「龍風」(GARGOYLE)


 ようやく届いたこれをしばらく聴き込んでいました。結成18周年を迎えたGARGOYLEの新譜です。
 感想は…「面白い」アルバムです。うん、面白い。なんていうか、独特で面白い。正直に云って「future drug」以来の良さです。
 もちろん「倭」や「獣道」がつまらなかったとかじゃないんですよ。なにより、全体の印象的には「倭」から「獣道」の流れからそんなに外れるものじゃないと思うんです。が、同じことの繰り返しじゃなく、聴いてて「おや」と聴き返したくなるような絶妙な展開や構成がある。とてもオリジナルな印象です。GARGOYLEであることは間違いないのに、未だ新しい道を切り開いているようなユニークさ。なにをもってこういう音にしたのか、こういう歌詞にしたのかが分かるようでつかみきれない。それを知りたくて繰り返し聴きました。一曲も飛ばさずに。そしていつも最後の「楽園に死す」で胸の底からわきあがるようなときめきを感じる。ライブに行きたい。そう、ガーゴというのはそういうバンドであります。音源が最終的にはライブで完成するような、そしてその完成形はその場にいたものだけが感じることができる存在。だからこそ、音源だけじゃ面白さが分かって貰い難い部分がある。もっとも、このアルバムに限っていえば、音源だけでもある意味では十分かも。わたしがライブに行きたい、ライブで聴きたいと思うのは、あの空気を知ってるからなので、それを最初から知らないひとにとりあえず聴いてもらうのには良いアルバムかもしれないです。GARGOYLEの現在が凝縮されていると思う。
 以下、とくに気に入った曲の感想など。
 「人間の条件」:ライブでもお披露目されたこの曲は、ぜひとも再びライブで聴きたい曲です。ライブで生きるのが分かってる曲、というか。構成がカッコいいよう。関係ないですが、いつもデザインに凝るガーゴのライナーノーツ、今回はまた刺青がモチーフになってるので、歌詞がかなり見辛いです。おかげでこの曲の歌詞も「魚魚魚」とあるので「ぎょぎょぎょ」ってなんだつげ義春かと思ったら、実際は「生」でした。そりゃそうだよな…(なんで「生」と「魚」を間違えるかって?現物見て欲しいよ)。しんげちゃんの云った「へそ!」の意味も分かった。確かにへそだ。
 「騒乱節」:歌詞がいきなり「やれ!騒乱 騒乱」です。さすがKIBA姫です(褒めてます)。しかし曲がたまらなくカッコいいので、無問題。暴れ系です。
 「絶対性理論」:賭けてもいい。ライブでこの曲になったら、わたしは手拍子を必ず間違える。聴きながら何度か練習してみたが、かなり怪しい。難しくないはずなのに…。「人の為」とか「れなにうゆじ」系の盛り上がり曲ですね。「人の振りみても我が振りはかえない 絶対 絶対 絶対 絶対に絶対 隣の芝生はうちの庭じゃ育たない」という歌詞に少し笑って、ああKIBAだよなと思いました。変わらないKIBAのこの立ち位置が大好きです。
 「時代を知らない子供達」:ああいまKIBA姫の胸のなかではかすみ草をもった少女がうつむいて震えている((c)西原理恵子)というのはあんまりな感想ですが許してください。こういうスローな曲でもちっともダレないのは、さすがだと思います。
 「come into flower」:なんですかこの「LIBIDO?精神の黒幕?」は。いえその。「二つの点」の配布CD再びですか。いきなりKEATAROとTOSHIの声を聴いて、本当に腰が抜けました。良い悪いとか巧い下手とかじゃなくて、ただもうびっくりして。いやこれはもうライブが楽しみだ。
 「旅の道化師」:たまらなく展開が好きな曲です。
 「Thanatos」:ライブではずっと定番曲ですね。でも音源で聴いたら、ライブで聴くよりも曲の構成がよりはっきりして、それで初めてよく分かったような気がする。これからのライブでは、これまでとは違った感じでこの曲を楽しめそうです。
 「楽園に死す」:泣ける。ライブで聴いたら泣く。疾走間溢れる音と、歌詞のカッコよさ(「心を鬼にすることなど心を神にするのに比べればほんの容易いことだと知るだろう 生きることはやがて死ぬことと知って生きる矛盾した今日だから」が合い混じって噴出しているような美しさ、気高さ。希望へ向けられた掌が見えるような素晴らしさ。だからわたしはガーゴが好きだ。この臆面のなさが、すごく好きなんだ。でも、この歌詞の「来た」ってもしかしなくても「キタ━(゚∀゚)━!」ですかね…「電車男」良かったって云ってたもんね…。
 今回のアルバムツアーが本当に楽しみになる出来でした。ファン的にはいろいろあるかもしれないけれど、わたしは初心者にもおすすめだと思うし、良いアルバムだと思ってます。
 このアルバムは、GARGOYLE公式サイトで通販可能なほか、ライブ会場で限定発売されます。試聴もできますので、興味があるかたは、是非公式サイトまで。

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