「聖飢魔ll Presents Tribute to JAPAN」(東京・両国国技館)

 さて、今日は東京・両国国技館にて『聖飢魔ll Presents Tribute to JAPAN』です。二日間行われたこのイベントですが、わたしは二日目のみの参加となりました。ど平日、しかも月末とあっては…。しかしまずはなによりも、チケットが取れるかどうかが一番の心配だったわけです。聖飢魔llというだけでプラチナ間違いなしなうえ、共演者も猛者ぞろい。しかし、そこは何事もチャレンジと、信者である歩姐さまと最近めっきりジュアラーな真夜さんを巻き込んで、チケット争奪戦には無事勝利いたしました。うん、今年の運はここで使いきったな。

 悪魔がチャリティ、というだけで皮肉なかたには揶揄の対象とされてしまいそうですが、先日FC会員向けに送られてきた冊子でも、構成員の皆さまへの被災地への想いというのは伝わってきました。そもそも、悪魔だからこうじゃなきゃいけない、という思い込みこそ聖飢魔llの思想と外れたものであるような気がします。そんな保守的な子に育てられた覚えはないからね!(笑)そもそも、かれらがやると決めたことがそのま、悪魔の所業なわけですから。

 思えばちょうど一年前にも、聖飢魔llで東京に行きました。一年に一回、悪魔さまのお姿を拝見出来るなんて不思議な気分です。しかし今回はイベントということもあり、以前のようなちょっと哀しい思いつめたような気持ちはありませんでした。そういう意味で、いちばんきつかったのは、ちょうど5年前の再集結のときだったような気がします。こんなに好きな相手とまたお別れしなくちゃいけないという気持ちにずっと胸が締め付けられている、あの感覚を思い出すと、いまでも胸がちりちりと痛みます。東京では、無事に真夜さんと合流し、歩姐さんとも一年ぶりの再会となりました。歩姐さんには、とりあえずのご挨拶で「カ、カリカさんの件ではまことにご愁傷様です」とお悔やみの言葉を捧げてみました。

 お茶しながらも、今日のイベントの内容をわくわくと予想。あえて一日目の情報は一切いれずに臨んだため、なにがあるか予想がつきません。とりあえず、「ここで青森県南部地方…を云わずしていつ言うのよ!」という姐さんの予言に「アダムの林檎」を期待したり(注・一日目でした)、「代官がいるからFIREAFTERFIREは絶対かな」(注・一日目でした)とか云ってたのですが、私的には、一曲目にもってこられると半端なくアガる「WINNER!」始まりを期待してましたね(注・ニヤニヤ)。ここで「GOAHEAD」は無かろう、とか、締めは「エルドラド」じゃない方がいいけど、でも、そのまえの閣下MCとか予想出来ちゃうよね!と、キャッキャッウフフな感じでそういう話が出来るのがすごく楽しかったです。

 国技館に入って見ると、初めてみる升席や建物の雰囲気に感動です。「おお、TVで見たことがある!」とか口走ってしまった。席もアリーナの後ろの方ではありますが、真ん中だったので文句はありません。もう席の良し悪しとかじゃないからなー。それはさておき、トイレで並んでた時に、すぐ前の若めのお嬢さんが「聖飢魔ll見られるね!見られるね!」とテンションあがっておられ、お友達に「今日の目当てそれじゃないじゃんー!でも楽しみ!」と返されててすごく気持ちがほんわかした。ジュアラーかしら。うん、本当に楽しく見ていってください。

 開演前アナウンスが閣下でしたが、そこで「愛や希望を歌うわけではないアーティストたちが今年の状況を受け、どのようにしたらいいのかと迷っている。そんなかれらに、場所を提供した」という意味の閣下のお言葉がすごく自然に入ってきた。うん、これでいいですよ、閣下。ことさら愛を歌わずとも、なにかしたい、なにかできることはないかという自然な思いを持つことを否定する理由はないもの。そしてそのあとのお約束、「決められた場所を移動しての八百長、度を越したかわいがりなどは、悪魔が許可した場合をのぞいて禁止とする」そんなネタを国技館でするあたりが本当に素敵です。

