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「食べるな危険!!ファストフードがあなたをスーパーサイズ化する」モーガン・スパーロック(角川書店)
by くさてる

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 マクドナルドの「スーパーサイズ」を30日間食べ続ける記録と結果をドキュメンタリー映画にした「スーパーサイズ・ミー」の監督である、モーガン・スパーロックによる、映画を作成するにあたっての裏話やテーマに関するあれこれ、現状などについて語った本です。わたしは映画のほうも見てますが、そちらも面白かったです。

 この内容からイメージされるのは、お固い健康至上主義者が、身体によくない食べ物を食べるとこんなにひどいことになるよ!と弾劾するようなものかもしれませんが、そう思っていると裏切られます。そもそも著者は食べることが大好きで、厳密な菜食主義の恋人から白い目で見られてもお肉も食べます。運動しなくちゃと思いつつ、コメディ映画をやってるとついついそっちに目が行って、ジムにもたどりつけない、そんな平均的なアメリカ人。かれがこの実験を思いついたのは、あるニュース。ご記憶にあるかたも多いでしょう。マクドナルドのハンバーガーを食べたせいで肥満となった、とマクドナルドを訴えた少女二人のニュースを見て、興味をそそられたからでした。かれは最初、普通にこの訴訟を胡散臭いと感じましたが(鉄砲で自殺した奴の両親がスミス・アンド・ウェッソンを訴えるようなものじゃないか?)、ニュースで見たマクドナルドのスポークスマンが語った言葉「わが社の食品は健康的で栄養価が高いんだ。身体によいのだ」という言葉を聞いて、絶妙なアイデアを思いついたのです。なんだって?エッグマフィンやビッグマックが健康的で栄養たっぷり?身体によいだって?本当?なにもかも、そこから始まったのです。

 この本は、30日間の体験を通して筆者が体験した身体上、精神上の変化と、その実験の内容について語りながらも、アメリカ人の抱える肥満と過食の歴史について、それにともなう様々な問題であるダイエットや健康被害についても語り、どうしてそうなってしまったか、ということについても考察します。ドキュメンタリー映画を見ておくと、より分かりやすいですが、映画を見て無くても大丈夫と思います。頻繁に引用される政府の報告書なども、著者のツッコミが的確になおかつ笑えるので、すらすら読めます。まあ、アメリカンジョークが根本的に受け付けないひとには厳しいかもしれませんが、わたしは大好きなので…(ええ。ああいうくだらないのが…すごく好き…)。

 そうやってちょくちょく挟まれる皮肉とユーモアに笑いつつも、日本ではちょっと信じられないようなアメリカの抱える問題を学ぶことができるのです。もちろん、日本の現状もまた同じ、あるいはいずれたどりつく場所、な部分は多いと思いますが。しかしそれはとても恐ろしい場所。そして、最終的に著者の求める解決法はとてもシンプルなもの。地元で採れた食材を消費して、自炊とかしてみない?子供たちなんて好き勝手選ばせたらピザとキャンディしか食べないに決まってるんだから(自分が子供の頃を思い出せば分かるだろう?なおかつアメリカでは大人だってそうなんだから)、学食のカフェテリアからファーストフードを排除して、野菜や自然な食品を並べようよ。あと、家での食事のときは、子供と一緒に料理して、会話しながら食べてみよう。そんな感じ。

 日本との違いを含めて、この本の読み方に関しては解説が分かりやすく述べていると思います。また、著者の実験についても、疑問点は当然あります。ひとつのものを一ヶ月食べ続け、一日5000カロリーとってたら、それはもうおかしくなるのは当たり前ですから。けれどそれを入り口に、アメリカにおける外食産業の問題点や健康問題を考え、そこから個人的になにか汲み取れるものを得たらいいと思います。わたしは、マクドナルドをはじめとするファストフードは嫌いじゃないし、そう健康的な人間でもありません。なので、こういう本を読んだら、普通は自分が非難されているような気がしていたたまれなくなるものですが(どれだけ被害者意識が強いですか)、この本はそうでなかった。なので、映画(まず地上派でTV放送されることはあり得ないと思うので、レンタル屋にGO)を見た上で、さらに興味があれば、読んでみられたらいいと思います。

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「煮たり焼いたり炒めたりー真夜中のキッチンでー」宮脇孝夫(ハヤカワ文庫)
by くさてる

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 高名なミステリ翻訳家にして評論家の料理本。聞いたことはない名前だけど手軽な材料で作れそうな料理が紹介されていて面白かった。ムサカはこういう風に作るのね。わたしは料理に関する本を読むのが好き。正確には、料理や食べ物に関する描写を読むのが好きなのだ。ジョナサン・キャロルを読んでほうれん草のラザーニャやおそろしく大きくてべたべたとしたチョコレートケーキを夢見たり、村上春樹がエッセイで書くどんぶりいっぱいのサラダやうさぎ亭のコロッケを食べてみたくなり、大藪春彦の10枚のパンケーキと1リットルのオレンジジュースと500グラムのベーコンに朝から元気な人だなと思う。要するに食いしん坊です。ちなみに自分で料理するのはまったく好きではなく、それで済むならカロリーメイトでも囓っていたく、他人に作ってもらうのと外食が大好きというどうしようもなさ。でもさ、たまたま女性用生殖機能を持ち合わせている身体に生まれたからって、なんで料理を作るのが好きでなきゃいけないのかさっぱり分からない。掃除と洗濯は好きなんだからそれでご勘弁していただきたいものである(誰に)。

 そんなわたしの好きな小説にその名も「料理人」(ハリー・クレッシング/ハヤカワ文庫)というのがある。おだやかな田舎町に存在する二つの名家。そのひとつに痩せた黒い鷲のような新しい料理人が雇われる。かれとその料理によって起こる静かな変化がやがては村中を支配していくその過程は、なまじのスプラッタホラーでは出せない不気味さ。カポーティの「ミリアム」にもちょっと印象が似てるかな。わたしはコンラッドの作る赤鳥の料理が食べたいです。


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