「LUPIN ZERO」第2話「列車で秘宝に食らいつけ」感想

「LUPIN ZERO」第2話「列車で秘宝に食らいつけ」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!  

 ルパンたちの学校からはじまります。光画部(懐かしいですね、おかゆライス)の部室にこもって、首飾りの写真を見ている次元の元にやってきたルパン、購買のやきそばパンをネタに勝負を持ちかけますが、次元は乗ってきません。その写真を奪い取り、次元をからかうルパンでしたが、最終的には相手にされないままで終わります。しかし、ルパンには何か考えがある様子。

 ルパンがすっかり次元になついているのが可愛い。しかし、ルパンは責任をもって光画部の連中からネガを盗み出し焼却処分にすべきだと思いました。こういうネタはけっこうギリギリ(個人的にはそれでも配慮した描写になってるとは思いますが、まあ、アウトだな)。もっとも、昭和の時代にはあたりまえというかもっとひどいネタがはびこっていましたから……。

 東京駅でこだまの「区分室」(いわゆる個室)で、次元は写真に写っていた首飾りを名古屋の学者のところに届けるまでの護衛という仕事の内容を説明されます。他の用心棒に子ども扱いされつつも、車両の見回りに向かう次元は車内販売員に変装したルパンと出くわします。次元に向かい、首飾りを盗むと宣言したルパンは車内で不思議な格好をした南米の呪術師の少女(マリナル)と出会います。マリナルもあの首飾りを探していると気づいたルパンは、マリナルを丸め込み、仲間にすることに。

 ここでのルパンの次元へのくっつきかたがホントに可愛いけれど、次元がイライラするのもホント分かりますね。ルパンは最初に次元に勝負を持ちかけたのに無視されちゃったから、しつこくそれを続けてるんだな。ここでキャンディをいっぱい詰め込まれちゃった次元の可愛さも無限大。そして、マリナルちゃんが分かりやすい美少女ではなく、なおかつ無茶苦茶な言葉遣いなあたりに昭和の自由さを感じます。次元のことをマリナルに話すルパンがちょっと嬉しそうなのがまた良かったな。

 一方、首飾りを前にした男たちのなかには、それにまつわる呪いを気にするものがいました。かれらは裏のオークションでそれを売り払おうと考えていたのです。マリナルとルパンはそこにたどり着いて首飾りを奪い、新幹線の車内を逃げていきます。それを追った次元は、ルパンに銃を向けますが、引き金を引けないまま、浜松駅でふたりを取り逃がしてしまうのでした。一方、マリナルとルパンは家畜を運搬する貨車を見つけてそこに隠れます。ルパンはそこで、首飾りが盗品であることを知りますが、マリナルに次元とは友達ではないかと問われ、戸惑います。しかしそこも次元たちに見つかり、ルパンはひとり放り出されてしまいます。

 食堂車でルパンが皿を投げているときに、居合わせた乗客が拍手してるのが地味に面白かったです。そしてここで、ルパンに向かい引き金を引けない次元、マリナルに次元との関係を問われるルパン、という描写が入って、二人の関係性に焦点が合う展開が挟み込まれるのがいいですね。マリナルが次元のことを「帽子」よばわりしてるのすごく可愛い。貨車から放り出されたルパンが民家に突入し、めざし付きのご飯をカッコ身ながら出てくるのも楽しい。昭和!

 名古屋に向かう貨車に乗り、語り合う次元とマリナル。そこで、次元も首飾りが盗品であることを知ります。憤る次元に、マリナルは、ルパンの友達ではないのか、と問います。正直に、ルパンとのこれまでを思い返して語る次元に、マリナルは仲直りのまじないを唱えるのでした。

 ごめんなさい。ここのマリナルと次元の場面だけでわたし永遠に語れる。すごいねすごいね、竹内さん、これは成長したら大塚明夫さんにも小林清志さんにもなるよ!という声だけでなく、間というか、演技が素晴らしい。「いっしょに洋子さんを助けたのもわくわくした。認める」の、「認める」の響きが素晴らしい。この間がすごい。次元大介だ、これは次元大介だ。

