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宝塚雪組公演「ルパン三世ー王妃の首飾りを追え!-」(宝塚大劇場)
by くさてる
 さて、これは、宝塚雪組公演『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』の感想でございます。ネタバレありますのでご注意ください。公式サイトはこちら

 まず最初にお断りしておきますが、わたし、宝塚に関しましては、気になった公演を年に一回か二回観に行くレベルの、超ライトなレベルのファンです。もちろん宝塚の魅力は十分に承知しておりますが、すごく入れこむご贔屓な方とは未だ出会えず(毎回、「あ、このひと素敵」くらいの気持ちにはなるんですけどね)、むしろ演目が面白そうかな(「銀河英雄伝説」とか)という時に、行けるんなら行くかな、くらいの浅い宝塚好きです。なので、今回に関してはむしろ「ルパン三世」のほうに熱が入っておりました。もちろん大好きなルパン(うん、子どもの頃も大好きだったが、大人になったいまのほうが、なんというか、たちの悪い感じで好きになっている気がする)を、あの宝塚が演じる!というところはポイントですよ、その事実を知った瞬間に飛びついたもの!小栗旬のときとかは跳び逃げましたからその違いはいやその。でも、それでもまあ一回観られたらいいなーくらいのノリでした。宝塚でルパンだもんなー楽しいだろうなーあのテーマ曲、生のオーケストラで聴けるんなら文句無いなーくらいのノリ。

 それくらいの気持ちで、いつも宝塚を一緒に観に行っている友人と出かけたのが1月22日。で、見終わった後にはもう愕然として、楽しいとか素敵とかいろんな言葉が生オーケストラの「ルパン三世のテーマ」をBGMに頭の中に渦巻いていて、とりあえず「これならもう一回観てもいいわ」とか呟いたのが10回を超えた時に自分で、ああ、観てもいいとかヌルいこと言ってる場合じゃないわこれもう一回見なきゃだわ、と判断して29日に二回目の観劇となったわけです。平日休みの仕事ゆえになんとかチケットも取れました。良かった。

 で、対象とは直接に関係ない前置きが長いのがわたしのレポの癖なので、適当に流して欲しいんですが、ちょっとルパンについて語ります。ルパン三世はとても人気のあるコンテンツです。わたしも、新ルパンとカリ城の直撃世代なので、やはりルパンといえば赤ルパン。でも、あとになっていろいろ見た結果、自分自身のいちばんのルパンは原作マンガのルパンというファンです。ツイッターにも書きましたが、どのルパンにも「ルパンじゃない」と思う人は存在する。カリ城も原作もTVシリーズも、それぞれに評価は分かれる。でも、私が思うに「こんなのルパンじゃない」という唯一の基準があるとしたらそれはきっと「つまらない」ルパンです。その意味では宝塚ルパンは間違いなく最高の「ルパン三世」でした。

 そもそも、わたしにとってのルパンは「からっぽ」なひとです。頭は恐ろしくいいし、勘もセンスもすぐれている。だからいつも退屈している。自分にとって価値があるものにしか興味はないし、手に入れたら忘れちゃう。友情とか愛情もそう。マンガ版が発表当時そうだったように、次の週になったら、それまで死ぬほど苦労してきたことや命がけの勝負、愛した女も手に入れたお宝も、消えてしまう。いつでも最初からやり直せる誰のものにもならない永遠のロードランナー。そんなかれが主役だからこそ、作り手はいろんなものを詰め込める。素材として最高の主人公なんですね。でも、怖いことに空っぽだからこそ、作り手の技量そのものがそのまま作品の出来となって誤魔化しがきかない。だから「ルパン三世」って魅力はあるけれど難しいコンテンツなんだと思います。

 とまあ、ぐだぐだと言いましたが、それでも宝塚ルパンにはあまり不安はありませんでした。なんせ事前に知ったストーリーがマリー・アントワネットの首飾りってそら卑怯や(笑)という感じで、宝塚ならではの世界にルパンを引きずりこむことは分かっていましたから。それにこれまでの経験から(主に銀英伝とか銀英伝とかあと銀英伝とか)、二次元の世界を三次元に移すときの宝塚の素晴らしさも知っていたので。だってラインハルトを日本人の女性が具現化しちゃうのよ。ルパンもできるさ!

