ルパン三世PART5第5話「ルパン対天才金庫」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL)。(わたしはhuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。どうぞ!
今回はアバンなし。そしていきなり「拝啓、ルパン三世さま。あなたはアルセーヌ・ルパンの孫で、大胆不敵、神出鬼没、世界で最高の頭脳を持つ男だそうですね。そんなあなたは、おいらたちより、ずっとずっとすごくて……」という少年のナレーションにのって現れるのは、歴代の様々な色のジャケット(赤も緑もピンクも青もぜんぶある!)で、懐かしの新ルOPのポーズを決めるルパン三世。ヤバい。可愛いしカッコイイ。これ全員分お願いします。
そして続くのは「アサ―」(谷岡ヤスジかと思った)のひとことから始まる、ヒラメキ兄弟のミニコント。ちょっとおバカな兄としっかり者(?)の弟によるやりとりで、兄弟が父親から継いだ工場が差し押さえの危機にあり、なんとか起死回生の手段を考えなくてはならないという状況が説明されます。一軒家の屋根にまで「差し押さえ」の赤札が貼られているというベタなおおげさ感で、はい、今回のお話は、こういうスタンスでいきますよ!と挨拶された気になりました。
にしても、「一+一は?」「うーん、五!」「あんちゃんだ!」というやりとりで、あ、わたしこれ知ってる、8時だよ全員集合でやってたやつだと思ったり、冷蔵庫の中のキャベツにまで赤札が貼られていると知ったお兄ちゃんの「アジャパー」ってひとことに笑ったり、お兄ちゃんが駆け上がった屋根にあるなんとも懐かしいタイプの太陽熱温水器(っていうんですってね。ググって正式名称を知ったよ)をみたりして、画面全体からむせかえるような昭和の匂いを感じていたところに、ピンクジャケットの三世さんが登場です。
そしたら、第一声が「よっこいしょーいち」でした。「恥ずかしながら、帰ってまいりました」まで言った。わが耳を疑った。それを追いかける銭形警部まで「これまた失礼いたしました」です。そして、立ち去る二人の姿を見て、弟はなにかをひらめきます。「ルパン?ルパンってどんなパン?」とか言ってるお兄ちゃんはボケてるんじゃないんだよな、おバカなんだよな……。ここでタイトル。
あの、いまのうちにお断りしておきますが、わたし、ここの感想を読んで下さってるかたって勝手に同年代かもうすこし年代上のみなさまくらいに思っているので、このさく裂する昭和ネタをこまかい説明抜きで書いてます。もしナウでヤングな平成キッズな方が読まれていて、このひとはなにをいちいち太字で強調しているのだろう……と疑問に思われました場合は、ご面倒でしょうが、ぜひググってみてください。ハッキリいいますけど、この第6話、そんなのばっかりです。
舞台は大東京銀行へ。マスコミを集めた記者会見(記者が鳥打帽でメモ帳持ってるのよ……カメラもちゃんと古いんですよ……)で、銭形警部の心配をよそに、頭取は、ルパンからの予告状が届いたが、ぜったいに破ることができない新型金庫があるから問題ないと豪語します。スポットライトを浴びて紹介されるヒラメキ兄弟。どうやらルパンからの予告状は、かれらによる狂言だったようです。かれらが作ったのは、巨大なからくりだらけの、その名も「天才金庫」。この金庫は、ひとの脳の力、その名も「脳力」を検知します。これ、いわゆるIQや知能指数ではなく、“脳力”なのは、コンプライアンス的なものなんですかね、やっぱり。
しかし、ここの「世界最高の脳力300のルパン三世、そして、脳力ゼロのおいらのあんちゃん!」って弟くんの台詞に笑った。ひどい。それでは脳力300のルパンにはかなわないのでは、との記者のブーイングに対し、弟くんは「この金庫は脳力ゼロを検知すると開くんです」と言い放ちます。だから、脳力300のルパンには絶対に開けられない!と。
早速、検知用のヘルメットをかぶってそのことを証明してみせるヒラメキ兄ちゃん。機械の動きが大げさであればあるほど(だって蒸気で動いてるんだよ)、馬鹿馬鹿しさがきわだちます。ここ、頭取の大げさなアクションとか歌うような調子とか、新ルのドタバタ回の雰囲気そのままですね。楽しい。キャラの描き方が、じつに新ルというかトムスというか(笑)。
