「DEMON’S ROCK TOUR Hakurai」デーモン小暮閣下(名古屋ELL)

 さて、待ちに待ったデーモン閣下のロックなツアー、わたしの初日は名古屋です。土曜ということもあってか、歩道橋まで待ち列が並んでいます。思わずにこにこしていたら、明らかに閣下待ちの列から「わあ、もうひとつのハコはきっと有名人がいるんだね」という意味の言葉を、まったく別の方々から二回ほど聞きました。わたしの行くとこはみんなこんな自意識なのか…。

 今回は、柵前は取れませんでしたが、そのぶんフロアの前方に自然と場所をとることができました。上手がえらく詰まってて、自然と下手に陣取ってたわけですが、その理由に思い当たったのはずいぶんあと。ごく普通に開演を待って、閣下のいつもの開場アナウンスにげらげら笑いながら、わたしとしてはずいぶんリラックスした気持ちでいました。いや、もう生の閣下だからといって、不自然に緊張したりあせったりは無くなりましたよ。聖ll再結成以後も、初見のときだけ涙がわずかに出ただけで、あとはただひたすら、楽しかったものね!以前のツアーと同じ紗幕がかかった舞台を見ながら、そんなことを思いました。そして始まったステージ。

 一曲目で号泣

 いやいやいや(松本人志の口調で)!舞台に登場した閣下に歓声を上げるより先に、とにかく、その姿を見たとたんに込み上げてきて、自分でもえ?え?と思ってるうちに涙が溢れた。理屈じゃない、魂をわしづかみにされて持っていかれるあの感じ、文字通り総毛立つあの感覚が、閣下を見たとたんにわたしを襲った。身体の反応に気持ちがついていかない。わあ、わたし、閣下を舐めてた、と思った。正確にはわたしのなかの閣下に対する信仰心を舐めてた。だってわたしすんすんしながら、神様って思ってたもの。悪魔だけどわたしの神様、かみさまってずっと繰り返してた。どうやっても理由づけることができない、息の止まるようなあの瞬間。かみさま。

 それにしても、涙を押さえつつ、ようやく一息ついたとろで始まった二曲目が「AGEOFZERO!」ってアリですか。危うく素で「お疲れさまでした!」とわたしのなかのライブが終了になるとこでした。いやいやいや!あの閣下を見た状態で、アンコールでこの曲だったら、わたしはまさに昇天しかねなかったので、二曲目がこれはある意味正しいのですが、それにしても、たまらん。一曲めでいきなりMAXになったテンションが放射状態になるこの快感に圧倒されました。素敵すぎる…。 

 ていうか今回の衣装!チラシなどで見たときはここまでと思わなかったけど、あの豹模様が閣下の野性にはまりすぎです。こぼれるフェロモンが具現化です。垂れ下がる布と、首が詰まった服を着させたら、閣下の右に出る存在はまずいない。うつくしい。

 そう、これまでずっと柵前だったので気づかなかったけど、フロアって、より閣下に近いのね…(うっとり)。閣下のお客さんは暴れないので、視界も安定しているのが嬉しい。ていうか、近くで見る閣下のオーラは、反則。閣下は美しい、というのはわたしがずっと主張しているこの世界の黄金率ですが、今回は美しいというよりも、その生命力溢れるオーラに圧倒されましたね。
 
 「エイベックスの顔を立てて…(笑)」というわけで、前半は「GIRL’SROCK」及び「GIRL’SROCK√Hakurai」からのナンバーが中心でした。「全世界で100万枚売れた曲より一万枚も売れなかった曲のほうが盛り上がる不思議な空間」(笑)といいつつも、カバー曲、楽しかったですよ!閣下の歌詞に合わせた遊びがとってもキュート。「雨音はショパンの調べ」で「ひざの上にほほをのせて」で、ギターのオラのひざに頭乗せちゃうし!「愛が止まらない」の「彼女のことなら初めから百も承知よ」でオラ見つめちゃうし!「TATOO」で「薔薇のTATOOを」で大橋さんの服ひっぱってTATOO露出させるし!(くまなくあがった紫色の悲鳴が素敵だ名古屋。云っておくが広島ではほとんどあがらなかったぞその手の悲鳴)

 そう、外国人サポートのお二人がまたキュートでしたよ。いやあ異人さんだからもっといかつい感じなのかと思ってたら、オラはくしゃくしゃ金髪でやんちゃな感じ。アンダースはベレー帽の毛並みの良いくまさんタイプ。どっちも笑顔が絶品。あと、二人とも、これみよがしなプレイをするタイプではないのですが、巧いよ…。音がとても心地良い。閣下のバンドはいつも演奏クオリティ高いのですが、感動した。あと、面白かったのが、閣下の風貌だと、外国人サポートと一緒でも、なんというか、「借りてきた」感がないのね。浮いてない。そのビジュアルイメージが興味深かった。

 あと、大橋さん。わたしはJAIL脱退後にミサに行き始めた信者なので、最初はすごくネガティブなイメージがあり、その後の聖llへの参加によって、それが和らいだクチ。ですが、こんなに素敵なひとだなんて知りませんでした。そういう大事なことはもっと早く教えてください(無茶を云うな)。そりゃ上手もぎっちりだよ!いや、閣下もどこかでおっしゃっていたが、周りも大橋さんも変わったんですよ、きっと。閣下のおそらくはとっても翻訳しづらいMCを、スウェーデン組に英語で通訳している様子が、とてもいい感じでした。

