LUPIN ZERO第3話 「一世の孫、跡目を競う」感想

「LUPIN ZERO」第3話 「一世の孫、跡目を競う」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 名曲喫茶にて、洋子とクラシックを堪能しているルパン少年。現在、洋子はアメリカ陸軍大佐を相手に商売をし、次元ちゃんはお父さんに連れられてカンボジアに行っているそう。そこにとつぜん、怪しい男たちが現れます。かれらはルパン少年を迎えにやってきたのです。敢然と男たちに立ち向かう洋子でしたが、ルパンは男たちについていくことに。なぜなら、かれらを寄越したのは、ルパン少年の祖父、アルセーヌ・ルパンだったから。アバンはここまで。

 名曲喫茶、というのが時代を感じさせていいですね。ジャズ喫茶になるともうちょっと後なんだろうな。アメリカ陸軍を相手に商売をしている洋子さんもすごいけど(獣臭いってのもあの当時の感覚からいえば、不思議じゃないのです。ひどい言い方だけど)、まだベトナム戦争は始まってない頃だとは思いますが、あの時代にカンボジアに連れていかれてる次元ちゃんも大変だな。迎えに来た男たちを、マドラーを使って翻弄するルパン少年がカッコ良かった!

 ルパン少年を乗せた車は、人里離れた森のなかにある屋敷に向かいます。そこでルパン少年を迎えたのは、パジャマ姿で裸の美女たちをはべらせているアルセーヌ・ルパン(ルパン一世)でした。部屋のさまざまな仕掛けをかわしながら、一世の元に向かうルパン。どうやら、祖父とはかかわるな、と父(つまり、ルパン二世です)に言われているよう。

 しかし一世は気にした様子もなく二世を腐すので、ルパンは「親子げんかに孫を巻き込むなよ」と面倒そう。しかし、それを嗤った美女のひとりが、一世によって口の中の金歯を盗まれてしまいます。「この世のすべてはこのわしに盗まれるために存在しているのだ」とすごむ一世に対し、ルパンは「いかれジジイめ」とひるむ様子はありません。一世は愉快そうに笑ってそれに応じます。

 わあ、いきなりバストトップが解禁だ、と驚きましたが、ルパン三世なら当然だわな……。それに昭和のアニメなら描写自体は珍しいことではなかったと記憶しています(ここで浮かんだのが劇場版イデオンの最後だったあたり、自分の年齢がつらい)。どうせ最初から地上波オンエア無しならば、それでもいいと思いますが、続く女性への暴力描写にも驚いた。でもこれまた、時代背景を考えれば、おかしなものではない。なにより、こういうちょっと野蛮な描写が、老いてなお盛んなルパン一世の性格と同時にアナクロさも表現しているのだと思うんですよね。少年ルパンが咄嗟に女性をかばう描写も含めて。それに、モンキーパンチ先生の原作自体が、そういう描写たくさんありましたから……。

 やがて一世により、アルと呼ばれる少年、マリオンというロビンフッドの十六代目、グラマラスなボディの女僧、プーラン、それにルパンを含めた4人が、契約書にサインをし、一世の遺産の総取りをかけたゲームに挑むことになります。武器は没収のうえで、屋敷を飛び出す4人。

 その道中で、ルパンはアルと会話を交わし、アルが、ルパンが一世の屋敷を出たあとに一世のもとで盗術を学んだ少年であることを知ります。やがて、ルパンたちがたどりついたのは、一世が泥棒修行に使う「奇岩城」なる場所。なかにあるゴールの扉をいちばん最初にくぐったものが一世の遺産を受け継ぐことになるのです。しかし扉はペンキで描かれているだけ。すでに一世の仕掛けが始まっていると察したルパンは、あれこれと試したあげくに建物の中に入り込むことに成功します。そのなかは危険な仕掛けがいっぱいで、ルパンは、それを命からがらクリアしていくことに。