 一番手は「ROOKiEZ is PUNK’D」。もちろん初見です。ていうか今回で初めて名前を知りました。事前に調べたところ、「デュラララ!!」とかの主題歌を担当してるらしい。ツアーの規模はライブハウスで、この国技館のステージはかれらにとってもかなりの大舞台だったんじゃなかろうか。でも、だからといって物おじした様子も、へんに媚びる感じもなく、それでいて「ベースの先生はゼノンさんです!」「ルークさんにギターのアンプ借りました!」とか信者心をくすぐるMCも忘れず(笑)、良い感じでした。音的にも若いロックで、よろしいなあと思っていたら、なんとわずか3曲で終了。私も驚いたが会場もどよめいた。でも、ちゃんと強い印象を残せたと思いますよ

 二番手はjealkb。お友達の真夜さんのグルグル映畫館活動休止でぽっかり空いた心の隙間にきゅっと滑り込んできたジュアルさんなだけに、DVDとかは見たことあるんですが(まよるんち行くと流れてる)、ライブは初めて。そしてまさかのMC入りで、私の心にもきゅっと滑り込んできました。信者さんはみんなこういうの大好きです。うまいなあ。喋りはもちろんプロなので、巧くて当たり前かもしれないけれど、それがライブ中のMCとしても十分機能してるのがいいなあと思いました。振り付け担当がいるから、わたしも頑張ってハートを作ったよ!しかしhaderuさまがしきりと「聖飢魔llに思いを届けましょう!」とか煽って下さるので、勿体ないやら恥ずかしいやらで、変に照れてしまいました。きっと悪魔さまもそんなの届けられたら照れちゃうよ(笑)。そしてみなさん芸人さんのはずなのに、なんでこんなに普通に演奏が巧いんでしょう(笑)。振り付け楽しいし、曲はV系を通ったひとなら抵抗できるわけがないキュートさだし、煽りもこなれているし、初見でもすっごく楽しかったです。わたしは「killss」という曲がいちばん好き。カッコいい。

 三番手は氣志團。はい、わたくし、ツアーも参加したことありますし、嫌いなわけはありません!ていうか、jealkbが真夜さん向けならこっちは間違いなくわたし向け。いきなり「ゴッド・スピード・ユー!」で久しぶりに見るそのカッコよさにくらくらです。演奏の巧さとかいちいち言わなくてもいいんだろうけど、本当にこの技術力の高さでこの楽曲を支えてるってあたりがわたしのツボなんだよなあ。翔やんのMCは言うに及ばず。その昔、氣志團のライブを見た時にわたしはなぜか「聖飢魔llのこどもたちがここにいる」と思ったものですが、音楽のジャンルの差は関係なく、さらに喋りが面白いとかそういう表層的なことだけでなく、徹底したエンタテイメント精神というところに同じ匂いを感じるのですね。プロ。まさにプロ。「One Night Carnival」のMCは、その達者さに笑いすぎて疲れました。「ゼノン和尚」「鳩」というこのキーワードだけでイベント終了後もしばらく笑えた。いや、本当にとことん楽しませて頂きました。

 さて、いよいよ聖飢魔llです。あるていど身構えていたところに、前アナウンス…ていうか漫才に圧倒されてしまう(笑)。本当に、前回の再集結から和尚にはなにが取り付いてしまったのでしょうか。ナマズ?以下、順番に感想など。

 「WINNER!」開演前の一曲目予想が当たったもんで大喜び。というか、この曲大好きなので大喜び。わたしが本格的に信者となったのは第5教典からなので、そういう意味でも象徴的な一曲なのです。この圧倒的な明るさとキラキラした感じ、未来に向かう力強さ。ドロドロした悪魔的な聖飢魔llも大好きですが、この力強さもまた確実に聖飢魔llなのです。一曲目だったけど、構成員の姿を見て涙とかそういうのは無かったな、不思議なほど。それはこれまでの流れで、今回の復活があくまでこの二夜にわたるイベントのためのものであり、ツアーを前提にした再集結とかそういうものとは一線を画するものであるというのがなんとなく伝わってきたからかもしれません。そしてなにより、ただ泣いて感動するには、わたし、まだまだ現役の信者なんだよ。もう会えないとか遠くへ行っちゃうとか嘆くのは、それにつられて自分の気持ちが離れてしまうことが怖いから。でも、わたしはずっと聖飢魔llが好きだもの。だから、かれらがいつ帰ってきたって、変わらぬ気持ちで迎えられるよ!

