ルパン三世PART6第22話「私のママの記録」感想

 ルパン三世PART6第22話「私のママの記録」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 川に面したアジトのバルコニーで、ノーパソに向かっているルパン。熱の入ったその様子を見た次元は「精が出るな、次の仕事か?」と問います。しかしルパンは「勉強だ、勉強」と応えます。驚く次元に「この学びに飢えた目を見りゃ分かんだろ」と冗談とも本気ともつかない言葉を言います。そのそばで、釣り糸を垂れているのは五エ門。

 場面は、飛行機に乗っている少女の姿に移ります。彼女が読んでいるのは、ひとりの少女が、学校に入学する不安と心配を綴った日記。それは、彼女(フィン)の母親、マリエルの日記なのです。アバンはここまで。

 雪国に着いたフィン。彼女は電話の向こうの祖父が心配するのもよそに、オーロラを見たら帰るから、と自分が生まれたこの国、レヴォンランドに一人旅でやってきた興奮を隠せません。どうやらスマートフォンを通じて、その様子を実況しているよう。そんなフィンを迎えたのは、ダニエルという初老の男性。フィンはダニエルの家で生まれたのです。ですが、ダニエルの妻、アンナは、フィンを母親であるマリエルと間違えたままです。彼女は、マリエルと過ごした15年前の時に生きているのです。

 部屋に飾られた当時の写真には、いまよりも若いダニエルとアンナ、マリエルの姿が映っていました。フィンは、この部屋で出生し、同時に母を亡くしたのでした。その事実しか聞かされていない彼女は、自分の父が誰であるかということと、まだ16歳だった母がなぜアメリカから遠く離れたこの国で亡くなったのかを調べるために、この国にやってきたのです。

 まずは母、マリエルの日記を読み込むことから始めたフィン。その日記には、ショーンという青年にマリエルが惹かれ、かれの所属するフットボールチームのマネージャーになったことなどが綴られていました。チームの集合写真から、どの男性がショーンかを突き止めるフィン。

 一方、ルパンのアジトでの五エ門の釣果はいまひとつで、小魚だけが皿に乗っています。「丸一日糸垂らして、これだけってことはねえよなあ」とルパンはあきれますが、魚はきれいに三等分されており、次元と五エ門の動きは素早く、ルパンに残されたのは尻尾だけでした。

 フィンも、ダニエルたちとの夕食を楽しんでいますが、食後にアンナが編み物をしていることに気づきます。アンナはフィンを妊娠中のマリエルと思っており、赤ん坊のための靴下を編んでいるのです。そしてたまたまかかってきた電話のベルを、ショーンからだというアンナ。なぜマリエルはショーンからの電話に出ないのか、疑問に思うフィン。そして、マリエルにしつこく付きまとうアレンという男の存在が記されたあとは、マリエルの日記はすべて白紙になっているのでした。

 そして、アンナの言葉により、フィンの祖父によってマリエルのために送り込まれた家庭教師の存在が明らかになります。曇り空の天気のまま、祖父と会話するフィン。オーロラはまだ見えないのです。家庭教師は、身体が弱かったマリエルが安心して出産できるように、と祖父が知り合いに紹介してもらった、傷ついた記憶が癒せる人だ、ということだったのですが……。

 ダニエルは家庭教師のことは関知しておらず、なにかを知っているはずのアンナは15年前の世界に生きており、情報は聞き出せそうにありません。しかし、そのアンナの記憶に浮かぶのは、トモエの姿でした。一方、フィンは出窓椅子に隠されたカセットテープの存在に気づきます。

 それは、マリエルの声を録音したテープでした。それを見つけたことを実況するフィン。彼女はネットを通じて、自分の調査を配信しているのです。そのテープは家庭教師の授業を録音したものらしく、「このテープを聞けば、あの日、マリエルになにがあったのかが分かるかもしれない」とつぶやくフィン。

 テープによる回想。マリエルは、「留学なんて、うそ」とつぶやき、家庭教師を迎えます。その家庭教師、トモエはマリエルに「あなたは、なにを学びたい?」と問いかけます。その声にインサートされる、五エ門とルパンの姿。

 テープを得たフィンは「フィンのルーム」と名づけた配信を続けています。マリエルのテープには、マリエルがアメリカのショーンからの電話に出ることを拒んでいる様子と、マリエルの母もまた、トモエの教え子だったことが録音されています。

