「オレたち14帝國Vol.4?風間少佐の私を海に連れてって」(名古屋アポロシアター)

 というわけで名古屋です、きょうは、待ちに待った14帝國の式典「オレたち14帝國Vol.4?風間少佐のわたしを海に連れてって」の日なのです。前回の式典から、半年以上は長かった…。
 今日、ご一緒させていただく真夜さんと大須で合流して、いつものお店でまったりと語りながら開場時間を待ちました。ほんの3時間ほど。ずっとあれこれ喋りっぱなしですが、ずっと気になっていたオタキングこと岡田斗司夫氏の「オタクはすでに死んでいる」について、誰かと話せてすっきりした。いろいろ話題になってるし、わたしも感想を書こうと真面目に下書きなどしていたのですが、このサイトの管理人さんの見解で、もう書かなくていいと思った。すなわち「20年前の「ロック」論が完璧に繰り返されていて笑った」に尽きます。脱帽した。「オタクとは自分で自分の好きなものを選べるひとたち」「ロックファンとは自分で自分の好きな音を選べるひとたち」すごいよ、本当に違和感ないよ。この共通点からいったいなにが見出せるのか。 
 ちなみに式典前にも関わらず(関わらずっていうな)、帝國に関しては楽しい話しか出ませんでした。胡乱な昔話も笑い話にするのでなければ出さないくらいにオトナです。いやその。でも、なんだろうこの安心感。だってわたしたち、帝國が好きなんだもん。タイトルからして風間少佐の書いたものと推測するのは容易ですが、そこはそれ、「かざまつり」に撃ち抜かれた我々ですから!変ないいかただけど、信用してる。あのひとたちはきっちりと見せるためのものを作ってくれると思っている。臣民生活10年(まあ突っ込むな)のなかで、こんなにただわくわくと初回の式典を待てたことがほかにあったか思い出せないくらい。そんなことがなかったわけではないと思うけど、いつでもいまの帝國がいちばん好き、という気持ちでいられることがなにより幸せなことだなあ。
 開場前にアポロシアターの前にて、月見さんに再会。そのまま聖矢話に突入してしまうのが昭和のオタク女子。ええ、わたくしの最愛黄金聖闘士はデスマスクでした。どうしてそうなったのはさっぱり思い出せませんが、「情けな(略)」は最大のポイントであったと思われます。
 東京行くかどうか迷ってて、この感想読んで決めようかななんて奇特なかたがもしいらしたら、前もって云っておきます。
 行っとけ。
 いつもの定位置に陣取ることが出来て、大将の緊張した前口上アナウンスを耳にした頃から、胸がときめいてざわめいて、どうしようもありませんでした。流れる「Numb」、暗くなるステージに差す、赤い光。光。これまでに何十回と目にしてきたくせに、一度も慣れたと思ったことのない空間が広がっていうのがたまらない。
 さらに、定光寺中将が本を開き、軍人としての本分として上官の命令は絶対である旨の語りを始めた段階で、オッケー!と咲く心持ちになりました。今回の式典はこれをモチーフにしますよ、というさわりを語らせただけで、軍人のかれらがそこに存在を始める。一気に高まる緊張感を放出させるオンブラッタのはじまり。この流れはとても美しい。とくに「オレたち?」になってから、以前は元帥の年譜だったこの部分をどう料理するかというのは毎回の楽しみであります。そしてここが幻創論の語りでなかったことの意味に思い当たるのは、最後も最後なのですが、それに関しては後述。
 そんなオンブラッタでため息をつかせてくれたあと、幕を開くのは今回の物語です。議会派との戦いのあと、さらなる領土を求めて聖なる島と呼ばれる孤島への侵略を計画する定光寺中将と、民間人を虐殺することへの疑問を隠せない風間少佐とのあいだに高まる緊張感。両者のたくらみが絶妙に絡み合うこの展開は、もう、グーッ!以前から悪役をさせたら天下一品の定光寺中将ですが、このひとは本当に偏執的とかエキセントリックとかマッドサイエンティストとか、そういう色あいが映えますね!(褒めてます)正直、視線とか口調とかは、様式美に達するくらいでやりすぎかもしれないのだけど(笑)それくらいくどくないと、対する風間少佐のまっすぐさが際立たないのかもしれません。この二人の気が合わない設定はとにかく楽しいです。なんというか、底の底でつながっているからこその近親憎悪みたいな匂いまでするのです。だって風間少佐も悪役が輝くじゃん!(笑)
 そんな定光寺中将の腹心としての悪役の春木大佐、風間少佐に気を配る草薙大佐と、両者を支える存在の配置もまたにくいかぎり。さらに、士官学校からの風間少佐のやんちゃなライバルとしての加納中佐の生き生きとしていること、などなど挙げていけばキリがないのですが…。 
