表題作は、黒澤明の「八月の狂想曲」の原作になっています。芥川賞受賞作、といかにも純文学ぽい雰囲気ではありますが、収められた作品どれにも、見え隠れする奇妙さと浮かぶ情景の豊かさにめまいがします。なかでも「熱愛」「盟友」はとっても素敵なJUNEで(いやマジで)意外な拾いものをした気持ちになりました。
もし、純文学と純エンタテイメントの両者に違いがあるのなら、わたしはそれを読後感で判断します。感動作でもなんでもないはずなのに、「面白かった!」以外のなんともいえない、じん、としたものを感じるのがわたしにとっての純文学です。そしてこれは見事な純文学でした。でも、かまえなくても大丈夫。なんといっても素敵なJU(以下略)