「われはロボット」アイザック・アシモフ(ハヤカワ文庫)



 先月読んだフレドリック・ブラウンが面白かったので、古典SFを読んでみようかと手に取ったのがこれ。アシモフはもちろん名前は知ってますが、初読でした。ちょうどウィル・スミスが主演で映画になってますね。かの有名なロボット工学三原則に基づいたロボットの開発史を、ロボット心理学博士であるキャルヴィンを主な語り手としたオムニバス形式で綴っている短編集です。
 実は、これはWWEに行くときの新幹線で読んでたんですが、一番最初の「ロビイ」で、ボロ泣きしてしまって、大変でした(恥)。8歳の少女グローリアと、その子守用ロボットとして彼女に仕えたロビイの短いお話です。娘がロボットに懐きすぎていることを脅威に感じた母親によって引き離された二人が、再会するまでという、まあ、お約束の甘い話であると重々承知しています。しかし、ラストの「その眼は、深い深い紅色に輝いていた」という一文で、キた。どうやらわたしは、子どもの一番の親友でありかけがえのない存在が、「生きてはいないもの」「人間ではないもの」であるという設定に、弱いらしい…。それこそ、妖怪やら想像上の生き物やらF式蘭丸やら、これまでにいくつもあったお話だと思うのですが、それでも泣けた。
 この「ロビイ」以外の話でも、ロボットは心を持つのかというテーマが繰り返し語られています。鉄腕アトムの昔から「そりゃ機械だって心をもってるでしょう」という日本人の感覚と、微妙に違うところがあるような。そこがまた面白い。謎解きミステリとしても読めます。原著が出版されたのは1950年、ということはいまから54年前の本なわけですが、古びた感じはしないなあ。これをきっかけにアシモフも、もうちょっと読んでみたいです。ロボット刑事が出てくるのはなんだっけな。

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