「BX」おかざき真里(集英社・マーガレットコミックス)



 おかざき真里、二回目の連載作品。
 ボクシング物…と云ってよいのか。よいのだろうな。しかし、絵がもう好き好き。草です、割れる岩です、虫です。云うこと無し。
 内容も、もーちょっと続くくらいのキャラクターや設定はあるので、続けて欲しかったけど、受けなかっただろうな、とは思う。登場人物のトラウマがどーのこーの、なんていう話はもうお腹いっぱいでしょう、どの世界でも。これ読んで共感する「ぶ?け」読者層ってどれくらいいたのかな。関係ないひとには「なにこれ」しかしながら、熱狂的に愛されるひとには確実に愛される、つまりおかざき真里はそういう作家なんだと思う。
 そしてわたしは「ねえ あたしのためにあたしのために あいつら全員ぶっ殺して!」というねのひの台詞にぐらぐら来てしまった。共感、じゃなく、共鳴。そこにそういう気持ちがある、ということを読み手に伝え、なおかつ読み手の感情にシンクロさせる、そういうちからを持ったお話であると思う。だから少なくともわたしは、ラストのハッピーエンドは美しいけれどもたいして必要ではなく、うさぎの不安に満ちた眼や、草に埋もれそうになって抱き合うねのひとうさぎの箇所のほうがずっと大事だったりするのだ。

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