 ゆっくりとした語り口でマリエルの緊張を和らげていくトモエ。そしてその会話のなかで、トモエが着物を着ていることが明らかとなります。そこで「# Tutor in Kimono(着物を着た家庭教師)」というハッシュタグをフィンが使ったことから、フィンの配信は、ルパン、そしてマティアの情報網に届くことになったようです。Aパートはここまで。

 Aパートの感想。やっぱり連続話だったわけですが、いや面白いな! このミステリアスな雰囲気がすばらしい。フィンの年齢のせいか、それこそYAミステリみたい。こういうの好きだ! 雪国という舞台と、やさしいダニエル、幻の世界を生きていながらもなにかを握っているらしいアンナ、という脇役の設定もさることながら、主人公たるフィンのキャラ造形がいいですね。

 自分と同い年で亡くなった母のことを知りたくなって初めての一人旅をしている少女という設定にふさわしい、賢い感じが良いです。夕食を奇麗に食べたときの笑顔が可愛いし、自分のそんな冒険を配信してる(ツイキャスかな)というのも、いまどきの女の子ぽい。そんな彼女がなにげなく使ったハッシュタグがマティアとルパンを引き寄せる流れも自然でうまい。

 出番は短いながらも、ルパンさまのアジトでの三人の様子がはさみこまれてるのも嬉しいですね。このアジトは、第9話と16話で登場したロフトがあるアジトかな? あのマティアの花屋で買った花が溢れていたアジトではないあたりが、ちょっと意味深ですね。このルパンはすでにマティアの正体(あるいはしでかしたこと)を知ってるはずだと思うので……。でもそんなシリアスな雰囲気のなかでも、小魚奪いあっちゃう三人は可愛いよ!

 さて、Bパート。買い物に出かけたフィンとダニエル、アンナの日常生活が描かれたあと、三日目の夜の配信で、「穏やかで優しい、声が素敵」とトモエの印象を語るフィン。その配信にマリーゴールドのいいね(たぶん)を送るマティア。テープが再生されるうちに、マリエルの母もまた10代で妊娠し、周囲の反対を押し切ってマリエルを生んでいたことが明らかになります。

 そして、トモエは、アメリカを発つ前に、アレンに会ってきたことをマリエルに告げます。親友のキャサリンも、マリエルのことを心配していたと言われ、その名前に思い当たらないマリエルは戸惑います。しかも、アレンとマリエルが惹かれあって結ばれたというトモエの話に反撥するマリエルですが、トモエはマリエルの母からすべてを聞いてきたと告げ「大丈夫」と繰り返します。それに誘われるように、やがて「はい」とつぶやくマリエル。

 テープを聞き続けたフィンは、第6夜の配信を始めます。トモエは、マリエルが入学式で出会った少年がアレンであると、ふたりの仲睦まじい写真を見せます。覚えの無い写真に、戸惑うマリエル。しかしトモエはやさしく「あなたは特別よ。かれを慈しむことができる」とさとすのです。マリエルの好きな相手はショーンだと知っているフィンは驚き、いぶかしく思います。そして、その配信に耳を傾けているマティアは、配信にルパンからのいいねが送られたことに眉を顰めるのです。

 配信を聞きながら、厳しい表情で検索を続けているルパン。その画面には、マリエルとフィンのプロフィール。そして何かの事故現場と三つの墓標の写真が写っています。戸惑いながらも、配信を続けるフィン。「違和感で胸のあたりがざわざわします。先生の話すことに、最初ママは何度も違うって言ってたのに、昨日はもう受け入れてた。へんだよね、これって催眠術?」そんなフィンの言葉に「違う」とぽつりとつぶやくマティア。

  一方、ようやく大物を釣り上げた五エ門は、菅笠を持った旅姿に。どうやらルパンが北に向かったのを追いかける様子です。そしてマティアもまた機上のひとに。しかし、その姿はあのリンファのネットワークに捕らえられていました。その報告を受けた銭形もまた、レヴォンランドに向かうのです。

 レヴォンランドに到着し、スノーモービルに乗るマティアとそれを追うかのように車を走らせるルパン。次元と五エ門もまたルパンと合流します。

 とうとう、フィンの配信も7日目に。今日は彼女の誕生日なのです。最後のテープには、ショーンからの電話にとうとう出ることに決めたマリエルの姿がありました。その配信を聞きながら、フィンの家を監視しているマティア。しかし、そこにはルパンの姿もあります。マリエルとショーンの会話に割り込んでくるアレン。言い争うふたりの会話を聞くうちに、マリエルの状態が悪くなります。そして、その会話を耳にしつつ、「これか……」と監視カメラの映像を見るマティア。