 ルパンのことを大人びているくせにガキっぽい、と楽しそうに語る次元ちゃんもまた、大人びているくせにガキなんだよね。この正直さはこどものものだもの。マリナルは幼いといってもいい少女なうえに、奇妙な存在。だけど、だからこそ次元ちゃんはカッコつけずに思ったことをしゃべることができたんでしょう。これ、間違いなく次元大介なんですけど、まだ少年の次元ちゃんだからこその台詞ですよね。ほんと素晴らしい。

 そしてマリナルの「そげん顔で話をする相手のことば、うちん国では〝友達〟という」台詞はもっと素晴らしい。年の瀬も押し迫ったこの12月に生まれた名セリフオブザイヤーあげる。マリナルはこどもみたいだけど、呪術師ならば人情の機微には長けているはず。だからかな、ほんと良い台詞。そして、その後のまじないも素晴らしい。この語句の馬鹿馬鹿しさが、だからこそいいんですよ。

 やがてルパンは、貨車に(どこかから盗んだと思しき)出前用のカブで追いつき、次元たちと再会します。次元に「おれの主はおまえさんの主は、誰が決めるんだい?」と問いかけるルパン。そこにやってきた悪党たちはマリナルに銃を向け、ルパンを脅します。響く銃声。悪党の銃を弾いたのは、次元が放った銃弾でした。貨車から落ちていく悪党たち。運転手までいなくなり、暴走する貨車をコントロールしようとするルパンたちですが、うまくいかないまま貨車は操車場へ。そこで次元は線路の分岐器めがけて銃を撃ち続け、みごと路線変更した貨車は給炭塔の下に突っ込み、事なきを得るのでした。マリナルは国に戻ることとなり、例として耳飾りをルパンに託します。学校に戻ったルパンと次元は、こんどこそ「コロッケパン」を賭けて勝負を始めるのでした。

 ここ、「契約通りブツは守った……嘘つきの盗人からな」という次元ちゃんの目が見える場面が最高ですね。さらに「馬鹿やろ、スピード上がってんじゃねえか!」には吹いた、ここらへん、大人ならもっとうまくやりそうだけど、こどもな二人は右往左往しちゃうのね。テンポも良くて、すごく楽しかった。そして次元ちゃんの大活躍。これは大人の次元さんがやってもおかしくないスゴ技ですね(PART6の「大陸横断」を思い出しました)。さらに、石炭の中で喜ぶマリナルと、笑いだすルパンと次元に合わせ、その場にいる動物たちまで笑ってるの、個人的に超ツボでした。昭和!

 そして、国に帰るマリナルの次元への「帽子、うちのまじないは効いたとね?」という台詞も良かった。で、ここで気づいたんだけど、マリナルのまじない、ずっと効いてるんですよ。失せ物は見つかり、死の灰の呪いで悪党は去り、加護のまじないでマリナル自身も無事だった。そして、次元とルパンはみごと仲直りしてる。マリナルすごい。

 というわけで第2話の感想でした。これでもう次元ちゃんはルパンの友達決定なわけですね。思えば、大人の男同士には「友達」という言葉はあまり使われません。特にルパンと次元ならばやっぱり「相棒」。でも、少年のふたりには「相棒」よりも「友達」がしっくりくる。あれだ、「スタンドバイミー」です。「あの12歳のときのような友達はもうできない。もう二度と」というやつ。この「LUPIN ZERO」の世界では、ルパンと次元の友情は大人になっても続くのでしょうが、それでも、この年齢のときに感じたこの気持ちだけは、二度と生まれない。そういう尊さが、この話のふたりにはあると思います。素晴らしい。

 そして、それを明確にさせたマリナルというキャラの造形も良かった。あの滅茶苦茶な方言というか言葉遣いで、1話の洋子さんとは全然違った、女性を感じさせないキャラだからこそ、自然に次元の心を開かせることができた。公式のキャラ設定では、次元ちゃんのところに「やさしい男」という一文が添えられているのですが、ほんとうにそのとおり。次元大介はやさしい男で、大人になったらそれに「クールな相棒」が加わるのです。最強だな!

 そしていよいよ次回はアルセーヌおじいさまが登場。原作ベースのお話ぽいですが、これからも、続きが楽しみです! 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です