一方、その様子を隠れ家らしき閉店したスナックで見ているルパンと不二子。不二子は「面白いじゃない、ルパン。ちょっと開けてきなさいよ」とけしかけますが、ルパンはまったく乗り気でなく、なんとも浮かぬ顔です。ここの不二子ちゃん、これまでのPART5に登場したときの謎めいた美女的雰囲気は皆無で、飾り気のないラベンダー色のシャツとバーガンディのスパッツ姿なのですが、じつにコケティッシュで可愛い。グラマーじゃなくてボインちゃんってやつです。
そして、そこに頬を押さえつつ次元も登場です。次元の虫歯ネタは定番ですね!この次元さんは、オレンジのシャツとモスグリーンのネクタイなのはパースリ設定ですが、ジャケットの色は青じゃないのね。次元も不二子同様にルパンをけしかけますが、ルパンは相変わらずその気でなく、次元に対しても喧嘩腰になります。あわや一触即発の雰囲気になるふたりですが(帽子の下から次元さんの眼がのぞくんですよー)、そこに不二子ちゃんが割って入ります。
しかし、ここで「おまえ、だれからもお誘いがかからなくて暇してんのか?」ってルパンの不二子ちゃんへの態度がなんかクールなんですけど。そして、それに図星の顔で頬を赤らめる不二子ちゃんの可愛いこと可愛いこと。「あたしがこんなに心配してあげてんのに、どうしてぜんぜんやる気出さないわけ?」と不二子がむくれていると、やがて次元が煙草に火をつけて「ルパン、先週貸した、ヤニ代返せ」と笑います。しぶしぶ500円玉を出すルパン。それを見て不二子もなにかに気づいた様子で「そうだ。こないだのコーヒー代、まだだったわね」と笑います。それにも千円札を出すルパンですが、さらに次元はガソリン代を要求し、それには、ブタちゃん貯金箱を割って応じるルパン。この貯金箱の素晴らしい昭和感よ。子どものころ持ってた気がするな……。そこにさらに「ルパン、それがしが立て替えた米代を」とやってくる五ェ門。ここのテンポ、笑った。
これにはさすがのルパンも「もうわかった!いくらとってくりゃいいんだ、脳力300のルパン様が行きゃあいいんだろ!」とキレます。どうやらこのルパン、お財布が寂しいようすですね。その様子を見て「よ!大先生」とはやし立てる次元に、「最初からやると言えばいいのに」と笑う不二子ちゃん、きょとんとしてる五ェ門という各人の反応がらしいです。
そしてなぜか空き地ではじまるルパンの演説。背景に煙突、土管の上に腰かけるルパンといった図がまた昭和だな……。青い猫型ロボットとかいそうだわ。まあおまえら見てろ、といきなり呆けてみせるルパンですが、意味が分からず顔を見合わせる次元と不二子、という一瞬のカットでわたしの脳力も100くらい下がった気がする。(後述しますが、このあと、もっと下がることになった)要するに、天才だから馬鹿も装えるぜというわけで、大東京銀行に忍び込むことが決まります。
天才金庫を前にして「夜だけど、おれさまにかかれば朝飯前」とヘルメットをかぶってみせるルパンがらしいですね。すぐ馬鹿になるけどね。脳力がどんどん下がっていく様子を不安そうに見守る、銀行の頭取とヒラメキ兄弟。しかし残念ながら脳力は「35」までにしか下がらず、そこに銭形警部率いる警官隊も現れます。
ルパンに対し「ボーっとしていただけとはいえ、これは強盗予備罪だ!」とすごむ銭形警部ですが、ぼーっとしたままのルパンはひとこと「……あんだって?」とんでもないあたしゃ神さまだよ、と続けるかと思ったよ!あわてて駆け寄る銭形ですが、ルパンの目はそこでぱっと見開き「こんなところで捕まったらほんとうの馬鹿だぜ!」といつもの調子に戻ります。そこで地にぶつけたのは爆弾と思いきや、「ハズレ」の文字と紙吹雪。動揺する銭形に「残念でした、とっつあん。ばいちゃ~」と去るルパン。ペンギン村からおはこんばんちわですか。
そこに、おバカなひらめき兄が飛びこもうとするのを弟くんがみごとなブレーンバスターで止めますが、あれはやはりテリーマンリスペクトなのでしょうか。なおかつそれを見て「おっと、元気で留守がいいってね」と笑って逃げるルパン。おっと=夫ですよね。タンスにゴンか。この第6話が始まってから薄々気になってはいたのですが、わたしのhuluはいつのまに時を越えて80年代に接続するようになったのでしょうか。
