「風間少佐の真っ赤なウソ」オレたち14帝國(名古屋アポロシアター)

 当日はお久しぶりにるなさんとお会いできました。1年半ぶりとは。話題といえば、これから見ることになる式典ですが、 R-istのライブはあるだろうけど、それ以外はなにを見せられるかまったく分からないぶん、期待値も正直云って高いとはいえない、それが、式典前の正直な気分でした。

 あと、気になることといえば元帥が出るかどうかだったりするわけですが、「物販に座ってたら笑う」というのが結論でした。まあ、芝居部分には出るわけないと思ってたんだよね。これまでの経緯からして。

 あまちんライブ以来のアプロシアターに並びつつ、懐かしいお顔を何人も拝見しました。お元気そうでなによりです。20分以上開場が遅れるあたりに、帝國らしさを感じつつも、入場時に配られたチラシと帝國旗を受け取った瞬間、もうだめ。なにこの懐かしテイスト、赤地に黒印刷で「ライブなのか?演劇なのか?」という煽り文句は、わたしの記憶が確かならVol.5時のチラシにも使われたものであるはず。
 初心に戻っての再出発。そんな言葉が浮かびました。なによりも、この言葉を忘れずにいてくれたことに感激し、ひたすら真夜さんが来るのを待ちました。だって、これが懐かしいという感情を共有してくれるひとがどれだけいるよ(笑)。

 さて、真夜さんとも無事に合流でき、ひとで埋まったアポロシアター。赤い照明に照らされた舞台にドラムセットが設置されていることには気づいたけど、U2の「Numb」が流れると、この曲を使うからには、いきなりR-istライブということはありえない、だから、式典だなあ、と思いました。ずらりと並んだリッターの姿を見たら、嬉しかった。素直に嬉しかった。

 そしていきなりの中将による幻創論読本。そう、元帥がいなくても幻創論は本になって出版されているわけだから、それを語ることは可能なのです。しかし「認識によって存在する」って、それもうわたしの一番大好きな幻創論の概念。その後のオンブラッタ、まさか中将と大将が旗振りするとは思いませんでしたが(笑)、元帥の演説部分をベースソロとギターソロで処理したのは英断だったと思います。すいません、最初の幻創論でやられててたわたしは元帥の不在をそこで初めて感じました(笑)。巧いなあ、と。そして、「行くぞ、第14帝國へ!」という大将の一言。そう、行くのは「我が」第14帝國ではないのです。

 さて、式典です。なんかなあ、もう正直云って、降参なんですよ。「議会派」と戦いつつ、水曜日はカレー曜日な書類に「承認」のはんこを押すのが書類仕事なあたり、もうどこのVol.5?Vol.8って感じで、このアンバランスさがじつに 14帝國なんですよね。

 リッターの演技の質が(帝國標準としても)高かったのが嬉しい。失礼を承知で云う、あんなにかまない草薙大佐を久々に見た(笑)。主役は風間少佐ですけど、誰よりも気が張っていて、魅力的だったのは定光寺中将だと思います。「…発火装置があろうとな」の目線にはぐっときた。それと同時に、「その線からが執務室だ」「失礼します!」「入れ!」の涙目もたまらなかった。中将に関しては、本当にいっぱいそんな場面があります。「子供は出来ないけど玉つくるのは巧い」には死ぬほど笑った。ああいうおばちゃんいるいる!後ろの大将の照れ笑いがまた絶妙。あと、個人的には、捨てられていたのがスポーツ新聞だったのが分かった瞬間に「春木ー!(怒)」となるとこが最高でした(笑)。

 なにより、部下と上官の絆、というテーマ自体もハズレはなく、軍隊としてのシリアス部分とところどころに挟み込まれたギャグ場面のバランスも良かった。オールナイト14がないぶん、観る側の集中力をほぐしてあげる場面を創り出すのは難しかったと思うし、それがR-istの曲場面だったと思うので、わたしは(本篇に限り)R-istの演奏場面を否定しません。それに、これまた失礼を承知でいうけれど、久々に聴いたら、昔よりずっと巧くなってたよ、R-ist(笑)

