ルパン三世PART5第24話「ルパン三世は永遠に」感想

 ルパン三世PART5第24話「ルパン三世は永遠に」の感想です。公式サイトによるあらすじはこちら(URL) 。(わたしはhuluにて視聴しています)以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 今回はアバン無し。というか、シェイクハンズ社のビルが映り「原作 モンキー・パンチ」のテロップが入って、そのままスタッフ名が続く流れなのでOPも無しだと分かります。シェイクハンズ社では、アルベールを中心に各国政府(だよね)の要人が、エンゾとリンに対し、「ヒトログ」の自粛を求めているようです。ルパンの流した情報のせいで、国際社会の情勢にさまざまな混乱が広がっているのです。

 しかし、ルパンのデマに振り回されて大変なことになっているんだ!という要人の言葉を、エンゾは「デマじゃねえんだろ、ヒトログがA判定してるなら」と一言で切り捨てます。「ルパンに暴かれても困らないように行動すればいいだろう。結果、より良い世界が実現する、それこそがヒトログの目指す世界だ」というエンゾの言葉に、反論できるものはだれもいません。ただ、アルベールだけが皮肉な笑みを浮かべます。それを見とがめるエンゾに、アルベールは余裕の笑みで「そのヒトログもルパンだけは予測できていない」と言うのです。ひるむエンゾに、アルベールは続けて「あいつは、データで把握できるほど浅くねえよ」と言い放つのでした。

 この冒頭。大丈夫ですか、黒アルベール出てますけど、ここ公の場面じゃないですかと心配になったのはわたしだけですか。なんだろうアルベールのこの「あいつ、おれの古いツレだから」感。

 やがて画面は海に浮かぶ古臭いトロール船を映し出します(ここで初めてPART5のタイトルだけがかぶります)。そこでなんだか浮かない顔で釣りをしているのはルパン。この釣り竿が前回ラストで五エ門が仕入れてきたやつなのかな。そしてここに「一か月もどこに隠れてたの?」とピザ持参で現れたのは、あのレベッカ・ロッセリーニ!髪がちょっと短くなってるけど、ミントグリーンのメッシュが入ったブロンドと緑の瞳、ピンクの唇は変わりませんね。

 ルパンはピザに手を伸ばしながら「知り合いのところを転々とな」と答えますが、それに対し「まさか、女のところ?」と眉を吊り上げるレベッカが可愛いですね。まだしっかりルパンのこと好きなんだ。そこに「こいつは敵も多いが味方も多いからな」と現れる次元。なんだか肩幅が広くてがっちりしてる感じですごい好みです。「機械では想像できないほど意外な連中がな」とピザ持ってるサムライのあざといかわゆさはどうしたらいいですかね。顔が一瞬赤くなるのはピザが熱かったのかな。

 このトロール船はレベッカが隠れるときに使うカモフラージュだったのでした。「あたしってさ、チョー有名人じゃない?人目を避けてひとりになりたいときってあるのよね」と髪をかき上げるレベッカに、煙草の煙を美味しそうに吐きながら「分かるぜ。ま、有名人なんてろくなもんじゃねえ」という次元。そうだね、あなたも追いかけまわされて大変だったもんね……。そしてここに、どうやらルパンの待ち望んでいたものがやってきます。盛り上がる水面に悲鳴を上げるレベッカ。それを見上げたルパンは「さーて、予告状の用意だ」と不敵に笑うのでした。ああ、もうわくわくするなあ!

