「妖女サイベルの呼び声」パトリシア・A・マキリップ(ハヤカワ文庫)


 いわゆる洋物FTが駄目なわたしですが、名作と名高い本書だけあってとても面白く読みました。やっぱり本はジャンルで判断しちゃいけないですね。岡野玲子が「コーリング」というタイトルでマンガ化してます。
 幻獣と共に山奥に暮らす魔術師サイベル。しかしそこに赤子を連れた騎士がやってきたことから、「愛」を知らなかった彼女の運命が大きく動き出す…というストーリー。こういう作品にいちいちいうのもなんですが、キャラクターがそれぞれ類型的な役割を与えられているにも関わらず、その魅力はそれだけによるものでなく、とても生き生きとしたものです。サイベルを愛しながらも信じることが出来なかったがゆえにその愛を得られないドリード、自らの「心」を奪われようとした復讐心の為に愛するコーレンをも謀らなくてはいけなかったサイベル、ただ一心にサイベルを愛したコーレン(わたしはこのひとがとても情けないがゆえにサイベルの愛を得られたと思うが、それは間違ってるかな)…かれらの運命を追うのは、とても愉しい時間でした。
 魔法とか海外とかに拒否感あるひとでも、入り口の部分を突破できれば大丈夫でないかな。おすすめです。

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