ルパン三世PART6第20話「二人の悪女」感想

 ルパン三世PART6第20話「二人の悪女」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 ブティックでドレスを物色中と思しき不二子ちゃん。それはどうやらルパンとのデートのための服らしく、スマホ越しにドレスを見せられたルパンは「なんならぜんぶ買ってやるぜ」と、足の指でパソコンのキーを忙しく叩きながらご満悦。大きなヤマを狙っている様子ですが、下半身はパンツ一枚の姿に不二子はあきれ顔。そして、そんな不二子のもとに飛び込んできたのは、パーカーを羽織った可愛らしい女性です。アメリアと呼ばれた彼女は「ねえねえ不二子、またいっしょに仕事しよ」と微笑むのでした。困惑する不二子。アバンはここまで。

 不二子はアメリアの運転する車に同乗しています。かつてはヘヴィスモーカーだったアメリアがいまはロリポップを舐めていることを指摘し「何年も音信不通だったのに、突然なに?」といぶかしげにする不二子。ふたりは旧知の間柄のようです。アメリアは「やっぱり不二子がいないとおもしろくないなあって」と笑いますが、不二子はアメリアの悪びれない様子にあきれています。が、アメリアは「デーヴィ!」と言って、不二子の文句を止めます。

 それはアメリアいわく、ふたりで決めた魔法の呪文。それを聞いたからには、相手にすべてをゆだねなくてはならないのです。もちろんそれはアメリアが勝手に言っていること、と本気にしていない不二子は、かつてふたりで一緒に仕事をしたことを思い出します。そのときの狙いは、一流IT会社の社長、グレイソン。「人の懐に入り込むのだけは天才的」なアメリアは、色仕掛けにもなびかない高慢なその男の懐にもみごともぐりこみ、機密書類が収められた場所のカードキーのコピーを手に入れたのでした。

 二人で食事をしながら仕事の話をしたことを思い出し「楽しかったよね、あのころ」というアメリア。しかし不二子は「冗談言わないで、結局あの仕事もめちゃくちゃになったじゃない」とあきれ顔。その言葉通り、グレイソンの機密書類が収められた場所にもぐりこんだふたりは、アメリアの下調べの不十分さが仇になって、這う這うの体で逃げだした過去があったのでした。それもあり、アメリアに冷たい不二子でしたが、アメリアは「ごめん、超ごめん! でもあたし、不二子とまたやりたくて、ダメ? 不二子はあたしとのコンビ、嫌いだった?」と食い下がり、不二子の譲歩を引き出すのです。

 今度のアメリアの狙いは、アヨン教と呼ばれるカルト宗教、その教祖が持っている時価数億の価値があるネックレスでした。本拠地はアトラス島にある教会。そこには信者でないと入れないうえ、教祖はモニター越しに現れる存在で、信者はおろか上層部ですら直接に逢えないのです。しかしそこはアメリア。彼女はすでに信者として潜入し、超内密の任務を任されていました。なんと、教祖は無類の美女好き……というわけで「あたしがそのお相手になって教祖の寝首をかけばいいのね?」と飲み込む不二子。この作戦はうまくいきそうですが、不二子は、アメリアが、仕事の話の最中でも食べ物を口に運んでいた昔と違って、目の前のバーガーに食いつかないことを不審に思います。

 一方、ルパンのアジト。次元は銃の手入れをしつつ「デートをすっぽかされたくらいで、まだふてくされてんのか」とルパンに対し、あきれ顔。「しかし、あの不二子に女友達がいたとはな。いったいどんなヤツなんだ? 不二子と仲良くできる女ってのは」と言いますが、ルパンは「知らねえし知りたくもねえ。おれから不二子を奪いやがって」とムカつきが止まらない様子。それと同時に、ダークウェブ上の「インビジブル」という闇サイトにハッキングで侵入を試みているのですが、どうやらそっちもうまくいかない様子。そんなルパンのもとに、不二子から着信が入ります。

