失われた命の記憶や、誰かの強烈な思いなど、この世でないものを見る能力を持つ少年と、かれを取り巻くひとびとの物語。一話完結です。
霊モノ、といっても気持ち悪かったり恐怖心を煽るようなものではなく、上品で可愛らしい絵柄にふさわしい、せつなく優しい(そして少しばかり哀しい)お話ばかりです。でも、その世界のなかにはシビアに現実を見据える視点もちゃんと入ってるので絵空事になってないのだな。ただの「良い話」で終わってない。わたしが好きなのは、「仕事」を終えて、サンタモニカにバケーションに出かける女性を見送る「第二夜」とタクトの己の能力への怯えが、幼い幽霊への友人ラトルの想いによって癒される「第6夜」。
しかしながらどの話も平均点高くてはずれなしです。霊感モノがお好きなひとにはちと読んでほしいかも。