聖飢魔II 期間再延長再集結 「35++執念の大黒ミサツアー」( 岡山市民会館)感想

 こんにちは、くさてるです。閣下宗です。

 というわけで参加してきました。いつものように感想を書こうと思うのですが、あらかじめ、お約束の諸注意を。

 まず、このブログを読む信者以外の人にも分かりやすいように、魔歴ではなく西暦で記述しているなど悪魔用語が不徹底な箇所があること、および、閣下のことを「ひと」と書く場合がありますが、それはもちろん「人間」という意味ではなく、単なる代名詞としての表現ということをご理解ください(悪魔だということは重々承知しております)。さらに、言葉の端々にたいへん閣下に対し不遜な表現や閣下宗および信者として不勉強かつ至らないところが見受けられるかもしれませんが、そこらへんもどうぞご容赦ください。

 その前に、わたし個人の信者歴を簡潔に記述しておきます。閣下宗です(しつこい)。わたしと閣下の出会いは、あの85年の「笑っていいとも」。そのまま99年の解散まで現役の聖ll信者を続けました。その後は、閣下及び構成員のソロ活動にはなかなか触れることもできないまま、2002年の「SYMPHONIA」あたりから閣下のソロツアーに参加するようになりました。その後、2005年と2010年の期間限定再集結にも参加しましたが、2015年の再集結は、当時、突発性難聴に見舞われていたせいで参加しておらず、その後も閣下のソロツアーに参加できるようになったのは、ようやく2017年の「うただま」から。

 ようし、ここから現役閣下宗に復帰だぞ! と思っていたら、やってきたのはコロナ禍。医療従事者として働くこの身としては、ライブ以前に県外遠征はすべて自粛を余儀なくされ、その後の期間限定再集結はもちろんすべて不参加となり、心情的に配信での参加もしませんでした。その後も繰り返される告知に、やっぱり大黒ミサツアーはやりたいのだろうな……でも県外には行けないからな………と思いつつ、それでもFCの更新は続けていたところ、発表された今回のツアー。

 岡山があった。地元です。しかも最終日。もちろんちゃんと大黒ミサツアー。奇跡は起こった。

 というわけで、ようやく参加となりました。閣下は3年ぶり、悪魔さま勢揃いを見るのは、13年ぶりとなります。以下はその感想となりますが、セトリ等のネタバレあります(覚えてるのが正しければ)。ですので、代々木に参加予定の方、ネタバレ無理なかたは閲覧をご遠慮ください。といっても、構成員のみなさまのことやミサ自体の感想というより、参加したわたし個人の自分語りというか、ミサに参加することによって感じたことを思いつくままに書き連ねる、そういう内容となっております。要するにわたしのいつものあれです、あれ。

 そんな中身でもよろしければ、お付き合いください。聖飢魔llといっしょに歳をとってきた信者の思いです。

※※※

 今回、FCで取った一枚きりのチケットが、30年以上の信者生活のなかで、もっとも良い席でした。ローソンで発券した瞬間に声を上げたよアラフィフ女子。いや、ほんとうに、現地に行った方ならさらに納得されるかと思いますが、現地に行ったらもっととんでもないことになった。すごい。夢かなった。

 そのせいで、会場で着席したわたしは、ずっと現実感のない思いでふわふわと舞台を眺めていました。なんだろうこれ、と思ってた。緊張のあまり、情緒がずっとぐちゃぐちゃで、自分が喜んでるのか幸せなのかも分からなかった。ずっと大好きな聖飢魔ll、でも長い人生のあいだには、その熱にも波はあった。閣下のことは大好きなままだったけど、その閣下でさえ、いろいろあったせいで、お姿を拝見することもかなわなかった時期がある。そして、それを脱したところで聖llが戻って来たのに、コロナが来てしまった。わたしは職業人としての倫理観と信者としての思いとどっちを優先させるかで、迷うことなく(いやちょっとは迷ったけど)前者を選んで、いちども県外には行かなかった。けれど、そのコロナ禍もいろいろあって変わってきている。なんだろうな、これ、なんだろうな。わたし、なにしてたのかな。そんなことをぐちゃぐちゃと考え続けていました。