 いや、このわたしにとって、今回の立花大将がぴかいちでなくてどうするか!タチバナーの血がまさに、沸騰。闘うことにのみ生きがいを感じ、考えることは定光寺中将に任せながらも、己の信念に従う大事さをまだ若い風間少佐に示唆するこの存在感。申し訳ございません、どこのくさてる内の大いなる意志の具現化ですか。そうですよ、大将はこれなの!戦いのさなかにのみ生きる実感を感じる漢、それが立花馨だよ、しびれた。お茶目なのはオールナイト14やコメディ展開でいくらでも見せるとして、それを際立たせるためにも、シリアス展開では、やりすぎなくらいに古風な漢であるのがいいの。きゅんきゅんした。わたしのなかの大将桶がもういっぱいいっぱいでこぼれそう。そんな大将だからこそ、風間少佐が窮地に陥りつつも、その命を救いたいと思いつめる、その行動に納得が行く。 
 そう、どのキャラクターも、その全体像の把握が実に正確なのです。これはけして過去の式典でのキャラクターに準じているという意味だけではありません。今回の物語においてに限っても、キャラの把握にブレがない、だから客は舞台の上の人達を信用できて感情移入できる。
 また、その面だけに限らずとも、非常に抑制がきいた前半だなと思いました。ケレン味たっぷりでこれ見よがしな見せ場を重ねて客を幻惑させるのではなく、いっけん地味ともいえる場面を丁寧に続けることでキャラクタライゼイションに必要な台詞を積み重ね、油断して見るひとに「地味だ」と言われかねない展開をおそれずに、後半への伏線をはりつつ、世界をいったん完結させるこの構造がすごく渋いと思った。いや、真面目にわたし、風間少佐が自分だけでも立花大将を救いに行く!と兵に向かって呼びかけているときにこのまま「CrazyForMe」が始まったらどうしようと怯えたもの(笑)。それをしてはいけないとは云わない。でも必要はない、と思った。
 そして、帝國に艦隊があったという事実はわたしを驚愕させた(笑)。臣民生活10年で初めて知るしょうげきのじじつ。
 オールナイト14。身の置き所が微妙な感じの定光寺中将がひたすらラブリー(笑)。ていうか、このひとたちホントに仲がよさそうで良い感じです。ここでまた一気に光るのは、絶妙なアックスくんの間(笑)。本当にいままでの帝國にないキャラだと思う…、ていうか、ぶっちゃけ、ここまで育つと誰が予想したでしょうか。なんていうの?天然の暴虐無人?(違)。あははーと笑ってみていたところで、わたしの目の玉が飛び出しそうになったのが、五藤中尉の「ドSです」発言。誰がそんなみんな知ってることをカミングアウトしろというた。いや失礼。これまでさんざんクールビューティだのその酷薄な視線で見下されたいだの、ぶっちゃけ鬼畜だの云ってきたわたしと真夜さんですが、そこまでは求めていない。隣の真夜さんの五籐中尉桶がたぷんと波立つ音が聞こえました。
 ハルキングは、カノーンさまとあっくんを堪能しました。これ、毎回思うけど、ネタの経済効率が悪すぎるくらいに詰め込んでるよね(笑)(褒め言葉)
  さて、後半。定光寺中将によって海のもずく(誤記にあらず)にされたはずの風間少佐が、神の島にたどりつき、島に伝わる言い伝えを知る少年により、自分がここに来ることもすでに予言されていたと知るくだりから始まります。
 このコージくん…(笑)。いやもう、いいよ、8歳で(笑)。また、酋長という呼び方を聞いたときから、それは立花大将以外に有り得ないと信じていたのですが、「太鼓を叩くのがいちばん上手い」からアックスくんだと知って、このわたしに納得する以外のどんな顔ができたでしょうか。
  ライヒスリッターによる侵攻も言い伝えですでに予言されていたと言い張るコージくんとそれに振り回される風間少佐のドタバタ、バナナ食いのあたりまでは、楽しく見ながらも、今回はコメディ展開が弱いかなーと思ってました。一個一個はくすっと笑えるんだけど、どっかんとくるものがない感じ。
 しかしそんなわたしの斜に構えた態度を吹き飛ばしたのは「5千人の軍隊がタンスの角に小指をぶつけて全滅」ネタでした。風間少佐の狭すぎるセンスがここにいたって見事にわたしのツボにヒット!いいよいいよ、こういうの。そう、分かりやすくないの(笑)。でも入り口が分かればあとは一気という感じで、ここからはすっごく笑いましたね。ていうか、みんな、ノップラー効果はもっと笑おうよ!あれ、秀逸だよ(笑)。レーザーやビームから島を守れるはずだったのに、もっと原始的な武器である砲弾は予想していなかったらやられちゃう、とか、一瞬、考えないといけない笑いのセンスは貴重だなーとにこにこしました。しかもそれだけに偏ってない。バナナの皮で滑る加納中佐はタイミングの勝利だったし、原住民のみなさんは限りなくドリフチックであったしね(笑)。
 あ、でも後半の少ない出番でも、立花大将は輝いてましたね。海の底で乙姫って女に会って…とポケットの底をつまんで「ぼられちまってよ(苦笑)」の瞬間に、わたし、ためらわずに、咲いた。 