 「真昼の月」ちょっと驚いたものの、そういえば今回の告知サイトにも引用されていた。イベントの内容を思えば納得の選曲。そしてわたしはこの曲も大好き。実はわたしがかつて参加した聖飢魔llのツアーでもう一度だけ参加できるなら、全個所回りたいのは「NEWS」ツアーだったりします。思い入れはそれぞれのツアーであるものの、いちばん好きな良く聴いていた大教典も「NEWS」。この曲は、そんな経典のなかでもとりわけ美しく力強い名曲です。堪能した。

 「MASQUARADE」とか云ってたら、この曲が!きゃああああ。だいすきだいすきだいすきいいいいい!ここに至って、このイベントで初めて涙ぐみました。自分がどんどん歳をとり、その曲を作った当時の構成員の年齢に(マイナス10万で)近付いてくるにつれ、あの頃のかれらが伝えたかったこと、思っていたことが当時とはまた違ったかたちで伝わってくる感じがする。嘘ばっかりついて仮面をつけて振る舞うことを要求されて、それを疑うことも忘れがちな生活で、それでも素顔をさらけだしてごらんって、そりゃまあ古臭いメッセージかもしれない。でも、伝わる。伝わってくる。大好きです。そして、この曲が発表された当時を思うと、あのときのわたくしは、ライブで(それもライブハウスツアーでものすごく間近)初めてこの曲を聞いた際、曲に感動する以前に、ずっとフードをかぶって歌っていた閣下がサビでフードを脱ぎ捨てた瞬間に、オレンジ色のおかっぱ頭に変貌を遂げておられたあのショックのことしか頭になかったのが悔やまれます…。女性スキャンダルよりもショックだった、あのオレンジ…。そ、そんな思い出話はともかく!目の前の現在の閣下は本当に素敵でした、わたし、この曲の「そのあとが/お目当てで」のときに閣下がいやらちくお腰を動かされる振りが大好きです。曲への感動がどこかに行ってしまいそうなコメントばかりで申し訳ない。

 ここでMC。しっかりと、いったんは再集結して去ったはずなのに…というネタをやる閣下が好き。「いきなりの三曲はじまり、まるでロックバンドのようだ」ってのが良いなあ。

 「秘密の花園」代官がいるから、これ?!前回の再集結で挙げた悲鳴をまた挙げるとは。もちろん名曲なんだけど、この曲にはまぎれなく、鎮魂の意味も込められているはず。「Blossom dream 迎えがきた」の美しさと荘厳さに、圧倒されました。そして、ここの代官のソロ、素晴らしかった…。

 「SAVE YOUR SOUL」きゃあああ。前回のツアーでの「BLAND NEW SONG」と対になる(とわたしが勝手に思っている)この曲が来るなんて!もちろん大好きです、大好きです。好きなんて言葉では表せないほど、焦がれていました。この力強いメッセージ力、楽曲の完成度。ロックとはなんぞやということを語れるほどの学識はわたしにはありませんが、それでもあえて口にするのなら、このメッセージ性にこめられたまっすぐな意志の力こそが、ロックです。表現の方法はそれぞれであったとしても、この揺るが無さ、迷いの無さこそが、聖飢魔llのロックです。カッコよくて、素晴らしくて、泣いた。

 そして、その興奮も冷めやらぬそのあとの「儀式を執り行う」との閣下の言葉に「アダムの林檎」を期待してざわめく信者。「違う、お前らが予想してるのじゃない」と苦笑いしながら始まったのは構成員紹介のコーナーでした。ここから後ろのモニターに構成員の姿が映り始めて、麗しいお姿をアップで楽しめました。そして途中で代官が言ってましたが「ここはあっさり一言で終わろうねって言ってたのにね」ってそんなの無理に決まってるじゃないですか(笑)わたしが聖飢魔llのスタッフなら、とてもじゃないけど怖くてそんな構成前提にできないっすよ。ここはもうそれぞれ可愛らしく。ていうか、本当に代官が、長官とはまた違ったクールさというか、肩の力が抜けた感じですごく良い。わたしは中期からがコア信者なので、やはり長官絶対主義ではあるのですが、そんなわたしでも認めざるを得ない代官の良さ。こんな日が来るなんて、14歳の私に教えてあげたい。