 でも、そのぐちゃぐちゃ感は、ライデン殿下の影ナレでちょっとほぐれました。わらっちゃった。殿下変わらないな!ってそれだけで涙ぐんじゃった。馬鹿だ、わたし。

 あのあまりに聴きなれた「三大怪獣、地球最大の決戦」(わたし、歳をとって寝たきりになってもこれ聞いたら立ち上がるんじゃないかな)が流れて、構成員が一名ずつ現れて「創世紀」が始まった瞬間、条件反射で拳を上げながらも、わたしはずっと頭の中で繰り返してました。

 これ、夢なんじゃないか。わたしずっと、夢を見てるんじゃないか。わたし、夢のなかにいるんじゃないの。

 なんでやねん、って感じなんですが、そこで浮かんだのは、あのM1グランプリの一場面でした。ええ、日本一の漫才師を決めるあれです。そのいつぞやのM1で、ミルクボーイの内海さんが、ファーストラウンドで大会の最高得点をたたき出したとき(たしか)叫んだ言葉です。「夢です、夢! こんなん夢!」それはとても切実でマジな響きで、でもすごくいいタイミングだったから、ちょっと笑っちゃって、とても印象的だった。それが浮かんだんです。夢です、夢! こんなん夢!

 だって、悪魔さまがいる。目の前に、それもチケット運のおかげでかつてない至近距離で、にこにこ笑って演奏している。わたしは上手側だったので、いきおいジェイル代官が目に入るのですが、それがまあ、あなたたいへん。いつでも閣下至上主義、ギタリストのソロでも舞台真ん中とか袖とかでなにかやってる閣下から目をそらさないわたしが、奪われましたね。代官、ちょっと待って代官。なにこの完璧なギターヒーロー! そのあまりに素晴らしいパフォーマンスにちょっと魂抜かれました。知ってたけど! これわたしがもっとうら若いお嬢さんだったらどうにかなっちゃうよ、あ、でもそれでもしょせんわたしだからやっぱり好きになるのは閣下!とか馬鹿なことを思いつつ、代官のカッコ良さに見惚れました。これこそまさにギターヒーロー、ロックバンドのギタリストはこうじゃなくっちゃ!

 で、しかもそのまま「地獄の皇太子」ですよ。じつは、わたし、前回の再集結にも参加していないせいで、ずっと不安だったんですね。聖llのノリとか振りとか、そういうのについていけなかったらどうしようって。聖llはそこまでお約束に厳しいバンドではありませんが、やっぱりあるていどはあるじゃないですか。でもぜんぜん問題なかった。身体が覚えてた。隣のまったく知らない信者さんと手振りのタイミングが完璧に合ったときはちょっと笑った。御同輩、お元気でしたか!

 とか言ってたら「RATSBANE」が来て倒れた。悲鳴です悲鳴。わたし、聖llの大教典でいちばんリアルタイムでコアにぶち当たったのが第5教典なんですよね。当時の思い出がぶわっと浮かんでどうしようもなかった。ていうか、このあと思い知りましたが、それはこの曲に限らない、すべての曲がそうなんです。わたしは聖llといっしょに歳をとってきたから、聖llの楽曲は、わたしの人生のそれぞれの場面にハマる。あたりまえ。

 ハマるといえば、そう、閣下。閣下のお姿が、あの青い瞼と、尖った金髪が、わたしの人生にカチッとハマったのは、わたしが14のときでした。まいったなあ、と思いました。それから何十年たっても、やっぱり閣下はわたしにとって、世界でいちばんカッコいい。世界でいちばん可愛らしい。世界でいちばんセクシー。わたしの大好きな閣下のふとももからヒップにかけてのあのむちっとしたラインは健在でした。いまいろいろ言ってきた真面目なことが吹き飛んだ気がします。でもいいよね、むちっと。

