ルパン三世PART6第24話「悪党が愛すもの」感想

 ルパン三世PART6第24話「悪党が愛すもの」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 物語は、前回のラストから幕を上げます。昔住んでいた屋敷にて、歳老いたトモエと再会したルパン。しかし、その前にはマティアが立ちふさがり、その銃弾はルパンを撃ち抜きましたが、ルパンはふたたびマティアとトモエの前に現れます。ルパンは、急所を外すことに成功していたのでした。その姿にナイフを取り出し、「これなら外さない」というマティア。

 狙った獲物は必ず外さない、と一歩も引かないその姿に、トモエは「あなたが特別になるにはそれしかないものね」と声をかけます。それにマティアが顔色を変え「おまえも獲物のひとりだ」と言い放ったあと、ルパンとマティアの戦いが始まります。手負いのルパンに容赦なく刃を振るうマティア。しかし、なかなかとどめを刺せなかったところに、一発の銃弾が撃ち込まれます。アバンはここまで。

 銃弾を放ったのは、もちろん、次元大介でした。そのそばにいるのは五エ門と不二子。しかし、ルパンは三人を見ても素っ気ない態度のまま。それを見た次元はトモエに「あんた、ルパンを手に入れてなにがしてえんだ?」と問います。不二子も「天下の大泥棒がきいてあきれるわ。自分の意識を盗まれるなんて」とあきれます。邪魔された形になったマティアは「横から口を挟むな!」と怒りますが、その喉元に「話が終わるまで待て」と五エ門の刃が光ります。

 しかし「ルパン、これ以上わたしをがっかりさせないで」という不二子の言葉も平手撃ちも、ルパンを正気に戻らせません。苛立った不二子に、トモエが母親だという証拠を要求されたルパンは、証拠入りの箱をみんなに見せるようトモエに求めます。しかし、トモエは「私たちの思いさえ通じていれば、他人などどうでもいいの、愛しているわ、坊や」と答え、ルパンもまた「愛してるぜ、母さん」と応じます。

 証拠の箱は宝物庫に仕舞ってある、と不二子に告げたトモエは「腕に覚えがあるなら試してごらんなさい」と不二子を挑発します。が、ルパンは「やめとけ不二子。おまえにゃ荷が重すぎる」と一言。不二子はルパンの頬を張り「どうかしらね、泥棒の腕ならあるわ。少なくともいまのあなたよりは」と言い放ち、さらにルパンを平手打ちしようとします。それを自在に避けていくルパン。その様子を見るマティアとトモエはやがてなにかに気づきます。勢いを増す不二子の手のひらに、とうとうルパンはいつもの調子で「ストーップ!」と叫んだのでした。

 最終回なので展開も早いので、ここから感想はじめますね。冒頭からの流れは予想通りなんだけど、背中撃ち抜かれたままのルパンが大丈夫かなと思いました。ルパンさま丈夫すぎる。そして、現れた次元、五エ門、不二子の並びなんですが、次元と不二子のセット感がやたら強くてどうしようかとも思いました。真面目なところでは、三者三様のルパンへの対し方がいいですよね。

 あと、マティアちゃんのキャラがいいなあ。戦闘モードになると目の色が変わるのがカッコいい。それを抑えるのが五エ門、というのも適役です。トモエを疑わないルパンの様子には違和感しかないのだけど、それに正面から突っ込んでいくのがさすがの不二子ちゃん。でもルパンの「惚れた男の母親に嫉妬すんな」ってすごい台詞だな。嫁と姑に挟まれた旦那が言ってはいけない台詞ナンバーワンだ。そりゃ不二子ちゃんも平手打ち連発するわ……と思っていたら、嬉しい展開来た!