 そして場面はシェイクハンズ社の最上階、鳥かごの中の不二子とアミに移ります。不二子ちゃんはウェディングドレスと思しき服を着て、お化粧に余念がありません。そんな不二子にアミは以前にもパダールで尋ねたあのことをもういちど尋ねます。「どうしてルパンと別れたの?」と。

 しかし、不二子の答えはあのときと違い「付き合ったから」というあっさりしたものでした。それに、ふざけないで、と怒るアミですが、不二子は気にせず「本当よ」と答えます。そこで思い出される、あの海賊船から落ちたときのふたりの場面。「魔が差した……っていうのかしらね」という不二子の言葉は冷静です。「二人暮らしは楽しかったわ。一緒に起きて一緒に寝て、食事もお酒も。ふたりで家具も買ったわ、でも……」とという不二子に、アミは「ケンカしたの?他に女でもいたとか……」とたずねますが、不二子は「なにもなかったわ」と答えるのです。

 なら、どうして別れたのかというアミに不二子はもういちど「なにもなかったからよ」と答えるのです。「わくわくもドキドキもなーんにもなかったの。恋の駆け引きも、命がけの盗みも。なにもね。そういうふたりじゃなかった、ってこと」と笑う不二子に、アミは「じゃあ、どういうふたりだっていうの」と問い、不二子は遠い目で「わたしも、それが知りたいのよ」と言うのでした。

 わあすごいなこの場面、ていうか不二子とルパンはそんなことになっていたのかと知ってびっくりしました。結婚同然だったのね。家具も買ったわ、と笑うときの不二子のどこか自嘲しているような声の響きが素晴らしい。沢城さんは良い仕事をした。しかし、ふたりでいっしょにいたのなら、ふたりで盗みもすればよかったのではと思わないでもないけれど、次元とも五エ門とも遠い場所で、そんな風に平和に暮らしてみた時期がこのふたりにはあったということ。でも、不二子もルパンも、手に入れたものにドキドキし続けるふたりではないのなら、このふたりにあり得るのはどんな未来だというのでしょうか……。

 しかし、そこにエンゾが現れます。ルパンがいつまでも現れないことに業を煮やし、「ルパンにはなにか秘密があるはずだ。世間に知られていない重大ななにかが……!」とあせっているのです。それを冷ややかに見つめる不二子。世界各国の包囲網が狭まってきている、もうこの辺で降りたほうがいいと言うリンの説得を、エンゾは「ダメだ!ヒトログは人間の意向を排除するからこそ、偏見や無知を越えて、ひとの過ちを正せる!」と拒みます。それは理想だ、というリンの言葉を聞いたエンゾは、なにかに気づいたかのようにリンを見て「おれたちは、その理想を実現するんじゃなかったのか……?」と問うのです。言葉に詰まるリン。

 そしてとうとうシェイクハンズ社へのアメリカの軍事介入が始まるのです(この大統領が微妙にトランプっぽいのがちと笑える)。シェイクハンズ社がテロ組織と認定されたと知って動揺する社員たち。そこにも攻撃が迫ります。あわてて約束が違うじゃないか!と叫ぶリンに「たしかに約束はした。だが破った」と電話の向こうで笑うのは、あのアルベールでした。なんだろうこの無駄なまでのカッコよさ。

 ここで、ヒトログ上にルパンの予告状が現れるのです。「本日参上」の文字とあの顔マークの可愛さよ。熱狂して書き込まれるコメント群。そして、それを見て、すし屋から飛びだす銭形と八咫烏。泥棒一匹現れたところで……という軍人の言葉を笑うように海中から現れたのは黄金の潜水艦。そこから飛び出してきた車に乗っているのは、もちろんルパン、次元、五エ門でした。キャー!「ダイアナ、恩に着るぜ」というルパンの言葉と、かれらを見送る美女。TVSPの「ハリマオの財宝を追え!」ですね。TVシリーズや映画だけでなく、TVSPからも引っ張ってきちゃうなんて、すごい!楽しい!

 戦場と化したオリグ島を車で走るルパンは、モノクルを起動させ、ネット中継を始めます。「おれを探してたみなさん、ごくろーさん!そんなに手間かけなくたって、いまからルパン三世の盗みを完全実況だ!」というその姿を喜んで見守っているのはあのリクヴィールのカフェの女主人です。そして、その車を狙うヘリは阿吽の呼吸の次元と五エ門の協力プレイで見事に撃ち落とされるのでした。「やった!」って次元さんのガッツポーズが超かわいい。ていうか、次元さんがね、この話が始まって以来、ずっと楽しそうなんですよ。常に口角があがってるの。かわいい。

 そしてそれを見て居酒屋で盛り上がってるのは、あのヒラメキ兄弟。ちょっと待て(笑)。そしてそれをとがめるのはネズミ吉三。もっと待て(笑)、と思ってたら、いきなり止め絵のクロスカウンターって、PART5、こんなところでまでこんなことしちゃうんですか(爆笑)。すごいすごいー(笑)。しかも居酒屋の名前が「呉越同舟」って最高だな!

