「DEMON’S ROCK “DKR(うたどくろ)”TOUR」(デーモン閣下)(Zepp Namba)

 というわけで、10月21日に行われたデーモン閣下のライブ「DEMON’S ROCK”DKR”TOUR」(Zepp Namba)に参加してきました。去年の「うただまプレミアムコンサート」がきっかけで、しばらく遠ざかっていた閣下のライブに参加するようになって、ようやく一年。去年の「THE〝BIRTHDAYS〟」ツアー以来の生閣下となります。

 今回は閣下の新作「うた髑髏(どくろ) -劇団☆新感線劇中歌集-」のツアーとなります。わたしは演劇にはとんと縁がない人間で(ここ、笑うところです)、新感線はまったく通っておりません。タイトルを聞いたことがあるくらい。そのせいか発売日には入手したこのアルバムも通しては聞いたものの、「修羅と極楽」がPV含めカッコいいな、と思ったくらいで、すぐにはピンとこないままの会場入りとなったのでした。もっともわたし、閣下のソロにはこのパターンが多いのです。音源で曲を知ってから、生で納得しておおハマりという感じ。

 会場となっているZeppNambaは初めて行きました。なんばということで、雨の中、ついでに日本橋のオタロードあたりに買い物にも行ったのですが、目当てのジャンルのものは見つけられずせつなかったです。なんかこのあいだも同じようなことをしたな……。そして、生来の方向音痴なわたくしはグーグルマップで15分の距離を50分かけて会場に着いたのでした。おかげでグッズも見る余裕が無くてがっかりですが、それは自分が悪いので……。

 大入り満員(当日券の発売はあったようですが、ほぼ満員じゃないかな?)の会場を見ていると、やっぱりここにいるひとみんなが閣下を好きな空間っていいなあと思いますね。ひとりで参加しているけれど、ひとりじゃないというか。しかし、会場にたどり着くまでがたいへんだったわたしは心の余裕もなくあっというまに開演時間を迎えることになりました。最初の音が鳴った瞬間に、耳を保護するための耳栓をつけるのを忘れていて超あわてて、閣下が登場する瞬間を見逃すというこのていたらく。とほ。

 ライブ本篇は、閣下のMCもなく、ひたすら「うた髑髏」の曲をやっていくストイックな構成でした。しかし、あとで閣下も触れていましたが、お喋りがないせいか、閣下の声が本当に素晴らしい。伸びやかで、なおかつ声音の使い分けがあざやかで、歌声の抑揚の美しさが半端ない。そのため、「うた髑髏」の曲はまだピンとこないなあなんて言ってたはずの自分が、二三曲を待たずに「うた髑髏サイコー!」になってましたよ。我ながらチョロい。

 いや、やっぱり閣下の曲は生で見てこそ本領を発揮する、というか。ライブでシビれきって帰宅してから音源を聞きなおすと、最初に聞いた百倍良くなっているこの不思議。ライブで聞くことにより、その曲の本質がよりクリアになってコチラに届けられる、そんな気がします。それはもちろん、音源そのままを再現するだけのライブではない、閣下およびバンドの皆様の力量のなせる技、なんでしょうけど、いや良い曲ぞろいだった……。どの曲もそれぞれに良いのはもちろんですが、とくに「流れ流れて極楽に」だったと思うのですが、グルーヴがとにかく気持ちよくて気持ちよくて。音とリズムに合わせて身体を動かすということの原始的な快感を堪能しましたね。

 もちろんステージ上の閣下は素晴らしかったですが、そこにはうた髑髏上の七人ことバンドメンバーのみなさまがいらしているわけです。で、今回、わたしが驚いたのは、ドラムのLEVINちゃん。ドラム以外は、石垣さんに桃さんに喧太さん、松崎さんという見知ったメンバーなだけに、ここでいきなりのLEVINちゃんの登場に驚いたのですね。

 あとで、わたしが閣下と離れていた時期からのサポートだと知ったのですが、てっきり殿下だとばかり思ってたので……。なんといっても、わたしにとってのLEVINはあくまでラクリマクリスティのLEVINちゃん(余談になりますが、わたしはずっと閣下にラクリマの「Lhasa」を歌ってほしかったのでした)。ラクリマのときに見てはいるのですが、さすがに20年以上前(!)なので、小っちゃくて可愛いということしか覚えてませんでした。

 そしたら、LEVINちゃんすごかった。いや、あのスティック回しに代表される華やかというか目を惹くドラムプレイと、閣下のパフォーマンスとの相性がすごく良い。わたしには技術的なことをどうこういえる頭は無いのですが、ドラムプレイも素晴らしいうえに、その存在が閣下を素晴らしく引きたてているようにわたしの目には映りました。すごいすごい、LEVINカッコいい!これまでの閣下のサポートとしてのLEVINの活躍を見てきていらっしゃるかたにはなにをいまさらな感想かもしれませんが、いや、脱帽です。

 それにしても閣下は歌がうまい、とかいうといまさらおまえは何を言っているのだとチベスナ顔をされてしまいそうですが、なんていうのかな、単純なテクニック的なうまさはもちろんとして、やっぱり閣下は声が素晴らしいと思うんですよ。それはもう、生まれ持ったものとしての声音が良い。お金でも訓練でも買えない声。そして、その良い声を最大限に生かすテクニックを存分に使われたらもう駄目ではないですか。普通に聞いてる側は落ちるしかないじゃないですか。そんなことを感じました。
 