しかしこれによって、借金も返せる!と喜ぶヒラメキ兄弟でした。ここでアイキャッチ。これがこれまでの第1シーズンと違った新しいもの。じつにパースリリスペクトな素敵イラストでした(URL)。小ネタがちりばめられてるの、最高です。マンガ家でルパンファンのさいとー栄先生によるものだそうです。先生のルパンイラストはPixiv等でも見ることが出来ますが(URL)、これは本当に可愛いな……。
さて、舞台はふたたび、ルパンたちがアジトにしていると思しきスナックへ。せんべいをかじりつつ(このチョイスがまた昭和だ)「くやしい!」と怒る不二子ちゃん。ああ可愛い。そうだよな、このPART5、第1エピソードのいかにもファムファタル然としたクールでミステリアスな不二子ちゃんも、もちろん素晴らしいんだけど、不二子ちゃんって、こういう血の通った生身のワガママなオンナの子の部分も持ち合わせているキャラだと思います。そして、わたし、こういう不二子ちゃんが大好きです。
そんな不二子に責められ「しょうがねえだろ、ゼロなんて人間業じゃねえ!なあ次元」と同意を求めるものの、次元さんは視線をそらして知らぬ顔。そして不二子ちゃんはひらめきます。「そうよ、本当に脳力を削っちゃえばいいのよ!」あまりの発言に、あきれるルパンですが、次元も「不二子の言うとおりだ」とうなずきます。
……あのですね。わたし、ここまであえて触れずにいたんですけどね。自分でも、あれ、おかしいな。わたしの目には紫のモノクルまだ入れたつもりないんだけどな?とゴシゴシして、首をかしげてたんですけどね。この第6話、おかしいんですよ。なにがおかしいって、次元と不二子の関係性がおかしい。仲が良すぎる。息の合い具合が尋常でない。
だって、最初からおかしいんですよ。銀行襲撃に乗り気でないルパンをたきつけるもうまくいかずにむくれる不二子ちゃんをちらと見て、ルパンに貸した金を返せと言い出したら、すぐにそれを引き継いで不二子も便乗する。なにこの以心電信ならぬ以心伝心(この場合はORANGERANGEではなくYMOでお願いします)。そしたらこれだ。次元さんがごくフツーに不二子ちゃんの肩を持ってる。おかしい。
この第6話はあきらかにこれまでの第1エピソードとは時間枠も世界設定もパラレルなのかつながってるのかよくわかんない話ですが、そこらへんは理屈で考えるべきじゃないとは思う。でも、この第6話のふたりって、どこらへんの時空にいるの?パースリジャケットを着てるからパースリぽいのかっていえば、パースリのふたりは小学生みたいな言い合いする犬猿の仲でしょ、ノリが新ルだっていうんなら全155話のあいだでいちばん濃厚な接触がゾンビに追いかけられておびえた不二子ちゃんが次元に抱きついて「悪い気はしねえが」って5秒で終わったあれなわけですよ、あとは基本的に、あの女は信用できねえとか性悪女とか言ってるはずなんですよ。ところがこの第6話のふたりときたら。まあ、ここらへんはあとでじっくりと。いまはもうちょっと本編の展開を追いましょう。それがまたすごいから。
不二子の言葉を聞いてなにかひらめいた次元さん。ここがまたとんでもない。「よーし、とりあえず」と不二子を見て「不二子。おまえ、脱げ」って言うんですよ。画面の中の不二子ちゃんと同時にわたしも「なに言いだすのよ!」と声を上げました。
まあそれは次元さん曰く「男はな、女の裸を前にすると脳力が下がるもんなんだよ」ってことらしいんですが、そんなこと言いだすあなたの脳力もたいがい下がってませんか、次元さん(すみませんつい言わずにいられずに)しかしそれを聞いた瞬間のルパンさんの顔を見て小一時間笑った。なんだこのきれいなジャイアンならぬきれいなルパン。そのままパンツごと脱ぎそうになるのもいいな。不二子ちゃんに灰皿をぶつけられるお約束も含めて。(あとで気づいたけど、このきれいなルパンは明らかに宮崎ルパンですね。だから灰皿をぶつけるのは「アルバトロス」のオマージュか!)
