「密会」ウィリアム・トレヴァー (新潮クレスト・ブックス)



 アイルランドとイギリスを舞台にして、ごく普通の人々の生活と、そこに生まれる感情の揺らめき、出会い、別れといったものを描く短編集です。わたしの好きなミステリでも奇妙な味小説でもない、けれど、読後感がじんわりと心に沈みこんで離れない、そんな作品集でした。 哀しい、寂しい物語でありながら、読後感はしみじみと、涙とは無縁の溜息に満ちています。いつまでも心の隅に消えない手形が残っているような、そんな感触を味わうことが出来ると思います。素晴らしい作品集です。

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