 そういえば、今回のツアー、再集結ではあるけれど、最新大教典「BLOODIEST」発布後のツアーでもあります。この教典がとてもお気に入りのわたしは「BLOODIEST」ツァーに行きたいとつぶやいたりしてたのですが、思いのほか収録曲が聴けてとても嬉しかったです。聖飢魔llは懐メロバンドじゃないよ、現役なんだよ! と強く思いました。何十年のキャリアがあると、いきおい代表曲が決まってしまって、観客側もそれを強く求めてしまうことはよくある話だし(閣下もツアーパンフで触れてましたね)それが間違ってるとも思わない。やはり人間は10代20代のときに好きになったものに一生引っ張られるものですよ。

 でもね、このミサで披露された「BLOODIEST」収録曲を見ていると、なんだよう、聖ll、いまがいちばんカッコいいじゃん、いまがいちばん最高じゃん!と思ってしまいました。思い出はいつも美しく、それを否定するわけではありません。過去のどの場面でも素晴らしい聖llをたくさん見てきた。でも、いま目の前にある聖llも、それらに肩を並べる素晴らしさ、カッコ良さなんです。年寄りの思い出補正も忖度も必要ない、このカッコいいロックバンドだからこそ、解散後も信者を増やし続けているのだなと納得しました。

 そう、このバンド、カッコいいんだよ! そして楽しくて、キラキラしてて、迫力あって、最高なんだよ! とわたしはミサのあいだ、ずっと思ってました。聖飢魔llは世界でいちばんカッコいいロックンロールバンドだと思った。ヘヴィメタルバンド、というより、そのカテゴリだけに収まらない魅力があるという意味で、もっと広く、ロックンロールバンドなんじゃないのかなと思った。ロックバンドじゃない理由は、ジェイルさんのあの軽妙さ(ぴょんぴょん跳ねるのくそ可愛かった……)と明るさのせいです! ロールしてる(意味不明)。

 しばらくはそんな感じでニコニコとステージを楽しんでいました。かつてない近距離で見ているせいで、ほんとに現実感がなかった。だから、ただもう楽しいのひとことだった。

 でも「白い奇跡」がはじまって。それこそ、聖llが紅白に出たこの曲で、まだ高校生だった自分が、友達を巻き込んで、一生懸命ベストテンだかトップテンだかにリクエストハガキを書き続けたことや、紅白に出る瞬間をドキドキして見守ったことや、録音したANNを繰り返し聴いた、そんな思い出がよみがえって。あのときの自分、夢かなったよ。と思いました。あのときにあんなに好きだった閣下、まだあんなに素敵だよ、と教えてあげたくなった。しかしくそ生意気だった当時の自分なら「あたりまえだよ」と言い返すだろうとも思った。いいかおまえそこ座れ(自分に逆ギレ)。

 でも、閣下はいるんだよ。わたしもここにいる。あんなに好きで、これから聖llはどうなっていくんだろう、99年に解散って本当? わたしはそれまで何回ミサに参加できるのかなとかいろいろ考えてたあの頃から、それはもういろんなことがあって、いろんな経験をして、ほんとにいろんな好きや嫌いに振り回されて。
 
 でも、わたしはいまここにいて、閣下が「白い奇跡」を歌っているのを見てるんだ。

 そう思った瞬間、膝から崩れ落ちて泣きました。ご褒美だと思った。他人と比べることに意味がない自分だけの人生を、それでもなんとか生きてきた自分への、悪魔さまからのご褒美だと思った。目の前に閣下がいる、閣下が、「白い奇跡」を歌っている。あのたとえようもなく美しくて、ほんとうに他のどこにも見つからないような文字通り、奇跡のようなあの歌を。

 そこで、しゃくりあげながら(隣の信者様お許しください……)、わたし頑張りましたよね閣下? と何回も頭の中で繰り返しました。なにを頑張ったかとかそういうことは意味なく、ただもう頑張って生きてきましたよね、ここまで投げ捨てずに、いろいろあってもわたしは生きてきたんですよ閣下、と思いました。わたしという個の存在を閣下が知ることは無くとも、閣下の存在だけで、閣下がそこに「在る」ことが、わたしにはご褒美だったんです、ありがとう、それに気づかせてくれてありがとう閣下、と泣きました。ありがとう閣下。ほんとうにありがとうと何回も繰り返しました。

 ……こう書くとマジ宗教ですね。宗教だよ、知ってたよ! 
 