 そうやって、宝塚を信頼して観劇に赴いたところ、期待や信頼どころか、なんだかそれ以上のものを貰っちゃった気持ちになって、二回出かけちゃったんですけどね。一回目はなんかこうふわふわしてて、ストーリーを追いかけていくことに夢中だったけど、二回目はそれを確認しながらふわふわしたので。どっちにしてもふわふわなのですが、そういうわけで、以下の感想は主に二回目(1月29日)の観劇の感想だと思ってください。

 失われた秘宝「マリー・アントワネットの首飾り」を盗みに入ったルパン一味。しかし不思議な力によって銭形警部とルパン一味はフランス革命前夜のフランスにタイムスリップしてしまう。ルパンは、元の時代に戻る為に、錬金術師カリオストロの元を訪れ、ある計略を練ることになり、王妃マリー・アントワネットとも出会って…というのがストーリー。

 とりあえず、まずはルパンの登場場面ですよね。「ばっかも~ん!そいつがルパンだ!」の銭形の叫び声と共にテーマ曲が鳴り響き、赤いジャケットをひるがえしたルパンが現れた瞬間に、オペラグラスが曇った。鼻息で。二回目に観た時も思いましたが、この場面だけでもあと三十回は観たい。最初に観た時は、キャーッ!という感じだったのだけど、二回目は来るぞ来るぞと待ちかまえていたところに、赤いジャケットをまとった早霧せいなさん演じるルパンが現れてポーズを決めた瞬間、泣くかと思いました。ていうか泣いた。

 あれですよ。映画でよくあるあれ。二次元の画面から三次元の世界に人物が具現化するSFXだと思った。ルパンが現れた、と思いました。ルパンがいる。やだもう、ルパンがいるよ。それも綺麗なルパンだよ。そして、もちろんそこには次元も五ェ衛門も不二子ちゃんもいて。そして登場時から持っているメガホンに「埼玉県警」の文字が入っていた銭形のとっつあんも、もちろん!宝塚雪組はん、あんたなんちゅうもんみせてくれたんや…。という感じで、プロローグの段階でわたしはすっかり完全降伏状態となりました。いや、本当に素晴らしかった。この段階でブルーレイ購入決定。どうしてこの日の帰りに買えないのか(無茶)。以下はちょっとそれぞれの役者さんについて。

 まずはもちろんルパンを演じた早霧せいなさん。じつはわたし、2011年に雪組「ロミオとジュリエット」を見ているのですが、そのときにマキューシオーを演じたのを観た時に、あ、素敵と思って名前を覚えていたのです。時は流れて、そのちぎちゃん(愛称)が、トップになった公演を観ることになったのは嬉しい限りですが、いや、本当に良かった…。そんな本当に細かいアンドそんなこといちいち褒めるなんて舐めてるのかとか思われそうですが、どこもかしこもちゃんとルパンなんですよ…もちろんきれいなルパンなんですが、ルパン。あのガニ股とか後ろ姿とか、いつでも本気にならずにふざけちゃうけど、譲れない自分の美意識があるルパンを、素晴らしく演じてくれました。カッコ良くて綺麗なだけでなく、「こしょこしょこしょ」的な笑いを誘う場面も本当に可愛いかったです。

