおかしい。で、あ、そういうことかなーと思い当たりましたが、ほら、わたしはホレイショがワトソンだと思ってた人間なので、自分を信用できないまま……。

 やがてふたりはモランを朽ちた鐘塔にまで追い詰めます。しかし、モランはレイブンを「あんなものは前世紀の遺物さ」と笑い「まもなく、ここ英国の犯罪地図は書き換えられる……教授によってな」と言い残し、姿を消すのです。そのあと、ルパンは銭形に向かい「欲しい情報は手に入ったのか? とっつあん……いや、シャーロック・ホームズ」と告げます。気づいていたのか、と変装を取るホームズに「言っただろ、とっつあんにしちゃカッコがよすぎるって」と笑うルパン。

 そしてパブで酔い潰れて朝を迎えている銭形さんの姿がインサートされます。ついでにすごい重火器をもってリリーを守っていたハドソンさんと、窓辺の作り物のホームズの影の仕掛けも。

 やっぱりー!(笑) しかしそう思って見直してみればすべて納得の流れであります。まあ、そういうかたちをとらないと、このふたりはたがいの状況を整理できなかったのかなーとも思う。しかしロンドンのパブは日本の新橋の飲み屋ではないのだから、朝まで酔い潰れて過ごすことなど不可能だと思うのですがどうでしょうか。やたくんには赤い薔薇をさしたままうっかり出勤してほしいのですがだめでしょうか。窓辺のホームズの影の仕掛けも「空き家の冒険」オマージュと思われます。

 当時、ホームズが一線を退いたのは、ホレイショを逃がしてしまい、ワトソンを死なせてしまった後悔と、リリーの失われた記憶が理由でした。「だがルパン三世、どうやらわたしは間違っていたようだ……認めよう、守るばかりでは前に進めない。リリーもそろそろ真実と向き合うべきだ」と語るホームズに「やれやれ。これでおれはレイブンのお宝と向き合えるぜ」とルパンは笑い、ホームズはリリーのもとへ帰ります。にこやかに朝食のテーブルを囲む二人の姿で、幕。

 EDが終わったあと、予告が始まるかと思いきや、車に乗っている次元とルパン、ふたりの姿が映ります。「〝たよりになるやつ〟ねえ……」という次元の言葉からは、これまでのホームズとの経緯をようやくぜんぶルパンに話してもらったことが伝わってきます。嬉しそう。「リリーか……懐かしいな」とつぶやき「あれからもう三年か、あのときの小僧、どうしてるかな」という次元の言葉を聞きとがめるルパンでしたが、次元は「いや、なんでもねエ」と答えるのみ。

 そして次回予告。来週は、なんとちょっと戻って三年前。まだ11歳のリリーをめぐるヤバい出来事があった……しかし、ルパンではリリーを守れないということで「頼りになるのはただ一人」とにやりと笑う次元さんが映ります。次回、第8話は「ラスト・ブレット」。脚本は、樋口明雄さん! ゲスト脚本家なのに、連続話の一つなんだ。そしてどう考えても次元回です、やったー!

 というわけで、第7話でした。正直言いまして、1話2話と連続して見たところに、単発話が4本も挟まれてしまったので、印象が薄くなりかけていたホームズ話でしたが、ここでグイッと本筋に戻った感がありますね。面白かった。作画も良かった。ルパンがほんとうにイケメンで可愛くてカッコ良くてわたしは嬉しいです!

 ワトソンの死にルパンがどうかかわっていたかについては、想像の範囲内でしたが(わたしが勝手にワトソンを裏切り者にしちゃった件をのぞき)、こうやって順序だてて説明されるとすっきりしました。誰でも分かるような謎(だってルパンがワトソンを殺すわけはないんですよ)をいつまでも引っ張られるとつまらないので、ああいう形で終わらせてくれたのは良かった。

 しかしあの展開だと、ワトソンを殺したのはホームズかレストレード警部がいちばん自然な流れになってしまうので、どうしようかなと思いますね。だってワトソンが見知ってるわけだし……ハドソンさんだったらもっと驚く。でも、そういう原典にモチーフがあるキャラを汚すわけはないので……また考えよう。あまりわたしが名推理働かせると、また穴掘らなくちゃいけないから気をつけます。

 そして、銭形警部フューチャリングでしたね、と書きかけて、そういえばあれは銭形警部ではなかったと思い出しました。それは5話と6話で、次元さんが出てたけどあれは本郷少佐だったようなもの。しかしあの次元さんがイケてたように、あの銭形さんもイケてました。もちろん、パブで飲んだくれてる場面も良かったですよ。理由は言わなくても分かりますね。

 あ、ジゲフジに関しては、そもそも不二子ちゃんがいないので画面上はなにもありませんでしたが、わたしとしては、モラン大佐の情報を集めてきたのは不二子ちゃんだと解釈してます。ほら、情報収集と言えば不二子ちゃんじゃないですか! 五エ門もいなくなっちゃったし、ルパンも単独行動となったら、残る二人はずっと一緒に決まってますよ。

 で、不二子が持ってきた情報をルパンに伝えたんだけど、ルパンが頼りになるやつがいるとか言ってるので、も―しらねって次元さんは思って、不二子ちゃんが待つアジトに帰ってちょっと愚痴ればいい。そして、いいじゃない、その「頼りになるやつ」のおかげであたしたち今夜はふたりきりよ、とか言われてればいい。PART6はそんな感じでいい。

 そしていよいよ次回はカッコいい次元回なわけですが、これはもう楽しみというか、次元と子供の組み合わせは珍しいですが、あの史上最強の次元パパの話がありましたねバーロー。まああれは、なんというか、場外の出来事なので……。次元回というと、過去の女と男の話が美味しいのは事実ながら、たまにはそうでない話も見たいので、大歓迎です。わくわくするぞ!

 さて、毎回、こんな感じの感想というか妄想キャラ萌えを挟みつつの文章を読んで下さって、拍手やお言葉をくださるみなさまには、ほんとうにいつも感謝しています。画面に向かってつぶやいているだけでなく、かたちにすることには意味があるんだな、と思えます。わたしは毎回、日曜の時間を費やしながらも楽しんで書いていますので、読んで下さるかたにも、すこしでも面白く思って頂けたら幸いです。これからも最終回までこの調子でいけたらと思ってますので、どうぞよろしくお願いします、ありがとうございました!

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