「ソレしながら好きって言える?」安彦麻理絵(太田出版・Fコミックス)



 以前、安彦麻理絵が好きだと云ったら、「どの本読んでも同じじゃん」と云われたことがあった。いやまあ確かにどの本を開いても、そこにあるのは「なにかが足りない」「でもそれがなにかは明確には分からない」「幸せかもしんないけど、あたしにはこれで終わりと思えない」と繰り返しイライラしてたり達観してたりぼんやりしてる女の子たちの姿ばかりなんですけどね。シチュエーションもそんなに大きくは変わらない。
 作者が出産したせいか、最近はこどもを抱えた主婦の憂鬱みたいなのが出てきたり、出てくる女の子の年齢も20代後半から30代前半にシフトしてきましたが。それでも変わらない、ということは、結局、ある種の女の子は30になろうと40になろうとそれを抱えて生きていくのだということではなかろうか。単なるわがままかもしれんが、そう思ってしまうものは仕方ない。結局、誰かが自分を幸せにして「くれる」わけではないはずなのにね。今回のこの短編集もそんな気持ちで溢れてます。
 あと、この短編集には、魚喃キリコと安彦真理絵の対談も挟み込まれてるんですが、両者とも見事にビッチな感じで(褒め言葉)、ぶっちゃけトークです。男の人は読んだらヤな感じするだろうなー(笑)。

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