LUPIN ZERO第6話 「少年ルパン、三世を名乗る」感想

 「LUPIN ZERO」第6話 「少年ルパン、三世を名乗る」の感想です。公式によるあらすじはこちら(URL) 。以下の感想は、完全にネタバレですので、大丈夫な方のみご覧ください。では、どうぞ!

 雪の舞う港に身をひそめた洋子とガウチョの一味のもとに「ルパン三世」からの予告状が届けられます。一方、その6時間前。ルパンの屋敷で、次元とルパンは二世が米軍から原子砲を盗み出し〝狼狩りのガウチョ〟として知られる革命家に渡したとしのぶから知らされます。

 次元から、そのガウチョの腕に猟犬の入れ墨があると知らされたルパンは、自分が洋子のアパートで出会った男こそ、そのガウチョであると気づきます。洋子も原子砲もガウチョから盗んでやると意気込むルパンでしたが、その所在は不明なまま。すると、二世が現在長野にいることをしのぶが告げ、ルパンに会いに行くよう示唆します。しかし、ルパンはそのしのぶこそ自分を逃がそうとしている二世の変装であることを見抜くのでした。

 ガウチョの説明をするあたりの次元ちゃんがくそイケメンでどうしようかと思いました。まだ世界に革命が存在していた頃、というか革命が夢として成立していた時代の話ですね。

 そして、ここでしのぶの正体が二世だと確信するルパン。えー、いつから二世さまだったの? と確認してみれば、前回、屋根の上で次元とルパンがやりあうところに来たしのぶはすでに二世なわけですよね。というと、あの〝悪友〟呼ばわりも二世の言葉で、なおかつルパンは二世の前で三世になると宣言し、初めての盗みをやってのけたわけですね。お父さま、学帽の少年のハートを息子が盗んだところを目の当たりにしたのか。なにこれ。尊いとか通り越してもうなにこれ。

 そして、しのぶさんの下着を知らなかったことをからかわれ「だーって、見たことないんだもん……」という二世さまの台詞の尊さよ。ていうかめっちゃ大事なこと言ってません? え、え、二世はしのぶとそういう関係じゃないんですか。お胸に手を伸ばしてつねられてたけど、あれリアルでただのセクハラですか! ヤバい。萌える。それは萌える。

 しのぶの変装を脱ぎ捨てた二世に、ルパンはガウチョの居場所を尋ねますが、二世は答えようとせず、銃を抜きます。その銃を盗むことができたら教えてやる、と言われて、ルパンは二世を追いかけて屋敷中を走り回ることに。とうとうたどりついた和室で、ルパンは二世の銃を手に入れることに成功し、二世は負けを認めます。

 ルパンの後ろにいる次元ちゃんに気づいた二世の表情が良いです。ていうか次元ちゃん、無言でルパンの背中をすっと守ってる感じが非常にエモい。もうすでに相棒というか、ルパンを守る姿勢になってる。だから、二世もルパンを相手にする気になったのかなと思いました。息子も自分の道を決め、そばに立つ相棒も手に入れているなら、あとはその実力を試すだけ、みたいな。

 そんな二世とルパンの追いかけっこは本当に楽しいものでしたが(この親子、ほんとにそっくりだなと思いました……)、わたし個人の勝手な解釈からすると、二世に勝つ気はなかったんじゃないかなとも思います。

 これはいわば、儀式のようなもの。そのままでは確実に自分の意志とは無関係に泥棒になるしかなかった一世のもとから息子を引き離し、本人の意思が育つまで遠くから見守ったうえで(二世自身の影響からも遠ざけたかったのでは)、成長し、自分の意志で将来を決めた息子に対する最後のけじめみたいな、親離れの儀式だったのではと思いました。

 まあ、その親離れの儀式がああいうのってあたりがほんとにルパン一家って感じです。このコミカルさが、原作ぽくて大好き! あと、古川さんがほんと素晴らしい。ルパン三世の父親たるルパン二世らしさが、言葉の語尾にいたるまで満ち満ちている。