 ルパンとの電話を終えた不二子の元にやってくるアメリア。ふたりはそのままアトラス島を目指すドライブに。楽し気な道のりが描かれたあと、ふたりはアトラス島を目の前にしたモーテルに宿を取ります。「ちょっとしゃくだけど、あんたが持ってくる仕事で、退屈したことって一度もないのよね」と笑う不二子。「でしょ?」と微笑み返すアメリアですが、不二子は「ただ、失敗には飽きて来たわ」とくぎを刺すことは忘れません。

 そして夜半。ベッドで眠る不二子ですが、アメリアはこれまでとは違った厳しい表情でアトラス島をにらんでいます。その手元には、子ども時代のアメリアと思しき少女とともに写る数人の子供の写真が。Aパートはここまで。

 というわけで、Aパートの感想なんですが、いやあ、いいないいな!とひたすら喜んで見ておりました。とにかくアメリアちゃんが可愛い。キュート。この手のキャラは一歩間違えればずうずうしく見えたり可愛げがなくなってしまうものだけど、アメリアちゃんの屈託のなさが、ほんとうに巧い。不二子は「人の懐に入り込むのだけは天才的」とアメリアを評しますが、不二子もまた、見事にアメリアに入り込まれているのですよね。

 そしてそれが天然に見せかけたアメリアの才覚であることは、賢明な不二子にはきっと分かっている。不二子は他人の能力を的確に把握することに長けた頭のいい女ですし、なによりもアメリアちゃんのこの仕草、やりかたは、不二子もルパン相手に使ってるものじゃないですか。アメリアの「ごめん、超ごめん!」は、不二子の「ごめんなさーい、ルパーン」と同じですよね(笑)

 分かってるけど、ときにイラつく。でも憎めない。なぜなら一緒にいて楽しいし、自分を退屈させない稀有な女だから。そんな相手じゃないと、不二子のこんな友達にはなれない。なんといっても、不二子の女友達なんですから、アメリアもただものじゃない。そういう感じがあって、満足です。ここにいるのは「ふたりの悪女」なんだよー。

 そして、ルパンがそんなアメリアにヤキモチ妬いてるのも可愛いです。アメリアに気を取られた不二子に対して「ズボンはいたよー」と繰り返すさまがくっそ可愛くてどうしようかと思った。

 あと、特筆すべきは次元さんかな。なんであなたが不二子の女友達に興味を示してるんですか。気になるんですかね! まあ、次元さんの目から見て不二子は同性に好かれる女ではないということなんだろうけど、けっきょく出番はここだけだった次元さん。実際のアメリアを見たらどう思うかな? 

 Bパート。不二子とアメリアは修道女のような服装に身を包み、アトラス島に向かいます。その教会では、教祖によって裏切った幹部が残酷にも焼きゴテを押されています。その焼きゴテの模様は、かつて二人が忍び込んだ、グレイソンの会社のマークと同じものでした……。

 教会に到着し、モニター越しに教祖に挨拶するふたり。しかし、教祖には不二子の正体は見抜かれていました。教祖の正体は、あのグレイソン。かつて不二子を捕らえようとして顔を焼かれたかれは、あのあと失踪してこの教団を買い取り教祖の座に収まっていたのです。そしてアメリアは、復讐のために不二子を探していたかれにネックレスと引き換えに不二子を引き渡す契約をしていたのでした。アメリアの裏切りに、顔色を変える不二子。

 やがて、さまざまな拷問器具が並ぶ「処刑の間」に連れてこられた不二子。下着姿で縛り付けられたものの、それでも「解剖でもしようって気?」と強気です。しかしアメリアは「不二子は特別よ。だって人前に出てこないボスがじきじきに処刑するんだから。わたしだって、ここで会うのは初めてなのよ」と不二子の頬を撫でます。そこにやってきたグレイソンにネックレスを投げ与えられ、アメリアは姿を消します。「どうだ、仲間に騙され、処刑される気分は?」というグレイソンの言葉とともに、不二子に迫る焼きゴテ……。

