「御緩漫玉日記(1)」桜玉吉(エンターブレイン・ビームコミックス)



 待ってましたの桜玉吉の新刊です。ビームに連載されてたのを読んだときから、単行本化をとても楽しみにしてました。期待に応えた厚さで嬉しい。
 とうとう購入した伊豆での一軒家暮らしの、静寂と孤独と呑気さを独特の描線でのんびりと描く「漫玉篇」と、架空の漫画家『桜タモ吉』がアシスタントの女の子への気持ちに揺れる「トクコ篇」、あと「読もう!コミックビーム」で構成されています。
 「漫玉篇」は、山暮らしのあの静けさと虫話のバランスが素晴らしく、以前のようなO村編集長とのやりとりにただ爆笑。DVDのくだりとか、おとこのひとだなあ、と思います。
 「トクコ篇」は、なんだかとってもぎりぎりな私小説マンガというかなんというか、架空なんだけどキャラ配置とかがリアルでねえ、でも面白すぎてねえ、という感じで、こちらも笑いながらどきどきと読みました。本当に、必要以上に自分の身を削ってる感がひしひしと。でも、これがすさまじく面白い。ドラマです。すごいひとだなあ…。そしてトクコちゃんは、眼鏡っ娘好きにはすごい金星じゃないでしょうか。とても可愛くてエロい。で、三次元ホモ萌えってあたりが、とってもとってもイタいくらいにリアルです…。トクコちゃんの運命が気になって気になってしょうがないよ…
 さらにほとんどおまけの存在であるはずの「読もう!コミックビーム」も、四コマをはみだした濃さで、お腹イッパイの単行本でした。どれもがリンクしてフィクションとノンフィクションの境目が無くなっていく、本当に面白いと思います。この面白さを実感するには、漫玉日記シリーズを通読するのが一番なのですが、ちょっと冊数が多いかな。でも、面白いですよー。

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