 また次元を演じた彩風咲奈さんの色気に、これまた登場した瞬間に二階席からでもむせそうになりました。髭と咥え煙草の色気ハンパない。そしてあの細腰。彩凪翔さんの五ェ衛門の可愛さもそうなのですが、この二人、これといった活躍場面こそ少ないものの、要所要所でキめてくれて、おかげでオペラグラスがきょろきょろ忙しいったらなかったです。ルパンに唯一ツッコめる存在としての次元が良かったなあ。黙って話を聞いているだけの場面でも、いかにも五ェ衛門らしい座り方なのがまたよし。カタコンベでルパンとカリオストロがあれこれ言い合っている時も、二人がその後ろでこっそりワイン飲んだりいろいろやってるのがもう楽しくて可愛くて仕方ない。そういうちょっとした仕草や立ち振舞いが、ルパンもそうであるように間違いなく五ェ衛門と次元なのです。もちろんアクションシーンもカッコ良いし、楽しい。でも、もっともっと二人の活躍を見たかったのも確か(笑)。なので、宝塚さん、バウホールあたりで「次元大介の墓標」とかどうですか。やりましょうよスピンオフ~(笑)。

 忘れちゃいけない大湖せしるさん演じる不二子ちゃんも文句無しです。ボディコン(死語)に身を包み、スリットからのぞくガーターベルトにピストルと言うお約束はもちろんのこと、なにより不二子の魅力であるグラマラスなボディと美貌が輝かんばかりで、見ていてうっとりでした。一幕でお色気で隊員を倒す場面なんて本当に軽やかで可愛くてエロい。あの太腿はエロい。良いものを見させて頂きました(眼福)。

 そして今回コメディリリーフとして素晴らしかった銭形警部役の夢乃聖夏さん。まさかの銭形マーチの場面はまさにこれこそ泣き笑いの名場面でした。こんなもの聴けるなんてお宝すぎる…。また、直接的な描写こそなくとも、ルパンと阿吽の呼吸で通じ合うものがあるのが分かるのが良かったです。「愚かさや無知であることと、犯罪を犯すのは違うだろう?」の場面、すごく好きです。

 そんな風にルパン一味ばかりに入れこむかと思っていてそうなりかけたわたしですが、いやいやどうして。この物語がそうはさせませんでした。単純に、ルパンが三次元になった、というだけじゃなかったんですよ。それだけでもすごいのにね。

 この物語には、ルパンが運命を変えることになる二人の登場人物がいます。まずは、咲妃美優さん演じる王妃マリー・アントワネット。笑い上戸で、愚かで無知で、けれど邪悪ではなく罪を犯してはいない少女として彼女を描くことで、ルパンが男女の愛ではなく、彼女に惹かれて、その命を救わずにいられなくなる流れがとても良かったのです。彼女が歌う「自由(リベルテ)」は、まさにルパン三世そのもののテーマと言っても良い。この彼女だからこそ、ルパンは愛らしく思ったということが説得力を持って伝わってきました。良かった。

 また、酔っぱらったマリーが、未来から来たというルパンに「わたしの未来を教えて!」とねだる場面。もちろん、ルパンは彼女の未来を知っている。恐ろしいことに観客も知っている。この世界で、彼女がこのあとたどる悲劇を知らないのは彼女自身のみ。だからこそ、ここでルパンが云う「…幸せに暮らすさ。子どもや孫に囲まれて。旦那と添い遂げて」という優しい嘘に泣けました。そう、この優しさは間違いなく、ルパン。これこそがルパンの優しさなんです。ルパンがマリー・アントワネットの運命を盗むと心に決めたであろうこの場面が大好きです。ルパンはこの嘘で、観客も自分の共犯に仕立てたのです。

 そしてもうひとり、望海風斗さん演じるカリオストロ伯爵。こちらは、マリーと違って、海千山千の錬金術師。泥棒であるルパンと限りなく近い詐欺師として登場しますが、その心根には少年のときの夢が消えずに残っている。熱く語りあうことはなくとも、その心性を見抜いて、その夢を成就させる存在としてのルパン。やだもうカッコいい!ルパン×カリオストロで薄い本あるわこれ(いやその)。ていうか、個人的には、登場のシーンからこのカリオストロ伯爵。わたし、すっかり撃ち抜かれちゃいましてね…。この歌声が。ががが(くさてるさん動揺)。こ、この声は好き。この歌声、すごく良い!この曲も好きなのだけど、顔も好きなのだけど、この声、もっと聴いていたい…。望海風斗さんというひとなのですね(繰り返し)。覚えた。愛称は「だいもん」。…西部警察?