 次元ちゃんの「なんて親子だよ」って台詞がいいですね。わたしのまったく勝手な妄想からすれば、次元ちゃんのパパと次元ちゃんのやりとりもルパンが見たら「なんて親子だよ」って言う気がするんだけど。

 雪の降る庭を眺めながら、二世は、原子砲は東京湾にある米軍のタンカーに届けたことをルパンに教えます。姿勢を正し、頭を下げて礼を言うルパン。それを見て、二世は「泥棒って生き方は、手に入れるだけじゃない。たくさん失うってことでもある」と笑い、ルパンに自分の銃、ワルサーを餞別として託します。

 この数分の場面で一時間くらい語れそうな自分が怖い。いや、まずは、親子の語りを離れた場所で見ているしのぶと次元の距離感がエモ。ふたりはそれぞれ、二世とルパンの相棒なんですよね……。

 そして、二世の前で頭を下げるルパンはもしかしてちょっと泣いてたのかなあと思いました。わたしは、二世が本気になれば(まだこの頃の)ルパンなど敵ではないはずと思うので、やっぱりわざと負けてあげたんじゃないかと思うんですよ。ルパンのプライドを傷つけず、なおかつ覚悟を確かめる意味合いで。ルパンはそれが分かったからこそ、頭を下げたのでは。そして、しばらく上げられなかったのでは。

 泥棒になることを決めたルパンに対しての言葉が、なんというか、完璧ですよね。二世がたくさん失ったもののなかには、おそらく、ルパンの母親の存在もあるんでしょう。息子にそんな生き方をしてもらいたくなかった、あるいはするにしても一世の支配下であたりまえのようにそうなるのではなく、自分の意志でそうなってもらいたかったのかな。ここで尊重されているのは、ルパン自身の〝意思〟です。誰の思惑からも自由であること。だから二世は、カタギになってもらいたかったルパンが泥棒になっても、それを否定しない。ルパンの意思だから。でも、それが修羅の道でもあることは、父親として伝えておきたかった。そんな意味合いを感じました。もちろんすべてわたしの妄想です。

 しかしここでワルサーを渡しますかね! 声が出た。ルパンのワルサーが父親の二世から譲られたものなんて設定は、ある意味不思議ではなく下手な演出では陳腐になりそうなくらいに自然なもの。でも、ここで、あんな大騒ぎをやって、あんな台詞を言ったあとにこれなんですよ。参った。

 ここでタイトル。え、いままでアバンだったの? と思いました。

 不穏な空気の中、ルパンの予告状をガキの悪戯だとガウチョは相手にしません。が、洋子はどこか思いつめた表情で予告状を眺めます。そして、さらにそれを眺めているのは幼アルベール。ルパンが〝三世〟と名乗ったことにイラつきを隠しません。洋子はルパンがアパートに届けに来た(そしてガウチョに踏みつけられた)プレゼントの箱を開け、中のハートのネックレスを身につけます。そこにガウチョが現れ、二人の出会いを思い出します。15年前、初めてガウチョに出会ったとき、洋子は生きる希望を失った少女でした。ガウチョはそんな洋子に生きる力を与えたのです。

 ハートのネックレスを可愛い、と言いつつ「似合うかな………まだ」とつぶやく洋子は、自分がもうそんな可愛いアクセサリーが似合う歳ではないことを言っているようですが、それ以上に、肉体的なことだけではない、幼さ、純粋さを失ったことを自覚している気がしました。

 あと、そんな可愛い(幼い)アクセサリーを選んだルパンがまだこども(純粋)であることを示唆しているのかもしれないとも思いました。だからこそ、ガウチョがやってきた瞬間に、それを隠すように胸元に手をやるのかなって。