 「……ったく、痛くねえ振りする身にもなれってんだよ」と頬を押さえるルパン。その表情は、たしかにいつものルパンのものでした。愕然とするマティア。しかし不二子は平然と「だって、わたしルパンをひっぱたきに来たんだもの」とすましてみせます。そう、マティアに撃たれて窓の外に落ちたルパンは、そこで三人と再会していました。ルパンはすでに正気に戻っていたのです。そして、三人に協力してもらい、トモエの前で一芝居をうっていたのです。

 わたし、ルパンが背中を撃ち抜かれてるのはフェイクか防弾チョッキを着てるかのどっちかで、ぜんぜん深手じゃないんだろうなと思ってたので、ここでそのフォローがないのには驚きました。マジで重傷なの? 「動くな」ってそりゃ五エ門言うよ。普通は即死だよ。まあ、ルパンさまなので、何か特殊なシャツを着てるとかすでに肉体が超回復を遂げているとかなのかなと解釈するほかないですね……。まあルパンさまだからね……。

 でも、正直言ってそんなことよりもルパンが正気に戻ったのが嬉しかったな! そして、ルパンの中に、次元たちに「ひでえことしちまった」認識があるのにも驚いた。いえ、不二子ちゃんにはひどいことしたと思ってあたりまえですが、次元と五エ門への振る舞いを反省してるのってすごいな。このルパンさま、三人のこと大好きじゃん……。すごい仲間感があって嬉しい……。

 正気に戻ったルパンは、トモエに自分はトモエの子供でないことを告げ「あんたにはおれを縛ることはできないのさ」と笑います。息をのむマティア。ルパンはすぐにいつもの調子に戻り「いや最初はホントにヤバかったのよ。仲間に銃を向けちまうくらいにな」と肩をすくめます。それを見たトモエは「わたしが選んだ女たちはわたしとの波長が合うだけでなく、あなたの興味を引く魅力を兼ね備えていたはず。接触手段も警戒されぬようさまざまな方法を考え抜いた。そのための年月をいっさい惜しまずに……」とルパンに訴えます。ルパンもそれを肯定し「あんたが仕向けた女たちはみな魅力的な生き方をしてた」といい、マティアに視線を向け「マティア、おまえもだよ」と告げるのでした。

 ルパンさまつくづく丈夫だな。それはさておき、ルパンが出会った女たちがみなトモエの計画通りに動いてたと知り、さすがに驚きました。このトモエがムルーちゃんのあの妄想劇場のシナリオを描いたのでしょうか。まさか。まあ、察するにルパンと女たちがなんらかのかたちで接触する場を整えておいて、あとは本人たちも意識しないキーワードをつぶやかせるということだったんでしょうけど。マティアに向けるルパンの視線はやさしく、それを受けるマティアはただ苦しそう。しかし、ルパンへの殺気はいったん消えた、そのことを五エ門が剣を収めることで表現する描写がスマートでした。

 そしてルパンは「おれにとっちゃ、こいつら以上に魅力的な生き方をしてるやつらはいねえのよ」と言い「なにより、おれが最後に信じる女はこの世界にたったひとりしかいねえんだ」と不二子に微笑みかけます。「いまさら遅いわよ」とそっぽを向く不二子。「で、いつ正気に戻ったわけ?」というその問いに、ルパンは事の顛末を騙ります。トモエの詩と過去の記憶が混在し、抜け出せなくなっていたルパンを救ったのは、五エ門、次元、不二子の存在だったのです。

 山に行ってつまづいた記憶に現れ「おぬしともあろうものが情けない」と告げたのは五エ門。鳩を出した帽子を受け取り「いつまでこんなくだらねえことやってやがるんだよ、おまえは」と言ったのは次元。ふたりはテーブルでルパンを待っています。「それより、さっさとメシ当番決めるぞ」とトランプを切りながら。そして、トモエに寝かしつけられそうになったルパンに向けて、「駄目、寝かさないわ」とささやくのは不二子。

 三人はそれぞれ「あなたを手に入れられるのはわたしだけなのよ」「それがしをよく見ろ、ルパン」「おれはてめえの相棒だぞ、忘れるわけはねえよな?」と最後にルパンに会ったときの言葉を口にします。そして、不二子が口紅の弾丸をこめた銃口をルパンに向け、引き金を引いた瞬間に、ルパンは正気に戻ったのでした。