そしてどこからともなく現れた「脳力測定装置」(なんの脈絡もなく現れたもんだから、次元さんが「こんなこともあろうかと準備しておいた」とか言ったらどうしようかと思ったよ)で、灰皿をぶつけられた瞬間に、ルパンの脳力が下がったことを確認して「おお、これこれ」と喜ぶ次元。こんどはフライパンでルパンの頭を叩きます。鬼か。そこでさらに脳力が下がったことに気づき、不二子とふたりで顔を見合わせ、にやりと笑う……。えっと、わたし、いま公式見てるんだよね?わたしのhulu、80年代を経て、いまはPixivとつながってるわけじゃないよね?
さらにその勢いのまま、ルパンをぼこぼこにする次元と不二子。ここで告白しますけど、わたし、そのうちタライか一斗缶が落ちてくるんじゃないかと思ってました。この第6話、ドリフリスペクトっぽいし。さすがにボロボロになったルパンは五ェ門に助けを求めますが、五ェ門は平然と「祖母曰く、松ぼっくりの粉をそばにかけると身体にいいらしい」と松ぼっくり入りソバの皿を差し出します。粉じゃないし!そのまま入ってるし!五ェ門のこういう天然さはほんとうに可愛い。
その後もルパンの脳力を下げるべく、次元と不二子の協力プレイ(別の意味のプレイはたぶん画面に映ってないけどわたしの脳内にそれはもう)(ほんとうにすみませんいわずにいられなくて)が続きます。
靴下の匂いを嗅がせるとか、猫の集団に放り込むとか(新ルの「君はネコ、ぼくはカツオ節」のにゃんこっぽい!)コタツに入ってストーブに当たりながらなべ焼きうどんを食べるとか(「ガンバルマン」かな)、お尻に伸びたルパンの手を見とがめて不二子ちゃんのハリセンが飛ぶとか(そしてそれをながめている次元さん……)、にこやかな表情で煮えたぎっている釜を準備したものの、三人に「それは違う」的に手を振られてきょとんとしている五ェ門とか(あなたご先祖様がそれでえらいめにあったでしょう……)、さんざんなかたちでの試練がルパンの前に現れます。
舞台はやがて、以前にも出た空き地に。このとき不二子ちゃん着用のジャージ(断じてスウェットではない)がみごとなまでの紫で、もうわたしどうしたらいいの。目に映るものすべてがメッセージ状態だよ……。不二子ちゃんはピコピコハンマー、次元さんはゴルフクラブって、この微妙にトンチンカンなかんじがいいですね。そしてここでも意気投合しているこのふたり。わたし、これまでそれなりの数のルパン作品をチェックしてきたつもりですが、こんなに明るくためらいもなく不二子に「な?」と問いかける次元さんを見たことがありません。もしかしたらどこかにあるのですか。ガンダーラとかエルドラドとかにありますか。それはともかく、ルパンはまた五ェ門に救いを求めるものの、やはりまたお祖母ちゃん秘伝のミミズのだし汁が出て終ります(新ルだ!)。
そして個人的にいちばん笑ったのが、ここからのブタに乗っての逃走(?)と蛇口を針金で縛った減量風景ですかね。あしたのジョーか!あっちもいまリメイクやってるから(「メガロボクス」面白いです)タイムリーと言えばタイムリーですね。このあとのカモメが飛ぶのもジョーかな。河川敷走ってるしな。BGMも素晴らしい。フレーフレールパンマダマダガンバレ♪大野雄二先生はさすがのプロであらせられますね。このちりばめられた小ネタ集、拾えるかぎりは拾いたいけど、さすがにぜんぶは無理な気がしてきた……。
いよいよ疲労困憊したルパンですが、次元と不二子は平然と測定装置をのぞきこんでいます(ソファに隣同士で座ってるふたりの距離がすごいよ。次元さん、余裕で肩抱けるんじゃないの)。「5」まで下がった数値を見て「おれ、ルパンにこういうのやってみたかったんだ」と笑う次元さんが、なんか、その、いままで苦労してきたんですねって感じですか……。でも不二子ちゃんはまだ「ゼロ」じゃない、と不満げです。女の方が残酷ってこういうときに分かりますね……とか思ってたら、次元さんも腕まくりしてやる気満々じゃないですか。そしてまたふたりで顔を見合わせて微笑んだ後、それで終わらず、声を合わせて大笑いするとか!もうやめて、とりこ。のライフはとっくにゼロよ……(しかしやめないでほしいのも事実であった……)
一方、舞台は大東京銀行に。不二子が出したルパンからの予告状を前に心配げな銭形ですが、頭取は銀行の預金者が増えたと鼻高々。ここらあたり、新ルの「マイアミ銀行襲撃記念日」を思い出します。やがて夜が更けて、野次馬とマスコミが見守るなか、戸板に乗せられ、次元、不二子、五ェ門に運ばれてくる、包帯でぐるぐる巻きになったルパン。ここはみごとに「カリ城」ですね。天才金庫の前に座らされ、検知用のヘルメットをかぶるルパンを見て、不二子ちゃんは「ルパン、いまこそ特訓の成果を見せるのよ」と意気込み、涙ぐみつつこれまでのことを思い出します。
もう予告時間までわずかだというのに、ルパンの脳力は「2」から「3」を行ったり来たり。すっかりつかれきった不二子ですが、同じくらいやつれた次元の「耐性ができちまったんじゃねえか?」という言葉に「直接けずっちゃえばいいのよ!」とノミを取り出したのには笑った。さすがに帽子の下から目を丸くして「待て待て!バカになる前に死んじまうぞ!」と次元さんが止めたけど。いやあ、仲良しですねえ……。
そんなことを思い出しつつ「ルパンならなんとかしてくれるわ。ここまで頑張ったんだから。ぜったいうまくいくの!」と涙する不二子ちゃん。泣きたいのはルパンの方ではないかと思ったのはわたしだけでしょうか。そして、それを心配げに見つめるヒラメキ兄弟。おバカなお兄ちゃんは、ルパンの応援を始めます。「できるぞ、おれにもできたんだ」ってここ笑うところですよね。
息をのんで見守る周囲をよそに、どんどん下がっていく数字ですが、結局「1」で止まってしまいます。しかし、がっくりと床に膝をつくルパンを見て、おバカなお兄ちゃんはルパンに駆け寄り「ルパンはこんなに頑張ったんだぞ!」と叫ぶのです。ゼロとか一とかちょっと違うだけだから、開いたことにしちゃおうよ!と、ものすごい力技で感動的な場面にさせられていますが、なんかすごいコントです。しかし、そのお兄ちゃんの熱い言葉を聞いて、ルパンの目に輝きが戻るのでした。わたしはもうここで、この話でいちばんルパンがカッコイイというか、冒頭以外でようやくカッコいいルパンが見られた喜びにときめいたのですよ。
しかも「さーてみなさん、世界最高の脳力300であられます、ルパン三世さまの開け方、とくとご覧あれってんだ」って江戸っ子言葉で言われちゃえば、キャールパン―!って感じになるでしょ。すごくすごく期待した。ときめいた。うん、ここからどうひっくり返すのかなってわくわくしたんだよ!笑えよ!もちろんここで笑うのはルパンじゃなくて、わたしのことだよ!