 あと、ガウチョと知り合ったとき、洋子が12歳だったこと(そもそもここはどこよと思いましたが、ガウチョの経歴からして戦後すぐのフィリピンとかあっちの方? 洋子は残留邦人だったのかな)と、そのときのやり取りを見て、あ、これはわたしが思ってたような一般的な男女の関係じゃなかったんだと気づきました。恋愛というより、むしろ父と娘、兄と妹のような保護者と被保護者からはじまった関係なんですね。なので、だからかーと、ラストで思いました……。そう、だからなんだよなーって……。

 ガウチョの決めた期限を前に右往左往している官邸にやってきたのは、アルセーヌ・ルパン一世と幼アルベール。一世もまた、ルパンの仕事を見届けようとしているのです。やがて、期限の時間が迫り、ガウチョは核砲弾を撃つ準備を進めます。しかし、カウントダウンが「ゼロ」になった瞬間に、タンカーは暗闇に包まれ、洋子の隣にはルパンが現れました。

 「洋子さん、おれに盗まれてくれよ」とルパンは囁き、そのまま洋子をさらいます。ガウチョは核砲撃を行おうとしますが、核砲弾はすでに盗まれたあと。しかも砲のそばにいた次元が、ガウチョのいるブリッジに向けて砲撃したのでした。しかしガウチョは、燃えるブリッジから姿を現し、次元に向かいます。次元の危機にワルサーを抜くルパン。洋子はそんなルパンを抱きしめて止めますが、ルパンはそこから抜け出し、オートバイに飛び乗り、次元の無事を確かめたあと、ガウチョの元に向かいます。対峙する二人。

 ここのルパンが、すでにあの緑のスーツと黒いシャツ、黄色のネクタイになってるあたりはともかく、それがちょっとぶかぶかしてるのがたまらなかった。七五三か。いや、すでに旧ルのルパンに一歩踏み出してはいるけど、まだそこにはいたってないんですよね。

 それは自分が贈ったネックレスを洋子が身につけていたことを知り「カーワイーイなーって!」と無邪気に喜ぶあたりにも現れている。このとき、洋子の目に浮かんだ涙の意味は、このルパンには分からないままでしょう。わたしは、洋子が、すでに喪っていたと思っていた純粋さを自分の中にルパンが見出してくれたことに涙したのだと思います。でも、洋子の抱擁から逃げるルパンの表情がすでに大人びていて、せつなかった。

 そして次元ちゃん可愛すぎないか。「そーらよっと!」のあたりとか、すでに大人の次元さんの片鱗があります。そして、次元ちゃんも青いシャツ! 黒いジャケット! 〝狼狩りのガウチョ〟を前に不敵に笑うあたりもとてもカッコ良いです。そして、ルパンと次元のやりとりが、もう、大人のふたりのやりとりそのままになってますね。

 タンカーが炎上しているという一報が官邸に入り、一世は満足げに大笑します。一方、ルパンはガウチョと必死の撃ち合い。タンカーは傾き、炎が燃え盛るなか追い詰められた次元を救ったのはしのぶでした。ぎりぎりでにらみ合うガウチョとルパンの元に駆け付けた洋子。その目の前で、ガウチョの銃弾を避けながら迫るルパンですが、オートバイから落ち、あわやという場面に。ルパンを追い詰め、その手から離れたワルサーを握ったはずのガウチョでしたが、それはルパンによって壊れたバイクのグリップにすり替えられたあとでした。

 次元ちゃんをしのぶが助けてくれた!「わたしの主人はほぼ完ぺきなお方ですが、過保護すぎるのが唯一の欠点です」ということは、二世が寄越したってことで間違いないでしょうね。しかし、ここのしのぶさんが不二子を連想させるようなぴったりスーツなので(胸の谷間!)、そんな姿で次元ちゃんを助けに来てくれて、その、いろいろとありがとうという気分になりました。わたしがおかしい。

