「……花だ……リンダが散っていく……」(cv.山田康雄)
さあ、ルパン三世TVシリーズ(PART1~PARTⅢ)の合計228話より、ファン投票から選ばれた24タイトルをカウントダウン形式で放送する「ルパン三世べストセレクション」の放送がいよいよ始まりましたね!(URL)ネットを通じてルパンファンに広く呼びかけられたこの試み、胸をときめかせて投票した方も多いと思います。しかしながら、その結果が放送されるのは「日本テレビ」「テレビ信州」の2局のみというせつない事実(URL)。なので、放送されない地域に住んでいるわたしは、毎週、エア感想をあげていくことに決めました。だって、ずっと楽しみにしてたんだもん……・。
記念すべきベストセレクション、第一回、つまり第24位は、PART1第3話「さらば愛しき魔女」でした。詳細はこちらへ(URL)。以下の感想はもちろんネタバレです。お気をつけください。
さあ、リンダが来たよ!わたしはこの感傷的なお話が大好きです。ルパン三世という男がどんな風につかのまの恋に落ちるのか、そしてそのかりそめの恋人をいかに誠実に愛するのかということがはっきりと現れたお話として、すごく好き。リンダという不思議な女性、科学者の助手というにはあまりにフワフワとしてとりとめがない、その造形がまさに魔女というか妖精じみていて素晴らしい。時代背景がうかがえるヒッピー風のスタイルも素敵。新ルパンの「私が愛したルパン」のコーネリアもそうですが、ルパンはこういう人間離れした女性との組み合わせも似合う気がします。
とにかく山田康雄さんの声が素敵素敵素敵。リンダとルパンの場面では、最初の鬼ごっこのところの「下手に騒ぐと命の保証は出来ねえぜ」の芝居がかったオオカミ声がすごくいい。この話では不二子ちゃんともけっこうイチャついているのですが、馴染みの不二子ちゃんとリンダでは、その差が如実に声に出ていて、その正直さがまさに三世さん。
そしてルパンの台詞と言えば、なんといってもリンダが落命する場面の「……花だ……リンダが散っていく……」の響き。本当の恋を失うとき、男はきっとこういう声を出すのです。もう泣きそう。
それ以外のキャラクターも、不二子ちゃんは冒頭のルパンとのデート場面でのキスシーンやルパンと木陰でいちゃつくシーンが、二階堂有希子さんのコケティッシュな声の響きとあいまってすごくセクシー。可愛くて小悪魔的なところが実にいいです。
次元さんはルパンの危機に駆けつけて「次元大介という強い相棒がいなかったら、おまえなんざいまごろ生きちゃいねえな」とカッコつけるあたりがかわゆくてなりません。しかし青シャツに白ネクタイってどれだけオシャレ上級者だ。そしてお約束ながら、カワイコちゃんに夢中になってるルパンにあきれて振り回される次元さんという役回りも相変わらずで楽しいです。ラストの台詞、いいよね。
しかし旧ルパンは本当に会話がいいんですよね。命がかかった場面で「ルパン、ひとつだけ聞いておきたい」「なんだ」「この仕事の目的はやっぱり女か」「分かってるじゃない」とやっちゃうあたりとか、「次元、こんどばかりはちっと荒っぽい仕事になりそうだぜ」「へっ、おまえさんとつきあって荒っぽくねえ仕事がいままでにあったてのかい。できりゃおれはおりたいね」「そうボヤくな。もう回れ右はきかねえよ」とかさりげないんだけど、次元とルパンの関係性がわかるようなやりとり大好きです。
お話自体も危機に次ぐ危機という感じで盛り上がるのですが、個人的にはリンダが落命する場面でジエンドといってもおかしくない話だなあと思います。「第三の太陽」が無いと生きていけないリンダ、そしてそれが燃え尽きるときに命を失うしかなかったリンダのイメージのせつなさと美しさ。これが46年前の作品ですよ。ため息が出る。
というわけで、これまでにも何度も見た話ではあるのですが、改めて見てじっくりと楽しんでしまいました。やはり名作であると思いますが、これからの残り23作も楽しみ。寂しいあまりに書いてみたエア感想ですが、やってみると楽しかったので、これから毎週書いていこうと思います。名作ぞろいのレビューになりますので、言い古されたことをいまさらながらに書いていることも多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。