 それは大学のカフェテリアで争うふたりの男と、それに銃を向ける一人の女性の姿でした。鳴り響く銃声。倒れるアレンとショーン。マリエルもまた倒れ、その様子を外で見ていたと思しきトモエの姿もインサートされます。その展開を確認し「失敗したんだ」と笑うマティア。ふたりの男を撃ち殺したキャサリンもまた「誉めてくれますか、トモエ先生」と言い残し、自分の頭を撃ち抜きました。

 衝撃で産気づいた(?)マリエルにシンクロしたかのように、呼吸困難となり倒れるフィン。その様子を察したルパンは車から飛び出し、フィンのそばに駆け寄ります。過呼吸を起こしたフィンを抱き止め、落ち着かせると、アンナを呼び寄せます。フィンを腕に抱いたアンナの目には正気の色が宿り、彼女は自分を取り戻すのでした。

 フィンを生んだあと、マリエルはアンナに日記の最後のページを指し示し、そこにたくさんあった候補から、マリエルがフィンという名前を選んだことを伝えたのでした。アンナにそのことを教えられ、涙するフィン。ルパンもまたフィンに誕生日祝いの花を渡し(花屋の店員を装って)、その場を去ります。その様子を眺めるマティアの脳裏には「狙った獲物は必ず殺すの。あなたにはそれができる。あなたは特別だから」というトモエの言葉が浮かんでいます。

 車に乗りつつ「トモエ……あんたいったいなにがしたい?」とつぶやくルパン。どうやらフィンのところからあのテープを失敬してきたようです。そして次元が道端を歩く銭形を見つけ、ルパンは車を止め、声をかけます。ふたりを照らすのは、この北国にようやく現れたオーロラの輝きでした。

 次回予告。「ルパンの意識をくすぐる美しい思い出たち。花の香りが導くのは楽園か、それとも終焉か」という不二子のナレーション。次回第23話は「愛しの魔女の記憶」。連続話、いよいよ大詰め!

 というわけで22話でした。いつもなら、Bパートは場面場面でツッコミと感想書くんですが、その余裕がなかった。いやー面白かったです。前回、あんなゆるゆるのトンチキ話を出しておいて、これだものなあ。PART6の第2クールは信用できる。

 この話、要するに、アメリカの高校に入学したマリエルがショーンというフットボールを頑張ってる男の子と出会って恋に落ちた。しかし、同じくフットボール部の花形であるアレンが(おそらくは)マリエルを襲った結果、マリエルが妊娠。彼女は秘密裡に出産すべく、アメリカを離れてレヴォンランドにやって来て、ダニエルの家にホームステイした。そこに、マリエルの母の家庭教師だったトモエがやってきて、マリエルの認識を操作することでマリエルの心の傷を癒そうとした(だから、フィンの祖父はトモエを〝ドクター〟と呼んだ)。そういう流れなわけですよね。

 トモエがマリエルにアレンを恋人と認識させたのは、襲われた結果の妊娠ではなく、愛ゆえの妊娠だと思わせたかったのでしょうが、それだと、なぜアレンとショーンをキャサリンに殺させたのか分からない。もしかして、マリエルの母がトモエに依頼したのかもしれないけれど、アレンはともかく、ショーンまで殺す必要はないよね。

 やはり、不名誉な妊娠であることを隠すため? マリエルが妊娠していたことをショーンやアレンが知らなかったのなら、それはありかな(フィンの祖父は「留学」という誤魔化しを使ったようですし)。キャサリンを自殺させたのは口封じ? しかしこの展開は、マティアに言わせれば「失敗したんだ」ということなんだよね……。結果として、マリエルも死んだから、だろうか。

 しかし今回、ほとんど台詞はなかったマティアの存在感が素晴らしかった。エネルギー飲料を飲みながら線路を歩き(ちょっとアミちゃん思い出した)、あわやと思わせておいて列車を軽くよける身のこなしのただものでなさよ。トモエの声を聞いているときのあのなんといえない苛立ちにも似た表情もいい。それでいて、トモエの言葉はいつでもマティアに付きまとっているというあの表現。やっぱり娘なのかな……。

 そして、直接の登場ではないんですけど、かつてないまでに出番が多かったトモエ。純粋に怖いな。いちばん最初は、盗術に優れた女泥棒系のひとかと思ってたんだけど、これ、心理操作のほうの達人なんですね。家庭教師といいながらも、勉学を教える人じゃない。教え子の特性を見抜き、それをある特定の方向に伸ばす術を持っているのかな。でも、その特定の方向は善良な面だけとは限らないのでは……。

 催眠術か、とおびえるフィンに「違う」とマティアがつぶやいた。多分、そんな言葉で表現できるようなテクニック上のものじゃないってことなんだろうな。マリエルがトモエの言葉を受け入れたとき、光を失ったその瞳は、まるでかつてマティアがアリアンナを襲うときに見せたあの瞳のよう。もしかして、アンナもまた……?