 さまざまなハラハラを無事乗り越えて、現代に戻った後、それでめでたしめでたしと思いきや、この二人がそれぞれのかたちでルパンの前に現れる展開には痺れました。まさにハッピーエンドで、賑やかで、楽しくてしょうがなかったんですが、わたしはカリオストロがルパン一味の前に現れた瞬間から、もう泣けて泣けて。まったく泣くような展開ではなく、むしろ笑って喜ぶだけの場面なのに、にこにこしつつも、泣いてしまいました。その涙は、パリの夜景に消えていくルパンの背中を見たあともなかなか引かなくて。自分でもその涙の理由がよく分からないので、そのあともずっと考えていたんですが、結局、わたしは感動したんですね。ルパン三世と言う存在が具現化したことだけでなく、その物語そのものに。

 これは失われた運命が再生するお話なのです。王妃マリー・アントワネットが、ギロチンでの斬首刑で命を落とすことも無く、愛する夫と子供たちと幸せに暮らすことができた世界。カリオストロが、異端の嫌疑をかけられて獄死することもなく、時をかける錬金術師として生き続ける世界。なんて甘くて、ご都合主義で、ロマンティックで、素晴らしい夢のような世界でしょう。そしてその世界をもたらしたのがほかでもない、あのルパンなのです。これが泣かずにいられましょうか。

 わたしはタカラヅカ好きとしては本当にごく浅いライトなファンなので、濃いファンの方からしたら的外れなことを言っているかもしれませんが、それはどうぞお許しください。でもルパンファンとしては、本当に素晴らしい「ルパン三世」だったと胸を張って云えます。そしてそれがこの宝塚雪組の公演でなければ成り立たないような世界だったこともきっと確かだと思います。それが本当に有難いのです。ツイッターでも何回も云いましたし、ここでも云いますが、ルパン好きなら見ないと嘘。ここでわたしが語りこぼした良かったところ、楽しかったところ、それはもうたくさんあるはずです。個人的には、あの大野雄二先生の楽曲が、テーマ曲以外にも多く使われていたのがすごく楽しかった。それが生オーケストラですから、さらに嬉しい。そしてこの内容、わたしはすごく楽しめましたが、これをそのままアニメでやってもそんなに楽しめないと思うのですね(それでも昨今のTVスペシャルよりはよっぽど…?)。ミュージカルとして、生の舞台としての面白さ。これはまさに宝塚でないと楽しめないものだったと思います。しかもルパンだけでなく、同時のショー「ファンシー・ガイ」も素敵に楽しめるものでしたし!

 しかし結局残る感想は、面白くて素敵なルパン三世を有難う、に尽きるのです。もうそれしかいう言葉はない。素晴らしい夢を有難うございました!

|| 20:51 | comments (x) | trackback (x) | ||
「柊生元帥と定光寺中将の『どこまでも第14帝國』(重大発表あり)」(名古屋ell. FITS ALL)
by くさてる
 さて、今日は名古屋はell. FITS ALLにて「柊生元帥と定光寺中将の「どこまでも第14帝國」(重大発表あり)に参加です。なんだこりゃ、な題名ではありますが、まあ詳細は元帥自身のブログを参照して頂ければ、と。正確にはここにも詳細はありませんが(何)。あと、元帥のTwitterでの発言も、なんとも意味深なものになってます。「今までに第14帝國に触れたことがあって、それが人生の1ページに刻まれている方」って、わたしとか真夜みたいに、1頁どころか六法全書ぽい厚さになっている人間はどうしたらいいんですか。ええ、コミケカタログとはあえて云いませんでした。それはともかく。

