「機動戦士ガンダムさん つぎの巻」大和田秀樹(角川書店・コミックエース)



 ファーストガンダムをネタにした健全アニパロ4コマ集…ですが、4コマのほうは前半のみ。後半は「隊長のザクさん」なるMS小隊の隊長となったザクの中間管理職の悲哀を描いた連作マンガとなっています。
 これがね。正直云って、4コマのほうは、さすがにネタが尽きた感があり、イマイチだったにも関わらず、「隊長のザクさん」が素晴らしい出来だったのですよ。MSが人格を持った世界のなかで、生意気なゲルググや、歴戦の勇士たる旧ザクの爺さんのなかで、必死に隊長として頑張るザクさん。ちょっと情けない頑張り屋さん。萌え。とりわけ、わたしの心を射抜いたのは、第4回の冒頭でした。
小さい頃 TVの中の英雄に憧れていた 彼の頭の上には誇らしげに輝く隊長マークのツノがあった
 というモノローグとともに、4畳半で膝をついて(←そこまで描かれてないですけど)ツノ付きザクを見つめる少年時代の隊長さん(もちろんザク)の場面。これだ。これが分からんやつは読まんでいい。いっそ「ザクさん」だけで単行本にしてくれないか。もっとも、もうひとつのおまけマンガ「宇宙島のガルマくん」も、10枚の短さながら、実に正しいアニパロで楽しめました。一年戦争の始まる前、貧しいけれども健気に生きるガルマくんとその一家を正面から描いてる真面目さが実に良い感じです。こんなザビ家だったらもっと見たい。ダイクン一家も気になるところです。

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