LUPIN ZERO第1話「少年ルパン、狼に出会う」感想

 LUPINZERO第1話「少年ルパン、狼に出会う」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 舞台は、煙突からは黒い煙が吐き出され、車で混み合う高度経済成長期の日本です。学校の成績は一位、級友相手のサイコロではみごとなトリックで勝ちをせしめる少年ルパン。しかし、その顔はどこか浮かず、退屈を感じている様子です。そこに目に入ったのが、バイクに乗って校庭にのりこんできた不良たち。「次元大介」を探してやってきたかれらを、みごとな銃の腕前で追い払って見せた少年次元を見て、興味を惹かれる、ルパン。アバンはここまで。
 
 この数分で、少年ルパンと少年次元の性格設定、立ち位置がくっきり分かるみごとなアバンです。サイコロで勝ったあとその場を去るルパンの後ろ姿がすごくルパンだった。そして、学帽を目深にかぶった次元ちゃん、その足首の細さはヤバくないかしら。ろくに学校に来てなかったから、ルパンも知らなかったのね。

 続くOP。これが旧ルリスペクトで、だけど単純な再現じゃないのが素晴らしくて、思わず繰り返して見ました。大友良英さんの音楽最高すぎる。ルパンも可愛いのですが、次元ちゃんがカッコいいのー! ほんとうにほんとうにカッコいいのー! これも放送を追うにしたがって変化していったりするのかな?

 場面は移り、ナイトクラブ「ニューナイアガラ」へ。目見麗しいお姉さんが舞い踊る、古式ゆかしいナイトクラブです。龍が如くゼロとか思いだした(ゼロなだけに)。そんな場所に級友を連れ、大盤振る舞いをしているルパンですが、なにかの取引をしている次元を見つけます。さっそく近づくルパンですが、次元は相手にしません。そこに、舞台で騒ぎが。歌手、洋子が男に連れ去られようとしている姿を見たルパンは、咄嗟に助けに入ります。次元もうまく巻き込んで、ナイトクラブで大暴れしたルパンたちは、洋子を連れ、車で逃げ出すのでした。

 ナイトクラブで食べてるのがフルーツ盛りというのが楽しい。ルパンじゃない級友まで、制服姿で酒もたばこもやってるというのがいいですね。昭和の前半はそういう時代だったと思います。そしてここで、プロの仕事をしている次元(パパのお手伝いなのかな)と、出会っちゃったルパンが、自分の勝手に次元を巻き込む過程がうまい。いきなりぐいぐい来るのがほんとルパン。そしてそれをうっとおしがるのもほんと次元。でも、ルパンが一枚上手なんだよねー、楽しい! そして登場する歌手、洋子さん。美人なのに、大口開けて男の手に噛みつくあたりが良い女です。もちろん、ここで洋子を助けたときにルパンが言う「女は守れっていうのが、うちの家訓なんだ」は最高オブ最高。

 ここの悪党とのコミカルなドタバタも、中期旧ルという感じの呑気さでいいですね。バックバンドが演奏始めてもおかしくないくらい(だからそれだと龍が如くゼロだ)。そしてここでばちっと決める少年次元ちゃんの凛々しさよ。でもここで「弾ぜんぶ撃っちゃってどうすんだよ!」というルパンもそれ敵の前で言っちゃってどうすんだよだし、言われて、あ、ってなってる次元ちゃんも可愛さ無限大だし、こどもだ、こどもがいる! と思いました。車に乗り込んだあと、のんきに笑ってるルパンと現状把握しようとする次元という役割分担も、その後のかれらを彷彿させますね。でも、美人にギュッとされて、頬を赤らめちゃうあたりは、ふたりともやっぱりこども。くそ可愛い。

 ルパンの屋敷にたどりついた三人を迎えたのは、ルパンを「お坊ちゃま」と呼ぶ家政婦、しのぶ。電話を借りた洋子は仲間に迎えに来てもらうよう頼み、ルパンは次元に奪った銃を渡します。用は終わった、と去ろうとする次元ですが、洋子はそれを引き留め、お礼の歌を披露します。洋子の歌と振る舞いに、魅了されるふたり。そのままルパンの屋敷に逗留することになった次元ですが、洋子は置手紙を残して屋敷を去ってしまい、そのまま拉致されます。追いかけようとするも、見失ってしまうふたり。

 次元と仲良くなりたいルパンも可愛いですが、洋子を前にぽーっとしちゃうルパンと次元がほんとうに可愛くて可愛くてもひとつおまけに可愛くて! あくまで大人の女性に憧れる少年、という描写なので、いやらしくないのがいいです。そして、自分は砂糖を入れたのに、洋子と次元はブラックで飲んでいるのを見て、あわててコーヒーを飲んじゃうルパンの愛らしさよ。このあとはもうずっと砂糖抜きに挑戦したのかなー。そして、ルパンに銃の経験を問い「それで彼女を守れるのか?」とか言っちゃう次元ちゃんの背伸びっぷりが愛らしい。でもそのまま、枕投げに突入するあたりがやっぱり少年です。こどもだ! 

