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「私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか~地下鉄サリン事件から15年目の告白~」松本聡香(徳間書店)
by くさてる

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 オウム真理教元教祖、麻原彰晃の四女による手記。

 けして文章的には巧みとは言えず、幼い目線のままで語られるまとまりのない内容であるかもしれない。けれど、それはそのまま、その言葉が彼女自身のものであることを伝える。もしかしたら、これが書かれるのはまだ早かったのかもしれない。彼女は未だ混乱の中にあり、それでも誠実でありたいと願っているように思えるけれど、ここから伝わる彼女の姿は痛々しいほどに幼い。オウム真理教という存在が、余りにも多くの人の幸せと人生を傷つけたことを理解する為に必要な一冊だと思います。

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「新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書」西寺郷多(新潮文庫)
by くさてる

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 かのKingOfPOPについての丁寧な伝記。

 しかしそれに終わらず、我々はかれについて余りに偏った目線でしか見てこなかったのではないかという思いにもさせられる冷静な視点があった。多くの側面を持つかれの、これもまた一部の歴史を切り取ったものにすぎないのかもしれないけれど、この視点には少し、気づかされる物がありました。

|| 17:38 | comments (x) | trackback (x) | ||
「原田実の日本霊能史講座―と学会レポート」 原田 実・杉並 春男(楽工社)
by くさてる

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 古代から現代に至るまでの日本史に登場する霊能者の紹介を中心にしながら、日本における心霊、宗教の捉え方の変遷を追った一冊です。登場する霊能者は全部で30人。主なところを紹介すると、古代から卑弥呼、聖徳太子、役小角、安倍晴明に始まり、中世・近世では、日蓮、天草四郎。さらに時代は下って、御船千鶴子や出口王任三郎、谷口雅春など近代の人間を紹介したあとで、現代の高橋信次、宣保愛子などに至り、江原啓之にも言及しています。

 一般に、「霊能者」というと、おどろおどろしさ、宗教がかったイメージ、或いは逆に、いかがわしい、インチキといった様々な先入観があると思いますが、この本はとくにそういったバイアスをかけることなく、淡々と事実関係を述べています。伝説として語られる超常現象も「そういうことがあったとされます」という感じで、あえて真偽を問うかたちにすることがありません。それが、なるべく客観的に広い視点から、事実全体を述べていこうという姿勢に感じられて、好感が持てます。と学会らしいかな。また、取り扱う内容から、専門用語が頻出したりと難解でないかと読みにくさを予感されるかたもいらっしゃるかもしれませんが、口語での対談形式をとっているため、大変に読みやすいです。注釈もうるさくなく、ちょうどいい感じ。

 わたしは霊能力の実際にはあまり興味がなく、むしろ、それにまつわる人間の心の動きなどに興味があるほうなので、それを支える基本としての霊能者の立ち位置、日本の歴史における霊魂感の変化などを知ることが出来て、大変に興味深かったです。史実と超常を分けて記述し、歴史的な流れのなかでひとりひとりの霊能者を紹介していくことで、名前を知らないようなひとの紹介でも、興味深く読むことが出来ました。

 惜しむらくは全部で30人の紹介ということで、やはり多少駆け足になっているところ。ご贔屓の霊能力者に関しては、もうちょっと細かいエピソードなど、と思う人も多いでしょうけど、それを望むなら、巻末に挙げられている参考文献などを各自にあたるべきなのでしょうね。わたしとしては、なんとなく名前を知っていただけの宗教団体の出自や、その流れなどを体系的に知ることが出来て満足しました。勿論、こういう世界は深く知れば知るほど…という部分が多いのでしょうけど、まずは全体を見回すことが出来ました。こういう世界の入門書としておすすめだと思います。

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「炎のごとく 写真家ダイアン・アーバス」パトリシア・ボズワース(文藝春秋)
by くさてる
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 服装倒錯者、ヌーディスト、フリークスらを被写体にした写真で有名なアメリカの写真家、ダイアン・アーバスの伝記です。