あっというまに脳力を300まで上げるルパン。しかし、もちろん金庫は開かない。さあどうすると心配げに見守る次元と不二子、その他大勢!そこに「見ろ!これが脳力300、ルパン三世さまの答えだ!」とジャケット投げた下にあったものは。ものは。もの、は。
大量の青魚。うん。ギョギョギョ。魚クンさんは平成の人だからここは昭和じゃなかった。それはともかく。
えっとですね、ルパンはなにをしたか。ええ、いきなりその青魚を頭っから食べ始めたんですよ。あのカリ城の「じゃんじゃんもってこい」な感じで。すると、300で止まったはずの数字が揺れ始めます。減るのではなく、増えるほうに。そしてそれを見て不二子ちゃんが言うのです。
「そうよ、青魚には頭のよくなる成分、おりこう酸が含まれているってテレビで言ってたわ!ルパンはおりこう酸成分を過剰に摂取することによって、頭を良くしてるのね!」
サプリで取れー!(絶叫)。いや、その、もうわたし、青魚をルパンがむしゃむしゃし始めたときからもう笑って笑ってしかたがなくて。不二子ちゃんの解説の下に「おりこう酸」って出た瞬間に吹いた。ドコサヘキサエン酸(DHA)だもんね……おりこう酸だね……。笑いましたよこんなもん。さながらお笑いウルトラクイズで人間ロケットクイズとか見ているときのビートたけしのごとく「くっだらねえなあ……」(満面の笑顔)と言い続けました。ほんとう、ひどい(褒め言葉)。これ、ひどい(最高の賛辞)。この平成も最後の年に、昭和でも許されたかどうかあやしいぎりぎりの力技でおもいきり投げられた思いになりました。完敗です。だって笑っちゃったよ。ほんと、笑った。
そこで、銭形警部による親切な解説が。つまり、ルパンは脳力300を超えることで、金庫をオーバフローさせたわけです。時計の文字盤のように一周してゼロになるのだと。その言葉の通り、金庫はみごと開きます。
しかしルパンもオーバフローした感じで腑抜けているので、次元が抱えて慌てて逃げることに。不二子の「大丈夫、ルパン?」という言葉に「大丈夫だあ」と答えるルパン。クリカンさすがですね。結局、金庫は空いたものの、中身は手付かず。頭取も「引き分けだな、みなさん、そういうことで、バイナラ」とその場を去ります。欽一まで押さえるのかこの昭和ネタめ。
意気消沈するヒラメキ兄弟でしたが、この一夜で有名人となり(しかし「脳力が低いってどんな気分ですか」って記者の質問ヒドくないか)、ルパンが魚を食べたことからヒントを得て魚の缶詰を販売することになりました。お兄ちゃんは近所の人気ものに(「ネコと和解せよ」の標語がある……)なっています。いろいろあったけど、おいらたちは元気です!と冒頭の手紙につながったところで、場面は例のスナックに。
「ルパン、それがしの米代だが」とやってくる五ェ門が見たのは、元に戻ったルパンの前で反省モードの次元と不二子。ふたりとも椅子の上に正座しているんですが、とりわけ次元さんの正座がかわいい。ちまっとしている。「おれの脳力を削るとかなんとかいいながら、調子に乗りやがって」というルパンの台詞はまったくもって正しい。うん、このふたりはだれが見ても調子に乗っておりました。
それぞれ、美容院の予約が……急に虫歯が……とこの場を逃げようとするあたり、息がぴったりですね。「そろいもそろって犯罪者のくせに、いっぱしの罪悪感をお持ちだなんて、高尚ですねー」と悪い顔で笑うルパン。しかしそれに対し「脳力大先生は、虫歯以外に痛いところをついてきやがるな」とつぶやいたあとで、不二子に向かい、次元が言った言葉が。