 そういった内容を、元帥と中将の二人でやる、ということ。でも、中身は想像がつかない。ほんのちょっとだけ迷ったけれど、行かないという選択肢はあり得ないんですよ。なんせ六法全書なもので。こういう時の元帥の発言は、私のような人間には、いつでも思わせぶりで謎かけだらけで、素直に読みこむことは難しい。ので、「どこまでも第14帝國」という副題に乗せられて、馳せ参じることにしたわけです。なんせコミケカタログなもので。

 しかしこの日は1月4日。ええ、帰省ラッシュのど真ん中。このライブの情報解禁日が12月13日だったこともあり、もちろん新幹線の指定席など、たとえグリーン車でも獲れるわけがありません。すごいよ、そもそも乗り込めない。戦後の買い出し列車もかくや、との人ごみに埋もれながら、それでもなんとか職員さんのお薦めに従って乗車位置をずらしたりして、なんとか乗れました。「自由席近辺の乗車口からは、現在並んでおられる先頭二三人しか乗りこめません。嘘ではありません」というアナウンスにしたがった。嘘じゃなかった。

 そうやって無事に名古屋に着いたものの、急の発表、中身も曖昧、ということで、今回同行したお友達は、いつもの真夜さまと新妻Mちゃんのみでした。そして、Mちゃんからメールで「ひとりにするのも心配なのです」と道に迷うのではないかと心配されていたわたしは元帥と同世代。しかも名古屋。18年通った場所。18年。なんだかとんでもないことをカミングアウトした気がします。思えば、このライブのニュースが飛び込んできたときに、18年のつきあいですよわたしと帝國の間に子供が出来てたら今年大学受験ですよおかあさんお金が無いから国公立しか行かせてあげられないのよ頑張ってねって思わず書きつらねちゃったんだけど、わたしと帝國のあいだにこどもって字面を見た瞬間にああこのひとあたまがおかしいと思って削除したんですよね。いま書いちゃいましたが。まあ、それくらいにわたしは帝國に関しては冷静ではない。今更書くことではないけれど。

 なので、ellの外階段に並んで開場を待つ間も、なんだかとてもぼーっとして、いろんなことを考えてしまいました。これまでに、何十回、何百回?こういう光景を見たんだろう。さわさわと他愛ないことを語りあうたくさんの女子たちの頭の上から覗く、灰色から黒に変わっていく空の色。ライブが終わって外を出たら、そこはもう夜の世界だから、もう思い出しもしないけど、開場を待っている間だけに、ふと現れる、じりじりと変化していく時間と空気の温度。それをいつも感じながら、ライブハウスのドアが開く瞬間を待っていたことを思い出しました。

 そういえば、今回の重大発表って何だろうね、という話をMちゃんとしたときに、ゲチストでもあるMちゃんの口からは「生きていればそれでいい」という言葉があったんですね。まったくもって、そうです。舞台の上と下の違いはあっても、それは同じことで、わたしも向こうも、生きていればそれでいい。そんなことを身にしみて感じるようになったのが、18年前との違いかもしれません。

 さて、十分近くは押した開場のあと、椅子に座って(もしかして椅子が無かったらどうしようという恐怖がずっとあった。これもまた18年前との違い。せつない)開演を待つこととなりました。以下はイベントのレポであります。曖昧なことは記載しませんが、事実関係の細かい記憶違いはどうぞご容赦くださいませ。そしてここまでの自分語りでこのひとうっとおしいとか頭がおかしいのではとか思ったひと、このあとを読んだら、その疑惑が確信に変わることでしょう。その、もう、慣れていただくしか