 今回のメイン場面である(笑)大将の断髪式についてですが、もう!するするとバリカンで五分刈りにされていった大将、間違いなく「抱かれたいリッターナンバー1」!男前ったらありゃしない。そして続いて餌食となり、ファーストキスの時期を聞かれて「これマジ?」ときいた五藤中尉に「これが第14帝國です」と云いきった草薙大佐、ブラボー!!(笑)そう、まさにこれが14帝國です、よく分かっていらっしゃる。
 主役の風間少佐、巧いのは分かってるんですが、なんであんなにキラキラしてて可愛いですか…。よくぞここまであの美貌を維持してくれました。眼福。 あとね、アックスくんって可愛いと思うの…。すごくくさてる好みの犬顔だと思うの…。ドラムについてはなにも云わないので(分からないから)、ぜひ、演技ができるようになってほしいものです。

 で、まさかまさかの元帥登場ですが、キリエが流れた瞬間も、わたしは「ああ、どうやって誤魔化すんだろう」としか思わなかったので本人が出たときにはたまげました。いや、普通、出ないだろうって。なにばっちり蒼で固めた元帥頭とひるがえるマント。なにあなたこんなとこにいるの。瞬間、がっかりしたのは否めません。だってここまでの展開で、元帥がいたらなあと思ったとこはどこもなかったもの。元帥なしでもここまでやれるというところを見せてくたのに、ここで元帥出たら意味ないじゃんと思ったのです。でも。

 でも。白状します。ボロ泣きしました。正直云って、これからあとはもうずっと泣きっぱなしでした。良い悪いでなくて、ああ、これで最後なんだ、と。アラスタとかそんなんじゃなくて、帝國での元帥にお別れする最後のチャンスなんだ、と。あの蒼い髪と赤い唇をじっと見ました。泣きながら、くりだす小ネタ(「相部屋なんだ」)に笑いました。さようならが云えたよ。わたしにとって意味があるとしたらその一点に尽きます。さようならが云えた。どんなに楽しそうでもカッコよくても、もうあなたはこれからここに居ない。さようならさようなら。そんんな気持ちがざくざくと胸に刺さりました。痛かった。云っていいですか。わたしはあなたを愛していました。第14帝國の楠本柊生帝國元帥として。ずっと、大好きでした。なのに、もう逢えない。どうしようもない運命のすれ違いの結果とし、必然として、あなたはここを去る。さようなら。本当にさようなら。

 元帥も、最初は出る気はなかったはず。なのに、出ずにいられなかったということは台本の勝利です。だって、これ、元帥が出なくても立派に成り立つ式典だと思うもの。客だしにはいなかったという元帥。元帥に会いたかったひとには申し訳ないけど、それがやっぱり正解だと思います。

  カーテンコールでの中将の「チラシも小道具も手作りしました」という言葉に泣けてしかたなかったです。うん、戻ったね。いろんな面で昔の手作りの帝國に戻ったね。それでいいじゃないですか。お客もリッターも、人数は減ってしまった。でも心意気だけはみんな、つやつやとしていたと思う。元帥はやり尽くしたといっても、中将はまだこれからの14帝國に可能性を見出した。それは、単にバンドがやりたいというだけじゃなくて、幻創論や式典というものへの発展性や可能性も含んでいることは、この式典を見れば間違いなく。中将。ありがとう。一臣民として云わせてもらう。14帝國を終わらせずにいてくれて、ありがとう。

 そして、アンコールから繰り出されるイメージボーイネタ、赤髪三兄弟ネタに懐かしくも大笑い。「大!」といきなりわけわかんなくなってる中将に笑った。そっかー、赤髪三兄弟は全員残ったんだよね。児玉くんは本当に残念だけど、まさに精鋭メンバーが残ったと思います。

 ただ、いくらアンコールで盛り上がるとはいえ、R-istと式典の比重はとても難しいところだと思う。それはこれからの課題だと思うけれど、できれば両方の部分が大事で好きだと思える臣民が増えるような巧いやりかたを見つけて欲しいと思います。
 
 結論。わたしはいまの第14帝國が大好きです。7月の東京、本当に観に行きたいよ…。</

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