楠本柊生帝國元帥 Presented「ライヒス・リッター~元帥がやってくるYar!Yar!Yar!~」(ZeppNagoya)

 さて、本日はZeppNagoyaにて、楠本柊生帝國元帥Presented「ライヒス・リッター~元帥がやってくるYar!Yar!Yar!~」です。前回のライヒスリッターで痛感した3時間の長丁場は辛いということと、そもそも「Yar!Yar!Yar!」という式典自体がそんなにお気に入りでないという事実は、少しばかりのマイナスポイントでありますが、それでもこのわたくしが、ライヒスリッターを諦めるわけがありますまい。そしてふと思えば、前回、5年前のZeppNagoyaでの式典(わたしは参加しなかったのですが)が、ライヒスリッターとしての最後の式典となったはずです、確か。そしてこの時に、児玉少尉が一瞬復活して、わたしはそれを見る事が出来ずに、また5年の月日が流れたというわけ。

 わたしが以前作っていた第14帝國ファンサイトのお客様なら、必要以上にご存知かもしれませんが、わたしはこの児玉少尉というリッターが本当に好きで好きで好きでなりませんでした。10年前に、かれが帝國が離れたときのことを思い出すと、いまでもなんだか胸がぞわぞわします。もちろん自分にとってのナンバーワンリッターは永遠に立花大将であるのですが、児玉少尉は、なんかこう、レベルが違う夢中さを感じたリッターでした。その後も、お気に入りリッターはその場その場で、ちらほらと現れましたが、あんなに好きになった相手はいませんでした。そこで、どうして?と首をかしげるのはやめてください。あなたの分まで、わたしがすでにかしげていますから。

 そしていま、かれは復活し、その姿は10年前にわたしが好きになったときと変わらず(頭髪以外)、でも、良い方向に変化しているところもあるのです。そんな、現在の児玉少尉全部を把握するには、あと式典3本は欲しいところだけど、今日からあとのかれの出演予定は、いまのところ、ない。10年ぶりにしっかりとその姿を見る事が出来たけれど、もうお別れです。それはそれで仕方がないことと、諦めはついているのですけどね…(寂)。

 式典前に、真夜さんと待ち合わせて、お茶をしました。真夜さんとは、グルグル映畫館の活動自粛(なにかいけないことをしたような気がするけど、天野氏の体調不良による活動のペースダウンです)のこととかを話しました。わたしは、グルグル映畫館がフルアルバムを出すというのが、楽しみでなりません。グルグルみたいな世界観とコンセプトでやってるバンドこそ、フルアルバムを出して欲しかったんですよね!わたし、これも10年ぐらい云ってきました。そしたら、ツアーも行きたいな。

 ぼちぼちとZeppNagoyaに行くと、今回はどんな皇帝陛下の気まぐれか、とても良い場所に座ることが出来ました。入場時に受け取ったチラシの束から、とりあえず今後のライヒスリッターの予定が挟み込まれてはいないかと大急ぎで確認したものの、それはなし。そのかわりに「オレたち14帝國」の素敵なチラシ(リッターみんなの表情がすごくいい)に、今後の予定が記されているのを見つける事が出来ました(8月1日・11月14日/アポロシアター)。これに悪魔さんの予定を合わせると、今年のわたしは、7月以外は毎月、新幹線に乗ることになりますね。アハハハハ(空笑)。いいの、この為に社会人になったんだから。真面目な話、問題はもう金でなく、健康と時間だけです。大人になるってそういうこと。

 ちょっと押した開演時間。暗くなった会場に、ゆっくりと「Numb」が鳴り響くと沸き起こった、いつも感じるあの胸のはらはらとした気持ちと、不思議な焦燥感に似た感情に、両手をぎゅっと握りしめました。それこそ、百回以上は体験している時間なのに、一回もこれを平常心で過ごしたことはないなあ。オンブラッタは、わたしのそんな気持ちをさらに駆り立てるように、前回よりもより完全に出来上がっていたように思えます。大将グッジョブ

 広い会場でのオンブラッタは、旗が遠慮なく舞うさまが本当に美しい。天崎少将の「Gratest of All」という言葉が、ぴったりと合う柊生元帥のたたずまいの美しさと凛々しさはいうにおよばず。そして、端っこで一生懸命、旗を振ろうとして振られているように見えるちびっこも。始まるまでに十分感傷的な気持ちになっていたものの、シルエットだとその頭のかたちがくっきりして、出かけた涙も引っ込んだのだが、かえってそれが良かったかもなあ…。