 シェイクハンズ社のビルを囲んだ軍人たち。しかしそこにルパンたちの車が突っ込みます。ここでも次元と五エ門の協力プレイが超カッコよくて、ああ、わたしはこういうの見たかった……とうっとりしました。このふたりはやっぱりこうでなきゃ。そして五エ門は「ルパン、ここは任せろ」と言い放ち、次元は「不二子に、顔見せに行くんだろ?」と言うのです。そういわれたルパンはちょっとだけ意外そうに「あ?」と言い、すこしだけ考えたうえでモノクルを置き「そうだな。じゃあ、そうするわ」と、ひとりビルに入っていくのでした。それを見て、口の端で笑う次元。しかしすぐさまそこは海から空から陸からとやってきた軍隊に囲まれます。「……こいつら相手に勝てると思うか?」という次元に「勝てると分かった戦いほどつまらぬものはない」と答える五エ門。次元はにやりと笑い「違いねエ」と言うのでした。

 うん、ごめんね。ここ、わたしが大変。いやその、すっごくカッコイイシーンで、次元と五エ門の見せ場だと思うんですが、その、このPART5連続話においては貴重極まりない次元さんが不二子ちゃんの名前を出す場面なので。まあ、内容的には「うまくやってこいよ!」くらいのニュアンスですが。はは。

 ていうか、先にも書きましたが、ここまでずっと次元さんが上機嫌でおかしいくらいですよ。追い詰められてる時間が長かった分、ようやく来た反撃のターンが楽しくて仕方ないのかもしれないし、きっとずっとヘコみ気味でルパンとも揉めたりしてた自分の相棒(次元と五エ門はこういうシチュエーションなら相棒なんだと思うんですよ)が、生気を取り戻していつものキレ具合に戻っているのも嬉しいのかもしれない。なによりルパンが、とうとうあのエンゾと正面対決に行くのだと思ったら、胸が躍るのかな。そして、きっとこの次元にとっては、ルパンが不二子のところに行くっていうことこそ、いつもの相棒らしい行動で寿ぐべきことに感じられるのかなとも思いました。そして、ここまで書いて思いましたが、次元さんどこまでいいひとなんだ……。あなたの幸せはそこにあるのか……。

 一方、ビルに入ったルパンですが、エレベーターは停止中。しかし階段を見つけて走り出します。「人間の足をなめんなよー」ってここの動きが超かわいい。そして、敵の激しい抵抗で、建物内に突入できませんという部下からの報告を受け、敵兵力を報告しろという司令官は、部下の「二人……です」という言葉に唖然とするのです。「敵は二人、ガンマンとサムライです……!」って、もうやだ泣くほどカッコいい。しかし、五エ門の斬鉄剣はともかく、この兵力にリボルバーでやりあってる次元さんもそうとうの化け物ですよね。とか思ってたら、最高の協力プレイが来て、わたくし、スマホで見ながら悲鳴を上げました。次元のマグナム弾を五エ門の斬鉄剣でふたつに切って、後ろの敵を同時にふたり倒すって。マンガか!マンガだよ!(笑)

 そしてこのふたりの戦いも、ルパンが置いていったモノクルによって実況中継されているのでした。寄せられるコメントの「こんなやつらいるわけないだろ」がすごく効いてる。いるんだよ!とか思ってたら、いきなりそれを見ているミラージュ母娘が出てきて、全わたしが倒れた。そして、イネスにジャン(忍者コスプレが五エ門コスプレに進化している)まで出てきちゃうんだもんな。次元回と五エ門回までみごとにフォローされて、わあもうなんかすごいなあ……とため息です。一方、階段を上るルパンですが、ビルが破壊されて危うい感じに。それでも「待ってろよ、お姫様たち」というのです。複数形ということは、ルパンが迎えに行ってるのは、不二子と、アミなんですね。ここでAパートが終了。

