「シャッター・ラブ」おかざき真里(集英社・マーガレットコミックス)



神威さんの頃からファンでした。単行本は「マリーン」から持ってます。
 そう思えば何年越しで見守ってきたか分からない作家さんだけど(要するに某FR誌の常連だった頃からのファンなのだ)、ようやく集英社でデビューが決まったときにはこれでコンスタントにこのひとの作品が読める、と喜んだものだ。それから「ぶ?け」でぽつぽつと掲載された読み切り作品は、どれもこのひとらしくって良かった。そして遂に始まった初連載、がこの作品なわけだけど、雑誌で読んだときは、ちっともピンと来なかった。
 だって、おかざき真里だよ。あの、草と虫と自閉と雨とコンクリートと布のおかざきが、なんで新進気鋭の写真家に見いだされたごくフツーの女子高校生が、かれの恋人とコンペを開いて対決する、なんて話を書かなくてはいけないのですか。いかなぶ?け連載作品とはいえ、こんなお約束モノをおかざき真理には描いてほしくなかったよ。そう思ってコミックスにもなかなか手が出ないでいたのだけど、ようやく読んで見ると、これがまた。ごめん、みくびってました。やはりひとは自分の歌しか歌えない。
 わたしがイヤンと思った設定は確かにそうでありながらも、しっかりとおかざき真里の作品になっているではないですか。失礼ながら、こりゃ一巻で終わるわ(笑)。他力本願であることが美徳である現役の女の子には受けないっすよ、これ。だってこれは王子さまに自分を見つけてもらうシンデレラ物語ではない。シンデレラが誰かに自分を見つけてもらうことなんかちっとも求めていないで、どうやって自分が自分を見つけるか、と思っているなら、王子さまは無力。恋愛でしか勝負できない王子さまは、役立たずとして退場するしかないのだ。というわけで、たぶん登場したときは王子さまであったんだろうが、途中からまったくフツーの男になってしまった浅井について、わたしはかれもコンペに参加すりゃ良かったのに、と思うのだ。そうすりゃ真紀と同じ目線に立てたかもしれないのにね。
 絵的にもまったく問題なし。昔だったら描けなかっただろう表情や顔がどんどん出てきて、成長するってすごいなあと思わせます。
 でも、相変わらずに、布なの。そこがまた好き。

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