 開演。赤い光を浴びて、ひとりで舞台に立つ定光寺中将。そのままいつものように、元帥の略歴を読みあげていく。しかし、締めの言葉は「1015年、楠本柊生帝國元帥、まだぎりぎり42歳!」。そのままキリエが流れて元帥登場。鳴り響くオンブラッタ。しかし舞台上には元帥の他は中将のみ。懸命に舞台を駆け回り、手旗信号よろしく旗振りを実演して(旗無しで)見事ひとりオンブラッタをやり遂げる中将。暗転後の舞台は、核の炎に包まれた帝國。核シェルターのなかに逃げ込んだ中将と元帥だが、それは一度中に入ってしまうと、内部からはどうやっても開けられない構造だった。外部との連絡も取れないまま、取扱説明書を前にあれこれと画策を始める二人はうっかり爆弾のスイッチを入れてしまう。爆発までの期限は一時間。外部に出る為には三つの鍵を入手しなければならないことを知り…。

 という前半(?)。取扱説明書の検討は、オールナイト14の形式でした。まあ、この前半ではとりあえず、OPの中将による手旗オンブラッタが圧巻。舞台上を文字通り駆けまわり、「オーライ!」も担当し、フウフウ言いながら頑張るその姿には涙を禁じ得ません(笑いすぎて)。細かいとこまで原典に忠実なのがまたいいんだ…。そして、あの、これ書くのほんとうに厭なんだけど、こんなしょっぱなから思い知らされたくなかったんだけど、中将のリバウンドは相変わらずのままでした…舞台上に響くなんていうのあのドタバタな靴音が、実に、こう、体重の重みを感じさせる音でねえ…だからフウフウ(以下略)。

 この前半は、小さなネタがどんどん続くので、一つ一つを取りあげてどう、という感じじゃないんですが、核シェルターの使用方法を調べるため、と称して、舞台の照明と音響効果をいろいろ試しながら(「おばちゃんの笑い声」と指定すると、その通りのSEが流れたり、「フレンチ」と指定すると、証明が赤青白の三色になったり)遊んでいるお二人の姿はたいへんかわゆらしいものでした。

 そして、個人的にはここの元帥がわたしの大好きな元帥でとってもニコニコしてしまいました。そう、なにかっていうと簡単に銃を取り出して狙いをつけちゃうひとでなし(褒め言葉)なんですよー。ひとの心を持ってない独裁者なんですよー(重ねて言いますが褒め言葉)。この無邪気な残酷さ、叱られても意味分からずに「うん?」って顔をする、あの顔がすごくかわゆい。かわゆい。だけど、やりっぱなしじゃなくて、ある意味もっと自由な中将には振り回されちゃうところもあって、そういうときの「馬鹿か貴官は!」的な困った表情とやけな声も、実にかわゆいなあ…。会場もライブハウスだったせいか、二人のやりとりが懐かしくってかわゆらしくって、そんな感じでただもうニコニコして見てた前半でした。久しぶりにお姿を拝見した元帥も、変わりなくって良かった。中将は少し変わってても良かったですよ。説明いりませんよね。

 後半。二人がシェルターから脱出するには、古に伝わる鍵を入手しなければならず、そのためのキーワードは「タクシー」「研究所」「雪山」だった。そのお題にしたがって、「スジナシ」(台本も打合せもないぶっつけ本番の即興劇)を演じる二人。「タクシー」と「研究所」のあとは、舞台上にスクリーンを下ろして検証をする場面も。そして最後のお題「雪山」を終えたものの、肝心の外部に出る為の鍵は見つからない。迫る爆発までの時間。覚悟を決めた二人だったが、なんとそこに立花大将が登場。自分が非常用スイッチを触ったら警報が鳴り響き、皆に口から出まかせで「核攻撃だ!」と言ってしまった、とお茶目な一面を垣間見せる。これで外に出られると喜んだのもつかのま、うっかり大将は核シェルターの扉を再び閉めてしまう。三人きりで残され、いよいよという場面で、それぞれの思いを吐露する三人。そして、覚悟を決めて、爆発を止める為の三色のコード、赤、白、青のどれか一つの色を選んで、切ることにしようということになる。それぞれの色の意味は…。

 後半。ごめんなさい、わたしは、第14帝國の楠本柊生帝國元帥と定光寺輝信中将が好きなもので、その設定が無効になってる「スジナシ」は、あまりその……。検証でもう一回見せられちゃって、さらにその……。もちろん、ところどころにすごく面白い部分もあって笑っちゃったところもあるので、そんなに文句はないんですが、これ、リッターの設定縛りで見たかったなあと思います。そういう意味では最後の「雪山」はさすがに帝國のお二人だったので、いちばん素直に見ることが出来たかも。というか、この「雪山」では、まさかの定光寺中将のアカペラ版「ありのままで」が聴けましたから、それが良かったのかもしれません(笑)。なんとも表現に困る、絶妙な、あの歌声がいまでも耳について離れない…。

 まあ、ここはやはりサプライズ登場の立花大将ですよね。咲いた(わたしが)。いきなり登場してきて、あのお茶目な仕草と大将ならではのキュートなボケっぷりですよ。本当に。いかついあの外見と裏腹なあのラブリーさが大将の魅力ですよねえ…ギャップ萌えの元祖だわ。きっとそうだわ。そしてここに大将が登場したことによって、このまとまりのない(あ)話が、ぐっと締まった感があるのは贔屓の引き倒しですかそうですか。だってわたし大将ファンだもん!

 そして、ここでは元帥と中将が、それぞれ最後と覚悟して別れの言葉を述べていくのですが、それはそのまま帝國あるいは臣民への別れの言葉とシンクロして響いて、ふと、今回のイベントの「重大発表」という副題を思い出しました。正直言うと、ここまでに、その「重大発表」とはなになのか、どういうかたちで発表されるのか、ということは、常に頭にありました。元帥は、これから、どうなっちゃうというのかなって。なので「スジナシ」の最後のお題が「雪山」だったときに、あ、ここでいちど死んで再生するのかなと予想してた。そしたらまさかの中将の熱唱「ありのままで」でわたしの予想見事大コケ。まあそれはいい。

 そこでの元帥の言葉自体は、とても良い言葉だったけど、わたしにとって元帥の言葉は、どんな場合でも、どこまでも本気にとれないというか、それでも大丈夫でしょう?安心できるよね、というものなのです。もしかして、まともに受け取るのが怖かったから、脳内でそう処理しちゃったのかもしれないけれど。だって、いまこうやって感想を書きながらも、元帥があのときなんといったのか、正確な言葉がぜんぜん思い出せません。そう思うと、いまは、なんというか、慄然としてしまいます。わたしの無意識のガード力ハンパない。が、そのときは、それよりも中将がヤバかった。

 話し出した中将の目に涙が浮かんでたのは、まあ、中将はよく泣くひと、と思って処理しようと思ったのです。でも、「続けたいけれど、続けられない。終わらせたくないけど、終わらなきゃいけない…」といった意味の言葉を聞いた時に、初めて肝が冷えました。わたしにとって中将は、絶対に14帝國を諦めないひとです。これまでの帝國の歴史で、誰よりも帝國を愛していて、終わらないように頑張ってきたひとだと思ってる。なのに、その中将がそんなことを言うのは。やめて。マジでシャレにならない。そう思い、恐怖しました。いやまさかそんなことはない。帝國は終わらない。終わるわけがない。そう思いながらも、三人がどの色を選ぶかを話あう姿をただ見守りました。どの色を選ぶかで、これからの帝國が決まる、それは予想出来た流れでした。

 そこで、元帥が選んだ「青」の色を、大将が「元帥が選んだならいいですよ、ついていきますよ」という意味の言葉を云ったときに、なんだか、ずしん、ときました。カッコいい!とかじゃなくて、なんだか重かったのを覚えてます。生死を左右する爆弾のコードの選択。それがそのまま、これからの三人の人生のコードでもあるんじゃないかって。

 そして最終的に三人が選んだのは青のコード。爆発音が鳴り響き、暗転した舞台に、すべてを告げる元帥の言葉が響きました。それぞれの色の意味。白は、14帝國の解散。赤は、2年間の活動休止。そして、青は。三人が選んだ青は、万難を排しての新作式典の実施、でした。それぞれの色の意味は三人しか知らず、三人がそれぞれどの色を選ぶかについては、あらかじめ話し合うことはいっさいしなかった、ということも。

 元帥の言葉が終わり、客席に明りが戻ってからも、その場を動くひとはほとんどいなかったと思います。泣いてる声も聞こえた。わたしは、泣くというより、ちょっと混乱していた。いやいやそもそも、そこで定義されている「帝國」ってなに?と思った。元帥がこれまで東京でやってきた14帝國のこと?そこにオレたち14帝國は含まれるの? 14帝國が、色んな意味で発展解消というか拡散と増産していったあと、とてもコアな部分が残ってこぢんまりとしているけれど、まさに帝國という感じで、わたしを愉しませてくれた、あのオレたち14帝國はどうなっちゃうの。これからは、大将と中将と元帥が中心になった、また新しいかたちの14帝國が生まれるということなの?そんな疑問で頭がいっぱいでした。でも。そして、ふと気づいたんだけど、このライブは幻創論が存在しない内容だったんですよね。(行くぞ!で、核攻撃が行われる前とか核シェルターが作られる前の14帝國に行っちゃえば普通の式典になる気がします)それは、あえての作為だったのでしょうか。わたしには良く分かりません。

 でも。この三つの選択肢のなかでは、いちばん喜ばしく有難く嬉しいのは、間違いなく「青」の選択です。そして、もっとも現実的に面倒くさく、大変で困難かもしれない選択でもあると思います。それを選んでくれたことは、臣民として、ただ有難く、嬉しいことであります。わたしがこれまで帝國を諦められなかったように、あなたたち三人も帝國を諦めなかったんだね、と思いました。それは嬉しい。それは、有難い。式典が見られるんだよ、それも新作が!

 先にも述べましたが、今回のイベント、「重大発表」と銘打っていたからには、わたしも頭の中であれこれとその内容を想像しました。ぶっちゃけ、元帥が名古屋に帰ってくるのかなーと思いました。でも、その想像では、元帥が中将に手を差し伸べて誘うようなイメージしかなかった。あるいは「ただいま」「おかえりなさい」そんなイメージ。まさか、大将を含めて三人が対等の立場で、これからの14帝國の方向性を決めるような、そんな流れになるとは思わなかったのです。そして、正直に云いますが、それは嬉しい誤算でした。うん、嬉しかった。わたしはあの三人の姿とその選択を見ることが出来て、本当に嬉しかったのです。

 そんなことをまとまらない頭でふわふわ考えながら、ellをあとにしました。お友達との打ち上げも終わり(またぜひ!今度は花見で!)、行きとは違ってガラガラの最終新幹線のなかで、ただもうぼんやりと、彼らの選択の意味をひとりで噛みしめました。わたしは本当にうっとおしくてめんどさい古参臣民なので、こういう云い方しか出来ないけれど、ああ、もう、帝國って人生だよなとすら思ったのです。おおげさなようですが、かれらがかれらの人生を帝國を存続させるかたちで生きていくと決めたなら、わたしはわたしの人生を臣民として大事に生きていこう、と思いました。生きていればそれでいい。長年、一緒に時間を共有してきたからこそ、一緒に歳をとってきたからこそ(!)のシンプルな感慨です。終わらなければ、ついていけるからね。終わらなくて、有難う、と思いました。

 わたしは第14帝國が大好きです。これからの活動を期待します。続けると決めてくれて本当にありがとうございました。
 


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