「赤目四十八瀧心中未遂」車谷長吉(文春文庫)



 直木賞受賞作です。
 わたしは車谷長吉は確かに芥川賞のほうだろうと思いますが、この作品に限れば直木賞かも、と思わせるリーダビリティの高さです。途中でやめられませんでした。尼崎まで流れ着いた男が出会った人々との関わりを描いた一作ですが、素直に面白かった。私小説で日本の純文学ときたら、うっとおしく或いは退屈なものと感じるひとも多いでしょうが、本当に良い作品はそれでもひとを退屈させません。映画化されたそうですが、うん、確かにうまく映画化できたら良いものになったでしょう。わたしは未見です。

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