 そんな感じで圧倒された本編。すごく楽しくて楽しくて、閣下の面白いおしゃべりがあるわけではなく、ただ曲がどんどん演奏されていくだけなのに、ほんとうに楽しくて、わたしは幸せでした。

 そう、幸せだったんです。ライブ参加復帰後は、閣下を見たら反射的に泣いちゃうような時期もあったんですが、今回は涙は出なかった。いや実際はちょっとうるっとくるところもあったんですが(「BurnigBeauty」が来たときとか。あれはわたしにとって神曲というか魔曲なので)、それも感激の涙といよりは、音の気持ちよさ、この空間のすばらしさに対する生理的な反応としての涙って感じなんです。ただもう幸せだった。

 おまえは何を言っているのかという感じですが、うーんとね、えーとね、ようやくここにたどりついたというか、閣下はわたしに幸せをくれたという感じなんですよ。そう、しあわせ。Happy。この空間、この音、この歌を聞いてるだけで、心が満たされるというシンプルな事実としての幸福感。閣下すごいと思いました。閣下はわたしを幸せにしてくれるのだ!

 というわけでひたすら曲で攻めた本編が終了すると、アンコール待ちのあいだに閣下が公式サイトで募集していた、信者のみなさまからの「わたしの人生の修羅場」ネタが流れました。ここらへんから閣下のライブだなという気がしてきた(笑)。さすがこなれた信者の皆様のこなれたネタはほんとうに楽しく、わたしもチケット忘れには気を付けようと思いました(笑)。

 アンコール。「うた髑髏」の曲、なにか残ってたかなあ、やっぱり「うた髑髏」ツアーだから、ソロのお約束曲はあまり聞けないのかな、とちょっと思ってたら、いきなり始まった「NO GOOD NEWS TODAY」で倒れた。しかもそれに合わせて信者のみなさまのネタが御開帳。そのノリに、かつての「NEWS」ツアーを思い出したりしました、わたし、あのツアー大好きだったんだよ……。続く「New Day Come」で、みなさまいきなりフラッグを取り出したので、物販に寄れなかったこの身を嘆くばかり。

 でもね、このあたりで、わたしとしてはすごくムズムズしてたんですよ。なつかしの「NO GOOD NEWS TODAY」はもちろんうれしい、楽しい。「NewDayCome」は最高に明るくて、まさにタイトル通りにキラキラしてて、大好き。でもさ、でもさ、閣下のソロといえば、いろいろ聞きたい曲があるじゃないですか、やっぱり。でも、「NewDaycome」がとても感動的で明るくて、良かったので、これで終わりもアリなのかなあ、それはそれでいいかもしれないと思いもしたのです。しかたないか、毎回聞きたい曲が聞けると決まってるわけじゃないもんね、と思ったら。思ったら。

 「太陽がいっぱい」が!キャー!やったやった、うれしいたのしいだいすき!わたしはこれが好き!閣下のソロといえばこれですよ、これ!あまりに嬉しすぎてなにかが飛ぶ思いがしました。おかしい、こんなに待ち焦がれてたのに覚えてない。ただ、閣下が、歌う閣下が、最高にカッコ良くて美しくて、わたしはそれを見て、幸せだと思ったことだけは覚えている。この空間、この空気が、やっぱり最高に幸せだと。

 だからね、ここで締めでもわりと納得だったんですよ。「太陽がいっぱい」終わりも美しいじゃないですか。そしたら、そしたら。あのイントロが。あの会場でわたし以外にも悲鳴上げたひといた?いたら握手しましょうよ、あれきたよ、あれ!

 「♡8」!はい、わたし死んだ!いや死んだら「ハーイハイ」が出来ないから生きる!これだよこれ!とわたしのなかの嘉納治五郎が叫んだ。「♡8」はわたしにとってとても大切な曲です。閣下のソロライブといえばやっぱりこれ、という感じで決め曲だしキラーチューンだし、言葉に表せないほど好き。閣下の愛らしさやお茶目さ、可愛らしさを体現したようなキュートな曲だと思う。好き。大好き!

 というわけで最高に燃え(萌え)つきました。あと聞きたいといえば「AGE OF ZERO」なんだけど、それが来たら灰になっていたと思う。なんかね、閣下はやっぱり最高ですよね。わたし、幸せになった。幸せになったよ!

 そう、これまでみたいな感動してぐずぐず泣いたりするのと違って、最高に笑いながら飛び跳ねて、閣下サイコー!みたいなライブでした。もちろん、本編の「うた髑髏」の楽曲では感動したし、カッコ良かったりうっとりもしたのです。そういうところも抜かりない。でも、最終的にわたしを持っていたのは、間違いなく「太陽がいっぱい」と「♡8」でした。それはもうわたしがそういう人間だからでお許し願いたい。なによりそれでわたしは幸せになったんですよ。おなじこと何回言うんだって感じですが、だってそうなんだもん。閣下は最高ですよ。わたしに幸せをくれた!

 「太陽がいっぱい」の途中で「すでにおまえは標的」で喧太さんのギターがかぶる、あの一瞬、汗もかいて飛び跳ねてて、腕もちぎれるほど振って、ステージ上の閣下を見ていたいのに、その余裕もないくらいに頭も振って、泣きそうで、苦しいくらいに楽しい、あの瞬間。これを幸せと言わずしてなんといいましょう。最高ですよ、閣下。あなたやっぱり最高の悪魔だ!

 ほんとうに素晴らしいライブでした。閣下の表現者としての最高のパフォーマンスを堪能しました、ありがとうござました!

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