 そして、わき役もいいとこでしたが、存在感はしっかりあった次元と五エ門。メインはルパンの話だけど、こうやって出番があるの有難いですね。ルパンがもし自分のルーツを探る道筋にいるのなら、そのそばにふたりがいることは無駄じゃないもの。お魚釣りは定番だけど、次元さんがちゃんとエプロン姿で料理してるの楽しい。しかし、あの地図でよくレヴォンランドにたどりつけたな。

 レヴォンランドについてからも、あの北国なんだから、次元さんもコートくらい着てくればいいのにと思いました。それに「北極の海はこんなものではない」と五エ門が言うのは、ギャビーとの出会いのことかもね。そして、ルパンから渡されたカイロを次元がちゃんと五エ門に分けてるのがやさしかった。五エ門がちょっと驚いてるのがまた可愛かったし、ルパンがフィンのところに行っている間、ふたりでトランプして待ってるのも可愛い。仲良しさんか。個人的には、これ、ぜったいにババ抜きレベルのトランプだと思います。五エ門、ポーカー下手そうじゃん……。

 そういや、リンファちゃんも銭形警部に協力してましたね! 「国際指名手配犯、マティア・ファーラー」という響きが重いけど、つまりマティアがヘイゼルを殺害し、アリアンナを撃ったことは周知の事実になっているのだな。ここで、やたくんの姿が見えないということは、アリアンナに付き添ってるのかな……。だったらアリアンナは死んでないということになるのでそれが望ましいです。やたくん抜きでルパンと向き合う銭形さんの姿、久しぶりでした。これはこれでやはり良い。そして、ずっと出てなかったオーロラが、最後の最後に現れて、ふたりを照らすこのラスト、最高でしょ。

 ということで、ルパン一味は脇に追いやられていましたが、個人的にはこれくらい面白かったら文句はない一話でした。トモエとマティアの不気味さと怖さがよりくっきりしたところで、ルパンと三人、あるいは二人(わたしはトモエはもうこの世にいない気がするんだよねえ……と思わせて、生きてるかもよみたいな匂わせはありそうだけど)の対決がやってくる流れは正しいと思います。敵役に凄みがないとルパンが引き立たないんだよ。

 もっとも、ルパン一味以外のキャラがメインの話は単に面白くないという人もいると思いますが、それはキャラが上手に動いてないから面白くないのです。魅力的なサブキャラの存在により、レギュラーメンバーがさらに輝いてカッコよくなる。そのためのサブキャラなのですから。その点、ホームズもカッコ良くて悪くはなかったのだけど、なんというか悪人ではないので、キャラ立ちがいまひとつだったんだよな……。そういう意味で、この第2クール、わたしは第1クールよりずっとミステリで謎だし、面白いなあと思ってます。

 そんな第2クールも、残すところあと2話。あとはもう大団円に向かってまっしぐら、とりわけ次回はルパンのアイデンティティにも関わりそうな内容でどきどきなのですが、ここまでくれば失望させられることもないでしょう。それはこれまでのルパンのキャラに嘘やごまかしがなく、ルパン一味の設定に揺らぎがないから。次元と五エ門、そしてきっと不二子ちゃんは、ルパンのそばいいるから。楽しみです!

 さて、今回もありがとうございました。いつも感想を読んで下さるかた、ほんとうに嬉しいです。わたしは基本的に自分のブログにひきこもりの人間なので、他のファンの皆様がどんな感想を抱いているかってあまり分からないところもあるんですが、それでもこうやって自分の感想をまとめてUPしたものを読んで頂けていると、あ、ひとりではないのかなと安心したりもしています(笑)。拍手もいつも嬉しいです。読んで下さるかたに、すこしでも、共感して頂けたり面白いと思って頂ける感想なら幸いです。最終回までどうぞよろしくお願いします、ありがとうございました!

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