デーモン小暮閣下「GIRLS’ROCK(DVD付) [Limited Edition] 」感想



 えー、デーモン閣下の記念すべき(自己および自分の所属する団体名義で出す)30枚目のアルバム(大教典)です。「’80年代?’90年代初期の女性ROCKソングを集めたカバーアルバム」となっております。70年代生まれならば、どれもが耳に覚えのある名曲揃いであり、しかも女性ボーカルとあっては、それを閣下がどう料理するかが聞き所であったのですが、いやもう(笑)。
 さすが閣下です。難しい唄を、正面からただ綺麗にこなしておしまい、というわたしがもっとも危惧していた予想に素晴らしいうっちゃりをかましてくださいました。プロデュース、アレンジを担当した北欧の使い魔のみなさまのおかげも大であると思いますが、見事なまでにどこまでも閣下色に染められた名曲たちの姿には、ちょっと壮観なものがありました。
 まあ、綺麗にこなすっていうのも、こんなに綺麗な声ならばそれだけでもう素晴らしいというのもあるんですけどね。あと、わたしが閣下には点数が甘いどころでないというのもあるんですけどね!正直云って、わたしの大好きな閣下のハイトーン・ヴォイスがここまで響けば云うことないです。好き好き。「六本木心中」「Return to Myself」などの、原曲からしてHR色がある曲を唄いあげる声が素晴らしいのは云うまでもありませんが、「Raspberry Dream」のようなポップな曲を、美しいバラードに変換したり、「My Revolution」を、へヴィ色に染めてみたり、という原曲をリスペクトしたうえでの変換も、とても面白かったです。プロデューサーのアンダース・リドホルム氏に、原曲の持つ意味のそこまでに理解がいったかどうかは難しいと思うので(ポップロックの名曲というものは、その音のみでなく時代性をも含めての評価がなされているものです)、その面白さというのは閣下なりの解釈も十分に取り入れられているはずです。きゃー閣下すてき。
 もっともさすがに「翼の折れたエンジェル」「TATOO」などでは、原曲のイメージが強すぎてか、ちょっと違和感がなきにしもあらずというか、閣下の唄だけが際立って聞こえる感じもありますが、まあ、それは僅かなものということで。同じように原曲からしたら閣下のイメージとは大きく違うはずの「SEVEN YEARS AFTER」が、わたし的には「これ、こんなに良い曲だったかしら」なんて思うほど響いてしまいましたから、受け取り手の問題かもしれません。いや、この「SEVEN YEARS AFTER」は、良かった…。「今恋をしてるし幸せだけれど/あんなに傷つけ合う恋はもうできない」がたまらなかった。大人の唄だ。
 そして、わたし的ナンバーワンおすすめは、やっぱり「限界LOVERS」でした。これ、閣下の持ち唄でしたっけ(笑)。あまりにも本領発揮の素敵ハードロックに、聞いててにこにこしちゃいましたよ。閣下、ここは是非SHOW-YAと共演を!ていうか、SHOW-YAだけでなく、カバーされた側のアーティストの感想も聞いてみたいです。
 閣下自らがDVDに収録されたインタビューでおっしゃっていた、閣下であれば本来は使うはずのない言葉が並んだ歌詞を歌っているということについては、あまり違和感は感じなかったかな。むしろ、女性言葉がこんなに違和感感じずに聴こえるのがすごいと思った。やっぱり、閣下はうたうたいだ。
 アルバムブックレットの閣下の写真も良かった。この衣装、大好きです。なんといっても黒い羽根が秀逸です。PVのほうは、せっかくだから、北欧のミュージシャンとの共演が見たかったかな。閣下に似合いそうです。こちらで1曲(「Return to Myself」)ご覧になれます。試聴がわりにもどうぞ。
 
 というわけで、わたしとしては、かなりお気に入りのアルバムです。閣下のソロとしては、「好色萬声男」とか「SYMPHONIA」に並ぶ愛聴盤になりそう。だってねえ、原曲がどうとかいう以上に、閣下の声が本当に本当に本当に綺麗(閣下自身も綺麗)。わたしの脳内のどっかに直接アクセスしてうりうりしてくるような心地良さです。まったく、この唄の巧さというのは、どうしてくれたらいいのかな。発電とかできないか(訳が分かりません)。
 これからの閣下の進む方向というのを、具体的に示唆していくものではないと思いますが、レコード会社も移籍して、一番最初の挨拶状ということでは、文句無いのではないでしょうか。だいたい、閣下が生かされる方法というのは、きわめて難しいものであることは間違いない(聖飢魔llやればいい、というのはナシね/笑)、しかしそれでも閣下は歌っていくんだろうから、信者としてはそれを見守っていくだけです。応援していくだけです。思ったことをそのまま、口を極めて褒めたたえていくだけです。
 だって、この声が好きなんだ。思想やひととなり(悪魔となり?)や容姿も大好きだけど、やっぱりこの歌声が大好きなの。それがこんなに生かされたかたちで聴けて、本当に嬉しかったです。閣下最高。

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