 わたしは、写真というジャンルには詳しくないのですが、アーバスに関してはかの有名な双子の写真を見たときから関心があった。その異様な雰囲気と浮かび上がるものに惹かれました。この伝記では、彼女の生まれる以前、両親の出会いから、彼女自身の恋や結婚、仕事とそれがもたらした悪名と名声、最終的に彼女が自殺にいたるまでが語られています。アーバスの権利を保有している実娘からの取材許可が出なかったということで、肝心のアーバスの作品はいっさい掲載されていないのがなんともはがゆいかぎり。しかし、実兄や周囲の人々の証言などによって構成されたこの内容を読めば、アーバスというひとの人となりとその人生はだいたいつかめると思います。

 読後、わたしが一番感じたのは、アーバスの人生と彼女の作品の分離です。アーバスは、普通のひとであれば目を向けないような対象を選んで写真にした。それは純粋に彼女の興味が赴くままの行動の結果だったわけだけど、アーバスは作品としての写真が与える衝撃と、被写体そのものが見る人に与える影響を混同されて,攻撃された。しかし、単に双子を撮っただけの(そこにはあえての意図はなかったと思う)写真であっても、そこにはなんともいえない気味悪さと同居する美が存在している。被写体のもつちからと写真家の才能とがからみあって生まれるある種の奇跡がここにはあります。

 この伝記を読む限り、アーバスは、決して、持って生まれた才能を生かして主体的に望むままに生きたひとではなく、むしろ女性として求められる生きかたに十分引っ張られていて、それが出来ずに苦しみ、自分自身が抱えている病理と時代にただ翻弄され、最終的にはその病に殺されてしまったように見えます。だから、わたしはアーバスの娘のいう「作品がすべて」というのが一番正しいと思うのですね。いま残っているものが、彼女の望んだものであるかどうかは分からない。彼女が生きていた60年代にはスキャンダラスなものであった被写体でも、いまの時代では受け入れられるものになっている部分もあるはずです。しかし、アーバスの写真が見る側に与える印象は、芯の意味では変わらないのではないでしょうか。

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 「生涯最高の失敗」田中耕一(朝日選書・朝日新聞社)
by くさてる

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 ノーベル化学賞を受賞し、一躍時の人となった田中耕一さんの著書です。

 あの癒し系キャラに惹かれたひとも多いでしょうけど(ハーイここにひとり)、この本ではそういう面だけを取り上げられるのではなく、自らの研究について分かってほしいというお気持ちが伺えます。正直、まったく理系でないわたしにはどれだけ分かりやすく語られてもやはりちんぷんかんぷんな部分は多いのですが、それでも、なんとなく「ああ、そういうことなのかな」ということは判ったかな?とりあえず、田中さんのテーマである「生体巨大分子を調べる(質量分析)」ということが、そもそも何の役にたつのか、ということは良く分かりました。 あと、日本にはたくさんいるであろう、縁の下の力持ちな研究者の皆さんの役割や苦労も。すごいなあ、いまの社会はいろんな部分で、これに支えられてるんだな、と思いました。

 というわけで、難しいパートも多いんですが、そこかしこにいかにも田中さんらしい部分も見受けられますので、ファンのかたはそこを拾ってみるのもいいかも。邪道な楽しみですみません。でも個人的に膝を打ち続けた新たな事実をひとつだけ。田中さん、鉄道ファン。なんて期待を裏切らないひとなんだろう。ごめんなさい、大喜びしてしまいました。
 
 でも、本当にただ研究をしていたい、研究が好きなんだという姿勢はいいなあと思います。それも学者ではなくエンジニアとして。最後の「(本を読んでもらうことで)講演・取材依頼が減り、私もみなさんの役に立つ研究に集中できることを期待しています」というのが、とてもらしいひとことだと思いました。 


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