 そして、「撃つ人間かそうでない人間かが分かる」洋子が、ルパンは撃てないと判断していたにも関わらず、顔色を変えたのは、あのとき、ルパンは「撃てる」人間に変貌したと気づいたからなんでしょうね。

 この場面、ガウチョがルパンを追いつめているところ、スリリングな場面にもかかわらず、わたしはずっとせつなかった。それはBGMのせいでもあるんだけど、すでにガウチョの革命の成立は空しく、なのにガウチョの行動は変わらない。ガウチョにそれが分かっていないはずはないのに。それがせつなかった。

 そんなガウチョの「ワクワクする」という言葉に、ルパンは自分との共通点を垣間見るけれど、それは一瞬の気づきで終わってしまう。「ワクワク」という言葉の裏に潜む空しさの可能性にルパンは気づくことができたでしょうか……。

 やがて負けを悟ったガウチョは、ルパンに向けて、からかうように、あるいは試すように両腕を広げて、「撃てるかな?」と挑発します。駆け付けた洋子の目の前で、その身が宙に踊るのと、ルパンが引き金を引いたのはほぼ同時でした。ガウチョはそのままはるか下方に落ち、それを見た洋子は、ルパンに別れを告げてガウチョの元に向かいます。突然揺れた足元にバランスを崩す洋子。ルパンは必死に洋子を助けようとしますが、洋子は笑ってそれを拒み、ガウチョとともに海に消えることを選ぶのでした。

 ルパンがガウチョを撃ったのは間違いないと思うんですが、それより早くガウチョが落ちたのかどうか。そもそもルパンがガウチョを直接的に殺す理由はすでにないんですよね。

 しかし、ガウチョは自ら死を望み、結果として、洋子をこの世に、生きる力として縛っていた鎖だった役割を放棄してしまった。ならば、洋子が生きる意味はもうない。一般的な男女の関係ではない、もっと濃く(辛い言い方をすれば、歪んだ)ふたりの関係性が行きつくところはこの終わりしかなく、そんなものを目の当たりにしたルパンは、ここで、二世の言葉の意味を思い知ったということになるんでしょうか。

 海に落ちる洋子を見るルパンを見て、旧ル第3話「さらば愛しき魔女」の、「…………花だ……リンダが散っていく……」というルパンの台詞を思い出しました。この手の中に抱かれたものはすべて消えゆくさだめなのさ、ルパン三世……。ここらへんでもうわたしは泣いてしまいました。つらい。この時代の物語にありがちな、救われない展開そのままで、せつなくてせつなくて……。

 やがて場面は一転して、日常の東京へ。学校では授業が行われていますが、教室にルパンと次元の姿はありません。ふたりは屋上でさぼって煙草を吸っています。国会議事堂の真下にあるカジノ、という仕事の話を次元に持ち出すルパン。「ワクワクするだろ?」という言葉に、次元も笑い、ルパンも笑います。幕。

 最後の最後で、日常に戻って来てすごくほっとしました。これがあるとないとでぜんぜん違う。船の場面あと、緑のジャケットをバシッと着こなし、ワルサーをホルダーに収めた大泥棒ルパンのいでたちになったり、一気に時間を飛ばして飛騨スピードウェイにいるルパンで終わるやり方もあったと思うけど、ふたりを学校に戻してくれて、すごく有難かった。このふたりにはまだ、もうちょっと学生でいて欲しいというか、泥棒になると決めたルパンなりにやれる学生時代の過ごし方もある気がして。

 そもそも、いろんなことがあったお話を最終的に最初の場面に戻す構成は美しいものですが、このお話については、最初と大きく違うところがありますよね。ルパンのそばに次元がいる。大泥棒になると心に決めたルパン三世には、生涯の相棒となる、次元大介というガンマンがいるんです。そしてふたりは笑う。

 「LUPINZERO」はそういう物語だったんだな、と思いました。ありがとうございました! 

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