 で、Aパートの感想ですが、ひとこと「濃い」でした。拾うべき要素が多すぎてもうどうしたらいいか分からない。いや、話自体は割とシンプルで、ルパン一味はこれまでに出会った人々に見守られながら、ラスボスたるエンゾのもとに向かう、というだけなんですが、アルベールはなんかしてるし、オリグ島は軍事攻撃を受けてるし、それだけですまないのは確か。なにより、もはやルパンにとってのラスボスはエンゾじゃなくて不二子だよね、という雰囲気ですね。ああ、わたしはすごいもの見てる。気持ち的には、あのイネス同様「やっちゃえー!」って感じでした。はい。

 Bパート。通信ケーブルのトンネルを走りながら逃げるリンの前に現れたアルベールは、リンの持つ技術と引き換えにリンの身柄を匿うことを提案します。「選挙ごとにトップが変わる組織より、おれに匿われた方が安全だ」というアルベール。承諾したリンを見て「ルパン。おれは盗んだぞ。おまえはどうだ……?」とアルベールはつぶやくのでした。

 シェイクハンズ社の最上階には、アミとエンゾ、不二子がいます。一時間以内にこのビルは倒壊するというアミの分析をどこか涼しい表情で聞いている不二子。一方、ルパンによる実況中継が中断され、かわりに画面にあふれるあのルパンマーク。それを見守るレベッカ。カフェの女主人。「呉越同舟」の人々。ピーカブー。ヒトログの管理者権限がルパンによって乗っ取られたのです。「……そのていどのイタズラでヒトログを潰せると思うな!」と立ち上がったエンゾの前に、エレベーターのケーブルをよじ登ってきたルパンが現れます。このときのルパンのカッコよさは無限大で、わたしもうどうしたらいいのか分かんない。

ヒトログの解析なんかあてにならないだろ?」というルパン。それを聞いて「それを証明するために、わざわざ……?」とつぶやく不二子。「ああ。だから不二子。おれは死なないってことだ」と言い放つルパン。これって、あの破滅願望云々への返事ですよね。そうだよ。ルパンのなかには破滅願望なんかないよ!と思っていたわたしはこれがすごくうれしかった。そんな安っぽいものルパンにはお呼びじゃないんだよ。そして、それを聞いて、わずかに笑う不二子がほんとうにきれい。

 エンゾはルパンに銃を向けます。ケーブルをよじ登ってきたルパンは銃を取り落としてしまいます。「話せ、ルパン。てめえにはなにか秘密があるはずだ。でなければ、ヒトログから逃げ切れるはずがない……!」というエンゾ。しかし、ふたりの間に割って入ったのはアミでした。「おまえには撃てない」というエンゾに「どうしてわかるの?ヒトログに書いてあった?」というアミの台詞がせつないですね。けれど、ルパンには分かっているのです。エンゾには自分を撃てないことを。

エンゾはおれを知りたがっている……。おれがこれからなにを言うのか、なにをするのか。おれを知らないかぎり、おまえのヒトログは永遠に未完成のままさ」と言うルパンがついにたどりついたのは、不二子の前でした。

 薔薇を一輪取り出して「不二子、愛してるぜ」というルパン。「知ってるわ」と答える不二子。「世界一のいい女だ」というルパン。「それも知ってる」と答える不二子。ルパンは深くため息をつき「こないだの答えが知りたいのか……?」と問います。「そうよ、ルパン。わたしはあなたのなに?恋人?ライバル?障害物?踏み台?港?……それとも、棺桶かしら」と不二子は言います。「男同士なら友達でいい。でもあたし、男女の友情って信じてないから」と。

