「記憶の技法 」吉野 朔実(小学館文庫)



 いつでもハズれはない吉野朔実の短編。それが6編も入っていて、途中で休憩が必要だったほど中身の濃さに酔いました。本当に構成の技巧のひとだと思います。186の見開きの、凄惨なシーンとそれがもたらす感動との落差に、唸りました。わたしが好きなのは連絡がとれなくなった彼氏を探すうちに、いままで知っていたかれの姿が消えていく「透明人間の失踪」と、これもラスト近くの見開きが辛すぎる「粉ミルク」です。

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