 前半。あー、やっぱり、大幅な変更はないのねーというのを確認したら、あとは各リッターの動きや台詞運びを堪能して過ごしました。シリアスシーンの立花大将は本当にカッコいいなあ。みな良い歳とはいえ、やはり大将クラスのたたずまいのひとがそこに存在するだけで、この世界の重みは違ってくるよ。「柄じゃない」という台詞は、大将という存在を象徴するのにぴったりだと思う。こういうのをキャラがたつというのだ、うんうん。そして、この前半自体は、退屈するところが無くて、わたしは好きな前半です。謎の提示と、思わせぶりな伏線が見え隠れする台詞と構成は、後半への期待をそそる素敵なものだと思います。

 オールナイト14。ここでは体重をネタにされる中将がいとおかし。公式の掲示板(URL)でも、ダイエット宣言されてましたが…。うん、「二週間で痩せる」っていうのね、昔は出来たんですよね…。でも、基本的に30の坂を越えたあたりから、そういうことが出来なくなっていきますよね…(自分に刺さってないか、これ)。頑張ってシャドウを入れたのは分かりました(笑)。それでも「デニッシュパンの上にソフトクリームを乗せてガムシロップをかけると白ノワールになるんです」って、聞いただけで血糖値が上がりそうです。真夜さんとあとでつぶやきましたが、ぶっちゃけ、いまの中将は、大将よりも医学的な意味で太っていませんか。誤解されやすいのですが、大将は別にデブじゃないのです。ああいう体型なのです。で、本来、ああいう体型でない中将が、ああなっているということは…。ど、どなたか!お客様のなかにメタボ専門のお医者さまはいらっしゃいませんか!(さすがに失礼な気がしてきました…でも本当に健康が心配…)

 あと、「世界が100人の村だったら」というネタで、さんざん話をしたあとに、そもそもの話のコンセプト自体をまったく理解できていなかったことが明らかになる大将には、客席で倒れそうになりました。愛しさのあまりに。それでこそ大将。「本を読め!」なんて無茶を云わないで下さいよ元帥。そこが可愛いのに。にこにこ。

 CM。前回のライヒスリッターでも登場した天崎少将、吾妻中佐、有馬大尉、阿久須少尉、秋山少佐による「あ組」は、なんというか、実に懐かしい感じにぐだぐだで、ヒドかった(笑)←褒め言葉。しかし、有馬大尉が、これまでにないくらいの発言量と発声で、ちょっと驚きました。天崎少将や吾妻中佐と仲良くなったのが良かったのかしら。けれど、わたしの注意は、途中で登場した立花大将と児玉少尉と風間少佐のトリオにくぎ付け。元ネタ、AGAのCM?大将の振り付けに比べてみると、懸命に決めていることが分かる児玉少尉の動きのキュートなことキュートなこと。大真面目な表情がまたいいんだ。にこにこ。続く「成り上がりエックス」は、わたし、あれ、「デスノート」であっさり終わってもすごく面白かったと思うんだけど(笑)。最後には、風間少佐が登場して、一発で二人を撃ち殺すとかいう落ちを期待しました(笑)。

 さらに「リッターオリエンテーリング」の代わりに、なんと「尉官’S」が復活…というので、驚きました。ぶっちゃけ、「尉官‘S」そのものは、わたしには鬼門(…)。だけど、「尉官’S」ということは、尉官だから、尉官がいるから!というわけで、それからしばらく、児玉少尉の姿をたっぷりと拝見することになりました。これがもう、あなた。嬉しいとかそういうレベルでなくて、一言で云うと、「消耗した」。失礼なことを百も承知で例えますが、自分のこどもが幼稚園のお遊戯会に登場したのを見守る気持ちってこんなのかしら…。児玉少尉が幼稚園とかそういうんじゃなくて、ハラハラドキドキ具合が、もう、ハンパなかった。手に汗握った。すごく見ていたいんだけど、見ていられない。でも、本当に、成長したよね、児玉少尉!それは断言できます。わたし、臣民の中で、10年前の児玉少尉のことをはっきり覚えていて、なおかつ今回の式典でも児玉少尉にくぎ付け臣民ベスト3には入ると自負しているのですが(残り2人のかた、メールしてください)、多少、ぎこちなかったり、タイミングがずれるところがあったとしても、10年前の児玉少尉はこんなこと出来なかった、と思うところがいっぱいありました。おねえさんは嬉しい…(涙)。