 うわーうわーという感じで見たこの場面。何回でも見てられる。ヤバい。好き。いちど表現されたルパンの深層意識が実際にはこういう風に展開していた、この謎解きの流れが素晴らしいというか、単純にわたし好みすぎてたまらない。単に三人の存在や言葉がルパンを正気にしたというだけではなく、ルパン自身の深層心理に三人がこう位置づけられていたというのがたまらない。だから三人の言葉に意味がある。トモエの呪縛から、ルパンを自由にさせる力があるのです。

 そしてもちろん、ルパンを覚醒させる不二子ちゃんの弾丸が口紅というのも、単なる新ルオマージュというだけではなく、夢の展開としてじつに自然なのです。「トランプも、よくやった」(クリカンさんの演技、最高やろ)が、次元と五エ門が食事当番決めのポーカーにつながる流れも同じく、これぞ謎解き、これぞミステリ!と一人興奮するわたし。ルパンは夢を見ないけれど、夢は記憶の連想と入れ替えのメカニズムで構築されているものだから、文句なしの展開です。しかもそれを4人の関係性を明示するかたちでやりとげてくれるなんて、脚本の村越さん、うますぎですよ! エクセレント!

 経緯を語ったあと「おかげで目が覚めたぜ。嘘みてえだろ?」というルパンに「出演料はまけといてやるよ」という次元。もちろん不二子ちゃんは「あら、わたしはしっかりいただくわ」です。ルパンがこんな芝居をうったのは、箱のありかをトモエから聞き出すためでした。そこで、あの日、宝物庫から宝を盗み出したのは、幼い日のルパン自身だったことが明らかになります。ルパンは、あの箱に入っているのはトモエが自分の母親である証拠ではなく、母親ではない証拠、すなわち自分のルーツがわかるものではないか、とトモエに迫ります。

 それを聞き、「あなたはどこまでわたしの想像を越えていくの!」と笑いだすトモエ。ルパンを手に入れるために、また何人もの女を使おうとするトモエに「いったい、どれだけの人生をもてあそぶつもりだ」と不快感をあらわにするルパン。トモエは「いくつでもよ、あなたがわたしのものになるまで、何人でも!」と笑い、その言葉を聞いたマティアはとうとうトモエに襲いかかろうとします。そこに響いた銃声。「それならおれが止めねえとな」と、ルパンが放った弾がトモエの胸を撃ち抜いたのです。「二度と、離さない……わたしたちは、永遠に一緒よ」とつぶやき、息絶えるトモエ。

 このトモエの狂気。わたしは、トモエが笑いだしたときに、せっかくここまでミステリアスにやってきたキャラが、いきなりテンプレの悪役ぽくなっちゃったのが残念だったんだけど、トモエは常にこういう風に常軌を逸していたのかもしれませんね。でなければ、ルパンを手に入れるために、あんな長大な計画を立てないだろうし。ていうか、次元さんも疑問だったように、トモエはルパンを手に入れてどうするつもりだったのか。もしかして、ほんとうにトモエの狂気のなかではルパンは息子だったのかもしれない。ルパンという息子をじぶんのものにしたい、ただそれだけだったのかもしれないな……。ルパンがトモエを撃った(女を殺した)のはちょっと驚いたけど、トモエの狂気を止める責任はそれこそ〝息子〟であった自分にあると判断したのでしょうね。

 一方、マティアは「なにを勝手に、なにを勝手に終わらせてるんだ!」と、すでに息の無いトモエの身体に何度もナイフを突き立てます。「もう終わりだ」とそれを止めようとするルパン。しかしマティアは「なにも終わっちゃいない」とルパンに刃を向けるのでした。自分がこうなったのは、ルパンのせいだ、と。それを見たルパンは、次元たちに対し「これはおれの問題だ」と、マティアと勝負をつけることを告げます。Aパートはここまで。

 そしてマティアのこの狂気。マティアのキャラ立ちはほんと素晴らしくて、PART6に登場したオリキャラではいちばんいいキャラだなと思いました。トモエをルパンに殺されてしまって、マティアの怒りは行き先がない。それを分かっているからルパンはマティアと向き合うことにしたんでしょうが、それはともかく次元さんの言う通り「血が流れすぎ」なのではと心配になりました。わたし、ここで「実は防弾チョッキ着ててさ」とか軽く言うのかなと思ったんだけど「肉食えば治る」とか言ってるのでそういう問題じゃなかった。