 そこまで言われて頭をかくルパン。「おれもさ、考えたんだよ。おまえに言われてから、いろいろと。けどな、実はおれもよくわかってないんだよ。ルパン三世がなんなのか」その言葉に、不二子の視線は「また逃げるの」と厳しくなります。しかしルパンは微笑んで「分からないなりに考えて、今日はその答えを持ってきた」と言い、顔に手をやり、マスクをはぐのです。それがどのような顔かは分かりません。しかし、不二子はそれを見て、鳥かごから出て、ふたりはくちづけを交わすのです。

 いやもう。悲鳴が出たよねこの場面。というか、見たひとによって解釈は分かれるでしょうし、正解なんてどこにもない場面だと思うんですが、わたしはもうずっと緊張して、いやだいやだ、見たくないと思ってたんです。でも、そんな緊張があのキスで解き放たれた気分になって、つい笑ってしまいました。そこでようやく、ここで原作準拠かよ!と思った。ルパンの素顔はだれも知らない、いつものあの顔ですら本物の顔じゃない。でも、わたしはルパンがそれを見せたとは思わないんだよな……。それ、つまらなくないですか。不二子は微笑み、アミは驚き、エンゾは喜んでいる。エンゾにそれがなにか分かるというのなら、それは単なる「素顔」なんてものじゃないんじゃないかな……とか……。だから真相は闇の中でいいやって気分です。見せてくれなくてありがとうと思う。個人的には、あのマスクの下もいつものあのサル顔でいい。ルパンの秘密は毛が三本足りないこと、くらいでいいやと思います。

 しかし、ここでようやくルパンと不二子の関係はあるていどの着地点に到達したわけですが、わたしは不二子ちゃんはほんとうにルパンと同じ魂の持ち主なんだなと思いました。「わたしはあなたのなに?」という質問にルパンは「そもそもおれはなんなのか」という疑問の答えで応じるのだから。普通なら答えになってない。でもそれが不二子にとっての答えだった。

 ふたりの違いはその器が男か女かだけなんだけど、でも、その違いのせいでふたりはいったん別れるしかなかったのが、このPART5の前提条件だったんですね。不二子ちゃんのいうように、これが男同士なら別れなくていいの。次元と五エ門がそうしているように(たまに決着をつけるために殺しあったりするけどな)。でも不二子ちゃんは女だから。ほんとうにそっくりなこのふたりは、だからこそ永遠の恋人未満であることがいちばんで、ずっとそれを楽しむことができたはずなのに「魔が差して」ちゃんとつきあってしまったら、こうなった。しかしけっきょく、永遠に続く恋のときめきを求めていたなんて、不二子はルパンに負けないロマンティストですね……。

 やがて大きく傾くシェイクハンズ社のビル。アミにビル倒壊をシュミレートさせるルパン。それに応じて「ハロー、アンダーワールド」と分析を始めるアミですが、エンゾはそれを見て「……おまえが?!」と驚くのです。いや、知らんかったんかーい!(笑)

 倒壊しそうになるビルを見て、駆け出そうとする次元。しかし、五エ門が指す先には、ボール紙を腰に敷き、一気に壁を滑り落ちてくるアミ、ルパン、不二子、そしてそれを追いかけるエンゾの姿があったのでした。「サンバ・テンペラード」がBGMになって、なんかこう一気に物語が大騒ぎとともに収束していく雰囲気になって、わたしはこの場面がすごく楽しかった。ドリフの盆回しみたいだった。なによりエンゾが。吹き飛んだアミを抱えて「アミじゃない、アミだ!」と正しい発音で呼ぶんだもの。エンゾがすごく可愛くなった!ここでアミの名前の由来が日本語の「網=ネット」であると教え「母さんと考えた。おまえの名前は未来につながってるゥ!」ってなんだこのキャラ変、上川さん最高!と思って笑っちゃったんですが、でも、もしかしたらエンゾってずっとこういうひとだったのかもなあ……。

 そしてそこにヘリで駆け付けるのは銭形警部とヤタくん。戦場となったオリグ島を見て、これではルパンも……というヤタくんに「ルパンは死なん!おれが捕まえるまで、ルパンは死なん、死なせてたまるか……」という銭形警部。双眼鏡を覗き込み「ルパーン!逮捕だ!」と笑うのでした。ここのとっつあんの笑顔、最高ですね。

