「金毘羅」笙野頼子(集英社)



  ハードカバーで300頁近い大作ですが、あまりの面白さに一気読みしました。本当に、なんでこんなに訳が解らないのに面白いのか、これが文学の力であるというのならわたしはそれを素直に肯定しましょう。内容ですか?文字通り「金毘羅」の一代記です。あのしゅらしゅしゅしゅ、です。
 この本、帯の惹句がやたらと挑戦的でそこまでいうかという感じだったのですが、いやまさに「奇想あふれる、ぶっちぎりの」一冊です。ただ「時代が笙野頼子に追い付いた」はどうかと思う。追い付いてない。まだまだ時代はきょとんとしている、と思います。駄目な人は最初の10頁で投げ出すだろうし、いけるひとは「…これはなに」と汗書きつつもやめられない。そんな一冊だと思います。日本の古代神話に興味があるひとならばさらに、面白く読めたのではないかと思います。わたしなどは、もうその炸裂するイメージと暴走する展開に、頭がおかしくなりそうでした、面白過ぎます。
 ただしやっぱり笙野頼子初心者には向かない…というか、そんなの関係なく、イけるひとはイけ、そうでないひとは怒りだすような、本です。わたしは、あー、楽しかった(笑)というのが一番の感想ですけどね。

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