「スリーピース!!(1)」 安彦真理絵 (秋田書店)



続きはどこだ。もう漫画描いてくんないのか、安彦真理絵。いえ、雑誌ではちらほらお姿お見かけするものの、まとまった単行本や続き物の続編はとんと音沙汰が無くなったので寂しい漫画家さんです。わたしはすごく好きなんだけどな。
 とにかく、女の子(とそろそろ云うのはキツくなってきた年代含めて)の頭の悪さと可愛さと一生懸命さを描かせたら天下一品のひとです。このひとの漫画に出てくる女の子たちはたいてい、自分のどうしようもなさにじたばたしててどーしようもなくなってて、泣いたりわめいたり大変だったりしながらも、ふと、すごく冷めた視線で自分と相手の男を見つめたりもする。そのバランスがすごく上手い。少女マンガじゃないので、恋愛する女の子たちは当たり前にセックスするし、立派にやり逃げちゃったり、ひとの男を食っちゃったりもするんだけど、そこに下手な言い訳がないあたりの潔さがとても好きだ。しょーがないよな。やっちゃいたかったし逃げたかったんだから。それもまた人生よ(遠い目)。
 この漫画はそれぞれの個性が違った三姉妹が主役。ボーイッシュな長女、可愛いギャル系の次女、オタク系の三女、でもそれぞれが不器用に、目の前の恋愛やらオンナノコとしての状況と果敢に向かい合っている様子は、単純に面白いし「分かる」という気持ちになるひとも多いのでは。内田春菊が生み出した(でいいのかな)、少女マンガではない女性マンガの範疇に入るけれども、そのなかでもひときわリアルな感じのするマンガ家さんの作品です。

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