 とか泣いてたのもつかのま、つぎに「鬼」が始まったので、こんどは頭を振るのに忙しくなりました。大好きなの「鬼」。「レストラン」ツアーは、わたし個人でいちばん回ったツアーでした。そして、さらに大好き「魔界舞曲」! サビになった瞬間に、信者さんがいっせいにジュリ扇を取り出したのにほんとに笑っちゃった。これまでどこに隠してたのみなさま。カッコ良すぎる(笑)。これもまたミサの楽しみのひとつですね。わたしは扇子を準備してなかったけどフラッグは購入してたので、それを楽しく振りました。この曲はほんとに楽しいです! 閣下がほんとに可愛らしくお尻を振るので……。ほんとにあのお尻は素晴らしいので……。

 そしてあのですね。この曲か、続く「RENDEZVOUS 60 MICRONS’」だったかな? 閣下がキーボードを持ち歩いてお弾きになる場面があったじゃないですか。その鍵盤に蛍光シールを貼って、どこを押さえたらいいか分かるようにしておられたのが、わたし的にはものすごいときめきポイントでした。萌えて萌えてどうしようかと思った。そういう場所で間違いないようにちゃんとするあたりが、まさに閣下オブ閣下。でも、すごく可愛いのも閣下。閣下大好き!

 ときめきポイントといえば、どの箇所のMCかは忘れちゃったけど、閣下のお魚の話がほんとに可愛かった。岡山で食べたお魚がとても美味しかったけど、メニューに値段が書いてないお店だったので、あとから気になって確認してもらったら、ちょっと驚くような値段で……と話し始めて、「なんかそんな値段のもの食べてるの?とかヒかれない?」と心配しつつ「スターだから」と参謀に押されて、告白した値段が「一尾8500円」。いや、たしかに魚の値段としては高いけど、それなりのお店に行ったなら、そんなに驚くような値段じゃないと思います(笑)。「魚にそんな値段出す?」と驚いている閣下が超かわいかった。萌え。

 泣いたといえば「嵐の予感」もちょっと泣いちゃったな。発表当時はイラク戦争がイメージされたこの曲が、いまはウクライナ侵攻に重なるものとなる。説教臭い、と閣下はおっしゃったけれど、正しい正しくない以前の問題で、自分は「こう」思う、「こう」感じる、ということを自分の言葉で表現するのはとても大事なことで、10代のわたしにそれを教えてくれたのは聖llだったと思います。そして「嵐の予感」は、閣下が舞うのがほんとうに美しいのです。この大きな運命の中を、悪魔が舞う、その美しさときたら。

 ここで、ちょっと息をついた思いになったけれど、「KIMIGAYOは千代に八千代の物語」「SAVE YOUR SOUL」と続けられて悲鳴を上げました。正直、このあたりは記憶がぐちゃぐちゃで断片的で、でも楽曲の力に圧倒されて、拳と手振りと頭を振るのに忙しくて、頭がおかしくなったことしか覚えてない。しょうがないよ、だってKIMIGAYOにSAVEYOURSOULだよ。おかしくなるに決まってるじゃん。好き好き大好き、これこそ代表曲!と、新しい曲が始まるたびに思った気がする。でもほんとう。どの曲も大好きで、代表曲なんです。聖飢魔llは、そういうバンドなんです。