 さあ、これからわくわくのルパン少年の冒険のはじまりだ!という感じなんですが、あの、みなさんお気づきですか。わたしはEDを見るまで気づきませんでした。おめでたいかぎりですが、他にもそんな方がいたと信じたい。ええ、この〝アル〟と一世に呼ばれていた金髪小僧は、あのアルベールです! PART5のアルベール・ダンドレジーです! やだ、そう知ってから見直したらめちゃめちゃ重要なこと喋ってるわ。そうか、アルベールとルパンってそういう感じだったのか。脚本、大河内さんだし、不思議はないけど、びっくりした……。そしてこれがあのアルベールになるかと思うと、すごく可愛いな……。

 一方、一世は、4人が奇岩城に入った報告を受けていますが、ベッドの中で苦し気に胸を押さえ、どうやら手術を控えている様子です。金庫の扉を前にして、プーランと合流したルパンは、鍵を開けようと奮闘するうちに一世に盗術を仕込まれたときのことを思い出します。危ういところをプーランに助けられ、ゲームに参加した理由を問われ「……ムカつくからだよ」とつぶやくルパン。プーランもまたルパンの憤りに大人としての理解を示し、ふたりは協力しあうこととなります。やがて「選択の部屋」と呼ばれる、銃、ナイフ、包帯、鍵のいずれかが手に入る場所にたどり着いたルパン。ひとりずつその部屋に入った4人の候補者は、それぞれ異なる道具を持って、最後の部屋に挑むことになるのです。

 ここで、幼い頃に一世から盗術を仕込まれたうえで、二世にさらわれたルパンの生い立ちがかいま見えます。ルパンのぎりぎり思春期直前の少年らしい憤りがいいし、プーランのクールさもいい。ボディはもっといい(いやすいませんつい)。しかし、ここで登場する書き文字がそれぞれ原作ぽい筆文字なのが嬉しいですね。

 いよいよ最後の部屋に集結した4人。TV画面(モニターって言うよりTV画面って言いたくなる)に映る一世の言葉に合わせるように、部屋は崩れ、とうとう最後の扉が4人の前に姿を現します。しかし、その扉を開けるにはさきほどの部屋でだれかが手に入れた鍵が必要で、4人のうちの誰がそれを持っているかは分からないのです。銃やナイフ、包帯の持ち主も同様に謎なのです。

 4人はそれぞれに思考を巡らせ、一世を前にした医者たちまでがあれこれ議論しますが、一世は「わしの遺産を受け継ぐには賢さだけじゃ足りんのだ」と笑います。やがて、なにかを確信したかのようなルパンが自身の推理を語っていきますが、その途中で、マリオンがアルを撃ち、ルパンをレンガで襲います。倒れたルパンから鍵を奪ったマリオンは勝ち誇り、その鍵を扉に差し込みますが、それは扉の鍵ではありませんでした。代わりに扉から飛び出た刃で、マリオンは全身を貫かれます。ルパンは、鍵を持っているかのように見せかけることで、銃を持っている人間をあぶりだしていたのでした。鍵を持っていたのはアルだったのです。

 ここ、すさまじい心理戦が面白くて……! 頭のいい人の考えたお話って面白いなあ、ってわたしはアホの子かって感じですが、こういう謎解き、ほんとに楽しい。そして、名探偵気取りのルパンがほんまルパンで、このひとは少年の頃からこうだったのね!という感じで楽しかった。そして、個人的には、アルがカギを隠してたのが「襟の裏」で、ルパンに対し「蕁麻疹が出そうだ」というあたりでにやにやしちゃいました。こういう、これ見よがしではない製作者側からの目くばせのようなくすぐりって嬉しいですね。

 やがて、三人の前に医師団が現れ、くし刺しになったマリオンを連れて行きます。アルが撃たれた弾も殺傷力の弱いものだったことから、一世が必要以上の殺しを望んでいなかったのでは、とプーランが言ったことから、ルパンはすべてを察します。一世が望んでいたのは、4人のうち誰かの心臓。ゲームが始まる前の契約書には仕掛けがほどこされており、死んだ場合には一世に心臓を譲るという内容に変わっていたのです。あまりのことに「実の孫の心臓も盗むつもりだったのですか」と顔色を変えるアル。しかし、ルパンはそれを見抜いており、仕掛けのある契約書に仕掛けのあるサインで応じていたのでした。「やはり、わしのあとを継ぐのはあいつしかおらんようだ」と一世は大笑します。