 そしてストーリー展開に文句がないうえに拾うところ多くていままで触れませんでしたが、次元さんと不二子ちゃんのセット感もすごい。ああ、このPART6も終わってしまう……。

 Bパート。屋根の上で対決する、マティアとルパン。ルパンは血をしたらせながらもマティアと互角の勝負をします。生死をかけた二人の戦いを、直接に見守ることはせず、ただ終わりを待つ五エ門、次元、不二子。マティアの刃はルパンの頬を切り裂き、銃を持たないルパンはマティアに拳を振るいます。死闘の末、屋根から落ちる二人。

 ここ、ほんとうにルパンさま死んじゃうのでせめて止血をと思って見てましたが、これくらいのハンデがないと対等な戦いにならないからなんだろうな。でもマティアちゃんも本気で強かったですね。わたしはルパンがマティア(女)を殴ったのに驚いたけど、さきほどのトモエと同じく、マティアを本物だと認めたからこそ正面切って戦ったってことなのかなと思います。銃を取り出すと殺す覚悟でやらないといけないし、きっとルパンはマティアを殺すのは避けたかったはずなので、あえて拳を使ったのかな。そんなふたりのアクション場面、カッコよかったです。

 けど。あの。頭上でそんな争いが行われていたにも関わらず、バルコニーで煙草を吸う次元さん。それはよろしい。ですが、あの。そこに、不二子ちゃんが。不二子ちゃんがやってくるんですけど! ふたりきりなんですけど! ああよみがえる「時代」の記憶。回る回るよ時代は回る。歌うなわたし。ちょっと待っていただきたい、もちろんそれどころでないことは百も承知ながら、このツーショットはヤバい。物語の最初と最後がリンクしていて、綺麗に閉じられるという展開は美しいもので、わたしも大好きなんですが、それをいまここで? PART6、そういうこと? 五エ門が部屋にいるのはなんなの。気を利かせてるの? あのサムライがそんなことできるまでに成長したなんて!(もう黙ります)

 屋敷の庭で相対するルパンとマティア。ルパンはマティアに「おれたちは同じ悪党だ」と語りかけます。たとえ人を殺したのがトモエのせいでも、それはなかったことにはならず、おまえはそれを背負って生きていくんだ、と。どんな教育を受けても、最後の教師は自分自身だ、と。「これからのおまえをどうするかはおまえ自身が決められる」と言われたマティアは「泥棒風情が、偉そうに」と答えますが、ルパンは表情を変えず「決めろ。おまえがこのさき、悪党としての美学を持つのかどうか」と告げます。そこにやってきたのは銭形。

 ここ、わたしもルパンがいきなり説教を始めたのでどうしようかと思ったのだけど、そこらへんは最後に銭形さんが突っ込んでくれたので良しとしましょう。悪党の美学なんて言っても、美学という言葉を持ち出した段階で美学にはなりません。が、ルパンはマティアを対等な存在としてみてるんだなーとは思いました。可愛い女の子でもトモエの犠牲者でもなく、同じ線のこっち側に立つものとして。なら、悪党の先輩として道を指し示すことで、自分と同じく、トモエの狂気に巻き込まれた相手として、筋を通してあげたのかなとも思います。こういうルパンは新しい。というか、令和のルパンだと思う。

 銭形はマティアを追ってきていたのでした。この数か月、生死の境をさまよっていたアリアンナが意識を取り戻したことを告げたあと「来い、償いをさせてやる」と手錠を取り出した銭形に、ルパンは時間をくれるよう求めます。ルパンは、マティアの返事を待っているのでした。マティアの脳裏に浮かぶ、過去のトモエとの時間。結果、マティアはナイフを投げ捨て、「今回だけは見逃してやる」とルパンにつぶやきます。理由を問われ、ルパンに救われた一瞬を思い浮かべ「これからは狙った獲物を生かすも殺すもわたしが決めるからだ」とつぶやいたマティア。その手に手錠をかけながら銭形は「このさき、アリアンナの命を奪わずに済んだことがおまえにとって唯一の救いになるかもしれん」と声をかけます。「次こそは逮捕するぞ」という銭形の声を背中で聞き、ルパンは仲間の元に戻っていくのでした。