 そして、本編の終わりが「LOVE LETTER FROM A DEAD END」だったの、すごく良かったと思います。だって、いまの聖llの代表曲じゃないですか。すごくカッコよくて、実に聖llらしいこの曲を、いま、リアルに体感できて幸せでした。こういう再集結的なステージだと、新曲を演奏されると、ちょっと温度が低くなっちゃうのが当たり前だと思うんです。でも、それが無かった。あのねえ、ほんとに、聖飢魔llの曲なんですよ。聖ll以外のバンドはぜったいに作れない曲だと思うし、そんな曲をいまの聖llが作ってくれたのが、とても嬉しかった。最高のパフォーマンスでした。

 ここで本編終了。「10分休憩!」の閣下の声に笑っちゃった。そうか、休憩か。必要だよね、休憩。

 和尚のあくまで和尚らしい影ナレを聞きながらも、わたしはずっとふわふわしてました。疲れるというより、ああ、やっぱ夢じゃんと思ってた。ステージの上に立つ悪魔さまを見た瞬間からずっと、わたしのなかに響いていた言葉。これ、夢じゃん。だって素晴らしすぎるから。あまりにも現実とは違うから。

 アンコールはじまりが「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」だったの嬉しかった! これも大好き。わたしは、こういう曲が聖llというバンドには欠かせないと思います。なんともお洒落で可愛らしく、でもそれに終わらないキュートな怖さがある。聖llってそうだよね? と思う。一つのジャンルに留まらない、複雑でオモチャ箱みたいで、カッコ良くて楽しいバンドなんだ!

 と思ってたら、世間一般の人が聖llと思ったら連想するような、まさにコテコテの「悪魔組曲」、それも「STORMY NIGHT」が始まったので、わたしはそれにも大喜び。おまえ聖llだったらなんでもいいのか(うん!)。「STORMY NIGHT」は聖ll初期には珍しいラブソングで、わたしはそこもお気に入りなのです。「IN The Lovery, Bloddy,STORMY NIGHT」で振りやるの大好き……。そして、そのまま「悪魔の穴」に続くのかと思っていたら、雰囲気が変わって「蝋人形の館」に! 閣下お約束の「おまえも蠟人形にしてやろうか」が、ロボバージョンなのはあれなにかのネタですか、大笑いしました。

 そしてここの「蝋人形の館」のアレンジがカッコよくて、大喜びで頭を振りながら、わたしはまた涙ぐんでました。年寄りは涙もろくていけません。でもね、すごいなと思ったんです。だって、閣下、デビュー時、10万23歳ですよ。自分も歳を取ったいまなら分かるけど、(10万はともかく)23歳って、まだまだ若くて未熟な年齢じゃないですか。なのに、その年齢でデーモン閣下として世に現れた。そのときにどんな扱い方をされたかはいまだわたしの記憶にもある。色モノ扱いされ、業界からの視線も冷たかった。わたしは聖llの信者となったおかげで侮辱とはなにかを知りました。それはもう、ほんとうに。いまよりずっといろんなことが不自由だった昭和の時代にあれをしたんです。

 なのに、閣下はやり遂げた。閣下は閣下であり続けている。そして10万60歳になっても、10万23歳の自分が歌った曲を歌っている。「蝋人形の館」を歌っている。そして、それをこんなにもたくさんの信者たちが喜んで楽しんでいる。みんな、聖飢魔llを愛している。閣下、すごいね、閣下、勝ったね、とわたしは思いました。最高ですよ、閣下!

 そしてそのまま「DEAD SYMPHONY」につなげるこの構成の素晴らしさ! そうだよな、これが聖llだよなと頭を振りつつ、ステージ中央にちゃんと天地逆転唱法の準備がなされているのに気づいて驚いた。いや、この曲やるんならあたりまえだけど、でも閣下、10万60歳ですよ? 日和ってもだれも文句言わないですよ? でも、閣下はやった。そりゃそうだ、このひと、デーモン閣下だもん! 必要とあらば火も吹くよ、閣下だもん! そしてわたしはそんな閣下が大好きなんです。いつまでもいつまでも、デーモン閣下でありつづける閣下の、その不器用さが大好き。