 印象としては、全体的に前回の「GIRL’SROCK」ツアーを踏襲している構成でしたが、スウェーデン人サポートのお二人が入ったことで、雰囲気が大きく変わったかな?閣下のMCタイムが長い感じだったけど(笑)思い返せばいつもとそう変わらないんだよね。スウェーデン人のオラに日本の珍しい食べ物を食べられるかどうか聞く話で、「白子」をよりにもよって「スペルマ・ファクトリー」と訳していた閣下が素敵です。絶対に間違ってるんですが、一回それを聞いたら、ほかの訳語が思いつきません。

 途中で空気が読めないアナウンサーによる微妙なインタビューが入ったものの、それである意味、会場の空気がひとつになって(笑)、後半戦に突入したのも楽しかった。ここでは、「GIRL’SROCK√Hakurai」のなかでも個人的にとても気に入ってたものの、曲自体の知名度がいまひとつなこともあって、ライブではやらないかなーと思っていた「CherryBomb!?悩殺爆弾」が聴けたのがすごくすごく!嬉しかった。またこれが実にライブ映えする楽曲なのですよ!閣下のステージアクションがこれまたなんというか。どこの生板ショーですかという感じで(暴言)。

 カバー曲以外の選曲もあれこれ楽しかった。「穴があったら出たい」にはびっくり。あの途中の日本語語りを二人のスウェーデン人にやらせるあたり、狙ってるのはわかるけど、素直に驚いて大喜びです。選曲といえば、本編では聖llから「魔界舞曲」が選ばれてましたね(あと、「悪魔のメリークリスマス」のカップリングだった「ASSHOLE」)。もちろん大好きなので、喜んで踊りましたが、閣下の「みんな色々と予想してグッズをもってくるが、初日の川崎では読み違えてスリッパをかざしてるやつがいた」というMCがおかしかった。みなさん、ジュリアナ扇子が現役でしたね!
 
 にこにこで終わった本編のあと、アンコールで聞きなれない言葉を叫んでいるひとたちがいたのですが、あとでやっぱりそれがスウェーデン語での「アンコール」だったと知りました。「En gクJ・g till!:エン・ゴン・ティル!」(閣下の啓示板より引用)というのです。わたしはずっと朝鮮人参がどうしたのだろうと思ってました。わたしの耳がどうかしている。

 一回目のアンコールは、閣下のステージングが異常に可愛い「ダンシング・ヒーロー」で始まりました。もうね!あのぴったりした衣装が閣下の二の腕のラインを強調しててね!「そんなの関係ねえ」までやってる閣下が可愛くて可愛くてもう。で、次の曲の前振りが「この曲ができたとき、オラ(27歳)は1歳でした…地元に帰ってきたんだよね?」と大橋さんに振り、大橋さんがにっこり「愛知産だよ」と云ったときに、まさか、と思いました。大橋さんの曲。つまり、聖llの曲。アンコールにふさわしい曲。直感的にひとつの曲が浮かびました。けれど、まさか、と。まさかあの曲をやるはずが、と思ったわたしを引き裂いたのが、大橋さんのギターでした。

 「FIRE AFTER FIRE」!うそおおお!リアルで叫んだかもしれない。うそうそうそ!ですよ、本当に!なんていうか、閣下のソロで聖llの曲をやることはあっても、はっきりとした代表曲はやらないんじゃないかと思ってたんですよね。それがあなた。これですよ。GARGOYLEでいえば「ハレルヤ」ですよ。油断しきっていたところにキチガイ沙汰で頭を振りながら(あとで首が相当に…)、嬉しかった。

 けれど、嬉しいと同時に、戸惑いもあって。だって、紛れも無い「FIRE AFTER FIRE」で、一気に時間を引き戻されて、それでもステージを見たわたしの心に浮かんだ言葉は「長官がいない」でしたから。そりゃいないよ。でも、これは、わたしにとっては大橋さんの曲というよりは、聖飢魔llの曲、なんです。殿下もいない、和尚もいない、参謀もいない。いるのは閣下だけ。あの頃と変わらない、あるいは、あの頃以上のオーラをまとって唄う閣下だけ。哀しいんじゃなくて、不満じゃなくて、その事実がわたしに与えたのは、「聖飢魔ll」はもうない、というシンプルな自戒でした。ものすごくカッコいい「FIREAFTERFIRE」でしたから、文句などあるはずはない。閣下の火吹きには本気で痺れた。でも、聖llじゃない。閣下が歌っても、聖llじゃない。その事実が、突き刺さり、自分のなかで溶けるのを感じながら、頭と拳を振った。理屈じゃない。この曲だけは、理屈じゃないから。

 二回目のアンコールは、大好きで可愛い「ハート8」でした。もうね、「ハーイハイ」のときのアンダースとオラ!かわいいかわいいかわいい!このステージをかれらがすごく楽しんでくれているのが伝わる。最高の笑顔と、客への煽りに大喜びで飛び跳ねました。

 フロアにいた恩恵として、閣下の水吹きをいっぱい浴びれました。素直に大喜びです。宗教ですから。

 終わったあとで時計を見ると、きっちり三時間。素敵だなあ、バカだなあ(褒め言葉)と思いつつ、今日のお宿の真夜さんと連絡をとって、落ち合ったとで、真夜さんのお友達と一緒にカラオケなどを楽しみました。ちなみにわたしが歌ったのは、犬神サーカス団「都合のいい女」YAPOOS「肉屋のように」BABYLON「華の都、我、散りけり」特撮「パティー・サワディー」筋肉少女帯「再殺部隊」聖飢魔ll「KIMIGAYOは千代に八千代の物語」です。遠慮しなくて申し訳ない。

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