 そしてこのラスト、「おれの目の前で盗みを働くなんて、謝っても許さないんだからね!」というルパンの台詞がとてもいい。冗談めかしてはいるけれど、これはルパンのプライドです。畠中さんのひっくり返りそうに危うい、思春期の少年そのままの声だからこそ、とくにいい。うまいな!

 船に乗せられ、悪党どもに縛られた洋子。その身に危険が迫ったとき、ボートで現れたのは、家政婦のしのぶの機転で船の居場所を知った、ルパンと次元でした。悪党どもが投げたダイナマイトの爆発に乗せて、なんとか船に乗り込んだ二人ですが、次元は腕を負傷してしまいます。ルパンに逃げろと、言う次元ですが、ルパンが言うことを聞くわけもありません。銃弾のなか、ルパンは泥棒として生きる運命への戸惑いと怒りを正直に告白します。それを聞き、次元は叫びます。「決めろよルパン、下がるか、進むか!」その言葉に従い、走り出すふたり。

 ボートから船に飛び移るときに、肩を組んで同じタイミングで走る次元とルパンが可愛いです。アルバトロスを彷彿させる。そして、腕を負傷した次元ちゃんが語る台詞、ちょっと芝居がかってますが、次元ちゃんのこの手の言動の裏に見え隠れする次元パパの存在が気になって仕方ありません。こういう教育してるんだな、そして次元ちゃんはそんなパパのこと、きっとすごく誇りに思ってて、大好きなんだな(表面上は憎まれ口をたたいてそうですが)と思います。ママはいないのかな、やっぱり。

 で、そんな次元ちゃんからの素人扱いにキレるルパンも、いい。ルパンはルパンで、背負っているものがあるのです。そして、それを聞いた次元の台詞が良すぎた。あー、こういうことを言えるから次元ちゃんはルパンの相棒になっていくんだな、と思いました。大人になったあとも、ルパンにこういうことを言ってきたのは次元なんだなと。そこには計算や打算はないのです。きっと、次元は次元の感じたままを口に出してるだけで、それがルパンを動かす。そういうふたりなんだ!と思いました。ありがとう酒向監督、そういうの大好き!

 ダクトから船内に入った二人は、積み荷の爆薬を爆破して、船を沈めにかかります。追い詰められた悪党たちは船から逃げだし、次元とルパンは洋子を救い出します。その後、洋子は積み荷と共にマニラに渡り、ルパンと次元の手元には彼女からの写真だけが残ります。そして、学校に戻った二人のもとに、ふたたびやってきた不良たち。次元はこんどはルパンの手を借りることにして、そいつらに向かっていくのでした。

 洋子に「わたしのヒーロー」と抱きしめられるふたりの可愛さといったらないですね。そのあとの煙草のやりとりとか、大人ぶりつつもほんとに可愛い無邪気な子どもたちなので、洋子さんの笑いが止まらなくなるのも分かります。また、そういう経験をくぐり抜けたあと、ふたりがべたべたと仲良くなるわけでもないのがいいですね。ルパンの距離感は最初からこうだし、次元ちゃんも同様。でも、からかうようなやりとりのなか、距離がすこし縮まったのは明白。いいラストだと思いました。

 予告。ここでも旧ルリスペクトでたまらなかった。配信でもチャンネルって言うんだな。

 ED。これがもう素晴らしくって。セピア色の画面のなか、バイクを飛ばしているルパンと、後ろの次元。ふたりならどこにでもいける、どこまでもいける、という雰囲気で、なにか楽しそうにおしゃべりしている。でも、そこに流れる歌詞はあの「抱かれたものはすべて消えゆくさだめなのさ ルパン三世」なんですよ。泣いちゃう。つくづくいいなあ、と確認したら、絵コンテ、演出、原画が、あの横堀久雄さんだった。さすが。

 というわけで第1話でした。始まる前にはいろいろと思うことはあったものの、OPの段階で無条件降伏でした。その後も、キャラ把握が正解すぎて、文句ないです。なにより、ルパンと次元がホントに少年なんですよね……。若いというより、幼い。それがいい。お話のドタバタ加減も、旧ルテイストで楽しいし、見え隠れする伏線も興味深い。これからも楽しく見ていこうと思います!

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