 ここでインターバルとなって、わたしはそろそろ最後はどの曲で終わるのかな、あとなにが聴けるのかなとかそんなことが気になり始めていました。個人的には「Winner!」終わりが大好きなのでお願いしたかった。「Winner!」終わりは、あの曲のキラキラした幸福感とともにミサが終わるので、祝福感がハンパないのです。もちろん「悪魔組曲」終わりも、聖llらしくて大好きなんだけど、それはもうやったし。でもやっぱりラストは「エルドラド」だろうなあ、あと一曲、なにが出るかな?とかずっと考えてた。

 そしたら、まさかの「永遠の詩 -A Song Of The Deceased-」が来たのでちょっと驚きました。でも、このやさしくも力強い旋律はラスト前にふさわしかったと思います。そしてやはりラストは「EL.DORADO」。やっぱり―と思いつつ、始まったらもうたまらなかった。親の説教より聴いたエルドラド。でもやっぱり最高の名曲でした。ただ良いというだけじゃない、最後にふさわしい曲なんですよね、すごく美しいし、力強いんだけど、そのなかに、せつなさがある。だってそれはまだ、たどりついていない場所だから。見失わないうちに、早く行かないといけない黄金郷だから。

 はたして、そこにたどりつけるんだろうか。でも閣下、わたしはそこに向かって走り続けるからこそ、聖飢魔llなんだと思います。

 もしかして、もうそこには着いているのかもしれない。聖llはバンドとしては、もう完結した、上がりの存在なのかもしれない。なんといっても、もう解散してるわけだから。でも、そうであっても、聖飢魔llは走り続ける、さまざまなかたちで存在し続ける、世界最強のロックンロールバンドなんです。

 だから、わたしは聖飢魔llに出会えて幸せです。人から見たら大げさなと言われそうなことは承知で言いますが、聖llを好きなことで、わたしは自分を肯定できたんだと思います。こんなにカッコ良くて、最高のバンドを好きになった自分、正しいじゃないですか、間違ってないじゃないですか! 聖llはわたしに、自己肯定感をくれたんです、自分を好きでいていいと思わせてくれたんです。10代のときも、アラフィフのいまも! 

 そんなものを個人的なかかわりを持ったわけでもないバンドに与えられるなんておかしな話かもしれない。でも、聖llにはそれができるし、わたしはそれを必要とした人間でした。ああ、ほんとうに宗教だな、と思います。聖飢魔llは最高の宗教団体です。最後の最後、ステージ上の悪魔さまが一名ずつ手を振って消えていく背中を見ながら、そう思いました。ありがとう、聖飢魔ll。わたしこれからも生きていけるよ。

 そして、ステージが終わったあと、座席でぼんやりしていると、最後の影MCで、閣下が「すべてはまぼろし」という意味のことをおっしゃった。その瞬間、腑に落ちた。ああ、夢だ。やっぱり幻だ。でも、最高の幻だった。そして人間は、幻がないと生きていけない。現実だけでは、生きていけないものなんですよ。

 最高のミサでした。自分の聖llへの思い入ればかりが先行した感想ですが、ステージの完成度が素晴らしかったからこそです。コロナ禍でさえなければ、自分はこのツアーをいくつ押さえたのかなとも思いましたが、ひとつでも参加できてよかった。また、コロナ禍ということで基本的に声出しNGでしたが、そのぶん、信者さんの拍手の音がとても良く響いて、とても奇麗で、まるでその音そのものが会場に降り注いでいるようでした。そのなかのひとりになれて、嬉しいです。

 代々木のライブビューイングは申込み済みです。コロナがどうなるか分からないまま、悪魔さまが魔界に戻ったあと、わたしはまた閣下のソロを楽しんでいくのだと思いますが、やっぱり聖飢魔llは特別な存在でした。

 ありがとう閣下、ありがとう聖飢魔ll。わたしはあなたたちの信者で良かったです。

※※※

 思いのほか多くの信者さんにこの感想を読んで頂けて、とても嬉しかったです。拍手でのメッセージもありがとうございました!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする