「ひとつ、村上さんでやってみるか」村上春樹(朝日新聞社)



 と、世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?…というのが正式タイトル。期間限定サイトに寄せられた質問に、村上春樹が答えたやりとりを掲載したムック本です。
 この村上春樹により期間限定サイトはいつも不定期に出現して、そのたびにこのムック本が出版されてるんですが、エッセイ集とも違ってフランクなスタイルで語られているので読みやすいです。死刑制度の是非などの固い話題から全裸家事主婦などの柔らかい話題まで(笑)、語られている内容も様々ながら、春樹ファンなら愉しめる一冊でしょう。短いなかでも、笑ったり、どきっとするような言葉があるあたりはさすがです。
 そんななかでも「人生というのは、『ひとつの愚かしさのフェーズ』から『べつの愚かしさのフェーズ』への移行でしかないような気がします」という一文には唸った。そう、確かにそれは正しい。ひとは今度こそ間違えないようにと思いつつ、また違った過ちを犯す生き物であると思います。なので、せめて、他人を傷つけるくらいなら、自分が傷ついたほうが良い、という境地にたどりつきたいのですが、なかなか思うようにはいかないものです…。実を云うとしばらく春樹作品とは縁遠かったわたしですが、そろそろまた読んでみてもいいかなという気持ちになりました。あと、この本で知ったのですが『ロング・グッドバイ』(レイモンド・チャンドラー)を村上春樹が訳すなんて、買いです、買い!それはとても楽しみに待ってます。

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