 しかし、そこで不二子は微笑み「騙されてるのはあんたのほうよ、グレイソン」と言い放ちます。その言葉とともに戻ってきたアメリアはグレイソンを蹴り倒し、銃を向けます。グレイソンはIT企業を隠れ蓑にしながらその裏で人身売買に手を染めていました。アメリアは、昔、グレイソンが誘拐して売った子供のひとりだったのです。その事実を、アメリアは、グレイソンの金庫に忍び込んだ際に知ったのでした。

 「あのときはじめて、自分がさらわれ、無理やり孤児にさせられたことを知った。あの日からわたしはずっと、ずっとあんたを探していた!」とグレイソンに叫ぶアメリアの顔は、これまでとはうって変わった厳しいものでした。アメリアは不二子を餌にして、直接グレイソンに会おうとしていたのです。そんなアメリアの企みに気づいた不二子は、すでに協力を申し出ていたのでした。

 グレイソンを殺そうとするアメリア。しかし、焼きゴテのマシンが動いたすきにグレイソンはアメリアの拘束から逃げます。グレイソンに銃を向けるアメリアですが、不二子はそれを制します。「デーヴィ」とふたりの間の魔法の言葉を口にして「わたしに委ねてちょうだい」とアメリアに言う不二子。グレイソンは焼きゴテのマシンでふたりを狙いますが、そこでなぜかマシンの動きが止まります。「どうした?」と慌てるグレイソン。

 それに応えるのは「どうしたもこうしたも、もうおまえの指示じゃ何も動かないぜ」とモニター越しに言う、ルパンの姿でした。ルパンが狙っていたインビジブルのサーバーがあったのがアトラス島。そして、アヨン教はグレイソンの出資先、ということですべてがつながったのです。

 「友達思いだねえ」というルパンの言葉に「友達じゃない、ただの腐れ縁よ」と答え、アメリアとともにその場を逃げ出す不二子。追いかけようとするグレイソンですが、ルパンによってバグを起こしたAIが制御を失い焼きゴテのマシンは暴走して爆発、グレイソンはその犠牲となります。

 炎に包まれる教会を背に、ボートで逃げ出す三人。「あたしが殺してやりたかったのに」とつぶやくアメリアですが「母親が手を汚したら子どもが悲しむわ」と不二子はその手の銃を押さえます。アメリアは妊娠しており、不二子はそれに気づいていたのでした。不二子の思いやりに「ごめん、不二子、超ごめん!」と抱きついて泣き出すアメリア。その頭をやさしく撫でる不二子を見て「いいなあ、おじさん妬いちゃう」とからかうルパンですが、アメリアに「イイでしょ」と開き直られると「ふん、うらやましかねえや」とムカついた様子です。

 そして、アメリアは不二子の胸に顔を寄せたまま「忘れちゃいけないのは、あなたといつまでも一緒っていう気持ち」とつぶやきます。ルパンは一瞬、その言葉を耳に留めました。

 そして、場面は昼間の公園で赤ん坊を連れたアメリアと不二子に移ります。赤ん坊に紙を引っ張られ、困惑する不二子ですが、アメリアは「ほーら不二子パパでちゅよ」とからかいます。やがて赤ん坊は「でーびい」とあの言葉を口にし、アメリアは「これを聞いたからにはこの子にすべてをゆだねるのよ」と不二子に笑い、不二子もまた「ハイハイ」と笑って応じるのでした。

 次回予告。「穏やかなときが流れる島、ミトン。思わぬ足止めがもたらした、人魚伝説の誘惑……ひまつぶしにはいいかもね」という不二子のナレーションに合わせて、釣りをしている次元と五エ門、人魚の看板、第2クールの1話目にも登場した少女の姿が映ります。次回第21話は「うたかたの島へようこそ」。単発話です!