 そしてそのヘリを見て銭形だと気づいたルパン。「面倒なのが来やがった」という次元の背中を押して不二子は「ルパン、先に行くわ」とアミちゃんとのお別れの時間を作ってあげるのでした。不二子はなんやかんやいいつつも、アミちゃんといい関係だったのだな。

 ……といいますか、ええ、みなさんもうあえて書くまでもないことかもしれませんが、わたし的にはもうここが最終回のクライマックス。不二子が次元の身体に触れましたので、大満足です(真面目な顔で言ってます)。いやあ、このPART5の連続話、ほんとうにこのふたりの接触が少なくてわたしはどうしようとか思ってたんですけど、まさか最終回でこんなさりげないサービス場面を頂けるとは思ってもおらず、なんといいますか、ありがとう、道は見えた!という気分です(我ながらキラキラした目で言ってます)。このひと頭がおかしいと思ったひと、大丈夫ですよ、書きながら自分でもそう思ってるから。でもほんとぐいぐい押してる……。うれしい……。

 そして「アミ、一緒に来るか?」と軽く手を差し伸べるルパン。すごいねえ。ルパンは本当にアミの能力を認め、一緒に仕事をするのにふさわしいと思ったんだ。そしてアミは「ありがとう、ルパン」とその手を握り、握手だけして、一緒には行かない。ここ、カリオストロの城のラストを思い出したのはわたしだけでしょうか。連れて行って、と願ったけれど大事に置いて行かれたクラリスと、一緒に行こうかと差し伸べられた手をただ握り、お別れしたアミの違い。アミはとてもとても、賢い子だ(クラリスが愚かという意味ではありませんよ、念のため)。ルパンという存在に対しては、そうすることが正しいと思ったんだね。「また会いましょう」と微笑むその顔は、大人っぽくて、とてもきれいだったとわたしは思います。

隣にいてほしいけど、近すぎると落ち着かない。わたしのものになってほしいけど、ひとりじめできたらきっとがっかりする。かれのすべてを知りたいけど、謎めいていてほしい……なんなの、これ」とつぶやくアミに、エンゾは言います。「アミ、そういう人間をなんていうか知ってるか?……ヒーローだよ」と。第1話のアバンとつながった。というか、上川さんがすべて持っていった!(笑)

 そしていまだ続くシェイクハンズ社への攻撃から逃れて野原を走るルパン一味。エンゾを潰しても第二第三のエンゾが生まれてくる、との話で「面倒な世の中になったものだ」とつぶやく五エ門。しかしそれを笑って「じゃあ引退すっか?」とからかうルパン。ここのふたりのかけあいもいいですね。PART5はけっきょく、このふたりの話でもあったからな……。

 そしてなぜかヘリでなく、徒歩でそれを追いかけてくる銭形警部とヤタくん(笑)。「ルパーン、逮捕だ!」ってこの顔いいなあ。それを見て「変わらないねえ」と笑うルパンもいいし「おれたちもな」と続ける次元さんもいい。最高。「だが、悪くない」と五エ門が言い、不二子ちゃんが「まあ、いいんじゃない?」と締める。その瞬間、流れる「ルパン三世のテーマ」!明るい方向に向かって走り続ける4人の後ろ姿。ここでスタッフロールです。

 エンゾとアミは銭形の手配で救われ、アルベールはリンを連れ必死の逃避行ですが、なんかこれルパンにしてやられたの?(笑)、ドルマは女王としての采配を振るい、リクヴィールのあのカフェはルパンがいたことを売りにして大盛況、レベッカはトロール船でルパンを待ち、居酒屋「呉越同舟」のみなさんはご機嫌なようす、マルコポーロの三人も獄中でなんだか落ち着いています。そしてヘリからルパン一味の逃避行を見つけたアミの目に映るのは、倒れそうになった不二子の手を握るルパン。それを見たアミは、ハローアンダーワールド、とささやくのでした。ここでタイトルが出て、終了です。もちろんタイトルは「ルパン三世は永遠に」。