 串刺しになっているので心臓も傷がついていないか、そこはうまくやっているのか、そもそも心臓移植するような状態なのか一世、ルパンはこれホントに最初からぜんぶ気づいてたのか、とかいろいろ気になることはありますが、力ずくで納得させられちゃった感があります。面白いから許しちゃう。くたばれクソジジイの一世の絵が、パンチ先生画かとうたがうほどに良かったし。でも、これ、アルがアルベールだと思うと、どんな気持ちで一世の言葉を聞いていたか、想像するだけでいろいろ考えるものがありますね……。

 一方、ひとり帰路についたルパンは、縛られているプーランを見つけます。ということは、これまで一緒にいたプーランは……、そう、ルパン二世の変装だったのです。ルパンのあずかり知らぬところで「まだまだだな、わが息子よ」と言い残した二世は変装を脱ぎ捨て、しのぶの運転する車に飛び乗って去っていきました。
 
 きゃー! カッコいいー! もうやだなにこのカッコいい二世さま! 古川さんの声も素晴らしいけど、この時間にして1分たらずの登場場面だけでカッコ良すぎるだろ二世さま! こんなイケおじが、ルパンをずっと見守ってたし助けてあげてたのもたまらないし、あ、このカッコ良さは三世様にも受け継がれているとも思いました。いやあ、カッコ良い……。ヤバい。すごくすごく、わたしの好み……。

 すべてが終わり、次元とともに、原っぱで遊ぶ子供たちを見ながらため息をつくルパン。次元ちゃんも次元ちゃんで大変だったようで「親ってのはなんでああ勝手なんだろうな」とぼやいています。「こどもは親どもの所有物じゃないんだけどもな」とルパンが言うと、次元も「ろくに育ててねえくせによ」と同調し、少年二人は空を見上げるのでした。

 いやいいラストです。ということは、ルパンも自分を助けたのが二世だと気づいてるんだろうなと思いますが、それゆえの複雑な表情が楽しい。今後が気になりますし、13歳の男の子をベトナム戦争間近のカンボジアに連れていく次元パパもなかなかのツワモノだと思われます。次元パパは出ないのかな……。後ろ姿とか、次元ちゃんの頭を撫でる大きな手、とかの描写があったら嬉しいな……。

 というわけで、第3話でした! 期待に違わぬ面白さで大満足です。大河内さんの脚本だということはEDで知ったのですが(同時にアルベールのことも知った。声が出た)、それでさらにいろいろ納得した感じです。なんかいろいろと、クールなんですよね。甘くないの。

 旧ルにつながるといわれるこの「るぜろ」ですが、一世さまの登場ということもあって、今回はより原作ぽさをより感じました。それこそ原作の「ルパン三世とアルセーヌ・ルパンの対決」あたりから多少の引用はある感じでしたが、それよりもたくさん出てきた仕掛けのアイデアが実に原作ぽかった。モンキーパンチ先生の原作は、こういうちょっとした(でもオリジナルな!)アイデアが一つの話、ひとつのページ、ひとつのコマにぎゅっと詰められていることがしばしばあって、それが楽しいんですよね。

 そして次の第4話は、男の子のお約束、秘密基地ネタ! 次元とルパンの関係性により焦点が絞られるのかな? しかし、これでもうあと残り2話というのが、贅沢すぎて嬉しい。もっと見たいけど、24話もあったら間延びしてしまう可能性が高い素材だけに、全6話がやはり望ましい。それを勢いよく走り抜けて頂きたいと思います。それをウチワもってきゃいきゃい応援したい(「二世♡盗んで♡」とか)気分でいっぱいです。
 
 なので、あんまりこうまともな批評ぽい感想は書けませんが、それでも読んで頂けたなら嬉しいです。拍手を下さったかた、ありがとうございます。とてもとても!励みになります。これからもよろしくお願いします!

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