 ここ、派手な動きはありませんが、銭形さんが実に良かったですね。ルパン一味を見てルパンを見て、マティアを見て。アリアンナをあんな目に遭わせたマティアを、ほんとなら自分の手で締め上げたいところだろうに、いまルパンが何か大事なことをしていることは理解して、一歩引いてくれる。そして、手錠をかけながらマティアに言った言葉には、警察官としての良心があふれてる。ああもうこんな短い場面で、それでもこんなにカッコいいとっつあんを描いてくれるなら、やっぱりメイン回欲しかったですよ……。

 出番は少なくとも、PART6の銭形さんはほんとに渋くてカッコよい銭形さんで素晴らしいですね。これからもこの路線でいくんだろうけど、でもたまにはあのお茶目だったりズッコケたりするところもまた見たいなあ。そこはやたくんが一身に引き受けることになるんでしょうが……(それはそれで良し)。

 あと、三人の元に戻っていくルパンが嬉しかった。角度的に、次元さんの目元が見えているのもポイント高し。次元さんと不二子ちゃんのセット感も良い。ていうかこの話、常にこのふたり隣同士な気がしてきた。ありがとう空気の読めるサムライ。

 宝物庫にたどり着いた一味。あの箱を狙って、張り巡らされたセンサーに守られた金庫に向かうルパン。余裕のはずでしたが、思わぬトラップにひっかかってあわてることに。それを救ったのは、次元と不二子の銃弾、五エ門の斬鉄剣でした。危機を脱したルパンの脳裏に浮かぶのは「誰に対しても、けして油断せぬこと」というトモエの言葉でした。そして、たどりついた金庫の中身は空。それどころか、開けた瞬間にトラップが発動し、爆発。一同は九死に一生を得るのでした。

 ここ、ルパンが一応包帯を巻いていたのに笑ってしまった。ようやく手当をしてもらったのね。でも、ここでも、幼いころには一人でやった仕事を、今回は仲間にサポートしてもらったことで、難度が上がっていても無事にやってのける流れがいいです。そしてここでも仲良く次元と不二子が組んでて、五エ門がひとりルパンの元に飛んでるあたりがほんとうにもう以下同文。宝物庫が爆発するけど、金庫に4人が逃げ込んで事なきを得る展開って、似たようなのTVSPでも見たな……。

 宝物庫が爆発したことに「どういうことだ!」と怒るルパン。それを見て「トモエがおまえを殺そうとしたってことだろ」と告げる次元。つまり、トモエはどこかの段階でルパンの正気に気づいていたのです。そして箱はいったいどこにあるのか?「人をあざむくときは、必ず二重三重に策を練るのよ」というトモエの言葉を思い出すも、「皆目見当がつかねえ」と頭を抱えるルパン。それを見た次元に「ここんとこずっとおまえがメシ当番やってたのはなんでだと思う?」と言われてしまいます。「ポーカーに負けってからだろ?」と答えるものの「勝ちにこだわって考えすぎなんだよ。だから運任せの五エ門にも勝てねえ」と次元に言われたことをヒントに、なにかを思いつくルパン。

 このやりとり、いいないいな! 生活感がある。次元が煙草をひとくち吸ってルパンに押し付けるの最高。「まあ、落ちつけよ、一服どうだ?」なんてまどろっこしいことはめんどくさいのね。もしかしたら次元さんのなかには正解がすでに浮かんでたかもしれないけど、ルパンに答えさせたかったのかなあと思いました。これはルパン自身の問題だものね。そして「運任せ」とかひどいこと言われてるのに「それがしなにも考えておらん」と自分でもっとひどいこと言ってる五エ門の可愛さが無限大。あと、ほんとしつこいんですけど、不二子ちゃんはずーっと次元の隣ですね……。

 屋敷に戻り、トモエの亡骸のもとに向かうルパンたち。そのたもとにあの箱が隠されていたのでした。「なにが二重三重の策だよ、先生」とつぶやくルパンに、次元は「その教えすらおまえにとっちゃ呪縛だったってわけだ」と声をかけます。屋敷に火をつけ、その場を去るルパン。箱の中には、ルパンのルーツにまつわるものが入っているはずです。「見られたくない物ならどうして処分しなかった?」という次元の疑問に「愛は理屈じゃないってことでしょ」と不二子は笑い、次元は「はっ、愛ねえ」と吐き捨てます。

 以下同文。いやその。箱のゆくえは予想通りだったんですが、なにこのやりとり。愛は理屈じゃないって、それはつまり、トモエのルパンへの愛ってことだと思うんですが、なんでそれをこんなに意味ありげに言うの不二子ちゃん。そして過剰反応するの次元さん。うん、そうだね、トモエのあの妄執を“愛”なんて美しくまとめるなんて馬鹿じゃねえのか、それにどんな迷惑かけられたと思ってるんだ、これだから女ってのは……とかいう流れですよね分かります。でも愛は理屈じゃないってこのPART6で思い知らされたりしたのかなあとかも思いますよね。いま書きながら我ながらほんとにキモい笑顔になりました。にこにこしてます。申し訳ありません。

 そして、そこで自分が「愛」の言葉を口にした瞬間に、トモエはルパンが正気に戻っていると気づいたのだと、ルパンは思い当たります。箱を開け、中身を見たルパンは、それをそのまま燃え盛る炎の中に投げ捨てます。あわてる一味に、ルパンは「いいんだよ、これで」と言い放ちます。自分のルーツが分かるものだったのかもしれないが「なんにせよ、おれを縛りつけるもんに変わりねえ……それに、おれのルーツはいまここにいるおれ自身だ」というルパンを見守る三人。

 正解だ! とわたしはたいへん嬉しくなりました。そう、ルパンはいつでも「いま」だけ。なににも縛り付けられることはない自由な存在だからこそのルパン三世なんです。もちろん、そのルーツを考えることはとても魅力的だけど、公式が正解を出すことじゃない。出したとしても、じいさまことアルセーヌ・ルパンの存在が認識されていることくらいでいい。これですよ、これ。母親の存在を匂わされても、ルパン自身のアイデンティティを揺らがされることはなかった。ルパンはルパンのままだった。混濁した意識のなかでも、ルパンをルパンたらしめたのは仲間の存在だった。それで十分です。こうじゃなきゃ。やったー!

 EDテーマ「BITTERRAIN」とテロップが流れる中、マティアをはじめとするトモエの女たちの様子が映し出されます。医師として働くミレーヌ、服を飾り付けるギャビー、大きなおなかを抱えたアメリア、カフェでスケッチブックに向かうムルー、休憩しつつタブレットに向かうリンファ、壁に貼られたヘイゼルのポスター、まっすぐにこちらを見つめるマティア、意識を取り戻すアリアンナ(そのそばには八咫烏が)……。SSKに乗ったルパン、フィアットの次元と五エ門、その間をすり抜けていく不二子のバイクが映し出されて、曲は終了。

 そして最後に、脱獄したメルセデスの様子が映ります。仲間に「ルパンを越えるんじゃねえのかよ」と言われたものの「興味がなくなっちまった。なんであんなにこだわってたのか……」とメルセデスはつぶやき、「これからはもっと面白いことをやる」と言います。その顔はどこか晴れやかですっきりとしたものでした。

 やがて舞台は、ルパン一味のアジトへ。どうやらまた食事当番決めのポーカーをやっているようでしたが、ルパンがみごと負けた様子。「なにが考えすぎだ、馬鹿野郎。考えなくたってけっきょくぜんぶ負けてるじゃねえか」と怒るルパンですが、そこに「出て来いルパン!」と銭形の声が。警官隊に囲まれた結果、「THEME FROMLUPINⅢ2021」をBGMに、一味はアジトを飛び出し八咫烏と銭形に追われたまま、街中を駆け抜けていくのでした。それが結末。

 この終わりのシークエンス、「BITTER RAIN」のところまでで終わるのかと思ったら、まさかのメルセデスちゃんの脱獄と、トモエの呪縛からの解放、それにアジトでの4人の姿に銭形警部との追いかけっこがまた始まるというところまで描いてくれて満足度100%でした。走って逃げるのか、たいへんだなとは思いましたが。

 しかし、連続シリーズはこうやって、物語をいちばん最初に戻してくれないといけない。どんなことがあったとしても、これでまた振り出しに戻る。まっさらな状態で、でもルパンの物語は続くわけです。良かった。いい結末だ!