 そしてそれは、他のリッターでいえば、有馬大尉にも多く感じたことであります。繰り返しますが「尉官‘S」の内容そのものは、わたし、まったくボリュームゾーンに入っていない客なので、あれなんですが、発声とか動きとかが、確実に変化していた。すごいなーと思いました。とくに、一緒に出演していた長沢大尉が、実に良い意味での時の止まりかたをしていたので、余計にそう思ったのかもしれません。あれだけ変わらないというのはすごいよ、長沢大尉…。あ、武藤中尉も、変わらずに自分の役割を着実にこなしている感じがしました。そんな感じで、楽しいといえば楽しかったのですが、元帥の言葉にはわたしも納得。長いよ!(笑)。そして、元帥の「こだきちのことは忘れて…」というのがおかしかった。忘れなーい(咲)。

 後半。仮面を沈める秋山少佐と春木大佐の前に現れる天崎少将…のはずが、なぜか流れてきたのがマリスミゼルの「月下の夜想曲」!ええ?と思ったところに、ビジュアルちっくに白い布をまとい、バラを持った有馬大尉が登場!この変更はナイス!ていうか、笑ったよ…。奇妙な物語を語ったあとで、ビジュアル系の煽りでしめるんだもん(笑)。そして無言で両手をキメるわたしと真夜は、まあしょうがないですね、本能ですからね。「二階!聞こえません二階!」と「名古屋―!」がツボった。多少、もたついてたけど、それも込みで、有馬大尉はすごく頑張ってました。この、変更がほとんど無かった後半で、ほぼ唯一の改変を、よくひとりで乗り切った!感動した!という意味で、個人的には有馬大尉に今回の功労賞を差し上げたい。有馬大尉がシャウトするたびに、崩れ落ちそうになりながら笑っている前のお二人も、実にいい味だしてたなあ。

 続く、釣りの場面。ここはもう、立花大将に尽きます(はあと)。一回は失敗したものの、続く二回目で、見事にヤカンを頭にヒットさせた手腕に惚れ直しました。倒れるときの、足のかたちとか、もうパーフェクト。これが見たかった。やり直させてる時の柊生元帥が、これまたこぼれんばかりの笑みなんですよね…。こういう時の元帥って、本当に、他では見られないような笑顔になるよね…。そしてリチャードが登場してからの流れは、前回と同じ。なので、あとは予想できるリッターの動きをしっかりと見て楽しむことができました。やっぱり吾妻中佐のムーンウォークとロボットダンスは素晴らしい。みとれた。草薙大佐はもうずっとハンテン着てたらいいと思います。あれ、すごく可愛いです。そして、秋山少佐の悲鳴はやはり絶品。

 また「いったいどっちが本物の柊生元帥なんだ!」と叫んだ風間少佐のこめかみを軽く機関銃で撃つ柊生元帥に、ああ、こっちが本物の柊生元帥だと強く納得させて頂きました。この場面、風間少佐のリアクションも素晴らしかった。さらに、春木大佐の「仮面リッターは風間少佐を許さない」っていうの、あれ、大好きです。
 そういえば、繰り出されるお笑いネタのあまりにもあんまりな昭和臭に笑わせていただきました。もう、狙ってるんだから!(違)秋山少佐がさすが若手として、新しいネタを持ってくる役割でしたが、「くすっち」はとってもキュートでした。元帥は確かに謎かけが巧そうだ…。もちろん、大将の「クロちゃんでーす(はあと)」には悲鳴が出ました。かわいいかわいいかーわーいーいー。

 あとやっぱり児玉少尉だよ…。分かっているだろうけど、2号ネタはないよ!(悲鳴)ライヒスリッターハーフの内容を踏まえたあの分身の術の素晴らしさ。びゅーてぃびゅーてぃびゅーてぃぺあ。ああかけめぐる青春。見れば見るほど己の身にしみる自身の業の深さ。よ、要するにわたしはこういうずんぐりむっくりな体型の殿方に弱いのですね…。つるつる頭の児玉少尉を見てて、なにかを連想するなあと考えていたところ、「戦場のメリークリスマス」のビートたけし氏だと気づいたときには、機関銃で撃たれたくなったしね…。しかし、本当に大将と児玉少尉の素敵タッグはなんだろう、これ。本気で、皇帝陛下はわたしに接待でもしてるのか。三輪車にちょこんと乗ったまま、春木大佐に押されて退場していく児玉少尉の可愛さよ…。10年前から可愛い可愛いは言い倒してきましたが、やっぱり可愛かった。

 そんな風に、リッターそれぞれの見せどころを楽しむことが出来たので、涙が浮かんだのは、ようやく、ラスト近くの場面。「GoodNight」が流れ始めたあたりでした。Dream sweet dreams for me Dream sweet dreams for you。中央で元帥がなにか云ってるのは分かるんですが、わたしの視線は仮面をつけたまま、スポットライトに浮かび上がったひとりから動きませんでした。児玉少尉。本当にこれが最後になっちゃうのかな。児玉少尉。すごく成長してて、式典で真ん中を張る姿を見る事が出来るなんて、考えもしなかった。それがもう終わる、終わってしまう。あの大好きだった声も、聞きおさめになる。泣きましたが、同時に、嬉しかった。ありがとう、10年、ちっとも無駄じゃなかったよ。わたしは児玉少尉のファンだったよ。素敵な姿をありがとう。

 そういえば、カーテンコールで、定光寺中将が、とてもぐすぐすしていたけれど、わたしも児玉少尉を眺めたまま、それに負けずにぐすぐすしていたので、理由は違うはずなのに、なんだかとても慰められました。三時間は本当に長くて、椅子に座っていても、最後のあたりはちょっと辛かったなあ。でも、昔はこれが当たり前だったわけで、地味に年齢を感じてしまいましたよ。これからあと、フィルムイベントにまで参加された皆さまは、本当にお疲れ様でした。

 今回の式典自体は、何の変更もないものだったので、それを見て、いまさら帝國の未来とかそういったものに思いを馳せることは、不思議なほどありませんでした。本格的な復活というのなら、新作で、いまの14帝國をはっきり見せつけるのが本筋だと思いますので、これが本当の意味での復活とはわたしには受け取れません。むしろ、同窓会とか、お盆にご先祖様が帰ってきたとか、そんなニュアンスにより近く感じました。また、復活するとしても、以前のかたちのままのかれらが戻ってくるわけにはいかなかったのも分かります。

 だから、あくまで客として見た今回の式典は、「ありえたVol.22」というものでした。児玉少尉が引退せずに、帝國に存在し続けたら、もしかしたらこういう式典があり得たかもしれないという可能性としての式典。有馬大尉と児玉少尉の二人が突出して変化していたので、余計にそう感じるのですね。無数に枝分かれして存在した可能性の未来の、これもまたそのひとつ。それが見られてわたしは嬉しかったのかと問われれば、うん、わたしは嬉しかったです。児玉少尉が見られた。それも本式典で、あんなに頑張ってる姿をみることが出来た。本当に、嬉しかったです。

 あと、今回の式典を見て、今後の帝國のこととかをあんまり考えなかったのは、すでに「オレたち14帝國」が存在しているからでしょうね。幻創論とか、世界観の並行した構成と展開とか、楽しそうなリッターの笑顔とか、わたしが14帝國に求めていたものは、もうそこにあるから。ある意味で恐ろしいことに、柊生元帥ですら、そこにはいるのですよ。実体は無くとも、存在しているのです。今回、この忠実な再演を見たおかげで、わたしが帝國に求めているものがよく分かった。だから、わたしがより求めた部分の帝國が純粋に存在しているとわたしが感じる、現在の「オレたち14帝國」は、実を云うとわたしにとって、これこそが14帝國というものであります。

 もちろん、14帝國を構成する多くの部分の何を持って必要とするかしないかなんてことは臣民の数だけあることだと思うので、これはあくまでわたし個人の受け取りかたなのは、いうまでもありません。「オレたち14帝國」もまた、あり得た帝國の数ある未来のうちのひとつなのです、きっと。でも、わたしは、今回のこの式典よりも、今の「オレたち14帝國」の式典のほうがずっと面白いし、「帝國だ」と感じます。そういう気持ちを覆すことができるのならば、と、新作が見たかったんですけどね…。

 そんなことをぐだぐだと考えながら、真夜さんと名古屋駅まで向かいました。もうちょっと時間があれば、軽くご飯でも食べたかったところ。せっかくの土曜日なので、泊まりも考えたのですが、二週間前に己がやらかしたことを思い起こせば、それは良くないなと自重しました。おお、このわたしが自重できるようになっている。これもまた時の流れでありましょうか。駅では、偶然にもちほ嬢ともお会いできて、短いながらおしゃべり出来て、楽しかったです。アラフォー(繰り返し)。

 さて、わたしの次は6月のアポロシアターでの「オレたち14帝國」です。5月に池袋ROSAでも「オレたち14帝國」がありますが、再演なので、どちらの演目も、保証済みの面白さです。今回のライヒスリッターで、帝國と再会した皆さまのなかで、現在の「オレたち14帝國」を未体験なかたには、ぜひ、おすすめしたいです。時は流れる。でも、帝國は、いまもここにある。それを確かめながら、リッターと臣民の皆さまと同じ時間を共有して、一緒に楽しんでいこうと思います。わたしは第14帝國が大好きです。ありがとうございました。

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