 というわけで20話でした。いやもう、わたしは1話通してずっと「こういうのでいいんだよ、こういうので」という井之頭五郎状態、大満足のお話でした。つくづく思ったけど、わたしがルパン三世のTVシリーズに求めてるものって、新ルパンのブラッシュアップなのだな。ほんとうにもう、こういうのです。魅力的なゲストキャラが出て、二転三転する展開に迫る危機、伏線がきれいに収まって、メインになるレギュラーキャラが活躍する、気持ちがいいお話、こういうのが見たいんだよ。

 まあ、その一方でわたしは第4話とか第10話とか(ぜんぶ押井やないか)ああいうのも否定しませんけど。どこまでも広がる懐の広さこそが「ルパン三世」の魅力のひとつ、ルパン三世の世界は何でもありでどんなジャンルも内包してしまえる自由さがあると思うから。それこそミステリでもロマンスでもギャグでもなんでもあれ。でも、それはやっぱりこういうスタンダードな内容勝負のお話あってこそ光るものですよ。

 そう、すごくお話としてちゃんとしているのが良かったです。アメリアが煙草をやめてるのも食事をとろうとしないのもいい伏線だったし、その手を汚させまいとする不二子の行動の理由付けにもなる。「デーヴィ」って言葉の扱いも、ふたりならではの関係を象徴しててうまい。なんか由来がある言葉なんですかね? ググったけど、ヒンズー教の女神の名前しか出なかった。アメリアちゃんはそっち系なのかな。

 しかし、繰り返しになりますがアメリアちゃんが良かった。メインキャラを振り回すタイプのゲストキャラにはイラッとしがちな心が狭いわたくしでも、このアメリアちゃんには満足です。可愛いったらない。アメリアちゃんがやりたい放題(に見える)なぶん、不二子がおとなしくなった印象もありますが、その分、落ち着いた大人の女感が出てて良かったのでは! 今回はそういう不二子の魅力にフォーカスを当てた話なんでしょうね。ふたりがイチャつく(というかアメリアちゃんが一方的にイチャついてた)場面はどれも良かった。もっとイチャイチャしても良かったです。

 ルパンのサポートも光りましたね。わたしはこういう公式のルパフジが好きだなあ。不二子は不二子でちゃんと仕事ができるんだけど、ルパンはルパンしかできないかたちでそれをサポートしつつ、それぞれが欲しいお宝を手に入れるのって良くないですか。ちょっとアメリアちゃんにヤキモチ妬いちゃうとことか、ルパンさまが可愛かったー。

 次元さんは出番が少しでしたが、たとえばグレイソンが不二子に迫ったところで、マグナムの弾丸がグレイソンをかすめて登場とかされたら、わたしが大変になった。まあ、あそこはルパンだけで十分だと思いますが、いやあ、アメリアちゃんと次元、会わせてみたいなあ。そのうちなにか書くかもしれません(笑)。

 さて、次回21話も単発話です。あと3本しかないのにいいのかなと思いつつ、これで第2クールの1話目に出てきた女性はみな登場することになりますね。たぶんこの単発話の後に、2話かけて連続話を収めるんだと思うんですけど、なんかここにきて急激に面白くなってきた感があるPART6をわたしは愛してやみません。ホームズも悪くはなかったんですけど、やはり第2クールの方が断然わたし好みです。その差はなにかっていうのは、最終回を見たらはっきりわかるような気もします。

 そして、それまではこうやって感想を書いていこうと思います。いつも読んで下さる皆様に感謝しています。閲覧数も参考になりますが、さらに拍手も励みになるのです。ありがとうございます! わたしはいつも他人様の感想を読まずに、まずは自分の感想だけを考えてひたすら綴っているので(友達がいないともいう)、もしかしたら他のルパンファンの方からしたらおかしなことを書いてるかもしれません。お許しください。まさに個人の感想です。そして、そんな感想でもすこしでも面白く思って頂ける部分があるなら幸いです。あと3話ですが、そんな感じでやっていこうと思います。これからもどうぞよろしくお願いします!

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