 しかしここで白衣で登場の五藤さん。どこのお茶の水博士コスですか。ものすごく思い出したようにときどき語尾に「じゃ」をつけるタイミングが可愛い。こういうとき、演技がどうだとかいうほうが野暮だと思ってます。ていうか、ここ!まさかオールナイトでの「ドS」発言が伏線になっていたとは。「指の爪を全部はがす」ってなにこのステキチク(BY真夜さん)。身も世もあらぬおびえかたをする春木大佐(尻尾が見えた。お尻のあいだにはさまってた)と加納中佐の愛らしさと相まって、今後の五藤中尉の方向性を決定付ける名シーンといえましょう。ていうか帝國に登場したときから決定していたような気はする。ああ、見下されたい。
 そして、時に波乱で時に爆笑な展開は、ナップルエネルギーを求めた人々による争いが起きないように、すべてを海の底に沈めると覚悟したコージ少年と、風間少佐の一瞬の絆が、予言の言葉を借りたコージくんの行動によって、はかなく途切れていく場面につながっていきます。コメディ展開が泡のようにシリアス展開に溶けていく、帝國ならではのこの空気に、じんとしました。ベタ?ベタは帝國のお家芸です。なんともせつなく、でも、それが正しいんだろうなと思わせるちからに満ちたシーンでありました。
 そしてラスト。沈没する島から逃れたリッターたちのなか、そこを去ろうとする風間少佐に対しての思わぬ立花大将の助け舟に(心のなかで)悲鳴です。「第14帝國大将にて統合幕僚総監!」ってどれくらいぶりにきいたかしらその役職!これこそまっとうな解決方法です。わたしが考えた定光寺中将がナップル波を浴びて風間少佐を愛するようになるというオチでなくて本当に良かったです!(←召されろ)また、それを受けての中将の風間少佐に対する「先陣を命ずる」って言葉にも悶えた。ああん、もう、このツンデレ!(違)にくいなあ、本当ににくい。どのキャラも描線がはっきりとしていて、シリアスでもコメディでもその立ち位置がぶれない。だからこそ生きた人間になる。
 さらに、この大ラスト。コージくんからの手紙に、わたしはすっごくやられた!と思った。死にっぱなしにすれば単なる悲劇、再登場させればやりすぎの喜劇。一通の手紙というかたちをとることで、とてもスマートに、見ている人が気持ちよく見終えるこができるハッピーエンドになってると思う。でも乙姫さまって!騙されてるから!(笑)
 そして、大いなる意志は己の心のなかに…、という最後の風間少佐の言葉を聞いて、気持ちが揺れた。臣民みなが拍手を送っているときに、わたしは手が叩けなかった。気がついて、手を叩くと、それはなんだか奇妙にずれて、うまく叩けなかった。射抜かれた。この式典に射抜かれた。たまんないなあと震えがきた。なんて鮮やかで、楽しくて、やんちゃで。そして、夢だ。
 だって、この式典には元帥がいないんだもの。そして、便利な道具としての幻創論が存在だもの。なのに、間違いなく、式典。それも、素晴らしい式典。
 カーテンコールの風間少佐を見て、初めて、弾けたように拍手した。にこにこしながら手を叩いて、ちょっとだけ、涙ぐんだ。 
 一作目の「かざまつり」で、これまでの帝國の集大成を見せてくれた風間少佐が、次のステップを見せてくれたように感じました。新しい。とても新しい。14帝國の世界観を広げたたままで、さらに新しい地平を踏むなんて、感激だもの。目に見える新しいことをしているのでなく、すごく地味に(でも難しく)世界の構造を整えた式典を創りあげた、風間少佐の勝利です。
 もちろん、わたしはコテコテの幻創論使いの歴史改変しまくりの式典だって大好きです。むしろ愛しています。どれもが帝國なんだよね。帝國のふところはこんなにも広い。わたしのような臣民はその世界にただ浸り、いっときの夢に溺れるだけなのです。この夢の震えを与えてくれるのは、やっぱり帝國だけだから。
 式典が終わってからは、真夜さんと月見さんを拉致して、新幹線の時間ぎりぎりまで居酒屋にて、祝いの宴(笑)。乾杯の音頭は「風間少佐に乾杯!」でした。そのあと、頭のなかで必死にさっきの式典を反芻しつつも、いきなり「ああんあの統合幕僚総監」「なにあのすてきちく」とかはしゃぎまわるわたしと真夜さん。我ながら、ものすごく大人げありません。10年見てるひとの反応じゃありません。でも、わたしのような人間は、ここまではしゃげるからこそ10年も好きなんだと云いきってしまうのです。いやー、もうこの歳になったらあれですよ。そんなものが目の前にあるだけでいいんですよ。好きなものは好きで、それは他の誰かによって決められるものじゃない。だからわたしはいまでもこのひとたちが大好きだと胸を張っていうのです。
  本当に楽しませて頂きました、ありがとうございます。大好きです、14帝國。

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