「ま、とりあえず、不二子。脱げ」ですよ!二回目。そんなこと言われて「はあ?!あんたまで馬鹿になっちゃったの?」と真っ赤になってあわてる不二子ちゃんの可愛さよ。喜んで不二子にルパンダイブしたルパンでしたが、みごとに不二子ちゃんの10tハンマーでのお仕置きを受け(これはシティーハンターかな……)、「ダメだこりゃ」で終わるのでした。クリカンさん、いかりや巧すぎるだろ……。黒バックにまるで終わるところまで最高だ。
予告。雰囲気はもちろんガラッと変わり、PART5、エピソード2にふさわしい画となります。ルパンの過去を知る男、贋作師のガストンに頼まれて絵画を盗むことになったルパン。男を誘惑する不二子ちゃんの絵まであってドキドキです。首を掻っ切るルパンの仕草が超カッコイイ。そしてとうとう気になるあの男の登場です。第7話のタイトルは、「その名は、アルベール」でした。楽しみ!
というわけで第6話でした。いやあ、これまでの1~5話のエピソード1の雰囲気を見事に断ち切る、素晴らしいギャグ回でありました。わたしはこれまでさんざんカッコいいルパンが好きと言ってきましたが、そういう意味ではこの回のルパンはあまりにカッコ悪い……とみせかけて、やっぱりカッコいいのでは。というか、わたしはこういうルパンも大好きなんだよ。新ルで育った人間が否定できるわけないだろ、こんなもの。わたしのベスト新ルエピソードの中には「ルパンのお料理天国」とかはいってるんだぞこんにゃろめ、という感じで大いに楽しませてもらいました。今回の脚本担当の酒向さんは「ルパンをやるために業界に入った」と発言されていたらしいですが、満を持しての登場でこんな話をやっちゃうあたりに、なんというか、ホンモノ度合いを感じますね。本当にルパンが好きなんですね……。
そういえば、ちょうど6話の放映日に、今回のルパンの脚本家、大河内さん以外の7人が発表されましたね(URL)。それぞれのみなさんの代表作をながめればなんとも錚々たるメンバーですが、個人的には、時雨沢恵一さんの名前に悲鳴が出ました。でも、7人ということは、メインのエピソードは全3本くらいになるのかな。ひとり1本としたら、一話完結話が7本になりますよね。すると、全24話として、連続完結話に費やせるのは17本。エピソード1は5本だったから、残る12本で2エピソードくらい?しかしそれだと連続話の間に一話完結話を挟むバランスが難しいかな。うーん、どうなるか分からないけど、楽しみに待ちたいです。
(とか言ってたら、第7話の脚本は雑破業さんでした(URL)。わたし、連続話はすべて大河内さんが書くものだと勝手に思い込んでたんですが、どうもそうじゃない様子ですね。連続話を大河内さん以外も書くとなると、ますます先が読めずに面白くなりそうです……/2018.5.11追記)
しかし、この6話ですが……。そろそろ、核心部分について語ってもよろしいでしょうか。あのですね、本当にどうしたらいいんですかね、わたし。次元が不二子に銃を向けたり、ギリースーツを着てたからふたりのはじめての共同作業とかはしゃいでいたこれまでのことを思えば、なんかとんでもないものを見た思いでいっぱいです。だって、次元と不二子の仲が良い……尋常じゃなく和やかで、普通にうまくやっている……。これまでは、もしこんな場面を見たら「もしかしておつきあいとかなさってますか」とかつぶやいていたわたしですが、ごめんなさい。今回はそれどころじゃない。このふたり、たぶん、もう結婚してる……。
わたしには見えるのですが、たぶん、あのカラオケ&スナック「なないろ」の二階で普通にふたりで暮らしてますね。不二子ちゃんがカラオケスナックの美人ママで次元さんがヒモだよ。ママ自慢の看板料理の煮込みはじつはヒモが仕込んでいるんだよ。「え、おまえら籍入れてねえの」とか友達に聞かれたら「役所行くのが面倒くせえ」とか言ってるんだよ。事実婚三年目くらいだよ!