 というわけで最終回でした。繰り返しになりますが、うん、良かった、というのがいちばんの感想です。

 この最終回、トモエがルパンの本当の母親でないのはあきらかなので、あとはルパンがどうやって己を取り戻すかといういわば解決篇のまとめをちゃんとやってくれたと思います。次元と五エ門、不二子という存在とルパンの関係性をここまでポジティブに描いてくれたのってあんがい珍しいんじゃないんだろうか。

 そのぶん、こんなに仲間が大事なのはあんがいルパンぽくないと言われそうですが、でも、べつにべたべたしてるわけじゃないんですよね。友とか仲間とか絆とかわざわざ言ってない。ただ、ルパンにとっては「魅力的な生き方をしているやつら」で「最後に信じられる女」ということ。そして、ルパン自身のアイデンティティは最終的に揺らがず自由なまま。最高じゃないですか。

 PART6全体のまとめとしましては、正直言って第1クールと第2クールの色合いが違うのと、単発話の多さのせいで、よく言えばバラエティに富んだ、悪く言えばいささかとっちらかった印象のあるシリーズではあると思います。でも基本的にはなんでもありが「ルパン三世」だとわたしは思うので、そこは問題ない。楽しかった、愛すべきシリーズでした。

 もっとも、第1クールの方が出来は惜しい、と思います(連続話のみを評価して)。それはなぜかというなら、やはりホームズというゲストキャラがいまひとつ生かされてなかったから。登場時間でいえばぜんぜん短い第2クールのモリアーティのほうがずっと魅力的なんですよね。なぜなら、モリアーティは悪党で、ルパンも悪党。しかし、このホームズは正義の味方(もっとも原典のホームズは正義の味方というにはあまりのエキセントリックなので、そんなに単純な話ではないのですが)、その正義の味方とルパンが意気投合しちゃうとたがいにキャラが弱くなるのは否めない。相反する存在の関係性が面白くなるには摩擦と反発が必要なのです。

 そのために必要だったのが、ワトソン殺しの犯人がルパンかも?というギミックだったと思うのですが、まあ、犯人がルパンなわけないじゃないですか(笑)。いっそ、連続話でなく前後編くらいのキャラだったらあのホームズも、もっと生かせたかなと思います。あと、せっかくロンドンが舞台で美術も美しいのに、あくまで舞台装置にとどまってるのが惜しかった。もっとベタなロンドン観光案内みたいな話があっても良かったのでは……。

 その点、なにも背景が読めないトモエをキーパーソンとした第2クールは、まさに〝謎〟の連続で、引き込まれる展開となりました。これはまったくもって個人的な好みなのでご容赦願いたいのですが、〝母親〟というギミックを使いつつも、ルパンが無駄に傷ついたり悩んだりという展開でないのも良かった。そして単発話のヒロインがそれぞれ連続話とも無理なくリンクしている仕掛けが面白かったです。毎回を楽しみに待つことができました。そして最終章にいたるまでの他の三人とルパンの関係性の尊さが素晴らしかったですね。ほんとに良かった。

 でも、こういろいろ書いていて思うのは、もうこれは個人の好みだよねということでもあります。わたしが好きな第2クールも、女性キャラが入れ代わり立ち代わりする不自然さに納得いかないひともいるだろうし……。なので、そこらへんはご容赦ください。アルベールが出ただけでも第1クールの方がいい、とかでもそれはそれで正解。

