まるでとりつかれているかのように、嘘・幻想・現実逃避で塗り固められた人生を生きている一人の女性を、著者がずっと書きつづけていた時期の作品。
この頃の志麻子ちゃんは、この女性に引っ張られ過ぎていて、色んな意味で何処にたどりつくか分からなくなってきていたような気がする。けれど、そんなこととは関わりなく、この小説に存在する悪意と狂気はただすさまじい。これを作品に出来るから、作家なんだと思いました。ただ、やっぱり思うんだけど、もっと繊細かつ凝縮された作品も書けるひとだと思うので、そういうのが読みたいのも事実です。これは人間の汚く甘えた醜い部分をぶちまけられたような作品なので、苦手な人はまったくダメだと思う。私は苦手だけど、読み続けずにいられなかったくちです。