だって、そうでもないと納得できないでしょ、あの距離感、あの息の合う感じ!昔からふたりとも金とかルパンに関することではたまに気が合うことはあったんですが、今回、その金すらとってないのはどういうことですか。しかもコバキヨさんの声で「不二子、脱げ」ですよ。なに命じてるんですか、次元さん!もう本当に、コバキヨさんの声でこんな台詞を聞く日が来るとは思わなかったよ。わたしでもこんな台詞恥ずかしくて書けない!
そしてさらに恥ずかしいというかなんというかなのが、それを言われた不二子ちゃんのあの反応です。赤くなって自分の身を守るかのように抱きしめる。それはいい。でも、そのあと次元さんを赤くなった顔のままでむくれて睨むの。すごいのその顔が。すいませんこのジゲフジ作家さん、残念ながらPixivではお見かけしたことないんですが、サイトはどちらですか、やっぱりオフラインのみで活動中ですか。イベントはどちらで、書店卸はどこのとらのあなですかK-BOOKSですか……て感じです。もう手が震える。
もうほんとうに、どんなに頑張っても公式には勝てない(勝つ気もない)。それは分かっているけれど、参りました。なんちゅうもんを見せてくれたんや……なんちゅうもんを……(美味しんぼの京極さんが鮎食べたときの顔です)て感じです。だって、こんなに自然にふたりが仲良しでいるのに、それでもちゃんと次元と不二子なんだもの。わざとらしくないの。破天荒ではありつつもしっかり公式の枠内に収まったあのふたりなのに、こっちの目にはそうとしか思えないんだもの。すごいよ、降参。ほんとうに嬉しいというか、動揺しました。たぶん、しばらくこの動揺は続く。つぎのエピソードで、またあのクールな不二子ちゃんが現れたら落ち着くかな?でも、それもまたそういう風にしか見えないかもな……。PART5、神シリーズだよ。この第6話まるごと、ジゲフジ界の殿堂入り決定でしょう。
さて、気を取り直して(たぶん取り直せてない)次回ですが、いよいよアルベールの登場ですね。ルパンの過去っていったって全シリーズを通り過ぎているこのPART5で、ルパンの過去を扱うのってなかなか難しい気もします。でも、楽しみ!もうPART5に関しては、ドキドキするけど、不安はない。エピソード1の余韻も、6話のこれで吹き飛んだことだし、新しい気分で見られそうです!(笑)
申し訳ないことに、今回は次元と不二子のふたりが普通に結婚していたため(落ち着け)、かつてない長さとなったこの感想ですが(あとわたしが小ネタを拾うのが好きすぎるのだ……)、これからもこんな感じの感想を毎回書くつもりです。ストーリーを追いつつも、ジゲフジ面についてなにか動きがありましたら、このような感じでおかしくなりますが、そればかりはお許しください。そうでなくても、くどくどと細かいことを語る感想ですが、読んで頂ければ有難いです。拍手、励みになっています。なにかありましたら、気軽にメッセージもぜひ!これからもよろしくお願いします、ありがとうございました!
とりこ。さーん!
私もつい先ほど6話を観まして、居ても立っても居られず駆け込んで来ました!
もう公式さまがドカドカとジゲフジ連投してくるので、ほんと動悸息切れが激し過ぎて魂抜けそうです〜
>RYUさま
コメントありがとうございます。わたしもいてもたってもいられずこんな長い感想を書きました!(笑)なんでしょうね、この連投……。
今回は一話完結とはいえ、なんだかこれまでのTVシリーズまるごと以上のものが投げられた感すらあります。こんなに息があってて、フツーに仲良しのふたりは初めて!これだけ感想を書いても未だ動揺が続いており、なんだか落ち着きません。これからの展開にも期待ですね!