 「戦う日本人」この選曲にはたまげたものの、確かにぴったりの曲。しかもわたしは大好きなのです。あの正拳突きの振り、すごく楽しいの…。そしてリーマン姿のパフォーマーのハチマキにあった言葉にじんときた。「相馬頑張れ」って書いてあった。しかしこの曲はもちろん、途中で登場した氣志團ならぬ「鬼死團」の皆さまが持っていったといっても過言では無いでしょう。完璧な悪魔メイクと微妙な衣装の組み合わせでの登場に会場は騒然。そしてよりによって長官メイクだった翔やんがまた微妙に長官に似てて(主に鼻の下あたりが)、びっくり。聖飢魔ll側には内緒だったというこの仕掛けを見て、閣下もすっかり楽しんじゃってる姿が、実に愛らしかったです。でも、本当に氣志團ちゃんは達者だなーと感心しました。聖飢魔llも十分にやんちゃとえばやんちゃなバンドだと思うんだけど、その血を受け継ぐ(勝手に言ってます)氣志團ちゃんの覚悟が、現役感バリバリで実に頼もしかった。

 「蝋人形の館」悲鳴のタイミングがはかれない信者の皆さまがおかしかった。いや、わたしも迷ったんだけど。この曲が聖飢魔llの曲でいちばんとは思わない。でも、間違いなく代表曲です。途中で閣下が「…この曲しかないんです」とラララを歌う事を信者に要求したらどうしようと思ったくらいに代表曲なのは間違いない(氣志團ネタ)。だからこの曲もとても大事。聴けて良かった。

 「HOLY BLOOD」曲の前の閣下のMCが、「エルドラド」っぽく感じられたものの、微妙に違う感じで「己の内にいる悪魔と血まみれの接吻を」と言われたもので、ええ!ここで「世界一のくちづけを」!?それなんてわたし特!と叫びそうになりましたが、始まったのはこの曲。それにもびっくりです。この曲がまた聴けるなんて!というか、この曲に参加できるなんて!聖飢魔llの聖飢魔llのゆえんたるカッコよさを体現したような曲です。この曲の閣下は悪魔だけど間違いなく、神。失礼を承知で言うけれど、あのちっちゃな体で、国技館全員の魂をその掌に収めたかのようなあの堂々たる立ち姿、たまらなく美しいと同時に、素晴らしい威厳。ひとでない。これは本当に人でない、悪魔の姿。ただもう圧倒されて。

 嗚呼、この曲で終わりなんだ…という虚脱感を感じながら、構成員が一人、また一人とステージの後ろの階段を上っていく姿とその背中を見ても、不思議と涙は出ませんでした。閣下は「また会おう」と言った。それは必ずしも聖飢魔llの再集結を意味するものではないし、その言葉を必要以上に有難がる気もしないけれど、こんなにすごいステージをみせてくれて、私にとっては、前回の再集結ツアーで足りなかったところを見事に埋めてくれるようなものを見せてくれて、本当にうれしかった。奇跡のような、わたしにとっては神セトリならぬ大魔王セトリだったし。聖飢魔llは、特別。わたしにとって本当に特別。これからもう二度と会えなくても。何の関係もなく、わたしのなかでは一番の存在であり続けます。

 終了後は、あわただしく歩姐さんとお別れした後、真夜さんと打ち上げ。両国は本当にちゃんこ屋さんばっかりだ…。しかしさすがに二人でちゃんこはきついよね、と適当な居酒屋経。そこでも、よる年波の話題に偏ってしまうあたりが哀しい。いや、本当にね、脳と口は「もっと食べられる!」と思うのに、内臓が拒否するんだよ…。しかしそこでもお互いに、今日のイベントの内容を反芻しながらおしゃべりを楽しみました。とても楽しかったし、良いイベントでした。

 ありがとう聖飢魔ll。世界でいちばん大好きです。閣下の言葉、すべてを自分の中で発酵させて自分の考えに昇華させていきたい。本当に素敵な一夜でした。

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