 というわけで、最終回でした!いやあもう、いろんな要素がてんこ盛りで、とてもじゃないけどまとめきれない。どう解釈していいか分からないとこもいっぱいある。でもひとことでいうのなら、「ほんとうにありがとうございました」です。うん、ほんとうに楽しませてもらった。最高のTVシリーズでした。

 いろいろ言いたいことがあふれてます。きっとまた追加するんですが、いまのとこはとりあえず、まとまってないなりの感慨などを。

 とりあえず、最終回というかこのエピソード4はほんとうに力づくでまとめあげた話だったな!と思いました。わたしは大好きだけど、いろいろとすごい。説明されてないとこ、強引なとこいっぱいある。でも、それをここまでまとめて、あのラストに持っていくのがすごい。ほんとうにスタッフのみなさま最高です。
 
 このPART5は、後々、TVシリーズの中でも異色作とか挑戦的な内容と言われるものなんだろうなという気がしますね。いろいろやりたい放題に思える「ルパン三世」でも、あの膨大な歴史の積み重ねをここまで作中に生かすのは、初めての試みですよね。それもろくな説明もなく、当たり前のように過去のキャラクターたちが出てくる。そりゃそうですよ、ルパンたちにとっては見知った存在なんだから。これに首をかしげるひとはどうぞ過去作品をご覧くださいって感じでもあるので、それをどうよと思ったり、二次創作かファンムービーのように感じる人もいるかもしれない。

 でも、わたしはそれを公式でここまでやりきったのがすごくカッコイイと思うのです。これ、公式でやるのすごく勇気がいるよ。最高だよ。ルパンとは何か、というのがPART5のテーマだったとわたしは思うのですが、その答えがまさにこれですね。ルパン三世は永遠のヒーローなのです。

 なぜなら、ルパン三世は生まれてから50年たつコンテンツで、きっとこれからの50年も生き残るコンテンツだとわたしは思っているからです。だから、わたしがかれらの本当の最終回を知ることはきっとない。でも、これから先に、どんなものを好きになっても、ルパンにこれほどの熱を上げなくなったとしても、いつかまた会おうぜと笑うルパンの顔は永遠にわたしのなかにある。ルパン三世は永遠に。最高のメッセージです。

 あのアミの台詞のように。また会いましょう。どこかで。いつか。いまは行ってしまう、去ってしまうあなただけど、いつかどこかでまた会えますように。そう思って笑って別れた相手と、ほんとうに逢える保証はどこにもない。これが最後に見るあなたの姿かもしれないと思いつつ、それでもまた、と言うしかない。どこにも行かないで、ここにいて、と言うことだけはできないまま。そんな風にかれらと別れてきた人々の前に、ルパンはふたたび現れたのです。そしてまた、いつか会おうぜと去っていくのです。約束と思い出を残して、また、遠くへ行く。このPART5はそういうお話だったのだとわたしは思いました。

 もうちょっと落ち着きましたら、もうすこしまともな全体の感想も書きたいなと思ってます。でも、いまはこれが精いっぱい(笑)。これまでのこのPART5の感想を読んでくださったかた、拍手を押してくれたかた、本当に本当に、ありがとうございます。ここまで書き続けられたのも、なにもかもみなさまのおかげです。すごくうれしかったです。

 そいえば、このあいだ読み返した第1話の感想は約4800文字で「長い」とか書いてて笑いました。いつからか1万文字が標準になりました。こんな思い込みの激しいオタクでジゲフジスキーな感想におつきあい下さったみなさんのおかげで、第1話から最終回まで半年のあいだ、こんな風に書き続けることができました。もちろん、本編の素晴らしさあってのこととはいえ、読んでくださる方がいるからこそだという思いはわたしのなかに常にあります。これからも、機会があればルパン感想は書き続けたいと思いますので、よろしければまたおつきあいください。勝手な思いですけど、これまで、一緒にPART5を楽しんで下さってありがとうございました!そしてこれからもどうぞよろしくお願いします。

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