 ただ、このPART6、たとえばPART5と比べるなら、完成度と純然たる面白さはPART5に軍配が上がると思います(あと作画な。もうちょっと頑張ってほしかった……)。が、単なる好みの問題で言えば、わたしはPART6の方が好き。なんどでも見返すのはこちらです。PART5はキャラの関係性がつらかったのです。もちろん、そのつらさもストーリー上で必然性があるもので、その掘り下げがあるからこその完成度だと思います。そしてその掘り下げは、2018年にルパン三世の新作をやろうという時には必要なことだったはず。初心者の方にはPART5を胸張って薦めます。PART5は傑作。認める。

 でもでも、わたしはやっぱりTVシリーズとかTVSPはルパン一味が仲良くて、ルパンが傷つかない話がいいんだよってことなの。どうしようもありませんね。どこまでいっても新ル育ちな、個人のヌルい好みとお許しください。ハードなルパンは小池ルパンで補給すると、わたしのなかで役割分担ができてるみたいです。

 そして、このPART6と言えば、やはり次元大介の声が小林清志さんから大塚明夫さんにバトンタッチされたことが大きいと思うのですが、そこはわたし、なんの文句もありません。声が変わることで、次元大介というキャラにもまた新味が出た気がします。なにより、明夫さんの次元はコバキヨさんの次元へのリスペクトがすごいので……。この最終回で言えば、あのラストの「ハッハア!」という笑い声ね。あれはコバキヨさんの響きだと思う。これからの明夫次元も楽しみです。

 そして、あのですね。真面目にいろいろ書いたあとなので、そろそろいいかなと思うので言うんですけど、PART6、ジゲフジ的にもたいへんにヤバいシリーズでしたよね……。いやルパンと不二子の関係も落ち着いてていいルパフジもあったんだけど、なんというかにじみ出てくるこの元カレ感。現役の恋人同士というより元カレ感。元カレということは今カレがいるということで、これ、語るとたいへんに長くなりますので、そのうちジゲフジセレクションでまとめますが、これまでの最強ジゲフジシリーズだったPART4を軽く超えた感があります。あれを越えたの?マジ?

 でもマジ。第0話からしてあれでした。その後もいちいち拾ってたらきりがないレベルで、まあ、付き合ってた(断言)。単発話だけでなく連続話でも付き合ってた(断言)。しかも仲が安定してた。ルパンはともかく、五エ門は、あれもう分かってて気を遣ってる可能性すらある(そして次元はそのことに気づいていない)。ヤバい。付き合ってるふたりいいな。付き合ってる。ああ何度でも書きたい。つきあ(以下同文)。

 まあけっきょく、PART6にはこの一年、しっかりと楽しませて頂いたという思いでいっぱいです。リアルタイムでルパンの新作を見られるこの幸せは、やはりTVシリーズならでは。PART7がいまから楽しみです(笑)。そしてもう、全話単発話でいいんじゃないか、やっぱりルパンには一発勝負が似合いますよとか勝手なことを言ってみる。ファンは気楽なものですね(笑)。

 そして、そんな勝手極まる一ファンの感想を、ずっと読んで下さったみなさまには心からの感謝を捧げます。折に触れて、拍手やメッセージを頂けたこと、押してくださった拍手、閲覧数、ぜんぶ更新の励みになりました。御覧のように好きなことばかり書いていましたが、みなさまがPART6を楽しむなんらかのお役に立てたのなら、幸いです。毎回毎回、配信を再見しつつ、長文を書いて考えをまとめることは、たいへんでもありましたが、とても楽しいことでもありました。ひとりでおこなう作業でしたが、読んでくださる方の存在がなによりの支えだったのです。

 しかし、次元と不二子が付き合ってるとかばっかり言ってたので、純然たる感想を読みたい方には申し訳なかったです(もしかしなくともそんなひとはとっくの昔にわたしの感想など見限っているのでは)。ですが、ながいあいだお付き合いくださってほんとうにありがとうございます。なにか思うことがございましたら、いつでもお言葉をお寄せくださいね。わたしはこれからもこういうかたちで「ルパン三世」の感想を書いていこうと思います。またの機会にお会い出来たらとても嬉しいです。良かったら小説も読んでね!(笑) 

 どうぞこれからもよろしくお願いします。ありがとうございました!

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