「街童子」高橋葉介(朝日ソノラマ・眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)


 「オレ街童子。家に憑くのが座敷童子で街に憑くのが街童子」という言葉とともに現れる、死者を蘇らせるなどの不思議な力を持った男の子を主人公にした連作短編集。
 高橋葉介の絵がまたどこともしれぬ地平を求めてさすらいを始めています。また線が太くなってきた印象。しかしどの時代でも変わらないなにかがあるんだよな。コミカルでダークで、リリカルなこの作風はこのひとにしかないもの。絵のせいで好き嫌いは分かれると思いますが、奇妙な話好きにはたまらないものがあります。なかでもわたしが好きなのは、トモダチを求める街童子がやたら可愛い「墓守りマイキー」(墓守りの友達を喜ばせたい街童子が、そのためにしたことは…というこのオチ、高橋葉介の初期作品に同じようなのがあった気がするんだけど…)と、街童子に与えられた未来を見る能力によって少女は…という、交錯する時間枠のなかで少女がつぶやく最後の台詞が、とてもわたし好みな「霧のなかの子供」かな。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする