ルパン三世PART4第2話「偽りのファンタジスタ」感想

 冒頭、ベッドで苦し気に注射を手にする男の場面が映ったあと、ルパンと五エ門がサッカー中継を見ているアジトに舞台は移ります。そのチームには五エ門いわく〝サンマリノの至宝〟と呼ばれる偉大な選手が在籍しているのです。買い物から帰ってきた次元は「おまえ、球蹴りに興味あったっけ」と五エ門に聞きますが、五エ門の興味は「サムライのようだと言われている」その男のみにある様子。そのかれがみごとにゴールを決めた瞬間、がっくりしてしまうルパン。アバンはここまで。

 アジトの場面はいつも生活感があるので好きなのですが、この場面もいい感じ。買い物帰りの次元さんが林檎をルパンに投げ、いちおう五エ門にも差し出して首を横に振られる、細かい仕草が楽しい。サッカーを球蹴り呼ばわりしちゃう次元さんの言い回しがらしくっていいですね。

 どうやらルパンはサッカーのトトカルチョにみごと負けた様子。サッカー中継も終わったTVをルパンがザッピングしていると、あのレベッカ・ロッセリーニがさきほどの選手とともに映っています。一方、試合が終わったサッカー会場では監視の目を凝らす銭形警部の姿が。VIP席にいる男に目をつけますが、それは、イタリア警察もマークしている悪党、リカルド・モンディーニ。そのそばには1話のラストに登場した眼光鋭い男(二クス)が立っており、用心棒のひとりとして「新入り」と呼ばれています。

 一方、食堂でチェスをしながら暇をつぶしている次元とルパン。次元は「いつまで遊んでいるつもりだ?」と仕事をしないルパンにあきれていますが、ルパンはなかなかそんな気になれない様子です。そこに現れたのは不二子。そして、ついさきほどの試合でゴールを決めたサッカー選手、ブロッツィでした。

 モンディーニというマフィアにドーピングの証拠を握られたかれは、三日後のコパ・イタリアの試合に出るなと脅されているというのです。「なんでこっちに面倒な仕事を回してくるんだ」という次元に「あたしは忙しいし、あんたたち、暇でしょ」と答える不二子。次元は「ハッ、暇ときたか。……おいルパン。仕事しねえで遊んでるから、この女に舐められるんだ」とルパンに言いますが、ルパンはやる気を見せず、席を外してしまいます。

 ここ、さりげない場面ですが、舞台となってる食堂の雰囲気も地元ぽくて最高だし、チェスしてる次元とルパンがいいんですよね(語彙力)。あくまで軽い(でもチェスにはちゃんと勝つ)(IQ300だしな……)ルパンのたたずまいも好き。ソファにちょこんと横座りしてる不二子ちゃんが可愛いったらない。

 でも、やっぱここはジゲフジですよ、ジゲフジ! 不二子ちゃんがさらっと次元をからかってるのもよければ、それに憮然としてる次元もいい。公式はこれでいい。大丈夫、これでもつきあってるように見えるから。あと、PART4は12話まで早川ナオヤ先生によってコミカライズされているのですが、この話のコミカライズではジゲフジの会話場面もちゃんとありますので、ぜひ! この話に限らず、PART4のコミカライズは早川先生のアレンジがちょこちょこ楽しいので、おすすめです。

 さて、モンディーニの屋敷では、二クスが古株の用心棒(レオ)とチェスをしています。「チェスは予測するゲームです」と冷静に勝負に勝つ二クス。一方、さきほどの食堂でルパンを追ってトイレにやってきたブロッツィはそうとう酔っています。なだめるルパンですが、ブロッツィは自分が出なければチームは勝てないとくだを巻き、よろける始末。その動きを見たルパンはなにかを見抜き「意地張ってないで、そろそろ素直になろうぜ」とつぶやきます。次元と不二子の元に戻ってきたルパンは、仕事を受ける気になったようですが、報酬として示された百万ユーロに「舐められたもんだぜ」と天を仰ぎ、「そんなんじゃわりに合わねえっつーの」と三本の指を立て、不敵に笑います。

 すいません、ここもさきほどに続いて、次元と不二子のデート感がすごいのでお好きな方は必見です。ふたりきりでテーブルに着いてます。2秒くらいですけど。あと、百万ユーロって1億円くらいなのに、さすがルパンさまだなあと思いました。

 翌日、レストランで食事をしながら仕事の話をする次元とルパン。ルパンはパソコンでチェスを楽しみつつ、カルボナーラに舌鼓を打ち、次元は新聞片手というのがらしい。モンディーニの脅迫の意図をはかりかねている次元ですが、ルパンはネットを駆使して、モンディーニがコパ・イタリアでブロッツィのチームが負けると得をする相手側のチームのオーナーであることを突き止めたのです。

 ルパンは、MI6のデータベースをハッキングしたのでした。驚く次元に、ルパンは「イギリスの諜報機関といやあ、おまえさんのパンツの色まで知ってるぜ」と笑います。というわけで、モンディーニの屋敷がサンマリノにあることを突き止めたふたりは、後半戦に突入すると決めるのでした。Aパートはここまで。

 なんかたいしたことは起きていないはずなのに、いちいち、観てて楽しい場面が多くて困ります。ルパン一味がご飯を食べる場面はいつも楽しいんだけど、カルボナーラ食べてるルパンさまの可愛さときたらたまらないし、ご飯食べつつ、さらっと有能なルパンさまも最高。ルパン大好き。そして、次元さんのネクタイの緩め方がほんとにセクシーで素晴らしい。

 ところで次元さんは否定してましたが、次元さんのぱんつの色、知りたい人は多いと思います。新ルでは基本白だけど、蛍光緑とかストライプもありましたね。あとTVSPではモスグリーンの縞パンだった(知りたいのはわたしのようです)。「MI6」の名前を思い当たったときに一瞬だけ目が見えるのもカッコいい!
 
 Bパート。舞台は、ボディガードに守られたモンディーニの屋敷に。ライターがつかず困っているレオに差し出されたライターの火。油断したレオはそのまま茂みの中に引きずり込まれるのでした。一方、次元になぜ来たか問われた五エ門は「サムライの心は、サムライのみぞ知る、だ」と答えますが、次元に「分かりやすく言ってくれよ。おれはガンマンだからよ」と返されてしまいます。レオに化けたルパンは、二クスとチェスをしていますが、どうも怪しまれている様子。そして、ひとり酒を飲んで荒れるブロッツィの脳裏には、ルパンの言葉がこだましているのでした。

 ブロッツィのドーピングの証拠を手に入れたルパンですが、モンディーニに見とがめられ、その場を逃げ出します。それと同時にそのルパンが開けた金庫からは二クスがなにかを持ち出しています。ルパンは次元と五エ門と合流しますが、追っ手は迫ります。危ういところで五エ門の斬鉄剣が光り、無事に追手を追い払ったのですが、こんどはモンディーニその人が追いかけてきました。

 「相変わらず変なのにモテるじゃねえか」という次元に「美女なら大歓迎なんだっけどもなあ」と笑うルパン。次元はマグナムでモンディーニの車を狙いますが、防弾ガラスに阻まれます。そこで「親分さんにはなんの恨みもござんせんが……」とタイヤを撃ち抜く次元。車は壁に激突します。そこから逃げ出したモンディーニが投げた手りゅう弾も次元に撃ち返され、車は炎上。ルパンたちはその場を去ります。そこにやってきたのはあの二クス。駆け寄るモンディーニですが、二クスは「きみの価値はなくなった」と、モンディーニを殴りつけ「任務完了」とどこかに連絡して終わらせます。

 ここ、ルパン三世のカーチェイスとしては小粒な印象ながら、次元と五エ門それぞれに見せ場があって、台詞も気が利いてて楽しいです。次元さんの「親分さんには……」が最高。やくざ映画から借りて来たんだよ、というせりふの軽さが、次元さんの一面をみごと引き出してて、すごく好きです。次元さんはやたらとハードボイルドとかいわれるひとで、もちろんそこは基本なんですが、それに留まらない、こういう個性もあると思うんですよ。この話、全体的に次元さんの台詞がいいんだよな……。

 一方、モンディーニの車が炎上した炎を目にしつつ、練習に励んでいるブロッツィ。モンディーニの屋敷から盗み出した証拠の書類に目を通したルパンはなにかに気づき、ブロッツィのもとを訪れます。そこでルパンは、ブロッツィの右目が見えていないことを指摘するのでした。そのことに、ルパンはブロッツィに初めて会ったときから気づいていたのです。持病の進行を抑えるための薬による合併症であり、その薬に、ドーピング検査に引っかかる成分が含まれていたのでした。最近では残った目も弱くなってきたというブロッツィに、ルパンは「なぜそこまでして現役にこだわる?」と問うルパン。ごろつきだった自分を拾ってくれたチームへの恩返しの為でした。それが、コパ・イタリアでの優勝だったのです。「そこにゴールがある限り、おれはそれを奪うまでだ」というブロッツィ。

 翌日、警察署では銭形がモンディーニの失踪を知らされ、上の命令でこの件から手を引くことになったと知らされます。その件にルパンが噛んでいたと言われて驚く銭形。それはMI6よりもたらされた情報でした。そしてここで、ルパンが遊んでいたチェスの画面を見ている、二クスの場面がインサートされます。

 そしていよいよコパ・イタリアの試合。そこで、ルパンがあの食堂で出した仕事の報酬の正体が明らかになります。ルパンが三本の指を立てたのは金額のことではなく、試合でハットトリックを決めろ、ということだったのでした。ルパンたちがスタジアムで試合を見守るなか、ブロッツィはみごとハットトリックを決め、ルパンもどうやら今度こそ、トトカルチョに勝った様子。優勝のトロフィーに口づけるブロッツィで幕。

 というわけで、第2話でした。決して派手な話ではないのですが、しっかりまとまっていて好きな話です。ブロッツィとルパンがなれ合わないまま、でもさりげなくたがいをリスペクトしている男同士であるラストがいい。PART4全体のストーリーにつながる二クスの伏線も抜かりなく、銭形警部も要所を押さえてる。

 ただ、せっかく「サムライ」にこだわってた五エ門なので、ブロッツィのサムライらしさとか、五エ門となにか通じる部分を見られるようなものがあったら嬉しかったかも……(と思ってたら、そこらへんは早川先生がコミカライズでちゃんと押さえてくれました)。

 まだ2話ということもあってか、なによりイタリアでのんびりしているルパンと次元の雰囲気がいいんですよね。そんなにしゃれた言い回しを意識せずとも、自然にかれららしい、台詞の妙があります。次元さんの軽さがいいんだよなー……。あと、ちょっと付き合ってる感があるジゲフジもいい(すいません言わずにいられずに)。

 なんども見たPART4ですが、こうやって感想を細かく書くために再見すると、やはりいろんな発見があって楽しかったです。今後も楽しく書いていくつもりなので、どうぞよろしくお願いいたします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です