「ラビット・ハンティング(1)」TONO(ウィングスコミックス・新書館)



 可愛い絵とシビアなお話で読ませる作家さんですが、今回はアメリカ(?)のティーンズモデルの事務所を舞台にして、様々に傷ついたこどもたちの成長を描きます。タイトルの「ラビット・ハンティング」の意味するものは、ぜひ実際に読んで知ってほしい。
 ここで描かれているテーマは、どれもかなり重くて衝撃的なものであるのだけど、けっして、単に暗かったり、いたづらに衝撃的だったり、後味が悪いマンガではありません。お涙頂戴でもないしね。そのテーマが決して声高に騒ぎ立てられることなく、ちゃんとキャラクターの物語として消化されているのです。だからこそ、リアルで、そんなキャラクターたちが癒されたり楽しんだりしていくことを、読み手も素直に楽しめるわけです。そして結果として、そこらの啓発本よりも、よほどそのテーマの深刻さを受け止めることが出来るのかも。作者の意図はともかくとして(あとがきによると「少女マンガらしい恋愛マンガを描こう」と思ったらしい。それでこうなるとは。さすがTONO…)。
 登場人物はどれも魅力あって可愛いですが、わたしはひたすら攻撃的な美少女ベリンダがお気に入りです。ちょっとPALMのアンジェラに似てるような口の悪さが良いな。

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