「卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記」南条あや(新潮文庫)



 リストカットと薬物乱用を繰り返しつつも、ネットに日記を掲載し続けた女子高校生の日記です。最終的には、彼女は向精神薬中毒で亡くなってしまうのですが、ここにはそんな女子高校生の生のつぶやきがそのまま残っています。
 ていうか正直に云って、自分の高校生か中学生時代の日記を出されたような気恥ずかしさがした。わたしはリスカも薬物乱用もしてはいませんでしたが、ここに書かれている強がりやカッコつけ、はしゃぎかたは身に覚えがあるものです。それが十代というものなのかもしれませんが、だからこそ、なにも死ななくてもなあと思いました。ただお薬をもらいに行くだけでなく、自分のいまの状況を打ち明けることができる医者に出会えていたら、そして正しい治療を受けていたら、彼女は死なずにすんだんじゃないかと思えてなりません。
 ここに書かれたままの感情を鵜呑みにすることはできない。こんな風に、十代の少女が懸命に強がって頑張って生意気ぶって生きていこうとした気持ちがわかるもの。ましてや、周りの人間が(ごく一部の親友をのぞき)彼女が、自らの病に立ち向かうよりも、そういう(女子高生で、精神科通いをして、薬事法違反を楽しむ)彼女であることに価値を置いたのであれば、なおさら。
 でも、死んだらそれまでではないですか。ライターを続けずとも、これだけの文章力があれば、いまならもっとネットの人気者になれたり、本を出版することだって出来たかもしれない。それが最終的にただ自殺した少女の日記として出版されてしまうのは、悲しい。 彼女のメモリアルサイトはこちらです。

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